歯並び専門の矯正歯科医院とは
今回は、歯並び専門の矯正歯科医院についてお話していきます。歯が痛くなったり、虫歯の治療後に被せている詰め物(銀歯)がとれたり、定期健診等に通われている歯医者は、一般歯科医院と言います。一般歯科医院の中にも、小児歯科や口腔外科や訪問歯科などがあります。では、歯並び専門の矯正歯科医院とはどんな歯医者なのかご存知ですか?当院のような歯並び専門の矯正歯科医院では、虫歯の処置などの治療は行っておらず、歯の並びや噛み合わせを治す治療をするための装置を付け、装置を調整していきます。歯を直接治療する一般歯科医院と違い、矯正歯科医院は歯に付いている装置を調整して治していきます。一般歯科医院との違い、当院の歯並びの初回相談から治療までの流れ、矯正治療を始める前にしておいてほうがいいことなどお話していきます。
一般歯科と矯正歯科との違い
皆さんのお家の近くに歯科医院はありますか?〇〇歯科や〇〇デンタルクリニックなどは、一般歯科医院といい、虫歯の治療・歯周病の治療・入れ歯の調整・歯の定期健診・抜歯・インプラント治療などお口の中の治療(主に歯の治療)を行っています。歯が痛くなったり、虫歯になってしまい治療した歯の被せもの(銀歯)がとれたり、定期的に通院して歯周病のチェックなどで一度は診てもらったことがあるのではないでしょうか。このような一般歯科医院と違い、歯並びを専門として診ている矯正歯科医院は、歯の並びや噛み合わせを治療している専門の歯科医院になります。矯正歯科専門の当院では、歯並びの治療に特化しているため、歯並びの矯正治療中に出来てしまった虫歯の治療や、矯正治療を行ううえで抜歯が必要な場合は、かかりつけの一般歯科医院で治療をお願いしております。また、当院では、親知らずの抜歯は総合病院の口腔外科へ紹介させていただいております。
歯並びの相談から治療開始までの流れ
①相談
当院は、完全予約制です。初回の歯並び相談は無料で行っております。歯並びの相談のご予約をおとりしますので、HPからのWEB予約か電話でのご予約をお願いします。予約日に来院していてだき歯ならび相談申込書のご記入をお願いします。(記入していただく時間があるため予約時間の10分前にお越しください)他院からの紹介状や学校歯科健診の用紙などございましたら受付にてご提出ください。記入後、診療室からお名前をお呼びします。歯科衛生士から簡単な問診をさせていただきます。その後に医師が診察します。お口の中の写真(口腔内写真)を撮って説明に使うことがあります。カウンセリングルームにて歯並びの相談と説明をさせていただきます。費用と治療の流れなど、料金のお話もこの時にさせていただきます。相談後、矯正治療をご希望の場合は、受付にて次の精密検査と診断のご予約をお取りいたします。
②精密検査
歯列矯正治療を始める時は、まず精密検査をさせていただきます。受付にて精密検査代をお支払い後、診療室からお名前をお呼びします。当院では、小学生以上は一人で診療室に入っていただいております。付き添いの方は待合室でお待ちください。検査内容としては、前回の相談の時にお口の中の写真(口腔内写真)を撮っている場合は、お顔の写真(顔面写真)・レントゲン写真撮影(セファロ側貌 セファロ正貌 パノラマ)・口腔内印象採得(上と下の歯の歯型)・噛み合わせ(バイト)・iTeroスキャンを使ってお口の中を3Dスキャンします。相談の時に、お口の中の写真(口腔内写真)を撮っていない方、または初回の歯並び相談から精密検査までの間が一か月以上空いた方は、精密検査の時にお口の中の写真(口腔内写真)を撮らせていただきます。また、当院では、口腔内印象採得(歯型採り)を行うときは、年齢関係なく皆様に来院4時間前からお食事は控えていただいております。お水やお茶などの水分はお取りいただいても大丈夫です。
③診断
検査からおよそ一か月お日にちをいただいてから治療方針の説明の診断をさせていただきます。診断はとても大切な時間になります。精密検査の時の資料を元に医師が診断し、治療方針について具体的に説明いたします。説明をお聞きになりたい方は診断の日に一緒にご来院ください。診断の時には、治療方針の説明だけではなく、装置の説明や取り扱い方法、装置のお手入れの仕方に加え、矯正治療に伴うリスクの説明、矯正治療費などの費用の説明と当院での注意事項などお話し説明させていただきます。疑問や質問がありましたらお気軽にお申し出ください。歯列矯正治療は、症状や治療方法によって様々な装置を使って治療していきます。虫歯の治療とは異なり歯並びの治療の歯列矯正治療は治療期間も長くなります。お子様の治療や大人の方の治療でも、歯列矯正は人生で初めての治療になることが多いと思いますので分からないことは、主治医や当院スタッフまでお気軽にお声がけください。
歯列矯正治療を始める前に
中学生以上の方(特に成人の方)で、長年にわたり歯医者に行っていない、または、かかりつけの一般歯科医院で定期健診をされていない方は、歯列矯正治療を始める前に一度、虫歯や歯周病のチェック、歯の清掃をかかりつけの一般歯科医院で行ってもらうことをお勧めします。虫歯が見つかれば矯正治療を始める前(矯正の装置がつく前)に、虫歯の治療をしておく必要もあります。普段の歯磨きだけでは、歯の汚れが完全にとれていない事も多く、歯石がついている事もあります。その汚れや歯石がついている状態で矯正の治療が始まれば、歯に矯正の装置がつくことで治療前よりも歯磨きがしづらくなり、虫歯や歯周病になるリスクが高くなってしまいます。矯正治療が始まる前に、虫歯や歯周病の治療を終わらせておけばリスクを減らすことができます。また、歯列矯正治療中は定期的に一般歯科医院に通院していただき、虫歯や歯周病のチェック・歯の清掃などを行ってもらうと良いと思います。歯列矯正治療中に虫歯が見つかった場合は、虫歯の治療を優先しています。虫歯の治療が長引いてしまうと、矯正治療もその分長くなってしまいますので、歯列矯正治療をしている間は、いつも以上に丁寧な歯磨きで口腔ケア(歯間ブラシやデンタルフロスも使用)をお願いします。
相談から実際に装置がつくまで
初回の歯並びの相談から、精密検査・診断をし、実際にお口の中に矯正の装置が入るまでに3~4か月かかります。どの装置を使用するかによって多少日数は前後します。相談してすぐに装置の型取り(印象採得)をする場合は、型取りをしてから装置を作製しますので、型取りをしてから装置をつけるまで一か月お日にちをいただいております。矯正の装置がつく日が、大切な行事(大会や受験など)に重なる時は、その日を避けてご予約をお取りいたしますので、お気軽にスタッフにご相談ください。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療前・治療中に虫歯が見つかったときの対処法!
こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で歯を矯正したいと考えたときに、気になるのが虫歯でしょう。
「マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療前に虫歯が見つかったらどうしたらいいの?」「マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中は虫歯になりやすいの?」など疑問をおもちの方がいるのではないでしょうか。
今回は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療前・治療中に虫歯が見つかったときの対処法について解説します。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
治療前に虫歯が見つかったときの対処法
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療前の検査で虫歯が見つかることがあるでしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療前に虫歯が見つかったときは、矯正治療よりも先に虫歯の治療を行います。虫歯の治療は、進行度合いにもよりますが、歯を削って詰め物や被せ物をすることがほとんどです。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療よりも先に虫歯の治療を行うのには理由があります。矯正治療を開始したあとに、虫歯の治療を行うと治療した歯の形状が変わり、作製したマウスピースが合わなくなる可能性があるためです。
合わないマウスピースでは歯並びや噛み合わせの矯正ができず、作り直しが必要になるでしょう。マウスピースの作り直しになると、別途費用もかかります。
そのため、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療前に虫歯が見つかった場合は、先に虫歯の治療を行うことが重要なのです。
虫歯治療後のマウスピース型矯正装置(インビザライン※)の治療の流れ
虫歯治療後、どのような流れでマウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療が開始されるのでしょうか。
虫歯治療が終わったら、歯科医師が口腔内の診察を行い、虫歯の治療が完了したことを確認します。その後、治療計画を立て、マウスピースを作製し、矯正治療を開始するのです。
虫歯治療によって、歯が健康な状態に戻っているため、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療に支障をきたすことはありません。矯正治療中に虫歯ができないように予防することも非常に重要です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中は虫歯になりやすいの?
「マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中は虫歯になりやすいの?」と疑問をおもちの方もいるでしょう。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は取り外しができるため、ふだんどおりに歯磨きができます。
しかし、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中は治療開始前に比べると虫歯になりやすいです。治療開始前に比べて虫歯になりやすい理由を、以下に解説します。
口腔内が乾燥しやすいため
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の装着時間は、1日20〜22時間以上です。
マウスピースを装着する時間が長いため、口腔内が乾燥しやすく、唾液の分泌量が少なくなります。唾液の分泌量が少なくなると、虫歯の原因となるミュータンス菌が繁殖しやすい口腔環境となり、虫歯になるのです。
また、口腔内が乾燥し、唾液の分泌量が少なくなると、歯垢が溜まりやすくなります。歯垢が歯石になると、歯磨きでの除去が困難となり、虫歯になるリスクが高まるでしょう。
マウスピースやアタッチメントに汚れが溜まりやすいため
マウスピースやアタッチメントには汚れが溜まりやすいです。マウスピースやアタッチメントに付着した汚れを放置すると、ミュータンス菌が繁殖しやすい口腔環境になり、虫歯になるリスクが高まります。
アタッチメントとは、マウスピースをしっかりと歯に固定し、歯の動きを助けるために装着する小さな突起物です。アタッチメントは取り外しができないため汚れが残りやすく、適切に歯磨きをしないと、虫歯になるリスクが高まります。
唾液の分泌量が減少し、殺菌・自浄作用が低下するため
唾液には殺菌・自浄作用や、口腔内の汚れを洗い流す作用があります。
しかし、マウスピースを長時間装着することで、口腔内が乾燥し、唾液の分泌量が減少すると、殺菌・自浄作用が低下し、虫歯になるリスクが高まるのです。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中に虫歯になったときの対処法
「マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中に虫歯になったらどうしたらいいの?」と不安になる方もいるでしょう。
矯正治療中に虫歯になったときは、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療を一時中断し、虫歯の治療を行うことが一般的です。初期段階の虫歯で歯を削る必要がない場合は、様子を見ながら矯正治療を続けることもありますが、基本的には治療を一時中断し、虫歯の治療を優先します。
虫歯治療を行うためにマウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療を一時中断した場合は、治療期間が延長になることもあるでしょう。
矯正治療中に、歯が動くことで起こる痛みとは違った痛みを感じた場合は、虫歯の可能性が高いため、速やかに歯科医院を受診しましょう。虫歯は、早期発見・早期治療が非常に重要です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中の虫歯を予防する方法
上述のとおり、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中に虫歯になるとマウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療を一時中断することがあります。矯正治療中はどのように虫歯を予防すればよいのでしょうか。
矯正治療中の虫歯を予防する方法は、以下のとおりです。
口腔内の乾燥を防ぐ
上述のとおり、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中は長時間マウスピースを装着するため、口腔内が乾燥しやすいです。口腔内が乾燥すると唾液の分泌量が減少するため、虫歯になるリスクが高まります。
口腔内の乾燥を予防するために、こまめに水分補給をしましょう。こまめに水分補給をすることで、口腔内の乾燥を防ぐことができ、細菌が繁殖しにくくなるのです。
しっかりと歯磨きをする
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は取り外しができるため、ふだんどおりに歯磨きができます。
口腔内を清潔に保つためには、しっかりと歯磨きをすることが重要です。しっかりと歯磨きをすることで口腔内を清潔に保て、虫歯の原因となる菌の増殖を予防できます。
汚れが溜まりやすい歯と歯の間などは、歯間ブラシやデンタルフロスを使用してしっかり汚れを除去しましょう。自宅でのブラッシングに加えて、定期的に歯科医院でクリーニングをしてもらうと、さらに高い効果が期待できます。
酸性飲料の摂取を控える
炭酸飲料やスポーツドリンクなどの酸性飲料を摂取するのは控えましょう。
酸性飲料を摂取すると歯の表面が溶け、虫歯の原因になります。酸性飲料を摂取したら、必ず歯磨きやうがいをして、口腔内に残らないようにしましょう。
糖分を多く含む食べ物を控える
ケーキなどの糖分を多く含む食べ物は、できるだけ控えましょう。
糖分は、虫歯の原因になるミュータンス菌が酸を作る材料になります。ミュータンス菌が作る酸が歯を溶かして、虫歯になるリスクが高まるのです。糖分を多く含む食べ物を摂取したら、しっかりと歯磨きをしましょう。
矯正治療中に口腔ケアを行うときのポイント
矯正治療中の口腔ケアは、口腔内を清潔に保つだけでなく、虫歯予防のためにも重要です。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中に口腔ケアを行うときのポイントを、以下に解説します。
補助用具を使用する
歯磨きをする際は歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスを使用して歯と歯の間の汚れもしっかり除去しましょう。舌にも虫歯の原因となる細菌が付着しています。舌ブラシを使用して舌の汚れも除去しましょう。
また、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療ではアタッチメントという小さい突起物を歯に装着することがあります。歯に装着したアタッチメントにも汚れが付着しやすいです。歯ブラシで磨きにくい場合は、タフトブラシを使用するとよいでしょう。
フッ素入りの歯磨き粉を使用する
フッ素には虫歯を予防する効果があります。歯磨きをする際にフッ素入りの歯磨き粉を使用すると虫歯を予防できるでしょう。フッ素入りの洗口液でうがいをすることも効果的です。
マウスピースを洗浄する
マウスピースに付着した汚れの除去も忘れずに行いましょう。マウスピースには汚れが付着しやすいです。汚れが付着したまま装着し続けると、細菌が繁殖し虫歯になるリスクが高まります。
マウスピースを洗浄するときは、毛先の柔らかい歯ブラシで軽く擦るか、専用のクリーナーを使用しましょう。研磨剤入りの歯磨き粉を使用するとマウスピースに傷がつき、細菌が付着しやすくなります。また、熱湯を使用するとマウスピースが変形することがあるため、洗浄する際は水かぬるま湯で洗浄しましょう。
まとめ
今回は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療前・治療中に虫歯が見つかったときの対処法について解説しました。
矯正治療前に虫歯が見つかった場合は、先に虫歯を治療してからマウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療を開始するのが一般的でしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中は、治療開始前に比べて虫歯になりやすいです。矯正治療中に虫歯が見つかった場合は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療を一時中断して虫歯治療を行う必要があります。
矯正治療中に虫歯が見つかると、虫歯治療の費用が追加で必要になり、治療期間も延長になるでしょう。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中の虫歯を予防するためには、口腔ケアが重要です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は取り外しができるため、ふだんどおりに歯磨きができます。また、定期的に歯科医院でクリーニングを受けると、より効果的に虫歯を予防できるでしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療をスムーズに進めるためには、虫歯を予防することが重要なのです。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
むし歯について
Ⅰ. むし歯とは
むし歯とは、お口の中にいる細菌が食べ物や飲み物に含まれている糖をエサ(代謝)にして作られる酸によって歯が溶けるという病気です。
むし歯の原因となる菌として、『ミュータンス菌』がよくしられています。
ミュータンス菌は、私たちが食べた物や飲み物の中に入っている砂糖をエサにして、ネバネバしている『グルカン』という物質を作ります。
グルカンは粘着力が強く、歯の表面に付着すると多くの細菌がくっつき合い大きな細菌の塊になります。この細菌の塊のことを『プラーク(歯垢)』と言います。
Ⅱ.むし歯の原因
むし歯の原因には、『細菌(ミュータンス菌)』 『歯の質』 『糖』 の3つの要素があります。
この3つの要素が重なることで時間が経過するとむし歯が発生します。
Ⅲ.むし歯のでき方
プラークとなって歯に付着したミュータンス菌が糖を分解(この事を代謝と言います)して、『酸』を作ります。
この酸が歯の表面を溶かしてしまうこと(この事を脱灰(だっかい)と言います)によって、むし歯ができます。
Ⅳ.むし歯の症状
むし歯は、進行具合や場所によって症状が異なり5つに分類されます。
むし歯が歯と歯の間や奥歯の噛み合わせのでこぼこの溝などの歯のエナメル質が脱灰し始める初期むし歯のことを『CO(シーオー)』
初期のむし歯をそのままにしていると段々と脱灰が進行して、歯のエナメル質に穴が開くこと『C1』
エナメル質の下の象牙質(ぞうげしつ)までむし歯が進行すると冷たいものがしみるようになると『C2』
さらに進行し、歯髄(しずい)まで到達すると激しい痛みを伴うと『C3』
歯髄がしんでしまうと、痛みを感じなくなることもありますが膿が溜まることで激しい痛みを伴う場合がある『C4』
また、大人になると歯肉の中の歯の根っこ(歯根)に虫歯ができることがあります。加齢や歯周病によって歯肉が下がるとエナメル質で覆われていない象牙質やセメント質が露出します。
象牙質やセメント質はエナメル質とは違ってやわらかく、酸に溶けやすいため、むし歯になってしまいやすいです。
そのため、歯の根っこの部分に磨き残したプラークや食べかすがついたままの状態が続くと虫歯のリスクさらに高くなります。
Ⅴ.むし歯の予防・対処方法
むし歯になるのを防ぐためには、
- ①歯磨きで食べかすやプラークをしっかり取り除くこと
②歯の質を強くすること
③食事や飲み物の取り方に注意すること
が重要なポイントになります。
① 歯磨きで食べかすやプラークをしっかり取り除くこと
むし歯予防の基本は、むし歯の原因となるプラークを残さずしっかりと取り除くことです。
特にプラークが溜まりやすいところは、
- ・歯と歯の間
・歯と歯肉の境目
・奥歯の噛む面(でこぼこの部分)
・歯がガタガタになっているところ
・生えかわり期で背が低い歯
・1番奥に歯の後ろ側
お口や歯の状態に合わせて歯ブラシの当て方を工夫することが大切なポイントです。
また、歯ブラシの毛先が届きにくいところは歯間清掃用具の使用をおすすめします。歯間清掃用具とは、デンタルフロスや歯間ブラシ、ワンタフトブラシ(1本ブラシ)のことです。
② 歯の質を強くすること
フッ素を取り入れることをおすすめします。
フッ素には、歯の質を強くして再石灰化(溶けた歯のカルシウムやリンを再び歯に戻す作用のこと)を促進させます。
また、細菌の働きを弱める効果もあります。
丈夫な歯を育てるには、歯の土台を作るために必要なタンパク質や歯の石灰化のために必要なカルシウム・リン、これらがうまく働くためのビタミンなどの栄養素が必要となります。なので、バランスの良い食事を心がけてみましょう。
③ 食事や飲み物の取り方に注意すること
お口の中は、唾液(つば)の働きにより中性に保たれています。
そして、食べたり飲んだりすることでお口の中は酸性に傾き、お口の中が酸性の状態が長くなるとむし歯になりやすくなります。
そのため、だらだらと食べたり飲んだりしていると歯が酸にさらされている時間が続くのでむし歯になるリスクが高くなってしまいます。
また、食べたら歯を磨くようにしましょう。
寝ている間は唾液の出る量が少なくなるので、お口の中の細菌が増えやすく、働きが活発になります。なので、寝る前は特に丁寧に歯を磨くように心がけましょう。
④ 虫歯になりやすい食べ物と歯にいい食べ物
【虫歯になりやすい食べ物の特徴】
1 砂糖を含んでいるもの
2 歯にくっつきやすいもの
3 お口に残りやすいもの
4 ネバネバしたもの
【虫歯になりやすい食べ物の例】
・ チョコレート
・ キャラメル
・ キャンディー
・ スナック菓子
・ 清涼飲料水 (ジュースやスポーツドリンク) など
【歯にいい食べ物の特徴】
1 砂糖が少ない・含まれていない
2 歯にくっつきにくい
3 お口の中に残らない
4 カルシウムが多く含まれている
【歯にいい食べ物】
・ チーズ
・ ヨーグルト
・ アイスクリーム
・ せんべい
・ 果物
Ⅵ.むし歯を防ぐ『フッ素』の役割
フッ素によるむし歯予防の効果
① 歯の再石灰化(さいせっかいか)の促進
歯から溶け出してしまったカルシウム・リンの再石灰化(溶けた歯のカルシウムやリンを再び歯に戻す作用のこと)を促進します。
② 歯の質を強くする
歯の質を強くすることで、酸に溶けにくい歯を作ります。
③ 細菌による酸の産生を抑制する
プラーク(歯垢)の中の細菌の働きを弱め、酸が作られるのを抑制させます。
フッ素が含まれている身近な食品
フッ素は自然界にある元素であり、魚介類・海藻類・お茶などの身近な食品に含まれています。
フッ素は、歯や骨を作るのに欠かせない役割があり、むし歯予防においても高い効果があります。
【フッ素が多く含まれている食品】
・ イワシ
・ エビ
・ 海藻類
・ お茶類
フッ素入りの歯磨き粉を使おう
歯磨き粉は、フッ素入りをおすすめします。
年齢に応じたフッ素濃度や量を使用するようにしましょう。
また、歯を磨いた後もお口の中にフッ素を残すためにうがいに水は少量で1回のみがおすすめです。
【歯の生え始め~2歳】
使用量 1~2㎜程度 (米粒程度)
フッ素濃度 900~1000ppm
【3~5歳】
使用量 5㎜程度 (グリンピース程度)
フッ素濃度 900~1000ppm
【6歳~成人・高齢者】
使用量 1.5~2㎝程度
フッ素濃度 1400~1500ppm
Ⅶ.まとめ
虫歯についてお分かりいただけましたか。
虫歯は、普段の歯磨きの仕方や食事の取り方、食べ物の内容等を気を付けることで防ぐことができます。
フッ素が含まれている歯磨き粉や食べ物を取り入れることで虫歯予防にもなります。適切なフッ素濃度を適切な分量で使用しましょう。
また、定期的に歯医者さんに行くことをおすすめします。
歯医者さんに行くことで、むし歯の早期発見にもつながります。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の正しい洗い方と注意点を詳しく解説!
こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の治療では、マウスピースを1~2週間に一度、新しいものに交換します。1枚のマウスピースを使用する期間は短いですが、基本的に食事や歯磨きのとき以外は装着するため、汚れが付着しやすいです。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)のお手入れが不十分だと、さまざまなトラブルを引き起こします。
今回は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の正しい洗い方や洗うときの注意点、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を洗わずに使用し続けた場合に起こるトラブルについて解説します。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を洗わずに使用し続けてはいけない理由
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は1日20~22時間装着するため、細菌が増殖しやすいです。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を洗わずにし続けると、以下のトラブルを引き起こすでしょう。
虫歯や歯周病
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、歯にしっかりと密着するように作られています。マウスピースを洗わずに汚れが付着したまま装着すると、長時間歯と汚れが密着することになります。虫歯や歯周病の原因となる細菌が長く歯や歯茎の周辺に留まるため、虫歯や歯周病になる可能性が高まるでしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正中に虫歯や歯周病になった場合、治療を優先するのが一般的です。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療を中断しなければならず、治療期間が延びる可能性があるでしょう。
虫歯治療で歯の形状が変わってマウスピースが合わなくなると、再作成が必要になり追加の費用がかかる可能性もあります。
口臭
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)装着中は、口の中が乾燥しやすく細菌が増殖しやすい状態です。汚れが付着したマウスピースを装着すると、細菌がさらに増殖して口臭の原因になるでしょう。
マウスピースににおいが移り、装着を苦痛に感じることもあります。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が着色する
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、食べ物や飲み物の色素で着色することがあります。お手入れが不十分だと、着色汚れが落ちずに黄ばみの原因となるでしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では透明なマウスピースを使用するため、周囲に矯正治療中であることが気づかれにくいメリットがありますが、着色するとマウスピースが目立ちます。
カビの発生
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を汚れたまま放置する、水分が残ったまま風通しの悪い場所に置くなどすると、カビが発生する可能性があります。カビが生えたマウスピース型矯正装置(インビザライン※)を使用することは衛生的によくないため、作り直す場合もあるでしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の正しい洗い方
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の正しい洗い方を実践することで、清潔に保てます。以下の4つのポイントを確認して、正しく洗いましょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を外して洗う
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を装着したまま歯ブラシで磨くことは避けてください。外してから内側までしっかりと洗うことが大切です。
食事や歯磨きでマウスピース型矯正装置(インビザライン※)を外したタイミングで洗う習慣をつけましょう。
水道水で優しく洗う
水、またはぬるま湯で汚れを洗い流してください。付着した汚れを指で優しく擦りながら、洗い流すとよいでしょう。熱湯を使用するとマウスピースが変形する可能性があるため、使用しないでください。
力を入れて擦りすぎると、変形や破損につながります。指のはらで優しく洗うことがポイントです。
柔らかい歯ブラシで洗う
マウスピースの内側の汚れは、歯ブラシを使用するときれいに落とせます。水を流しながら柔らかめの歯ブラシで優しくブラッシングしましょう。
硬めの歯ブラシは、マウスピースに細かい傷をつけるため使用しないでください。マウスピースを傷つけないように注意しながら、優しく磨きましょう。
専用の洗浄剤を使用する
マウスピースには、専用の洗浄剤があります。週に1~2回程度、マウスピースを洗浄剤に10分ほど漬け置きしましょう。殺菌効果があるので、においや変色を防げます。
入れ歯の洗浄剤でもよいのではと思う方もいますが、成分や効果が異なるため、必ずマウスピース専用の洗浄剤を購入しましょう。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療を受けている歯科医院で購入できる場合が多いです。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を洗うときの注意点
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を洗うときの注意点は、以下のとおりです。
熱湯を使用しない
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、40度以上のお湯で変形する可能性があります。変形すると歯と適合しなくなり、装着が困難になるため作り直しが必要になるでしょう。
消毒のために熱湯をかけることも避けてください。消毒したい場合は、専用の洗浄剤を使用しましょう。
歯磨き粉を使用しない
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を洗うときに、歯磨き粉は使用しないでください。市販の歯磨き粉には研磨剤が含まれていることが多く、マウスピースに細かい傷がつきます。
傷がつくと汚れが付着しやすくなり、細菌が増殖するでしょう。水洗いだけでは不安な場合は、専用の洗浄剤を使用してください。
外したらすぐに洗う
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、外したらすぐに洗いましょう。外したマウスピースには唾液が付着しており、放置すると汚れが取れにくくなります。においの原因にもなるでしょう。
細菌の増殖を防ぐためにも、外したらすぐに洗う習慣を身につけてください。
しっかり乾燥させる
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を洗ったあとは、しっかり乾燥させましょう。ティッシュなどで水分を拭き取るか、タオルの上などに置いて乾燥させてください。水分が残ったまま放置する、ケースに入れるなどすると、菌の増殖やカビの発生につながります。
長時間マウスピースを外す際は、しっかりと乾燥させてからケースで保管しましょう。
ただし、ドライヤーの熱風を当てることは避けてください。熱湯と同様、マウスピースが変形する恐れがあります。風通しのよい場所に置いて、自然乾燥させてください。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は毎日洗ったほうがいいの?
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、毎日洗う必要があります。基本的には外すたびに水洗いすることが望ましいです。
外出先などで洗うことが難しい場合は、最低でも1日1回、特に就寝前の歯磨きの際は必ず洗いましょう。就寝中は唾液の分泌量が減るため、日中よりも口の中が乾燥しやすいです。
就寝前にマウスピースを洗わないと細菌が増殖しやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まります。就寝前のお手入れは、非常に重要なのです。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療を始めたばかりの頃は、飲食の際に外すことや、洗うことを忘れるかもしれません。気がついたときに流水で洗うように心がけましょう。
週に1~2回程度、専用の洗浄剤を使用することでマウスピースをより清潔に保てます。
毎日のお口のケアも忘れずに!
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)のケアと同じように、お口のケアも忘れずに行いましょう。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)とご自身の口の中が、どちらも清潔であることが大切です。
お口のケアを行うときは、以下の4つのポイントを心がけましょう。
歯磨きをしてからマウスピース型矯正装置(インビザライン※)を装着する
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を装着する前は、必ず歯磨きをして口の中をきれいな状態にしましょう。口の中に汚れが残っていると、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)に汚れが付着します。虫歯や歯周病の原因となるでしょう。
食事の際にマウスピース型矯正装置(インビザライン※)を外した場合も、歯を磨いてから再装着してください。外食などで歯磨きが難しい場合は、うがいだけでも行いましょう。
歯間ブラシやフロスを使用する
歯の汚れを落とすには、歯ブラシだけでは不十分です。歯と歯の間の汚れを完全に落とすことはできないため、歯間ブラシやフロスを使用して丁寧に磨きましょう。
特に、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療を始めたばかりで歯並びが整っていない状態は、汚れが残りやすいです。歯間ブラシやフロスを併用することで、汚れの除去率は大幅にアップします。
フッ素入りの歯磨き粉を使用する
毎日の歯磨きで、フッ素入りの歯磨き粉を使用しましょう。フッ素には、歯を強くして虫歯への抵抗力を高める働きがあります。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中は、通常よりも虫歯になりやすいです。毎日のケアにフッ素を取り入れることで、虫歯予防につながります。
定期検診を受ける
3か月に1回程度は、歯科医院で定期検診を受けましょう。定期的に検診を受けることで、虫歯や歯周病の早期発見と早期治療につながります。
ふだんの歯磨きだけでは除去できない歯石や歯茎の中の汚れ、着色をきれいにクリーニングしてもらうことも可能です。清潔な口内を保てるので、定期検診は必ず受けましょう。
まとめ
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療では、1~2週間で新しいマウスピースに交換して治療を進めるため、お手入れを怠る方も少なくありません。
しかし、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を洗わずに使用し続けると口内環境が悪化し、虫歯や歯周病になりやすいです。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の着色やにおいの原因にもなるため、毎日きちんと洗うことが大切です。
日常の歯磨きやお口のケアと同じように、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)も正しい洗い方で清潔に保つことを心がけましょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正治療を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
ブラケットが外れる原因とは?
現在、矯正治療を行っている方や過去に矯正治療を経験されている方で、ワイヤー矯正治療をされている方はブラケットが外れた経験はありますか?ブラケットはさまざまな状況で脱離してしまう可能性があります。
今回は矯正歯科治療に伴い、さまざまなトラブルやリスクがありますが、ワイヤー矯正治療で起こるブラケットの脱離の原因についてお話していきます。
ブラケットとは、ワイヤー矯正治療で使われる歯の表面に歯科用の接着剤で付ける装置です。
そして、ブラケットの真ん中の溝があり、ワイヤーを入れて歯に矯正力を加えて歯を動かしていく装置です。
ブラケットが外れる原因は、「医院側」と「患者様側」のどちらにもあります。
「医院側」の原因
①ブラケットを付ける際に、十分に防湿できていない。
ブラケットは口腔内で装着するため、唾液があると接着力が弱ってしまい、ブラケットが外れやすくなるため、十分に防湿する必要があります。
②歯の表面の酸処理が不十分
酸処理とは、歯の表面にエッチング(リン酸処理剤)を塗布し、エナメル質の表面を脱灰(歯の表面を粗造にすること)し、装置を付けるための接着剤が付きやすいようにします。
この酸処理が不十分であると、接着力が弱くなり、ブラケットや他の矯正装置が外れやすくなります。
③接着剤と歯の相性が悪い
使用しているプライマーや接着用ボンドが歯と相性が悪く、ブラケットや他の矯正装置が外れやすくなることもあります。その場合は、種類を直ちに変えることが改善につながることもあります。
プライマーを塗布した後にブラケットを装着するまでの時間が長ければ長いほどプライマーが硬化し、接着力も弱まり、ブラケットが外れやすくなることがあります。
「患者様側」の原因
①TCH・歯ぎしり・食いしばり
皆さんは、何もしていない状態でお口を閉じている時に、上下の歯が接触していませんか?
TCHとは、”Tooth Contacting Habit”の頭文字をとったものです。
意味は、“上下の歯を無意識にくっつけている癖”(歯列接触癖)のことをいいます。
TCHや歯ぎしり、食いしばりは、無意識のうちに起きてしまうことが多いです。
平常の安静時は、上下の歯は2~3㎜ほど空いているのが正常な状態であり、上下の歯が接触するのは、食事の時、会話の時だけです。TCHによって、常に上下の歯が接触している状態が長時間続くと、歯に圧力がかかり、歯を支える歯槽骨にも負担がかかってしまいます。そして、歯や歯槽骨だけでなく全身にも影響を及ぼしてしまいます。
また、歯ぎしりや食いしばりは歯や歯槽骨に伝わる力が大きく、それ以外にお口の周りの筋肉や顎の関節に大きな負担がかかってしまうこともあります。
TCHや歯ぎしり、食いしばりがあると、口腔内の状態は歯が摩耗し、しみるようになったり(知覚過敏)、歯にひび割れが進み、歯が壊れてしまうこと(歯の破折)もあります。また、歯肉や歯周組織に炎症が起こり歯周病を進行させたり、顎の関節や筋肉に力が加わることで顎関節症や咬筋の筋肉痛などが起こる可能性があります。そして、ブラケットや他の矯正装置にも影響し、外れてしまうことがあります。ブラケットが外れると、矯正力が加わらなくなり、矯正治療が長引いてしまいます。
口腔内以外でも、頭痛や肩こり、耳鳴り、めまいなどを引き起こす可能性があります。
では、なぜTCHや食いしばり、歯ぎしりといった癖が起きてしまうのでしょうか?
その原因の一つとして、「ストレス」によって起こりやすいです。そのほかに、何かに集中していたり、緊張状態が続く場面でも起こりやすく、かみ合わせが悪い、運転や仕事、運動、スマホやパソコンなどの操作する時の下向く姿勢や前傾姿勢などでもTCHが引き起こりやすいです。
TCHの見分け方は?
1.舌圧痕(舌の周りに歯型が付いている)
歯ぎしりや食いしばりによって歯列に舌が圧迫され、舌がボコボコとした形に変形にした状態をいいます。舌癖によって、舌の周りに歯型が付くこともあります。
2.頬粘膜圧痕
頬粘膜圧痕も舌圧痕と同様に、食いしばりや歯ぎしりによって、頬粘膜や舌が歯列に圧迫されることでできます。頬粘膜に白い筋のような線ができます。
3.骨隆起
骨隆起は、「口蓋隆起」「歯槽隆起」「下顎隆起」があります。
骨隆起は、食いしばりや歯ぎしり、強いかみ合わせにより、顎の骨に力が加わり刺激されることによって骨がコブのように盛り上がってしまいます。口蓋隆起は、上あごの真ん中に骨の膨らみができます。歯槽隆起は、歯茎に沿って骨の膨らみができます。下顎隆起は、下あごの舌側(内側)に骨の膨らみができます。
TCHや歯ぎしり、食いしばりの改善方法は?
習慣を止める方法は、唇を閉じた状態で歯を離す感覚を覚えることです。「唇を閉じて、上下の歯を離し、力を抜く」ということを意識してみてください。そのほかに、日常生活で目に入る場所(冷蔵庫、洗面台、トイレなど)に貼り紙をしておくこともいいかもしれません。また、ストレスも原因の一つのため、ストレスを解消することや、歯並びを治すことも改善につながる可能性があります。
このような方法で歯の接触癖を無くすことで、ブラケットなどの矯正装置が外れる可能性が少なくなり、知覚過敏が減少し、歯の寿命も延び、また顎の関節とお口の周りの筋肉の緊張やこわばりから解放されるということが報告されています。
②食べ物
ブラケットが外れる原因として、食事中に外れることが多いです。硬い食べ物やギシギシ噛むようなもの、粘着性のある食べ物などを食べると装置が外れやすいです。
- ・硬い食べ物
あめ、おかき、氷、ラムネ、トウモロコシ、フランスパン、ナッツ類 等 ・ギシギシ噛むもの
- カルパス、ビーフジャーキー、スルメ 等
- ・粘着性のある食べ物
キャラメル、チューイングガム、おもち 等
これらの食べ物は、装置が外れやすくなるもののため、うどんや豆腐のようなやわらかい食べ物やお肉でもやわらかいお肉やつくねやハンバーグなどのようにミンチのお肉を使った料理や、硬い根野菜を一口サイズに切るなどの工夫をして頂ければ装置が外れる可能性が低くなります。
③歯磨き
歯磨きでも、磨き方によってはブラケットや装置が外れることもあります。
また、歯の表面にプラークや汚れが付着していたり、虫歯ができると、ブラケットの接着力も低下していきます。
汚れが溜まりやすい場所
- ・ブラケットや装置の周り
・歯と歯の間
・バンド周り
・歯と歯肉の境目
磨き方
- ・ブラケットやワイヤーの周りは、上からゴシゴシ磨かずに、歯ブラシの毛先を歯面に沿わすように斜めから歯ブラシを当て、小刻みに動かしながら磨きましょう。
- ・歯ブラシの毛先が届きにくく、汚れが溜まりやすい歯と歯の間などの場所は、歯間ブラシやワンタフトブラシを使用して1本1本丁寧に磨きましょう。
- ・磨くときに、力を入れすぎるとブラケットや装置が外れやすくなるため、やさしく磨いてください。
- ・白ワイヤーの方は、研磨剤入りの歯磨き粉やかたい毛の歯ブラシで磨くと、コーティングが傷つきやすく、はがれやすくなる可能性があります。なので、研磨剤の入っていない歯磨き粉と毛のやわらかい歯ブラシを使用することをおすすめします。
④補綴物(銀歯やセラミックなどの人工歯)
銀歯やセラミックなどの補綴物は治療していない歯(天然歯)と比べて、ブラケットや矯正装置が外れやすくなります。歯科用接着剤は歯のエナメル質に接着しやすくできているため、金属やセラミックといった人工歯は歯科用接着剤との相性が悪く、ブラケットや矯正装置が外れる可能性があります。
⑤咬み合わせが深い(過蓋咬合)
歯並びによってもブラケットや矯正装置が外れやすい咬み合わせがあります。過蓋咬合という不正咬合を聞いたことはありますか?咬み合わせが深く、下の歯が上の歯に大きく隠れている状態のことをいいます。
咬み合わせが深いとブラケットや矯正装置が上の歯に接触し、干渉しやすく、ブラケットが摩耗したり、外れやすくなります。
⑥矯正装置を指や舌で触る
ブラケットや矯正装置をつい気になって触ってしまう方がいたり、無意識に癖となって触ってしまっている方もいます。指や舌で装置を触ってしまうとブラケットが外れてしまったり、ワイヤーが変形してしまう可能性があります。装置を触るのが癖になってしまっている方は、触らないよう注意していただき、意識するように心がけてください。
⑦スポーツなどでの外傷
転倒して顔面を打ってしまったり、スポーツでボールが顔面に当たった衝撃でブラケットが外れることがあります。レスリングや柔道、ラグビーなどの激しいスポーツや吹奏楽で楽器を吹くものは、特に装置が外れる可能性があるので注意してください。
これらの原因によって、ブラケットや矯正装置が外れてしまう可能性があります。
外れた場合は、再利用する場合がありますので、外れた装置は持参していただくようお願いします。
そして、外れたら再装着いたしますので、早急に医院へご連絡をお願いいたします。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が浮くのはなぜ?装着し続けてはいけない理由と対処法
こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正治療は従来のワイヤー矯正と異なり、マウスピースを用いて歯を動かす治療です。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による歯科矯正は、口元の見た目を気にせずに矯正できるため、接客業・営業職など人前に出る仕事に従事する方から非常に人気です。
しかし、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が浮いた状態で装着を続けていると、理想どおりの歯列は手に入りません。矯正のやり直しが必要になり、時間や経済的な負担が増加することもあるでしょう。
今回は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正の失敗を防ぐため、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が浮く理由や、浮いたまま装着するリスク、浮いたときの対処法を解説します。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が浮くのはなぜ?
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正効果を十分に得るためには、マウスピースを正しく装着しなければなりません。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が歯にしっかりフィットしていることが重要です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が浮く理由を確認しましょう。
歯の移動が進んでいない
一部だけが浮く場合は、該当部分の歯のみがうまく移動していない可能性が考えられます。口腔内の状態は人によって異なるため、予測どおりにすべての歯が移動するとは限りません。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が歯から2mm以上浮く場合は、速やかに歯科医院に相談しましょう。
アタッチメントを装着していない
前歯は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が浮きやすいです。理由としては、見た目が悪くならないように計画的にアタッチメントを装着しないことが挙げられます。アタッチメントによる固定がないため、安定しにくいのです。
前歯部分のマウスピース型矯正装置(インビザライン※)が浮く場合は、アタッチメントの装着を検討するとよいでしょう。必要に応じて前歯にアタッチメントを装着すると、浮きは改善されることが多いです。
マウスピースを交換した
新しいマウスピースに交換したタイミングは、浮きなどの違和感を覚えやすいでしょう。マウスピースは実際の歯列から少しずれて設計されているためです。
数日中に改善されますが、正しく装着しているのにずれが改善されないときは、歯科医院に相談してください。
また、歯を噛み締めた際に奥歯が沈み込み、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)と歯の間にすき間が生じて浮くことがあります。奥歯は噛み合わせの際に強い負荷がかかるので、調整が必要になる場合もあるでしょう。
装着時間が足りていない
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の装着時間は、1日20〜22時間です。食事・歯磨きの時間以外は装着して過ごさなければなりません。
装着時間が歯科医師の指示より短い場合、計画どおりに歯が移動せず、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が浮く原因になるでしょう。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の装着時間が短いと、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が浮いて歯が計画どおりに移動せず、治療期間が延びる可能性もあります。指示された装着時間は必ず守りましょう。
変形・破損している
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、基本的に弾力性のあるシリコン素材で作られています。1日に何度もマウスピース型矯正装置(インビザライン※)の着脱を繰り返すと、柔らかいシリコン素材が変形する可能性があるでしょう。
変形するとしっかり装着できなくなるので、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が浮く原因になります。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、歯ぎしりなどでも破損することがあります。完全に割れることは少ないですが、ひびが入ることはあるでしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が破損すると、口の中を傷つける可能性があるため注意してください。無理に再使用することは避けましょう。予定していない方向に力がかかり、歯が誤った位置に移動する可能性があります。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が浮いたまま装着し続けてはいけない理由
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が浮いたまま装着し続けてはいけない理由は、以下のとおりです。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が浮く状態が1週間以上続く場合は、歯科医院に相談しましょう。
計画どおりに歯が移動しない
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正治療では、1〜2週間に1回の頻度でマウスピースを交換します。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が浮くなど、しっかり圧力がかかっていなければ歯は移動しません。
歯が移動していない状態でマウスピースの交換を続けると、浮きが悪化します。最悪の場合、矯正治療をやり直さなければならなくなるでしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が浮いたまま装着し続けると、理想の歯並びにならない可能性が高いです。
歯並びが悪くなる
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が浮いたまま装着し続けると、想定外の方向に歯が移動して歯並びが悪くなることがあります。治療計画の修正やマウスピースの追加が必要になり、経済的な負担が増加するかもしれません。
口腔内が傷つく
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が大きく浮く場合、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の縁が口腔内を傷つける恐れがあります。痛みを伴うだけでなく、炎症がひどい場合は矯正治療を中断しなければならないでしょう。
マウスピースを外している時間が長くなると、歯がもとの位置に戻る後戻りが起こります。後戻りが起こってマウスピースを装着できなくなると、再製作が必要になるでしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が浮くときの対処法
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が浮く場合、まずは原因を見極めることが重要です。軽い浮きであれば、歯の移動が進めば改善されるので過度な心配は必要ありません。
しかし、変形・破損などが原因である場合、矯正計画に支障をきたすので速やかに取り替える必要があります。リスクを最小限に留める対処法を確認しましょう。
チューイーを使用する
チューイーは、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)をしっかり歯に装着するための補助具です。弾力性のある棒状のシリコンで、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)装着後に噛むことで歯との密着度を高めます。
チューイーは使い捨てではなく、複数回使用できます。概ね7〜10日で交換するのが一般的です。
歯科医院やネット通販で数百円程度で購入できるので、使用を検討してください。
1枚前のマウスピースに戻す
歯の浮きが気になっても歯科医院をすぐに受診できない場合、1枚前のマウスピース型矯正装置(インビザライン※)を使用する方法があります。矯正計画どおりに歯が移動しない場合、新たなマウスピース型矯正装置(インビザライン※)を装着した際に浮きが悪化するためです。
浮きが大きく歯に圧がかかっていないようであれば、1枚前のマウスピース型矯正装置(インビザライン※)を使用してもよいかもしれません。歯科医師と相談して検討しましょう。
治療中の歯科医院に相談する
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)そのものに問題がある場合は、作り直しが必要となります。正しい装着を続けても浮きが気になる際は、速やかに歯科医院に相談してください。
浮く部位のみをワイヤー矯正によって補強できる歯科医院もあります。一時的な審美性の問題など妥協できるのであれば、治療計画どおりの矯正に戻すことが可能です。
まとめ
歯科矯正は、長い時間・費用がかかるため、誰もが失敗したくないと考えるでしょう。
しかし、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を正しく使用していても、さまざまな原因で歯から浮く可能性があります。1mm程度の浮きであれば、過度に心配する必要はありません。
新しいマウスピース型矯正装置(インビザライン※)に交換したときは浮きやすいです。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が浮くときは、装着時にチューイーを使用する、1枚前のマウスピースに戻すなどして対処しましょう。1日20〜22時間装着していれば、数日で改善されることが多いです。
浮きが極端に大きい場合は、無理に装着することは避けてください。歯に過度な負担がかかり、想定外の方向に移動する可能性があります。
1週間以上装着しているのに改善されない場合は、歯科医院に相談してください。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が浮く場合は適切に対処し、理想の歯並びを手に入れましょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で使用するアンカースクリューの役割とは?
こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
矯正治療では、歯を移動させたい方向に動かすために「アンカースクリュー」というネジを埋め込む処置を行うことがあります。アンカースクリューを歯槽骨に埋め込み、固定源を作ることで、歯を効率的に移動させることができるのです。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)でも、マウスピースだけでは治療が困難な場合にアンカースクリューを使用します。アンカースクリューを使用することで矯正治療の幅が広がるだけでなく、治療期間の短縮や抜歯の回避、患者さんへの負担軽減などさまざまなメリットがあります。
今回は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で使用するアンカースクリューの役割やメリット・デメリット、埋め込む流れについて解説します。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)のアンカースクリューとは?
アンカースクリューとは、医療用の小さなネジのことです。アンカースクリューを歯槽骨に埋め込み、固定源を作ることで、歯を効率的に動かすことができます。アンカースクリューと動かしたい歯にゴムをかけ、ゴムの張力を利用して歯を移動させるのです。
アンカースクリューは直径1~2mm、長さ6~10mm程度と非常に小さいネジで、アレルギーを引き起こしにくいチタンという素材でできています。アンカースクリューの埋入は1本5~10分程度で終了します。
また、局所麻酔を使用するため処置中の痛みはなく、出血や術後の腫れもほとんどありません。
アンカスクリューが必要な症例
アンカースクリューが必要な症例は、以下のとおりです。
出っ歯
出っ歯とは、下の前歯よりも上の前歯が前方へ突出している歯並びです。出っ歯の矯正治療では、前歯を後方に下げるスペースを確保するために抜歯が必要になる場合があります。抜歯したスペースを利用して歯列をうしろに動かしたい場合、アンカースクリューを使用することがあるのです。
受け口
受け口とは、上顎よりも下顎のほうが前方へ突出している歯並びです。アンカースクリューを使用することで下の歯を後方に移動できるため、顎の位置や噛み合わせを改善できます。
叢生(そうせい)
叢生(そうせい)とは、ガタガタしている歯並びのことです。アンカースクリューを固定源に歯列全体を後方へ引っ張ることができるため、歯並びがきれいに整います。
開咬(かいこう)
開咬(かいこう)とは、奥歯で噛んだときに前歯が開いてしまう歯並びです。「オープンバイト」とも呼ばれます。アンカースクリューを使用することで奥歯を歯茎の方向へ押し込むことができるため、前歯の噛み合わせの改善が可能です。
過蓋咬合(かがいこうごう)
過蓋咬合(かがいこうごう)とは、噛み合わせが深い歯並びです。過蓋咬合の改善にもアンカースクリューが用いられます。アンカースクリューを使用することで上の前歯を歯茎の方向に押し込むことができるため、噛み合わせの改善が可能です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で使用するアンカースクリューの役割
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)のアンカースクリューの役割は、歯を動かすための固定源になることです。
マウスピース型矯正装置を使用する矯正治療やワイヤー矯正などの矯正装置のみを使用して歯を動かす場合は、歯を固定源にして歯並びを整えます。そのため、動かす必要のない固定源の歯にまで矯正力が加わり、望まない方向に歯が動くことがありました。
一方、アンカースクリューを動くことのない歯槽骨に埋め込むことで、動かしたい歯にだけピンポイントに矯正力を加えることができるのです。
アンカースクリューを使用するメリット
アンカースクリューを使用することで、矯正装置だけを使用した治療では難しい症例にも対応可能になりました。ほかにも、アンカースクリューには治療期間の短縮、患者さんの負担軽減など多くのメリットがあります。アンカースクリューを使用するメリットを詳しくみていきましょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療でアンカスクリューを使用するメリットは、以下の4つです。
難しい症例に対応できる
矯正装置を使用した治療にアンカースクリューを使用することで、難しい症例にも対応できるようになります。歯槽骨に埋め込んだアンカースクリューを固定源としてさまざまな方向から矯正力を加えられるため、歯の動きをより確実にコントロールできるのです。
アンカースクリューを使用することで、従来では動かせなかった方向に歯を動かすことや、大きく歯を移動させることもできます。
治療期間を短縮できる可能性がある
アンカースクリューを使用することで治療期間を短縮できる可能性があります。マウスピース矯正やワイヤー矯正などの矯正装置のみを使用した矯正よりも、効率的に歯を動かせるためです。
抜歯せずに矯正治療を行える可能性がある
矯正治療では、歯をきれいに並べるためのスペースが足りない場合、抜歯をしてスペースを確保する必要があります。
一方、アンカースクリューを使用すると奥歯を後方に移動できるため、抜歯をしなくても矯正治療ができる可能性があるのです。
ただし、親知らずがある場合は抜歯が必要になるでしょう。
患者さまの負担を軽減できる
従来の矯正治療では、動かしたくない歯が動くのを防ぐために専用の装置が必要でした。ヘッドギアなどの装置は決められた時間・方法で毎日使用する必要があり、患者さんの協力度によって治療結果が左右されるというデメリットがあります。
一方、アンカースクリューを使用すればヘッドギアなどの装置は必要ありません。歯槽骨に埋入するため、治療への協力度に関わらず治療を進められます。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)でアンカースクリューを使用するデメリット
アンカースクリューはメリットの多い治療法ですが、治療を検討する際はデメリットについても理解しておきましょう。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の治療でアンカースクリューを使用するデメリットは、以下の4つです。
歯根を傷付けることがある
アンカースクリューを埋め込む手術の際に、歯根を傷付ける可能性があります。アンカースクリューは歯根と歯根の間の歯槽骨に埋入しますが、歯根に近い部分に埋入すると歯根を傷付ける可能性があるのです。
ただし、治療前にCT撮影を行い、歯根の位置や形を確認することで、歯根を傷付けるリスクは大幅に軽減できます。
再び埋入が必要になることがある
骨や歯茎の状態、感染などによりアンカースクリューが脱落することがあります。アンカースクリューはインプラントのように骨と結合しないためです。
アンカースクリューが外れた場合は再び埋入する必要があります。また、治療が進むとアンカースクリューが歯の移動の邪魔になることもあるでしょう。アンカースクリューが歯の移動の邪魔になる場合は、別の部分に再び埋入します
細菌感染を起こす可能性がある
アンカースクリューの周囲に汚れがたまると、細菌感染を起こす可能性があります。
感染を防ぐためにはお口のケアをしっかりと行い、清潔に保つことが大切です。アンカースクリューを埋入したあとは、やわらかい歯ブラシやタフトブラシを使用してアンカースクリューの周囲を優しく磨きましょう。
費用が別途かかることがある
アンカースクリューを使用する場合、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正費用とは別で費用がかかる可能性があります。アンカースクリューは適応になる症例が限られるため、一般的にはマウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療の費用には含まれていません。
アンカースクリューを使用して治療を行う場合、1本あたり30,000〜50,000円程度、追加で費用が発生します。
アンカースクリューを埋め込む流れ
アンカースクリューはドライバーで歯槽骨に埋入します。局所麻酔を使用するため、処置の際の痛みはほとんどありません。アンカースクリューを埋め込む流れを詳しくみていきましょう。
1.アンカースクリューを埋め込む部分・方向の検討
レントゲンやCT撮影、歯科医師による診察によってアンカースクリューを埋め込む部分・方向を検討します。
2. アンカースクリューの埋入
消毒して局所麻酔を行い、アンカースクリューをドライバーで埋め込みます。歯茎の切開は必要ありません。ドライバーで埋め込む際に抵抗が強く、破折する可能性がある場合は、ドリルで誘導孔を形成することがあります。
埋入にかかる時間は、1本あたり5~10分程度です。
3. 処置終了
アンカースクリューがしっかりと埋め込まれたことを確認して処置は終了です。埋め込んだアンカースクリューはすぐに使用する場合もありますが、通常は2週間~1か月程度様子をみてから使用します。
4. 痛み止めと抗生物質の処方
痛み止めと抗生物質の処方を行い、ゴムかけの方法や感染予防の指導を行います。
アンカースクリューは必要がなくなれば除去します。歯茎に麻酔を塗布して抜きますが、痛みは軽いことがほとんどです。歯茎の傷は2~3日で目立たなくなり、歯茎の骨も1か月程度で修復されます。
まとめ
今回は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)のアンカースクリューの役割やメリット・デメリット、埋め込む流れについて解説しました。
アンカースクリューを歯槽骨に埋め込み、固定源を作ることで、歯を効率的に移動させることが可能です。矯正装置のみを使用した治療では難しいとされていた症例でも治療可能となり、治療がスムーズに進むというメリットがあります。
また、ヘッドギアのような大がかりな装置が不要で、抜歯をせずに矯正ができる可能性もあります。アンカースクリューを歯槽骨に埋め込む処置は、局所麻酔を使用するため痛みはほとんどなく、短時間で終了します。出血や術後の腫れもほとんどないため、体への負担は非常に少ないです。
ただし、アンカースクリューには脱落や細菌感染などのリスク、別途費用がかかるなどのデメリットがあります。歯科医師のアドバイスを受けながら、メリット・デメリットを十分に理解したうえで治療を選択しましょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で八重歯のコンプレックスを解消!
こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
「八重歯はかわいい」とされていたことがありますが、グローバル化が進んだ近年、八重歯をコンプレックスに感じて歯科矯正を検討する方が多増加しています。
今回は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で八重歯を治療する際の流れや費用などを解説します。八重歯の治療を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
八重歯はマウスピース型矯正装置(インビザライン※)で治療できる?
八重歯をマウスピース型矯正装置(インビザライン※)で治療することは可能です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療では一人ひとりの歯並びに合わせて作成されたマウスピースを使用して歯並びを整えます。1日20〜22時間マウスピースを装着し、1〜2週間ごとに交換しながら理想の歯並びを目指します。
しかし、症例によってはマウスピース型矯正装置(インビザライン※)では治療が難しい場合もあるでしょう。歯並びの乱れが重度な症例などは、ほかの矯正方法を併用することもあります。
また、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療には全体矯正と部分矯正があります。費用や治療期間を考慮して部分矯正を希望する方もいますが、部分矯正で対応できるのは軽度な歯並びの乱れです。
全体的な歯並び・噛み合わせを整えなければならない症例や、前歯部分に八重歯を並べるための十分なスペースを確保できない症例は、部分矯正では対応できないでしょう。
そもそも八重歯とは?
八重歯とは、歯列の中央から数えて3番目の上の歯が歯並びから飛び出した状態です。八重歯になる主な原因は、顎の骨が小さく永久歯がきれいに並ぶスペースが足りないことです。
頬杖をつく、前歯を舌で押す癖がある、口呼吸をしているなどが原因で、歯並びが乱れることもあるでしょう。
八重歯のリスク
八重歯は虫歯や歯周炎になりやすいです。整った歯列とは異なり、多面的な歯磨きが必要となります。
通常歯列でも虫歯や歯周病になることがありますが、複雑な歯並びは虫歯や歯周炎のリスクが高まるでしょう。
八重歯が虫歯になった場合、整った歯列と比べて治療が難しいケースが多いです。歯列に収まっていれば残存できた場合でも、抜歯しなくてはならない可能性があります。
八重歯をマウスピース型矯正装置(インビザライン※)で治療するメリット
八重歯の治療にマウスピース型矯正装置(インビザライン※)を選択するメリットは、以下のとおりです。
抜歯せずに矯正できる可能性がある
従来の歯列矯正では、前歯を並べるスペースを確保できない場合、抜歯を行っていました。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では、歯列を全体的に後方へ移動することで抜歯せずに八重歯を治療できる場合があります。
審美性に優れている
矯正治療を検討していても、金属のワイヤーやブラケットを装着することに抵抗があり、ためらっている方も多いでしょう。マウスピース型の矯正装置を使用するマウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、審美性に優れています。
透明なマウスピースを装着して治療を進めるので、目立ちにくいことは大きなメリットです。
粘膜を傷つけにくい
金属のワイヤーやブラケットを装着するワイヤー矯正では、口腔内の粘膜を傷つけることがありました。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、ポリウレタンという合成樹脂で作られているため、粘膜を傷つける心配がありません。
口腔ケアがしやすい
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、食事や歯磨きの際に外すことが可能です。常時口腔内に装着される金属製の矯正装置に比べ、口腔ケアがしやすいことが大きなメリットです。
治療後の歯並びを確認できる
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療では、3Dスキャンを行って治療計画を立てます。治療開始前に、治療後の整った歯並びのイメージを確認することができるのです。
矯正治療は長期間にわたることが多く、モチベーションを保てなくなる方も少なくありません。治療後の整った歯並びを実際に確認できることは、モチベーション維持に大きく貢献するでしょう。
八重歯をマウスピース型矯正装置(インビザライン※)で治療するデメリット
八重歯治療にマウスピース型矯正装置(インビザライン※)を選択するデメリットは、以下のとおりです。
治療できない場合がある
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療には、向いていない症例があります。ねじれが大きい、移動できるスペースが足りない、八重歯以外の問題があるなど、対象外となることがあります。
自己管理が必要になる
金属性の矯正装置の場合は必要ありませんが、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療では自己管理が必須です。1日のマウスピースの装着時間や交換時期など、治療を受ける本人の取り組みが治療に大きく影響します。
歯科医師の技術に結果が左右される
治療をする歯科医師の経験や技術力によって、結果に大きな差が出ることがあります。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で八重歯を治療する際は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療の症例数が豊富な歯科医院を探しましょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で八重歯を治療する流れ
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で八重歯を治療する流れは、以下のとおりです。
カウンセリング
まずは、カウンセリングを行います。理想とする歯並びや現在抱えている悩みを相談しましょう。口腔内を確認し、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で治療可能かどうか確認します。
精密検査
レントゲンや口腔内写真を撮影します。虫歯や歯周病の有無も確認し、必要があれば治療するでしょう。
3Dスキャンによるシミュレーションで、治療後の歯並びを確認できます。「この歯をもう少し引っ込めたい」など、何か希望がある場合は遠慮せずに伝えてください。
マウスピースの作成
治療方針や内容、費用などに納得できたら、マウスピースを作成します。1か月程度で完成するので、来院して受け取りましょう。取り扱い方や着脱の方法など、指導を受けるのが一般的です。
定期検診
1〜2か月に一度の頻度で通院し、計画どおり歯が動いているか確認します。口腔内に問題が起きていないかも確認するでしょう。
リテーナーの装着
治療計画どおりに歯が移動したら、治療は終了です。治療後は、後戻りを防ぐためにリテーナーを装着します。リテーナーを装着して歯並びを固定させる期間を保定期間といいますが、保定期間中も定期的に通院しなければなりません。3〜6か月に一度の頻度で受診しましょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での八重歯治療にかかる期間
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での八重歯治療にかかる期間は、矯正の範囲によって大きく異なります。八重歯は全体矯正で治療することが多いですが、乱れが軽度な場合、部分矯正でも治療できるでしょう。
治療期間の目安は、以下のとおりです。
・全体矯正:2〜2年半
・部分矯正:1年程度
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での八重歯治療にかかる費用
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で八重歯を治療する際にかかる費用は、歯科医院によって異なります。歯科医師の技術力や経験、歯科医院の立地などが費用に影響するためです。
費用の目安は、以下のとおりです。
・全体矯正:800,000〜1,000,000円
・部分矯正:300,000〜600,000円
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で八重歯を治療する際の注意点
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で八重歯を治療する際の注意点を確認しましょう。
装着時間を守る必要がある
上述しましたが、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は1日20〜22時間装着しなければなりません。装着管理や交換時期の自己管理ができないと、計画どおりに治療が進まないのです。
装着時間や交換時期を守れる自信がない方は、ワイヤー矯正など取り外せない矯正方法のほうが適しているかもしれません。
口腔ケアを徹底する
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正では、透明なマウスピースを長時間装着し続けます。唾液には口内を清潔に保つための作用がありますが、歯にマウスピースを装着していると唾液の作用をうまく受けられないでしょう。
そのため、治療前よりも丁寧に口腔ケアを行う必要があります。歯磨きの際はマウスピースを外せるので、フロスや歯間ブラシも使用してしっかり汚れを除去してください。
インプラントは動かせない
インプラントでは顎の骨に人工歯根を埋め込むため、矯正をしても動きません。インプラントの本数が多い場合は、矯正治療は難しいでしょう。
まとめ
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で八重歯のコンプレックスを解消するという願いは、多くの場合叶います。
しかし、歯科医師の技術力や自己管理によって、結果は大きく変わります。ご自身にとって適した治療法を選択し、整った歯並びを手に入れてください。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で八重歯治療を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の治療において抜歯が必要なケースとメリット!
こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
マウスピース型矯正装置(当院ではインビザライン※を採用)での矯正を検討しているけれど、ご自身の歯並びは抜歯する必要があるのかどうか気になる方もいるのではないでしょうか。矯正治療では、症例によって抜歯が必要なケースがあります。
今回は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で抜歯が必要なケースと抜歯をするメリット・デメリットなどを解説します。ぜひ参考にしてください。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の治療で抜歯をするメリット
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の治療の際に抜歯するメリットは、以下のとおりです。
・口元の突出感を軽減できる
・重度の叢生でも治療できる
・歯の移動がスムーズになる
抜歯すると、歯を移動させるスペースを十分に確保できます。そのため、スムーズに矯正治療を進めることが可能です。
抜歯は前歯を引き下げる際に有効で、出っ歯や口元の突出を修正し、理想的なEラインを作るために行われます。重度の叢生がある場合、抜歯によって歯のアーチ上に並ぶためのスペースを作り出すことが可能です。
また、歯並びや噛み合わせの改善も期待できます。抜歯は矯正治療のプランにおいて重要な選択肢の一つであり、治療の成果を最大化するために用いられます。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の治療で抜歯をするデメリット
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療で抜歯するデメリットは、以下のとおりです。
・健康な歯を抜く必要がある
・抜歯で生じたすき間が気になることがある
・歯の移動量が増えるため治療期間が長くなる
抜歯を伴う矯正治療は、健康な歯を抜くことへの抵抗感がデメリットとして挙げられます。抜歯はスペースを作り、矯正治療を効率よく進める目的で行われますが、総治療期間が延びる場合があります。
また、歯を抜いたあとは審美性に問題が生じる可能性もあるでしょう。すき間には食べ物が詰まりやすいため、ブラッシングにも注意が必要です。
デメリットも考慮して、患者様一人ひとりのニーズに合った治療計画を立てることが大切です。
抜歯が必要なケース
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を用いた矯正治療では、抜歯しなければ歯並びを整えられない場合があります。抜歯矯正に抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、抜歯によって歯を並べるスペースを確保でき、矯正治療をスムーズに進められるのです。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で抜歯が必要なケースは、以下のとおりです。
・重度の口ゴボ・出っ歯
・重度の叢生
・悪い生え方の親知らず
・重度の虫歯や歯周病
それぞれ解説します。
重度の口ゴボ・出っ歯
口ゴボや出っ歯など、前歯が前方に突出している症例では、抜歯が有効なケースが多いです。口ゴボや出っ歯の方は、歯が適切にアーチ上に並ぶことができず、前方に突出して生えているためです。軽度の症例では、抜歯せずに矯正可能な場合もあるでしょう。
しかし、重度の口ゴボや出っ歯のケースでは、抜歯してスペースを確保した状態で前歯を適切な位置に移動させる必要があります。
重度の叢生
叢生は、歯が重なり合って不揃いに生えている状態です。八重歯も叢生の一例です。
軽度の叢生では、抜歯を行わずに歯並びを整えられることもあります。
しかし、重度の叢生の場合は、歯が適切に並ぶスペースが不足しています。スペースを確保するために抜歯を行い、続いて矯正治療を施すことで、整った歯並びを実現できるでしょう。
悪い生え方の親知らず
親知らずが斜めや横向きに生えると、周囲の歯に不適切な圧力をかけ、歯並びに悪影響を及ぼすことがあります。斜めや横向きに生えた親知らずは、矯正治療後に歯がもとの位置に戻る「後戻り」のリスクを高めるため、抜歯を行うケースが多いです。
また、歯を後方に移動させる必要がある症例では、親知らずが障害となることがあるでしょう。適切な歯並びを得るためには、抜歯が避けられない場合があります。
重度の虫歯や歯周病がある
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を含む矯正治療では、治療開始前に虫歯や歯周病の有無を確認します。虫歯や歯周病が見つかった場合は、先に治療を行ってから矯正治療に入るのが一般的です。
ただし、重度の虫歯や歯周病で、治療しても改善できない場合は抜歯が必要になることがあります。特に、重度の歯周病に罹患している場合は、矯正治療による力に歯が耐えられず抜け落ちるリスクがあるため、治療が非常に重要です。
抜歯が不要なケース
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を用いた矯正治療では、抜歯せずに歯並びを整えることができる症例もあります。
ただし、抜歯が必要かどうかは歯科医師が判断します。抜歯が必要な症例で抜歯せずに無理に歯並びを整えると、噛み合わせの問題や歯茎の退縮などを引き起こします。そのため、的確な診断が必要です。
抜歯不要で治療できる目安は、軽度の歯並びの乱れでスペースの不足が6mm程度である場合が挙げられます。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正治療で抜歯せずに歯並びを整えられる症例は、以下の3つです。
・ディスキングでスペースを確保できる
・側方拡大でスペースを確保できる
・奥歯の後方移動ができる
それぞれ解説します。
ディスキングでスペースを確保できる
ディスキングは、歯の表面のエナメル質を削って歯を並べるスペースを確保する処置です。歯を削るという点に抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、ディスキングでは1本の歯につき最大で0.25mm程度しか削りません。
エナメル質の厚さは1.5〜2mm程度あるため、ディスキングが原因で問題が生じることはないでしょう。虫歯になりやすくなる、知覚過敏の症状を引き起こすなどのトラブルは少ないとされています。
ディスキングを行うと、最大で6mmほどのすき間を確保できるため、軽度の歯並びの問題に対処する際に有効です。適切に施術されるディスキングは、矯正治療において重要な選択肢の一つといえます。
側方拡大でスペースを確保できる
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正では、歯を側方に移動させて歯のアーチを広げることがあります。側方拡大によって歯と歯との間にすき間を作り出し、抜歯を避けながら歯並びを整えるスペースを確保するのです。歯科医師が側方拡大で十分なスペースを確保できると判断すれば、抜歯は不要となります。
ただし、側方拡大を行う際は、両方の顎を均等に拡大する必要があります。片側の顎だけを広げると、噛み合わせに影響を与える可能性があるでしょう。
上下の噛み合わせのバランスを考慮して、適切な方法で拡大する必要があります。バランスよくアーチを広げることで、噛み合わせの問題を避け、美しい歯並びを実現することが可能です。
奥歯の後方移動ができる
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を用いた矯正治療では、歯を後ろに後退させる後方移動を行うことがあります。奥歯を後退させることで、歯を並べるスペースを確保するのです。
ただし、後方移動は親知らずが残っている方や、後方移動させるスペースがない方は行うことができません。親知らずを抜歯すればスペースを確保できる場合は、親知らずを抜歯して奥歯を後方移動させます。
矯正治療のどのタイミングで抜歯をする?
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療において、抜歯するタイミングは個人差があります。治療前、または治療が進行したあとに行うのが一般的です。
虫歯・歯周病で抜歯が必要な歯、または親知らずは、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療開始前に抜歯することが多いです。
しかし、小臼歯を抜歯する場合は、症例によってタイミングが異なります。治療開始前だけでなく、歯が少し移動したタイミングで抜歯するケースも少なくありません。
どのタイミングで抜歯になるか気になる方は、歯科医師に確認しましょう。
まとめ
抜歯が必要と判断された場合、抜歯するタイミングは治療前と治療が進んだあとのケースが多いです。軽度の歯の乱れやすきっ歯の場合は、抜歯の必要がないこともあります。
抜歯に対する不安や抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、整った歯並びや噛み合わせにするためには抜歯が必要なケースもあります。ご自身の歯並びが抜歯対象なのか気になる方は、歯科医院を受診して確認しましょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
歯ぎしり癖があるとマウスピース型矯正装置(インビザライン※)はできない?影響と対策を解説!
こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、世界中で使用されているマウスピース矯正のブランドです。透明なマウスピースを使用した歯列矯正方法の一つです。
日本でも、多くの歯科医院がマウスピース型矯正装置(インビザライン※)を使用して歯列矯正を行っています。矯正していることが周囲に気づかれにくいことから、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を選ぶ方が増えているのです。
しかし、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は歯ぎしりの癖があると使用が難しいと聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
今回は、歯ぎしりの癖があるとマウスピース型矯正装置(インビザライン※)はできないのか解説します。歯ぎしりがマウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療に与える影響や対策方法もご紹介します。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療を検討している方や、歯ぎしりの癖があってお困りの方は、ぜひ参考にしてください。
歯ぎしりとは?
歯ぎしりとは、強い力で上下の歯を横にすり合わることです。カチカチと噛み合わせる場合もあるでしょう。
睡眠中に、部屋に音が響き渡るほどの歯ぎしりをする方もいます。歯がすれて消耗し、ひび割れや折れる原因になります。
歯ぎしりは睡眠中や何かに集中しているときなど、無意識に行うことが多いため、指摘されるまで気がつかないことが多いです。
歯ぎしりの原因
歯ぎしりの原因には、さまざまな要素が関係しています。主な原因は、以下の4つです
・噛み合わせや歯並びの乱れ
・ストレスや疲れ
・睡眠時の環境
・生活習慣
詳しく解説します。
噛み合わせや歯並びの乱れ
歯並びの悪さが原因で、歯ぎしりをすることがあります。歯並びが悪いと噛み合わせも悪い場合が多く、噛み合わせのバランスを保つために歯を強くすり合わせるのです。
虫歯の治療中や、歯の詰め物の高さが合っていない場合、歯を抜いたあと放置している場合も、左右の噛み合わせのバランスが取れないでしょう。顎の筋肉が緊張した状態が続くため、歯ぎしりの原因になります。
ストレスや疲れ
人は、ストレスを感じているときに無意識に歯ぎしりをすることがあります。環境の変化や日々の疲れが溜まっていることも、ストレスとなり歯ぎしりを誘発するでしょう。
何らかのストレスを抱えながら生活している方は多いですが、ストレスをうまく発散できずに溜め込むと、歯ぎしりとして現れることがあります。歯ぎしりの原因の多くは、ストレスといえます。
睡眠時の環境
睡眠時の環境も、歯ぎしりを引き起こす原因です。寝具や枕が合っておらず、不快な寝姿勢が続くとストレスを感じるでしょう。
眠りが浅くなり、歯ぎしりをする可能性が高まります。睡眠中の歯ぎしりは、眠りが浅いときに起きることが多いので、快適な睡眠環境を整えることが大切です。
生活習慣
さまざまな生活習慣も、歯ぎしりの原因です。ふだんから力仕事やスポーツをしている方は、瞬間的に歯を食いしばることがあります。最初は瞬間的なものでも、癖となって現れて私生活や睡眠中に歯ぎしりをすることがあるのです。
飲酒や喫煙の習慣がある方は、歯ぎしりがひどくなるケースがあります。健康的な生活を心がけることが、歯や体、心の健康につながるといえるでしょう。
歯ぎしりは歯並びに影響を与える?
歯ぎしりは、以下の影響を与えます。
・歯がすり減り、破折につながる
・歯が移動する
・歯周病になりやすい
・顎関節症の原因になる
詳しく確認しましょう。
歯がすり減り、破折につながる
歯ぎしりの癖があると、歯がすり減って噛み合わせの部分が平らになることがあります。歯の形や噛み合わせも変化するでしょう。歯ぎしりによって歯に強い力が加わるため、歯がひび割れる、折れる原因になります。
歯が欠けると、歯と歯の間にすき間が生まれるかもしれません。歯が抜けた場合も同様ですが、すき間が生じると周囲の歯がすき間に倒れる場合や、移動する場合があります。歯が移動すると、歯並びが乱れるでしょう。
歯が移動する
歯ぎしりの力は非常に強いです。無意識下で行われる歯ぎしりでは、通常の噛む力の5〜15倍の負荷を歯にかけるとされています。
毎晩睡眠時に歯ぎしりをしている場合、大きな負荷が歯にかかり続けることになります。長期にわたって大きな力をかけられると、歯が移動する可能性があるでしょう。
歯周病になりやすい
歯ぎしりは、歯を支えている歯茎や骨にも影響を与えます。歯に強い力がかかり続けると、歯を支えている骨が徐々に溶かされます。歯と歯茎の間にすき間が生まれ、細菌が入り込みやすくなるでしょう。
歯周病は、細菌によって歯茎が炎症を起こす病気です。進行すると顎の骨が溶かされ、最終的には歯が抜けます。歯ぎしりによって歯に負担がかかると、歯を支えている骨の吸収が急激に進むでしょう。
歯は顎の骨や歯茎に支えられているので、顎の骨が溶かされると移動しやすくなります。移動しやすくなった歯に、歯ぎしりによる強い負荷がかかると歯並びが乱れるでしょう。
顎関節症の原因になる
歯ぎしりは、顎にも負担をかけます。顎関節症では、顎の関節や筋肉に痛みを感じ、口を大きく開けられない、口を開くときにカクカクと音が鳴るなどの症状を引き起こします。症状が悪化すると、顎の痛みで食事が自由にできなくなる場合もあるでしょう。
顎関節症の方は、噛み合わせが乱れることも多いです。噛み合わせが乱れると歯並びにも悪影響を与えます。
歯ぎしり癖があるとマウスピース型矯正装置(インビザライン※)の治療はできない?
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の治療では、上下の歯に1日20〜22時間マウスピースを装着します。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は薄く作られているので、強い歯ぎしりの癖がある方はマウスピースの破損につながるかもしれません。
歯ぎしりの度合いによっては、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正ができない場合があります。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では治療できない場合、歯ぎしりの影響を受けないワイヤー矯正を選択する必要があるでしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正が可能かどうかは、歯科医師が判断します。気になる方は、一度歯科医院を受診して相談するとよいでしょう。
歯ぎしり癖はマウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療に影響を与える?
歯ぎしりの癖は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療に影響を与えます。歯ぎしりを一時的に少しする程度ではマウスピース型矯正装置(インビザライン※)は破損しません。
しかし、継続的に強く歯ぎしりをする癖があると、マウスピースの変形・破損につながるでしょう。マウスピースが口の中で割れると、口の中を傷つける危険性もあります。
また、歯ぎしりによって歯の移動が妨げられ、適切な歯の移動が困難になる可能性もあります。動いた歯も安定しづらいので、矯正治療が長引く原因となるでしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療中の歯ぎしり対策
歯ぎしりを根本的に改善するのは難しいですが、歯ぎしりはストレスが関係していることが多いです。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療中は、なるべくストレスを取り除くことが大切です。
適度な運動やマッサージなど、自分なりのリラックス方法を見つけて実践することで、ストレスを解消しましょう。睡眠中以外に歯ぎしりをしていないか意識することも効果的です。
意識しながら生活し、気がついたときに治すように注意してください。
歯ぎしりによってマウスピース型矯正装置(インビザライン※)が割れたら
どんなに歯ぎしりに気をつけていても、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が割れることもあるでしょう。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が破損した場合は、すぐに歯科医院に相談してください。
ご自身で修理することや、割れたマウスピース型矯正装置(インビザライン※)を装着し続けることは避けましょう。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は精密に作られているので、わずかにずれただけでも計画どおりに歯が動かなくなります。
ひび割れなど、破損が軽度の場合は歯科医院で補修し、使い続けられることが多いです。補修した部分は耐久性が低くなるので、歯ぎしりによって再度割れるリスクがあることは覚えておきましょう。
破損がひどい場合は、作り直すのが一般的です。
しかし、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は海外で作られるため、発注してから届くまでに時間がかかります。新しいマウスピースが届くまでは矯正治療が中断されるため、治療期間が長引くでしょう。
まとめ
歯ぎしりの癖があると、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正にさまざまな影響を与えます。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は非常に薄いため、歯ぎしりや食いしばりで破損することがあるでしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療中は、なるべくストレスを取り除いて過ごしてください。自分なりのリラックス方法を見つけることで、ストレスは軽減されます。
歯ぎしりの度合いによっては、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療を選択できない可能性もあります。歯科医師が判断するので、歯科医院を受診して相談しましょう。
歯ぎしりの癖は、歯や顎に負担をかけるため歯並びや噛み合わせが悪くなる可能性があります。顎関節症や頭痛・肩こりを引き起こす可能性もあるでしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での矯正をスムーズに進めるためにも、歯ぎしりの癖を改善できるように心がけてください。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。