矯正中に起こりやすい歯肉(歯ぐき)のトラブル
今回は、歯列矯正中に起こりやすい歯肉のトラブルである、
- ・ 歯肉退縮 (しにくたいしゅく))
(歯肉が下がったり、瘦せたりする現象のこと)
・ 歯肉炎(しにくえん)
(歯肉に痛みを感じたり、出血する現象のこと)
の2つについてご紹介いたします。
矯正をすると歯肉が下がってしまう原因
① お口の中のお手入れ不足
お口の中のお手入れ不足により、歯の汚れが溜まることで歯肉が炎症を起こしてしまいます。歯肉の炎症が続くと、歯肉の細胞やコラーゲンが破壊されて歯肉が下がってしまいます。歯肉が下がることを歯肉退縮と言います。
② 矯正装置のお手入れ不足
矯正治療中は、お口の中に装置を使用します。
装置がお口の中についていると歯磨きが行い辛く、取り外し式の装置の場合でもお手入れ不足だと装置に付着した汚れにより歯肉に炎症を起こして、歯肉が下がってしまいます。(歯肉退縮)
③ 過度な矯正力
矯正治療では歯を動かすために、歯に力をかけています。
矯正の力は、歯を支えている骨に伝わり、骨の吸収や再生という代謝が起こります。
そして、歯にかける矯正の力が強い場合、歯を支えている骨の再生がうまく行われない可能性があります。歯を支えている骨の再生がうまく行えない場合は、歯肉退縮が起きてしまいます。
④ 骨が薄い部分に歯が移動する
歯を支える骨が薄いところに力をかけると、骨の代謝がうまく行われず、歯を支える骨の再生も行えない可能性があります。
歯にかける矯正の力が強い場合と同様で、歯を支えている骨の再生が行えないと歯肉退縮が起こってしまうことがあります。
歯肉が下がると起こるデメリット
① 見た目が気になる
歯肉が下がる(歯肉退縮と言います)と
- ・ 歯が長く見える
・ 歯と歯の間に隙間ができる(ブラックトライアングル)
ため、見た目が気になる方もいらっしゃると思います。
② 知覚過敏の症状を感じることがある
知覚過敏とは、冷たいものや温かいものなどの刺激で歯が痛む状態です。
歯肉退縮をして出てきた歯の根っこの部分は、エナメル質で保護されていないため刺激に敏感なので、冷たいものなどの刺激を受けると歯に痛みを感じます。
③ むし歯になる
歯肉退縮により出てきた歯の根っこの部分(歯根 しこん)は、非常に虫歯になりやすいです。
通常の歯は硬いエナメル質で保護されていますが、歯根は本来であれば歯肉に覆われている部分であるためエナメル質はありません。
歯根が露出すると、露出している部分に細菌が繁殖しやすくなります。
歯根の虫歯は進行が早く、重症化すると歯の根っこの神経(歯髄 しずい)や骨(歯槽骨 しそうこつ)にまで進行する可能性があります。
④ 歯がグラグラする
歯肉退縮をしていると、歯肉を支えている骨が通常より少なくなっている可能性があります。
そのため、歯を支える骨が少なくなっているため歯がグラグラすることがあります。
歯肉が下がったと感じたらすること
① お口の中のお手入れを丁寧に行う
しっかりお口の中のお手入れをすることにより、歯肉の炎症を抑えることが大事になります。歯肉の炎症を無くすことで、歯肉が退縮するのを防ぐことができます。
お口の中に矯正装置が入っている場合、歯ブラシのみでの清掃だけではきれいにすることは難しいかと思います。
そのような場合には、デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助清掃用具の使用をおすすめします。
② 装置のお手入れを丁寧に行う
お口の中のお手入れと同じくらい装置のお手入れも大切になります。
取り外し式の装置を使用している場合、装置をきれいに保つために科学的な洗浄も大切です。
当院では、取り外し式の装置を使用している患者様に洗浄剤のご使用を勧めています。殺菌効果などがあるため、装置を清潔に保つことができるでしょう。
③ 矯正装置の不良をそのままにしない
矯正装置が合わなかったり、歯や歯肉に違和感がある場合は早めに歯科医院に受診するようにしましょう。
装置の調整を行うことで、歯肉の退縮を防ぐことができます。
④ 歯科医師に相談してみましょう
歯肉が退縮していると感じたら、まずは一度歯科医師に相談することをおすすめします。可能な範囲で矯正装置の調整や歯周病の治療を受けることで、症状の悪化を防ぐことができます。
歯肉退縮が起きやすい人の特徴
- ・ 歯列矯正をしている方
・ もともとの歯肉が薄い方
・ 歯磨きが充分に行えていない(磨き残しがある)方
・ 歯ブラシの(歯に対する)当て方が強い方
・ 歯周病の方
・ 喫煙習慣などにより口腔内の環境が悪い方
・ 歯ぎしりや食いしばりのクセがある方
・ 歯の噛み合わせが悪い方
5.矯正中に歯肉炎(しにくえん)になってしまう原因
① 歯列矯正をしている
歯肉炎は歯列矯正中に起こりやすい症状になります。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正のどちらの矯正装置でも歯肉炎は起こりやすいと言えます。
ワイヤー矯正の場合、矯正装置の影響で歯が磨きづらくなってしまうのが原因になります。歯に磨き残しが溜まっていくとプラークといわれる細菌の塊が増え、
歯肉に炎症を起こしてしまいます。
マウスピース矯正の場合、食事と歯磨きの時はマウスピースを外していただいています。そのため、歯磨きも行いやすいです。ですが、歯磨きを行わずにマウスピースを装着してしまうと、歯にぴったりと細菌がくっついているままになるため、虫歯になるリスクが高くなります。
② お口の中のお手入れ不足
歯肉炎はお口の中のお手入れ不足により、歯の汚れが溜まることで歯肉が炎症を起こしてしまいます。
歯に汚れが溜まっていることで、細菌がさらに増殖します。
歯磨きを定期的に行わなかったり、細かい部分まで磨けていない影響で歯肉に炎症が起きます。
また、定期的に歯磨きを行っていても歯ブラシの種類が合っていない場合や歯を磨く時間が短すぎる場合にも歯肉炎が起きてしまう可能性があります。
③ 生活習慣による影響
歯肉炎は、喫煙やストレスなどの生活習慣が原因で歯肉炎を発症することもあります。また、免疫の低下や血行不良などによってお口の中の環境が乱れることで歯肉炎になる可能性もあります。
歯肉炎は誰でも発症のリスクがあるお口のトラブルだといえるでしょう。
矯正中の歯肉炎には要注意
歯肉炎はさまざまな人が起こる可能性のあるお口のトラブルです。
その中でも歯列矯正中に起こる歯肉炎は特に注意が必要になります。
① 放置していると危険
歯肉炎が起きてしまって、そのまま放置しておくのは危険です。
歯肉炎は放置していると、歯周病(ししゅうびょう)や歯槽膿漏(しそうのうろう)になってしまう可能性があります。
歯肉の炎症が段々と進行することで、歯を支えている骨が溶けてしまい、歯がグラグラし、最悪の場合だと歯が抜けてしまいます。
歯肉炎は徐々に進行していくので、気がついたら素早く対処することをおすすめします。
② 完治するのに時間がかかる
歯肉炎を発症してしまったら、なかなかすぐには治りません。
一度治ったとしても、再発する可能性高いため完治するには時間がかかるという認識を持っておくといいと思います。
矯正治療中に、歯肉炎起こしてしまうと歯につけている装置が歯肉に埋まってしまうこともあります。歯肉炎の影響で、装置を付けられなくなると、矯正の治療期間や診療時間が長引いてしまう可能性も考えられます。
歯肉炎に気がついたらすること
① 歯磨き習慣を改善する
歯肉炎になってしまったら、まずは歯磨き習慣を見直してみましょう。
特に矯正中だと、口の中に装置があることで歯磨きが行い辛く、細かいところまで磨くことが難しくなります。普通の歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやワンタフトブラシ(1本ブラシ)などの清掃補助用具を使用することで細かい部分の汚れを落としやすいのでおすすめです。
また、食後に歯を磨く習慣を身に付けましょう。
② 歯医者さんで歯のクリーニングを受ける
歯肉炎が発症してしまったら、かかりつけの歯医者さんでアプローチしてもらうことをおすすめします。
歯肉の状態やプラークや歯石などの歯の汚れを取り除いてもらうことができます。
クリーニングを定期的に受けることでお口の中の環境の改善に繋がります。
普段の歯磨きでは取り切れない部分もあるので、定期的に歯医者さんに通うと良いでしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での矯正中に噛み合わせが悪くなる原因と対処法を解説!
こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
噛み合わせが悪いことに悩み、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療を検討している方がいるかもしれません。しかし、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での矯正中に噛み合わせが悪くなる可能性もあります。噛み合わせが悪くなると不安に思うでしょう。食事の際にストレスを感じるかもしれません。
今回は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での矯正で噛み合わせは治せるのかどうかを詳しく解説します。噛み合わせが悪いまま放置した場合に起こり得るリスクや、矯正中に噛み合わせが悪くなったときの対処法もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
正しい噛み合わせとは?
まずは、正しい噛み合わせを知りましょう。正しい噛み合わせとは、以下の3つを満たしている状態のことをいいます。
歯の上下左右が対象である
歯の上下左右が対象であることが、正しい噛み合わせの条件です。
歯の上下が対象かどうかは、歯の正中線で判断します。正中線とは、前歯2本の歯の間にある線です。正中線が上下ぴったりと合う場合は、歯の上下が対象であるといえます。
左右が対象かどうかを確認する際に、注意するべきなのは顎の位置です。下顎の位置は、姿勢や生活習慣、癖によってずれることがあります。
歯ぎしりの癖がある、片側の歯で食べ物を噛む癖がある、頬杖をつく癖がある場合は、左右の位置がずれやすくなります。
噛み合わせの深さが適切である
噛み合わせの深さは、2~3mm確保されているのが通常です。歯を噛み合わせたときに、上の前歯が下の前歯を2~3mm覆っており、上下の前歯のすき間が2~3mmあれば、正常に食べ物を噛み切れます。
噛み合わせが深すぎても浅すぎても、適切な噛み合わせとはいえません。
上の歯1本が下の歯2本に支えられている
歯は先端が尖っているため、下の歯と歯の間に上の歯が収まるのが正常です。つまり、歯を噛み合わせたときに、上の歯1本が下の歯2本に接触するのが理想です。
上の歯1本と下の歯1本が接触している場合は、正しい歯並びとはいえません。歯並びが正しくないということは、噛み合わせも正しくないということです。
噛み合わせが悪いまま放置するリスク
噛み合わせが悪いまま放置するリスクを確認しましょう。
顎に負担がかかる
噛み合わせが悪いと、本来食べ物を噛むときには使わない別の筋肉を使います。噛む際は強い力がかかるので、顎の筋肉に大きな負担がかかります。
顎の筋肉に過度な負担がかかることで、顎関節症や頭痛、肩こりなど、さまざまな症状を引き起こすことがあるのです。顎の筋肉とつながっている耳にも負担がかかる可能性があり、耳に違和感を覚えるケースもあります。
胃腸に負担がかかる
噛み合わせが悪いと、食べ物をしっかりと噛めません。しっかりと噛めないまま飲み込むと胃に負担がかかり、消化不良を引き起こす可能性があります。
特に、お肉や硬いものを好む方は、うまく胃腸で消化されずに胃炎などにつながることがあるでしょう。
見た目に影響を及ぼす
噛み合わせが悪いと、顎に負担がかかることを上述しました。顎に負担がかかり続けると、顔の見た目に影響を及ぼすことがあります。
例えば、本来とは異なる筋肉を酷使したことで顔のエラが張る場合や、顎のバランスが悪くなって受け口になる場合があるでしょう。顔の印象が変わるため、見た目に大きな影響を及ぼします。
虫歯や歯周病のリスクが高まる
噛み合わせが悪いと、食べカスが溜まりやすくなるため、虫歯や歯周病のリスクが高まります。虫歯や歯周病によって歯を失えば、さらに噛み合わせが悪くなる悪循環に陥るでしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の治療で噛み合わせは治せる?
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、歯並びだけでなく噛み合わせも治せる治療方法です。以下の歯並びで噛み合わせが悪くなっている場合は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正で噛み合わせを改善できます。
上顎前突
いわゆる出っ歯の状態です。出っ歯の場合、噛み合わせたときに上下の歯の位置が正しくありません。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正をすることで歯の位置を正せば、噛み合わせも改善されるでしょう。
過蓋咬合
噛み合わせが深い状態のことです。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で小臼歯を引っ張り出し、高く噛み合うようにして噛み合わせを改善します。
過蓋咬合の場合、叢生を併発している可能性があります。叢生とは、歯並びがガタガタしている状態です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で過蓋咬合と叢生の両方を治せば、歯並びだけでなく噛み合わせも改善できるでしょう。
反対咬合や下顎前突
受け口の状態です。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での矯正で受け口を治せば、噛み合わせも改善できます。
ただし、反対咬合や下顎前突は顎の骨が原因となっているケースも多いです。顎の骨が原因の場合は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での矯正のみでは改善が見込めません。
矯正中に噛み合わせが悪くなることもある?
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での矯正中に噛み合わせが悪くなると聞いたことがある方もいるでしょう。実際には、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での矯正治療を受けたから噛み合わせが悪くなることはありません。
しかし、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正中に噛み合わせが悪くなったと感じるケースはあります。矯正中に噛み合わせが悪くなる原因は、以下のとおりです。
マウスピースを指示どおりに装着していない
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正中は、マウスピースを1日20~22時間装着しなければなりません。指示に従ってマウスピースを装着しないと、治療計画どおりに歯が移動しない可能性があります。
歯の移動がうまく進まないと、噛み合わせが悪くなったと感じるかもしれません。また、マウスピースを正しく装着できていない場合も、適切に治療が進まず噛み合わせが悪くなったと感じることがあります。
マウスピースが破損している
破損したマウスピースを装着すると、十分な治療効果を得られません。適切な位置に歯が移動せず、噛み合わせが悪くなったと感じる原因になります。
特に、歯ぎしりや食いしばりの癖があると、マウスピースの破損につながりやすいため注意しましょう。
治療の途中である
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での矯正は、マウスピースを交換しながら徐々に歯を動かす治療方法です。そのため、歯の移動中は噛み合わせが悪くなったと感じることがあります。
特に、上下どちらかの歯のみ矯正をしている場合は、噛み合わせが悪くなったと感じる方が多いです。
また、マウスピースの装着中は、噛み合わせたときにマウスピースの厚みも加わります。マウスピースを外すと、当然ですがマウスピースの厚みがなくなるため、噛み合わせが悪いと感じる場合があります。
矯正中に噛み合わせが悪くなったときの対処法
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での矯正中の噛み合わせは、違和感のみで留まることも多いです。日常生活に影響を及ぼすほど噛み合わせが気になる場合は、早めに歯科医院を受診して噛み合わせをチェックしてもらいましょう。
プロにチェックしてもらうことで、本当に噛み合わせが悪くなっているのかどうかがわかります。チェックしてもらったうえで、ご自身でも次のことに気をつけましょう。
マウスピースを正しく装着する
マウスピースを正しく装着することで計画どおりに治療が進み、噛み合わせの悪さを感じなくなるかもしれません。装着時間だけでなく、装着方法なども見直しましょう。
うまく装着できない場合は、鏡の前でマウスピースの着脱を行ってください。歯科医院で正しい方法を指導してもらうことも効果的です。
変形・破損したマウスピースを使わない
変形・破損したマウスピースを使っていると、十分な治療効果が現れません。歯の移動が進まないので、噛み合わせが悪くなったと感じる可能性があります。
変形・破損したマウスピースは使わないようにしましょう。マウスピースが変形・破損したら、歯科医院を受診して新しいマウスピースを作成してもらってください。
まとめ
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正が原因で噛み合わせが悪くなることはほとんどありません。
しかし、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正を適切に行えていないと噛み合わせに違和感を覚えることがあります。矯正中に噛み合わせが悪いと感じたら、まずは歯科医院を受診して医師に噛み合わせをチェックしてもらいましょう。
正しい方法でマウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正を継続することが重要です。噛み合わせを改善すれば、頭痛や顎関節症、肩こりなどの体の不調を改善できるでしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正治療を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
歯列矯正治療での痛み
今回は、歯列矯正治療中におこる痛みについてお話します。
痛みが気になって歯列矯正治療を迷っている方はぜひ最後までご覧いただいて歯列矯正治療の痛みについてご理解いただければと思います。
歯列矯正はどのくらい痛い?
歯並びの相談の時に患者様から一番よく聞かれるのが、
「歯列矯正って痛いと聞くけどどれくらい痛いですか?」
「どんな痛みですか?」
「治療中はずっと痛いですか?」
など、痛さや痛みを気にされているかたが多くおられます。
痛いですか?と聞かれると当院では、【痛いです】とお伝えしております。でも、【痛みで治療をやめられた方はいないです】とも加えてお伝えさせていただいております。
とくに、痛みの感じ方は人それぞれで違いますので、痛かったと言われる患者様もいますし、逆にそんなに痛くなかったと言われる患者様もおられます。
矯正治療中におこる痛みは3つ
①歯が動いているとき(ワイヤーやマウスピースを交換したとき)
ワイヤーでの歯列矯正でもマウスピース型の歯列矯正でも、どちらも同じく矯正装置を歯につけて力を加えると歯が動き始めます。歯を少しずつゆっくりと動かして治療していますので痛みがでます。特に最初に装置をつけて歯が動いていくときに痛みを感じることが多いです。
痛みはいつまで続く?
この痛みは、装置をつけてから2~3日がピークで徐々に慣れていき1週間ぐらいで痛みは和らぎます。歯列矯正治療をしている数か月から数年間、すっと毎日痛いわけではありませんので安心してください。個人差はありますが、治療に慣れてくるとワイヤーやマウスピースを交換しても痛みを感じなくなる患者様もおられます。
歯が動くときはどんな痛み?
この時の歯の痛みというのは、虫歯のときのような痛みではなく、歯の根っこがウズウズとうずくような、浮いたような痛みを感じます。なぜなら、上の歯も下の歯も歯槽骨(しそうこつ)という骨に埋まって生えています。歯を動かすというより骨の中に埋まっている歯を動かしていると思ってください。
私自身、矯正治療中ですが、下の前歯が動いているときは、下あごが痛かったですし、上の前歯が動いているときは、鼻の下が痛かった経験があります。歯が痛む、というより歯の根っこ付近が痛くなると思ってください。
痛みをやわらげるには?
ワイヤーの種類にもよりますが、ぬるま湯にお塩を少しいれていただき、口に含んでいただくと温湿布変わりになり痛みが軽減します。お家にある痛み止めの薬を飲んでいただいても大丈夫です。
試験や大会、旅行など大切な予定が入っている場合は終わってからご予約をお取りするようにしていますので予約の際にお伝えください。
ただし、装置が入っている違和感は治療が終わるまであります。治療が終わっても綺麗に並んだ歯が後戻りするのをふせぐために、保定装置を使っていただきます。また保定装置は慣れるまで話しづらいなど痛みとは違う不快感があります。
②つけている矯正装置がお口の中にあたっているとき
歯列矯正治療をはじめると、治療中は長い間お口の中にワイヤーや装置、マウスピース型の歯列矯正の場合はマウスピースが入ることになり、装置の一部がお口の中の頬っぺたや舌にあたって口内炎ができることがあります。
ワイヤー治療中の場合
ワイヤーでの治療の場合、歯が動き始めると余った奥のワイヤーが頬っぺたの内側にささって痛むことがあります。この場合、余ったワイヤーを切れば痛みは無くなりますのでご連絡ください。急患でご予約をおとりします。他には、ワイヤーを歯に通す装置(ブラケット)の一部が唇や頬っぺたの内側にあたってしまって口内炎になることもあります。学校やお仕事の都合ですぐに来院できない場合は、お渡ししているワックスをお使いください。
マウスピース型の治療中の場合
マウスピース型の歯列矯正治療の場合では、薄い素材でできているため、ワイヤー治療よりは口内炎になりにくいですが、まれにマウスピースの縁が舌にあたって痛みがでたりします。また、歯に負荷をかけているゴムをかける部分が頬の内側や唇にあたり痛むことがあります。マウスピースの縁があたって痛む場合は、紙ヤスリをお渡ししています。紙ヤスリで少しこすっていただくと縁の引っ掛かりはなくなります。ゴムをかけるために付いている装置(ボタン)があたって痛い場合は、ワイヤー治療の時と同じようにワックスを使っていただくと痛みは軽減します。
このお渡ししているワックスは、濡れているとつきにくいため、つけるときはティッシュなどで唾や水分を拭き取ってからお使いください。取れてしまって飲み込んでも問題のない素材なのでご安心ください。
どちらの治療の場合でも、口内炎ができるような痛みがでたらご連絡ください。
また、口内炎がお口の中にできてしまったときは、熱い食べ物や辛い食べ物などの刺激物は控えてください。
③硬い食べ物を噛むとき
歯列矯正治療が始まると、硬い食べ物が食べづらくなります。先にお話したように、歯列矯正治療とは歯槽骨(しそうこつ)に埋まっている歯を動かしています。歯列矯正治療をして歯が動いている間を動的治療中といいます。動的治療中は歯の根っこが不安定なため、歯が動揺(どうよう)しています。動揺とは、歯が揺れるようになることをいいます。この動揺のため、硬い食べ物を噛むと歯が抜けてしまいそうな感じになります。実際に抜けてしまうことはありませんが、一度経験すると食べるのを躊躇するようになると思います。私自身も歯列矯正治療を始めてから、大好きな芋けんぴが食べられなくなりました。できるだけ、歯列矯正治療が終わるまでは硬い食べ物は控えていただくようお願いいたします。
痛みがあるときの食事
ワイヤーやマウスピースを交換して歯が痛いとき、痛みのピークは2~3日なのでその間は、歯に負担のかからない柔らかくあまり噛まなくてもいい食べ物にしてください。お粥、雑炊、うどん、などを患者様にもおすすめしています。
歯列矯正治療中は控えていただきたい食べ物
歯が痛むときは、硬い食べ物がたべづらいと思いますが、痛みに慣れてきたときや、痛くないときにも食べるのを控えていただきたい物があります。
たとえば、硬いおせんべい、フランスパンなどのハード系のパン、氷をガリガリ食べる、などは装置が取れる原因にもなります。小さくするかちぎって食べるようにしてください。普段からつい氷をガリっと食べる癖がある方は歯にも悪いので止めていただいたほうがいいです。他にも、ガムも控えていただいています。ガムは、装置についてしまうと取れなくなりますので歯列矯正治療で装置がお口の中に入っている間は食べないでください。
マウスピース型での治療で気をつけたい食事
マウスピース型の歯列矯正では、基本、お食事のときはマウスピースをとっていただくのですが、ワイヤー治療と同様に硬い食べ物は控えてくだい。マウスピース型の歯列矯正の場合、歯にアタッチメントというポチポチした突起物をつけます。硬い食べ物を食べてしまうとこのアタッチメントがとれてしまいます。気づかずにとれたままにしていると計画通りに歯が動かないなど、治療に影響がでます。アタッチメントがとれたときは、お早めにご連絡をください。
また、食事によってマウスピースが着色してしまうことがあります。主に、カレーやコーヒーが着色しやすいので、カレーを食べるのは、次のマウスピースに交換する3日前ぐらいがいいかと思います。一度着色してしまったマウスピースは、洗浄剤を使ってもとれないのでご注意ください。
今回は、歯列矯正治療中におこる痛みについてお話しました。少しでも気になることがありましたら当院の医師・またはスタッフにご相談ください。
顎間(がっかん)ゴムについて
歯医者さんでの歯科治療のイメージは、みなさんどういうイメージをお持ちですか?例えば、虫歯などで歯を削られる・歯周病などで歯を抜かれるなどのように歯に対する“される”ことが多いですが、矯正治療は、装置を付ける・歯型を採る・矯正の装置を調整するなどの矯正装置に対する“される”ことがあります。患者様自身が渡された可撤式矯正装置(自分で取り外しができる矯正装置)などを決められた時間使用するなど、“する”という患者様のご協力が必要であり、矯正歯科治療においてとても重要になります。
その患者様自身にご協力していただくことの中から、今回は「顎間(がっかん)ゴム」についてお話していきたいと思います。
顎間ゴムとは、小さな医療用のゴムであり、歯を動かしたり、かみ合わせを調整するための補助装置として使用されています。顎間ゴムは、「エラスティックゴム」や「ゴム掛け」とも呼ばれています。顎間ゴムは、上と下のかみ合わせを調整したり、前歯を引っ込めたりする時などに使用され、上顎前突(出っ歯)や下顎前突(受け口)、開咬などのさまざまな歯並びやかみ合わせで使用されています。
そして、歯並びやかみ合わせの状態によってゴムの掛ける位置やゴムの種類も変わります。矯正力はゴムの太さやリングの直径で異なります。しかし、歯並びやかみ合わせによって顎間ゴムを使用しない方もいますが、顎間ゴムを使用している方は多くいます。
顎間ゴムは、ワイヤー矯正治療やマウスピース型矯正治療(インビザライン)でも使用されます。
○顎間(がっかん)ゴムの種類
顎間ゴムは、Ⅱ級ゴム・Ⅲ級ゴム・垂直(すいちょく)ゴム・交叉(こうさ)ゴムなどがあります。
Ⅱ級ゴム:上顎前突(出っ歯)症例に用い、上の犬歯部付近から下の大臼歯部(奥歯)付近に掛けることが多く、上の前歯を後方に引くよう歯を動かします。
Ⅲ級ゴム:下顎前突(受け口)症例に用い、下の犬歯部付近から上の大臼歯部(奥歯)付近に掛けることが多く、下の歯を後方に引くよう歯を動かします。
垂直ゴム:開咬(かいこう)(オープンバイト)という奥歯は咬み合っているが前歯が咬み合っていない症例や上下の歯のかみ合わせが咬み合っていない症例に用い、上と下に垂直に掛けて咬み合わせの緊密化をはかります。トライアングルのように三角形でゴムを引っ掛けることもあります。
交叉(こうさ)ゴム:交叉咬合(こうさこうごう)という上下の歯の咬み合わせが左右にずれている症例に用い、上と下の歯の表側と裏側で咬合面を越えてクロスになるように掛けます。
○使用時間
顎間ゴムは、長時間装着することがとても重要であり、食事と歯磨きの時以外は毎日必ず装着してください。使用する時間が少ないと歯は動かず、力の反作用で歯が後戻りしてしまいます。使用する時間が少なく、患者様のご協力度が低い場合は矯正治療期間が長引いてしまうことがありますので、必ず主治医の指示に従って行うようにお願いいたします。
○交換頻度
1日1回は新しいゴムに交換してください。
同じゴムを使い続けると、ゴムが劣化し、伸びたり、切れてしまうことがあります。そのため、矯正力が半減し効力がなくなるため、毎日1日1回は新しいゴムに交換するようにしてください。
また、外したゴムを再度つけることに抵抗がある場合は、毎食後新しいゴムに交換していただいても大丈夫です。
○ゴムの掛け方
ワイヤー矯正治療の場合
ワイヤー矯正治療の方は、ワイヤーやフックなどに引っ掛けます。
マウスピース型矯正治療(インビザライン)の場合
インビザライン矯正治療の方は、プレジションカットというアライナーに切り込みが入っている部分にゴムを引っ掛けたり、歯に直接ボタンを装着しボタンにゴムを掛ける方法があります。
Ⅱ級ゴムやⅢ級ゴムの場合は、後方から前方に掛けていただくと掛けやすいです。
奥歯は見にくく、頬を引っ張らないと見えない場合が多いため、後方から前方に掛けるのが比較的掛けやすいです。指でも掛けることはできますが、指では困難な方は“エラスティックホルダー”というゴムを掛ける専用の道具を使用していただきます。先端にゴムを引っ掛ける部分があるのでそこにゴムを引っ掛けてゴムを掛けていただきます。
ただし、ゴムを掛ける際は大きなお口を開けるとゴムの掛ける距離が長くなり、突然ゴムが外れることがあります。そして、ゴムが掛かった状態で大きなお口を開けると顎に負担がかかるため、なるべく大きなお口を開けないよう注意してください。
もし、ゴム掛けで顎関節が痛い、音が鳴るといった症状が出た場合は、すぐに当院へご連絡をお願いいたします。また、ゴムが頬(ほほ)の内側にこすれて口内炎になることがあります。通常の口内炎の対処法として透明に近いワックスをお渡ししていますが、ゴムにワックスを付けるのは難しいため、この場合も当院へご連絡をお願いいたします。
初めてゴムを掛ける方やゴムを掛ける位置が変わった場合、当院では必ずゴムを掛ける練習を行いますのでご安心ください。最初は鏡を見ながらゴム掛けを行いますが、慣れると鏡無しでゴムを掛けられるようになります。ゴム掛けは、ゴムの掛ける場所・ゴムの種類・ゴムの掛ける時間を主治医の指示に必ず従うようにお願いいたします。治療時に新しいゴムをお渡ししていますが、次の診療日までに使い切ってしまった場合は、当院にご連絡をお願いいたします。受付でご用意しておきます。
ゴムを掛けると見た目が気になったり、話しづらかったり、掛けるのが面倒くさくなったりします。しかし、ゴム掛けは矯正治療を進めていくうえで重要な役割であり、ゴムを長時間掛けていただくことによって矯正治療の成功に近づきます。そのためには患者様のご協力が必要になります。
ゴム掛けについてご不明点やご相談がありましたら、来院の際スタッフにお気軽にお声掛けまたは当院へご連絡をお願いいたします。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が割れた!原因や注意点、対処法を解説
こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中のトラブルとして、マウスピースが割れることが挙げられます。マウスピースが割れた場合、割れたマウスピースの使用を続けることはできません。
治療を中断せざるを得ないため、治療期間が長引くなどの問題を引き起こすでしょう。
今回は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が割れる原因や、割れたときの注意点・対処法について詳しく解説します。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が割れる原因
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、透明なポリウレタンでできています。装着時の違和感がないように、厚さは0.5mm程度しかありません。そのため、強い衝撃が加わると割れることがあります。
マウスピースが割れる原因は、以下のとおりです。
歯ぎしりや食いしばりの癖がある
歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合、強い圧力がマウスピースに加わります。継続的に強い圧力がかかると、マウスピースが割れることがあるでしょう。
日中に行わない方でも、就寝中に歯ぎしり・食いしばりを行う場合があります。日中でも、何かに集中しているときなどに無意識で行うことが多いため「何もしていないのにマウスピースが割れた」と感じる方もいるでしょう。
歯ぎしりや食いしばりの癖があるとわかっている場合は、矯正治療を始める前に歯科医師に相談してください。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を装着したまま食事をする
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、歯磨きや食事のときは外すことができます。装着した状態で食事できないわけではないですが、硬い食べ物などを噛んだ衝撃でマウスピースが割れることがあります。
そもそも、マウスピースを装着したまま食事をすることは推奨されていません。マウスピースと歯の間に汚れが入り込み、虫歯や歯周病の原因になるためです。食事をするときはマウスピースを外しましょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を無理に外す
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)には、適切な外し方があります。無理に力を入れて外すと、マウスピースが割れることがあります。
外すときは、奥歯の内側に指を引っかけてマウスピースを浮かせてから、前歯に向かって外しましょう。アタッチメントという突起がついている場合、より外れにくいかもしれません。
歯科医院で外し方を指導してもらうとよいでしょう。
保管方法が正しくなかった
マウスピースを外したときは、専用のケースに入れて保管することが推奨されています。
食事や歯磨きのときに外して机の上などに置くと、透明で目立たないことから上に物を置いて割れる可能性があるでしょう。手や腕が当たって落として割れる可能性もあります。
紛失する原因にもなるので、外したときは専用のケースに入れて保管しましょう。ティッシュに包んでポケットやバッグに入れることも、割れるリスクが高いため避けてください。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が割れたときの注意点
割れたマウスピースが装着できる状態でも、装着し続けてはいけません。歯がうまく動かないばかりか、歯に不適切な力がかかり計画どおりに治療が進まなくなります。
歯の位置が戻る可能性や、間違った方向に力がかかって予定していない位置に歯が移動する可能性もあるでしょう。
また、市販されている接着剤などを使ってご自身で修理することも避けてください。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は非常に繊細に作られています。ご自身で修理したマウスピースを使用すると、適切な矯正力がかかりません。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が割れたときの対処法
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が割れた場合は、速やかに歯科医院に連絡しましょう。放置すると、計画どおりに治療が進みません。
速やかに歯科医院に連絡して、どのように対処すべきか確認してください。少しヒビが入っている程度であれば、装着を続けるよう指示されるかもしれません。
マウスピースの交換時期を考慮して、次のマウスピースを装着するよう指示されることもあるでしょう。1枚前のマウスピースを装着し、割れたマウスピースを再作成する場合もあります。
マウスピースの修理・作り直しが必要になるケースも多いです。修理や作り直しには、別途費用がかかる可能性があります。
上述しましたが、ご自身でマウスピースを修理しようとはしないでください。「少し割れただけだから装着し続けても大丈夫だろう」と考え、自己判断で使用を続けることも避けましょう。
必ず歯科医師に相談して指示を仰ぎ、適切に対処してください。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を割らないためには
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を割らないためには、日頃から十分に気をつけてマウスピースを取り扱う必要があります。
具体的な内容は、以下のとおりです。
外したときはケースに入れて保管する
マウスピースを外したときは、専用のケースに入れて保管しましょう。保管場所を決めることも重要です。
毎回異なる場所に置くと、マウスピースに気づかずに上に物を置く、落とすなどして割れる可能性があります。マウスピースは透明で目立たないので、外したらすぐにケースに入れる習慣を身につけましょう。
外出時にもケースを持ち歩くと、破損・紛失を防げます。
マウスピースの着脱を丁寧に行う
マウスピースの取り外しは、無理な力をかけないように丁寧に行いましょう。無理に外そうとすると割れることがあります。
治療で必要なアタッチメントを歯につけている場合、マウスピースが外れにくいかもしれません。
着脱方法は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での矯正治療を始めるときに歯科医院から指導してもらえます。十分に確認し、適切な方法で着脱してください。うまく着脱できない場合は、再度教えてもらうことも可能です。
ネイルをしているなどマウスピースの着脱が難しい場合は、アライナーリムーバーを使うとよいでしょう。アライナーリムーバーは、マウスピースを外すための器具です。
食事のときはマウスピースを外す
食事をするときは、必ずマウスピースを外しましょう。装着した状態でも食事はできますが、割れる可能性が高いです。
外食のときもスムーズに外せるように、専用のケースを持ち歩きましょう。
歯ぎしりと食いしばりを改善する
歯ぎしりや食いしばりは、睡眠時に無意識に行っていることが多く、ご自身では気づけないケースも珍しくありません。睡眠中の歯ぎしり・食いしばりをご自身で改善することは難しいので、ナイトガードを使用するとよいでしょう。
歯ぎしりや食いしばりは、ストレスや疲労が原因の場合があります。ゆっくり入浴する、ストレッチをするなど、ご自身に合ったリラックス方法を取り入れることも効果的でしょう。
日中に食いしばっている自覚がある場合は、常に上下の歯を離すように意識してください。「ぐっと噛み締めているな」と気づいたら、すぐに力を緩めるようにしましょう。
まとめ
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、装着時の違和感を軽減するために非常に薄く作られています。そのため、過度な力がかかると割れることがあります。
マウスピースが割れた場合は、自己判断でそのまま使用することや、ご自身で修理することは避けてください。速やかに歯科医院に連絡しましょう。割れたマウスピースを放置すると、計画どおりに治療が進みません。
割れることがないように、注意してマウスピースを管理することも大切です。着脱の際には無理な力を入れないように注意し、外したときは専用のケースに入れて保管しましょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正治療を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
マウスピース治療での注意点(日常生活編)
マウスピースで歯列矯正治療をする際に注意しなければいけないこととして、(飲み物編)(食べ物編)と書いてきましたので、今回は、アライナー生活(マウスピースのことをアライナーと呼びます)をおくるうえで、日常生活において気をつけていただきたいこと(日常生活編)です。マウスピースでの歯列矯正治療は、自分で装置の取り外しができて食事や歯磨きがしやすいのが一番のメリットだと思いますが、実際にマウスピースでの歯列矯正治療が始まると毎回のアライナーの取り外し、毎日のアライナーのお手入れ、アライナーの交換日の管理などワイヤー治療とは違う手間が何かとかかります。
私自身、マウスピースでの歯列矯正治療が終わりました。長い期間でのアライナーの生活中で私がしてきた生活の流れを書いてみます。これからマウスピースで治療を考えている方や、今マウスピースで治療中の方の参考になればと思います。
アライナーの取り外し
アライナーは、食べる時・お水以外の飲み物を飲む時・歯磨きの時は、毎回外さないといけません。治療が進んで歯の並びが整ってくると、アライナーも外しやすくなってきますが、最初はかなり外すのに苦戦します。とくに、アタッチメントがつけば余計に外しにくくなり、慣れてコツをつかむまで取り外すのが大変になります。私も治療中にアライナーが取れず何度も親指の爪が欠けた経験があります。(親指の爪にアライナーをひっかけて取ります)アライナーに引っ掛ける親指の爪の両端に、爪を保護する強化剤などのトップコートを塗っておくのもオススメです。爪が短い男性の方や、ネイルをされている方、またどうしても外れないような方には、専用の器具(アライナーリムーバー)をお渡ししますのでスタッフにお声がけください。先端にフックがついているので爪を使わずにアライナーがとれます。ただ、アライナーリムーバーを紛失してしまったり持ち歩くのを忘れた場合は、アライナーがとれないなど支障があることもありますので、爪をつかって取り外しが出来るようにしておいたほうがいいです。
アライナー生活の一日の流れ
マウスピースでの歯列矯正治療が始まったら、アライナーをつけたり取ったりする生活になります。食事やお水以外の飲み物を口にするときは、アライナーを必ず取ります。間食や外食のときも同じようにアライナーを取らないといけません。学校や外出先でアライナーをとる場合などで、人前で取り外すのが恥ずかしいときは、お手洗いの個室の中で取ると矯正治療中でも周りの人に気づかれません。
アライナーは一日22時間つけておかないといけません。一日22時間装着のアライナー生活がどんな感じなのか、実際に私がマウスピースで歯列矯正治療をしていたときの一日の流れの様子を書いてみます。
社会人や学生などによって生活のスタイルは違うと思いますが、少しでも参考にしてください。
朝(起床後)
朝、起きたらまずアライナーをとって水道水でよく洗います。寝ている間は、水分補給をしないので唾液がアライナーにたまりやすくなります。唾液をよく洗ってすすいだら、ぬるま湯にアライナーをいれ洗浄剤をいれしばらくおきます。この間に、洗顔や朝食をとり歯磨きをしたら、洗浄していたアライナーを取りだし、洗浄液をまた水道水でよく洗ったあと、アライナーをつけます。ここから口に出来るのはお水のみになります。洗浄剤でのお手入れ方法は下記を参考にしてください。麦茶や緑茶も飲んでも構いませんが、着色の原因になってしまうので、アライナー生活が始まったらお水に切り替えた方が健康面でも良いかと思います。
昼(昼食後)
お昼ご飯の前にアライナーをとります。とったアライナーは朝と同じく水道水でよく洗ってから専用のケースにいれてください。アライナーは透明なので専用のケースにいれておかないと紛失してしまうことがあります。チューイやゴムをかける時に使うフックなども一緒にいれておいたほうが使う時に便利です。昼食後は、出来れば歯磨きをしてからアライナーをつけてください。学校や職場で歯磨きが難しいときは、マウスウォッシュなどを使っていただいてもいいと思います。歯と歯の間に食べ物が挟まっているなら、歯間ブラシやデンタルフロスをお使いください。
夜(夕飯後)
夕飯の前にアライナーをとりますが、お料理をされるかたは味見のときにもアライナーは取ってください。ついアライナーをつけたまま味見をしてしまうと虫歯になってしますリスクがあります。夕飯を食べ終わったらすぐに歯磨きをしてアライナーをつけます。夕飯後が一番ダラダラしてしまう時間になってしまうので、「食べたらすぐに歯磨き」そしてすぐに「アライナーをつける」という習慣を心掛けてください。そのあと、お風呂に入って寝る前にアライナーを一度取って歯磨きをしてから、アライナーをつけて寝ます。
マウスピースで治療を始めたら、アライナーを取る→食べる(飲む)→歯磨き→アライナーをつける
の繰り返しになります。最初はかなり面倒だと思いますが、綺麗な歯並びを目指して頑張りましょう。
アライナーのお手入れ方法
アライナーが汚れは唾液の成分によるものなので、外したらよく水道水に洗ってください。歯ブラシで軽くこすっても大丈夫ですが、洗浄剤を使っていただくほうが清潔にお使いいただけます。市販の洗浄剤ですと、リテーナー・マウスピース用のものもありますが、少しお値段が高いので、部分入れ歯用の洗浄剤でも成分は同じなのでお使いいただいて構いません。ぬるま湯に外したアライナーとチューイとゴムをかけるフックすべていれて洗浄剤を一ついれます。5分~15分ほどで洗浄できますので、取り出して水道水でよく洗います。できれば毎日洗浄剤を使うとアライナーを清潔にお使いいただけます。専用のケースも使っていくうちに汚れやにおいが気になってくるので、食器洗剤をスポンジにつけて洗っていただくといいと思います。このお手入方法は、歯列矯正治療が終わったあとの保定装置(リテーナー)と同じになります。
アライナー用ポーチの中身
このポーチは、私がマウスピースでの歯列矯正治療をしているときにいつも持ち歩いていたポーチです。中にはアライナーをいれる専用ケース・顎間ゴム・歯ブラシ・歯磨き粉・歯間ブラシ・デンタルフロス・小さな鏡・手拭き用のタオルが入っています。専用ケースの中には、アライナーをしっかり噛むときに使うチューイと顎間ゴムを引っ掛けるフックが入っています。ポーチでなくても専用の入れ物をつくっておくことで、アライナーの取り扱いがとても楽になります。小さな鏡は、歯に挟まった食べ物をとるときや、アライナーをつけるときに役に立ちます。
アライナーの交換日
アライナーは、10日~14日ごとの交換になります。決められて日数で決められた時間アライナーをつけることで、歯が計画通りに動いていきます。アライナーの交換日を忘れないように自分で管理することがとても重要になります。忘れないようにスマホのカレンダーにいれておいてもいいですし、アプリをつかって交換日をリマインダーで通知する方法もあります。体調が悪いときや大事な行事があるときなどは、その日を避けて交換していただいてもいいですが、次のアライナーに交換したときに、少しでも合わない・浮いているなどありましたら、次の予約まで待たずに当院までご連絡ください。そのままで先のアライナーに進んでいってしまうとさらに合わなくなってしまい、治療が遅れる可能性があります。この場合、数枚前のアライナーに戻って使用することもありますので、使用済のアライナーは破棄せずに保管をしておくようにしてください。
マウスピースで歯列矯正治療をしていて、少しでも気になることがありましたら当院スタッフにお気軽に相談してください。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中に口内炎ができる理由と対処法を解説!
こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療中は口内炎ができやすいです。「口内炎ができる理由は?」「口内炎ができたときはどうしたらいい?」「マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正中は口内炎になりたくない」など、さまざまな思いを持つでしょう。
今回は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中に口内炎ができる理由と対処法について解説します。口内炎を予防する方法もご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
口内炎とは?
口内炎とは、口内や周辺の粘膜で発生する炎症の総称です。症状が出る明確な原因は不明ですが、ストレスやビタミン不足、睡眠不足などが原因と考えられています。物理的な刺激やウイルス感染なども考えられるでしょう。
口内炎の種類は多くありますが、発生頻度が最も多いのはアフタ性口内炎です。2〜10mm程度の丸く白い潰瘍が、口内のあらゆる場所に発生します。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中に発生するのは、カタル性口内炎が多いでしょう。カタル性口内炎は、入れ歯や矯正器具などの物理的な刺激によって発生する口内炎です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は1日20〜22時間装着するので、物理的な刺激を受け続けることでカタル性口内炎が発生します。
口内炎は、数日〜2週間程度で自然治癒する場合が多いです。2週間以上治らない場合は、別の疾患の影響の可能性があります。
口内炎を防ぐためには、口内を清潔に保ち、規則正しい生活習慣を送ることが重要です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中に口内炎ができる理由
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中に口内炎ができる理由は、以下のとおりです。
物理的刺激
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療では、物理的な刺激によって口内炎が発生する場合があります。治療にはマウスピース型の矯正装置を用いるため、縁が当たって粘膜に負担がかかるためです。
また、合わないマウスピースの使用を継続している場合も、口内炎が発生するでしょう。口内炎を防ぐためにも、使用中のマウスピースが合わない場合は調整してもらってください。
細菌感染
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療中に細菌に感染し、口内炎ができる場合があります。口内環境が悪化すると、ストレスや疲労が原因で免疫力が低下し、細菌感染を引き起こすでしょう。
日常的に口内ケアを丁寧に行い、ストレスを発散して規則正しい生活を送ることが重要です。
口内細菌の増殖を防ぐために、生活習慣を見直すとよいでしょう。
ウイルス感染
ウイルスに感染することで、口内炎が発生する場合もあります。体内にはさまざまなウイルスが常在していますが、ヘルペスウイルスはストレスや疲労などが原因で免疫力が低下すると増殖しやすいです。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療自体がストレスになり、口内炎が発生することもあるでしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中に口内炎ができたときの対処法
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中に口内炎ができたときの対処法は、以下のとおりです。
口腔用軟膏を使用する
矯正治療中にできた口内炎は、ステロイドを含む口腔用軟膏を使用することで改善が期待できます。副腎皮質ステロイドには、炎症を抑える効果があるためです。
しかし、ステロイドはホルモン製剤のため、多用すると症状が悪化する可能性があります。用法・容量を守って使用してください。
ステロイド成分が含まれる市販薬もありますが、使用しても改善されない場合は医療用の口腔用軟膏を処方してもらいましょう。
歯科医師に相談する
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中の口内炎が改善しない場合は、歯科医師に相談してください。自然に治癒するのを待ってもよいですが、治療中にできた口内炎は放置しないほうがよいでしょう。
口内炎にマウスピースが触れる痛みで、マウスピースを装着できなくなる可能性があるためです。
マウスピースを調整する
マウスピースの刺激が原因で口内炎ができている場合は、マウスピースの再調整も検討しましょう。合わないマウスピースを使用し続けると、口内炎が改善しません。
矯正治療中に口内炎ができるのを予防する方法
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中に口内炎ができるのを予防する方法は、以下のとおりです。
規則正しい生活を送る
規則正しい生活を送ることで、口内炎を予防できます。上述しましたが、口内炎の原因として、口内の常在菌に感染したことが挙げられます。
睡眠不足などで身体が弱っている場合、免疫力が低下しやすいです。そのため、細菌感染のリスクが大幅に上昇します。
具体的には、ストレスを管理すること、十分に睡眠を取ることを意識しましょう。
食生活を改善する
矯正治療を受ける場合は、食生活を改善すると口内炎を予防できます。特に、ビタミンB2を多く含む食品を積極的に摂るとよいでしょう。
ビタミンB2には、口内の粘膜を守る働きがあります。ビタミンB2は、ブロッコリーや納豆、牛乳、卵、のりなどに多く含まれています。
また、極端に酸っぱい・辛い食べ物を食べると、口内粘膜が刺激されるため口内炎ができやすいです。食べてはいけないわけではありませんが、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中は頻繁に食べないようにしましょう。
食べ方にも注意が必要です。少しずつ口に含むことで、誤って口内を傷つけて口内炎が発生するリスクを低減できるでしょう。
口内環境を整える
矯正治療中の口内炎を防ぐためには、口内環境を整えることが非常に重要です。口内環境が悪化すると、口内炎のリスクが高まるでしょう。
食後は口内を清潔に保つために、必ずブラッシングしてください。「ふつう」または「やわらかめ」の歯ブラシを使用し、優しくブラッシングしてください。
歯磨き粉は使用しても構いませんが、歯磨き粉の成分として使用される合成界面活性剤が、口内炎の原因となる場合があります。可能であれば、合成界面活性剤が含まれていないものを選びましょう。
外出先などで歯磨きができない場合は、うがい薬を使用してください。口内環境の悪化を予防できるので、口内炎も防げる可能性があります。
刺激の強いうがい薬もあるため、メントールが入っていない刺激の少ないものを選ぶとよいでしょう。
歯磨きの補助アイテムを使用する
歯ブラシだけでは、完全に口内の汚れを除去することはできません。デンタルフロスや歯間ブラシを使用して、丁寧に口内の汚れを除去しましょう。
汚れをしっかり除去して口内環境を整えられれば、口内炎の予防につながります。口内炎だけでなく、虫歯や歯周病などの口腔トラブルを予防することも可能なので、積極的に補助アイテムを取り入れましょう。
マウスピースを清潔に保つ
マウスピースが清潔に保たれていないと、口内炎のリスクが増加します。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、外すたびに洗浄することが推奨されています。指や柔らかい歯ブラシで擦りながら、流水で汚れを落としてください。
マウスピースを洗浄する際は、歯磨き粉の使用は避けましょう。市販されている歯磨き粉には研磨剤が含まれていることが多く、マウスピースに細かい傷をつける恐れがあるためです。
細かい傷に汚れや細菌が入り込むと、口内環境が悪化するでしょう。口内炎のリスクが高まります。
流水での洗浄だけでは不安な方は、マウスピース用の洗浄剤を使用してください。製品によって異なりますが、週に2〜3回、5〜15分つけ置きして使うものが多いです。
禁煙する
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中は、禁煙したほうがよいでしょう。タバコに含まれる有害物質が口腔粘膜を刺激するため、口内炎ができやすいためです。
ご自身では難しい場合は、禁煙外来を訪れてもよいでしょう。少しずつ本数を減らすなど、口内炎ができにくい環境に整えることが重要です。
定期的に歯科医院を受診する
矯正治療における口内炎を予防するには、定期的に歯科医院を受診することも重要です。マウスピースの不具合は、物理的な刺激による口内炎が発生する原因となります。
そのため、定期的に歯科医院を受診して、マウスピースを調整してもらう必要があるでしょう。
また、定期的に歯科医院を受診していれば、口内環境の悪化に早期に気づけます。口内炎ができる前に口内環境を整えられる可能性もあるので、定期的に歯科医院を受診してください。
まとめ
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中に口内炎ができる原因として多いのは、口内環境の悪化です。さまざまな理由で口内環境が悪化すると、口内細菌が異常に繁殖することや、ヘルペスウイルスに感染することで、口内炎ができるでしょう。
特に、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中はマウスピースによる物理的な刺激を受け続けるため、口内炎ができやすいです。日頃から口腔ケアを徹底し、マウスピースが合わない場合は歯科医師に相談しましょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での矯正治療を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
歯並び専門の矯正歯科医院とは
今回は、歯並び専門の矯正歯科医院についてお話していきます。歯が痛くなったり、虫歯の治療後に被せている詰め物(銀歯)がとれたり、定期健診等に通われている歯医者は、一般歯科医院と言います。一般歯科医院の中にも、小児歯科や口腔外科や訪問歯科などがあります。では、歯並び専門の矯正歯科医院とはどんな歯医者なのかご存知ですか?当院のような歯並び専門の矯正歯科医院では、虫歯の処置などの治療は行っておらず、歯の並びや噛み合わせを治す治療をするための装置を付け、装置を調整していきます。歯を直接治療する一般歯科医院と違い、矯正歯科医院は歯に付いている装置を調整して治していきます。一般歯科医院との違い、当院の歯並びの初回相談から治療までの流れ、矯正治療を始める前にしておいてほうがいいことなどお話していきます。
一般歯科と矯正歯科との違い
皆さんのお家の近くに歯科医院はありますか?〇〇歯科や〇〇デンタルクリニックなどは、一般歯科医院といい、虫歯の治療・歯周病の治療・入れ歯の調整・歯の定期健診・抜歯・インプラント治療などお口の中の治療(主に歯の治療)を行っています。歯が痛くなったり、虫歯になってしまい治療した歯の被せもの(銀歯)がとれたり、定期的に通院して歯周病のチェックなどで一度は診てもらったことがあるのではないでしょうか。このような一般歯科医院と違い、歯並びを専門として診ている矯正歯科医院は、歯の並びや噛み合わせを治療している専門の歯科医院になります。矯正歯科専門の当院では、歯並びの治療に特化しているため、歯並びの矯正治療中に出来てしまった虫歯の治療や、矯正治療を行ううえで抜歯が必要な場合は、かかりつけの一般歯科医院で治療をお願いしております。また、当院では、親知らずの抜歯は総合病院の口腔外科へ紹介させていただいております。
歯並びの相談から治療開始までの流れ
①相談
当院は、完全予約制です。初回の歯並び相談は無料で行っております。歯並びの相談のご予約をおとりしますので、HPからのWEB予約か電話でのご予約をお願いします。予約日に来院していてだき歯ならび相談申込書のご記入をお願いします。(記入していただく時間があるため予約時間の10分前にお越しください)他院からの紹介状や学校歯科健診の用紙などございましたら受付にてご提出ください。記入後、診療室からお名前をお呼びします。歯科衛生士から簡単な問診をさせていただきます。その後に医師が診察します。お口の中の写真(口腔内写真)を撮って説明に使うことがあります。カウンセリングルームにて歯並びの相談と説明をさせていただきます。費用と治療の流れなど、料金のお話もこの時にさせていただきます。相談後、矯正治療をご希望の場合は、受付にて次の精密検査と診断のご予約をお取りいたします。
②精密検査
歯列矯正治療を始める時は、まず精密検査をさせていただきます。受付にて精密検査代をお支払い後、診療室からお名前をお呼びします。当院では、小学生以上は一人で診療室に入っていただいております。付き添いの方は待合室でお待ちください。検査内容としては、前回の相談の時にお口の中の写真(口腔内写真)を撮っている場合は、お顔の写真(顔面写真)・レントゲン写真撮影(セファロ側貌 セファロ正貌 パノラマ)・口腔内印象採得(上と下の歯の歯型)・噛み合わせ(バイト)・iTeroスキャンを使ってお口の中を3Dスキャンします。相談の時に、お口の中の写真(口腔内写真)を撮っていない方、または初回の歯並び相談から精密検査までの間が一か月以上空いた方は、精密検査の時にお口の中の写真(口腔内写真)を撮らせていただきます。また、当院では、口腔内印象採得(歯型採り)を行うときは、年齢関係なく皆様に来院4時間前からお食事は控えていただいております。お水やお茶などの水分はお取りいただいても大丈夫です。
③診断
検査からおよそ一か月お日にちをいただいてから治療方針の説明の診断をさせていただきます。診断はとても大切な時間になります。精密検査の時の資料を元に医師が診断し、治療方針について具体的に説明いたします。説明をお聞きになりたい方は診断の日に一緒にご来院ください。診断の時には、治療方針の説明だけではなく、装置の説明や取り扱い方法、装置のお手入れの仕方に加え、矯正治療に伴うリスクの説明、矯正治療費などの費用の説明と当院での注意事項などお話し説明させていただきます。疑問や質問がありましたらお気軽にお申し出ください。歯列矯正治療は、症状や治療方法によって様々な装置を使って治療していきます。虫歯の治療とは異なり歯並びの治療の歯列矯正治療は治療期間も長くなります。お子様の治療や大人の方の治療でも、歯列矯正は人生で初めての治療になることが多いと思いますので分からないことは、主治医や当院スタッフまでお気軽にお声がけください。
歯列矯正治療を始める前に
中学生以上の方(特に成人の方)で、長年にわたり歯医者に行っていない、または、かかりつけの一般歯科医院で定期健診をされていない方は、歯列矯正治療を始める前に一度、虫歯や歯周病のチェック、歯の清掃をかかりつけの一般歯科医院で行ってもらうことをお勧めします。虫歯が見つかれば矯正治療を始める前(矯正の装置がつく前)に、虫歯の治療をしておく必要もあります。普段の歯磨きだけでは、歯の汚れが完全にとれていない事も多く、歯石がついている事もあります。その汚れや歯石がついている状態で矯正の治療が始まれば、歯に矯正の装置がつくことで治療前よりも歯磨きがしづらくなり、虫歯や歯周病になるリスクが高くなってしまいます。矯正治療が始まる前に、虫歯や歯周病の治療を終わらせておけばリスクを減らすことができます。また、歯列矯正治療中は定期的に一般歯科医院に通院していただき、虫歯や歯周病のチェック・歯の清掃などを行ってもらうと良いと思います。歯列矯正治療中に虫歯が見つかった場合は、虫歯の治療を優先しています。虫歯の治療が長引いてしまうと、矯正治療もその分長くなってしまいますので、歯列矯正治療をしている間は、いつも以上に丁寧な歯磨きで口腔ケア(歯間ブラシやデンタルフロスも使用)をお願いします。
相談から実際に装置がつくまで
初回の歯並びの相談から、精密検査・診断をし、実際にお口の中に矯正の装置が入るまでに3~4か月かかります。どの装置を使用するかによって多少日数は前後します。相談してすぐに装置の型取り(印象採得)をする場合は、型取りをしてから装置を作製しますので、型取りをしてから装置をつけるまで一か月お日にちをいただいております。矯正の装置がつく日が、大切な行事(大会や受験など)に重なる時は、その日を避けてご予約をお取りいたしますので、お気軽にスタッフにご相談ください。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療前・治療中に虫歯が見つかったときの対処法!
こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で歯を矯正したいと考えたときに、気になるのが虫歯でしょう。
「マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療前に虫歯が見つかったらどうしたらいいの?」「マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中は虫歯になりやすいの?」など疑問をおもちの方がいるのではないでしょうか。
今回は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療前・治療中に虫歯が見つかったときの対処法について解説します。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
治療前に虫歯が見つかったときの対処法
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療前の検査で虫歯が見つかることがあるでしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療前に虫歯が見つかったときは、矯正治療よりも先に虫歯の治療を行います。虫歯の治療は、進行度合いにもよりますが、歯を削って詰め物や被せ物をすることがほとんどです。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療よりも先に虫歯の治療を行うのには理由があります。矯正治療を開始したあとに、虫歯の治療を行うと治療した歯の形状が変わり、作製したマウスピースが合わなくなる可能性があるためです。
合わないマウスピースでは歯並びや噛み合わせの矯正ができず、作り直しが必要になるでしょう。マウスピースの作り直しになると、別途費用もかかります。
そのため、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療前に虫歯が見つかった場合は、先に虫歯の治療を行うことが重要なのです。
虫歯治療後のマウスピース型矯正装置(インビザライン※)の治療の流れ
虫歯治療後、どのような流れでマウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療が開始されるのでしょうか。
虫歯治療が終わったら、歯科医師が口腔内の診察を行い、虫歯の治療が完了したことを確認します。その後、治療計画を立て、マウスピースを作製し、矯正治療を開始するのです。
虫歯治療によって、歯が健康な状態に戻っているため、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療に支障をきたすことはありません。矯正治療中に虫歯ができないように予防することも非常に重要です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中は虫歯になりやすいの?
「マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中は虫歯になりやすいの?」と疑問をおもちの方もいるでしょう。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は取り外しができるため、ふだんどおりに歯磨きができます。
しかし、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中は治療開始前に比べると虫歯になりやすいです。治療開始前に比べて虫歯になりやすい理由を、以下に解説します。
口腔内が乾燥しやすいため
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の装着時間は、1日20〜22時間以上です。
マウスピースを装着する時間が長いため、口腔内が乾燥しやすく、唾液の分泌量が少なくなります。唾液の分泌量が少なくなると、虫歯の原因となるミュータンス菌が繁殖しやすい口腔環境となり、虫歯になるのです。
また、口腔内が乾燥し、唾液の分泌量が少なくなると、歯垢が溜まりやすくなります。歯垢が歯石になると、歯磨きでの除去が困難となり、虫歯になるリスクが高まるでしょう。
マウスピースやアタッチメントに汚れが溜まりやすいため
マウスピースやアタッチメントには汚れが溜まりやすいです。マウスピースやアタッチメントに付着した汚れを放置すると、ミュータンス菌が繁殖しやすい口腔環境になり、虫歯になるリスクが高まります。
アタッチメントとは、マウスピースをしっかりと歯に固定し、歯の動きを助けるために装着する小さな突起物です。アタッチメントは取り外しができないため汚れが残りやすく、適切に歯磨きをしないと、虫歯になるリスクが高まります。
唾液の分泌量が減少し、殺菌・自浄作用が低下するため
唾液には殺菌・自浄作用や、口腔内の汚れを洗い流す作用があります。
しかし、マウスピースを長時間装着することで、口腔内が乾燥し、唾液の分泌量が減少すると、殺菌・自浄作用が低下し、虫歯になるリスクが高まるのです。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中に虫歯になったときの対処法
「マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中に虫歯になったらどうしたらいいの?」と不安になる方もいるでしょう。
矯正治療中に虫歯になったときは、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療を一時中断し、虫歯の治療を行うことが一般的です。初期段階の虫歯で歯を削る必要がない場合は、様子を見ながら矯正治療を続けることもありますが、基本的には治療を一時中断し、虫歯の治療を優先します。
虫歯治療を行うためにマウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療を一時中断した場合は、治療期間が延長になることもあるでしょう。
矯正治療中に、歯が動くことで起こる痛みとは違った痛みを感じた場合は、虫歯の可能性が高いため、速やかに歯科医院を受診しましょう。虫歯は、早期発見・早期治療が非常に重要です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中の虫歯を予防する方法
上述のとおり、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中に虫歯になるとマウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療を一時中断することがあります。矯正治療中はどのように虫歯を予防すればよいのでしょうか。
矯正治療中の虫歯を予防する方法は、以下のとおりです。
口腔内の乾燥を防ぐ
上述のとおり、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中は長時間マウスピースを装着するため、口腔内が乾燥しやすいです。口腔内が乾燥すると唾液の分泌量が減少するため、虫歯になるリスクが高まります。
口腔内の乾燥を予防するために、こまめに水分補給をしましょう。こまめに水分補給をすることで、口腔内の乾燥を防ぐことができ、細菌が繁殖しにくくなるのです。
しっかりと歯磨きをする
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は取り外しができるため、ふだんどおりに歯磨きができます。
口腔内を清潔に保つためには、しっかりと歯磨きをすることが重要です。しっかりと歯磨きをすることで口腔内を清潔に保て、虫歯の原因となる菌の増殖を予防できます。
汚れが溜まりやすい歯と歯の間などは、歯間ブラシやデンタルフロスを使用してしっかり汚れを除去しましょう。自宅でのブラッシングに加えて、定期的に歯科医院でクリーニングをしてもらうと、さらに高い効果が期待できます。
酸性飲料の摂取を控える
炭酸飲料やスポーツドリンクなどの酸性飲料を摂取するのは控えましょう。
酸性飲料を摂取すると歯の表面が溶け、虫歯の原因になります。酸性飲料を摂取したら、必ず歯磨きやうがいをして、口腔内に残らないようにしましょう。
糖分を多く含む食べ物を控える
ケーキなどの糖分を多く含む食べ物は、できるだけ控えましょう。
糖分は、虫歯の原因になるミュータンス菌が酸を作る材料になります。ミュータンス菌が作る酸が歯を溶かして、虫歯になるリスクが高まるのです。糖分を多く含む食べ物を摂取したら、しっかりと歯磨きをしましょう。
矯正治療中に口腔ケアを行うときのポイント
矯正治療中の口腔ケアは、口腔内を清潔に保つだけでなく、虫歯予防のためにも重要です。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中に口腔ケアを行うときのポイントを、以下に解説します。
補助用具を使用する
歯磨きをする際は歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスを使用して歯と歯の間の汚れもしっかり除去しましょう。舌にも虫歯の原因となる細菌が付着しています。舌ブラシを使用して舌の汚れも除去しましょう。
また、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療ではアタッチメントという小さい突起物を歯に装着することがあります。歯に装着したアタッチメントにも汚れが付着しやすいです。歯ブラシで磨きにくい場合は、タフトブラシを使用するとよいでしょう。
フッ素入りの歯磨き粉を使用する
フッ素には虫歯を予防する効果があります。歯磨きをする際にフッ素入りの歯磨き粉を使用すると虫歯を予防できるでしょう。フッ素入りの洗口液でうがいをすることも効果的です。
マウスピースを洗浄する
マウスピースに付着した汚れの除去も忘れずに行いましょう。マウスピースには汚れが付着しやすいです。汚れが付着したまま装着し続けると、細菌が繁殖し虫歯になるリスクが高まります。
マウスピースを洗浄するときは、毛先の柔らかい歯ブラシで軽く擦るか、専用のクリーナーを使用しましょう。研磨剤入りの歯磨き粉を使用するとマウスピースに傷がつき、細菌が付着しやすくなります。また、熱湯を使用するとマウスピースが変形することがあるため、洗浄する際は水かぬるま湯で洗浄しましょう。
まとめ
今回は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療前・治療中に虫歯が見つかったときの対処法について解説しました。
矯正治療前に虫歯が見つかった場合は、先に虫歯を治療してからマウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療を開始するのが一般的でしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中は、治療開始前に比べて虫歯になりやすいです。矯正治療中に虫歯が見つかった場合は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療を一時中断して虫歯治療を行う必要があります。
矯正治療中に虫歯が見つかると、虫歯治療の費用が追加で必要になり、治療期間も延長になるでしょう。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療中の虫歯を予防するためには、口腔ケアが重要です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は取り外しができるため、ふだんどおりに歯磨きができます。また、定期的に歯科医院でクリーニングを受けると、より効果的に虫歯を予防できるでしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療をスムーズに進めるためには、虫歯を予防することが重要なのです。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
むし歯について
Ⅰ. むし歯とは
むし歯とは、お口の中にいる細菌が食べ物や飲み物に含まれている糖をエサ(代謝)にして作られる酸によって歯が溶けるという病気です。
むし歯の原因となる菌として、『ミュータンス菌』がよくしられています。
ミュータンス菌は、私たちが食べた物や飲み物の中に入っている砂糖をエサにして、ネバネバしている『グルカン』という物質を作ります。
グルカンは粘着力が強く、歯の表面に付着すると多くの細菌がくっつき合い大きな細菌の塊になります。この細菌の塊のことを『プラーク(歯垢)』と言います。
Ⅱ.むし歯の原因
むし歯の原因には、『細菌(ミュータンス菌)』 『歯の質』 『糖』 の3つの要素があります。
この3つの要素が重なることで時間が経過するとむし歯が発生します。
Ⅲ.むし歯のでき方
プラークとなって歯に付着したミュータンス菌が糖を分解(この事を代謝と言います)して、『酸』を作ります。
この酸が歯の表面を溶かしてしまうこと(この事を脱灰(だっかい)と言います)によって、むし歯ができます。
Ⅳ.むし歯の症状
むし歯は、進行具合や場所によって症状が異なり5つに分類されます。
むし歯が歯と歯の間や奥歯の噛み合わせのでこぼこの溝などの歯のエナメル質が脱灰し始める初期むし歯のことを『CO(シーオー)』
初期のむし歯をそのままにしていると段々と脱灰が進行して、歯のエナメル質に穴が開くこと『C1』
エナメル質の下の象牙質(ぞうげしつ)までむし歯が進行すると冷たいものがしみるようになると『C2』
さらに進行し、歯髄(しずい)まで到達すると激しい痛みを伴うと『C3』
歯髄がしんでしまうと、痛みを感じなくなることもありますが膿が溜まることで激しい痛みを伴う場合がある『C4』
また、大人になると歯肉の中の歯の根っこ(歯根)に虫歯ができることがあります。加齢や歯周病によって歯肉が下がるとエナメル質で覆われていない象牙質やセメント質が露出します。
象牙質やセメント質はエナメル質とは違ってやわらかく、酸に溶けやすいため、むし歯になってしまいやすいです。
そのため、歯の根っこの部分に磨き残したプラークや食べかすがついたままの状態が続くと虫歯のリスクさらに高くなります。
Ⅴ.むし歯の予防・対処方法
むし歯になるのを防ぐためには、
- ①歯磨きで食べかすやプラークをしっかり取り除くこと
②歯の質を強くすること
③食事や飲み物の取り方に注意すること
が重要なポイントになります。
① 歯磨きで食べかすやプラークをしっかり取り除くこと
むし歯予防の基本は、むし歯の原因となるプラークを残さずしっかりと取り除くことです。
特にプラークが溜まりやすいところは、
- ・歯と歯の間
・歯と歯肉の境目
・奥歯の噛む面(でこぼこの部分)
・歯がガタガタになっているところ
・生えかわり期で背が低い歯
・1番奥に歯の後ろ側
お口や歯の状態に合わせて歯ブラシの当て方を工夫することが大切なポイントです。
また、歯ブラシの毛先が届きにくいところは歯間清掃用具の使用をおすすめします。歯間清掃用具とは、デンタルフロスや歯間ブラシ、ワンタフトブラシ(1本ブラシ)のことです。
② 歯の質を強くすること
フッ素を取り入れることをおすすめします。
フッ素には、歯の質を強くして再石灰化(溶けた歯のカルシウムやリンを再び歯に戻す作用のこと)を促進させます。
また、細菌の働きを弱める効果もあります。
丈夫な歯を育てるには、歯の土台を作るために必要なタンパク質や歯の石灰化のために必要なカルシウム・リン、これらがうまく働くためのビタミンなどの栄養素が必要となります。なので、バランスの良い食事を心がけてみましょう。
③ 食事や飲み物の取り方に注意すること
お口の中は、唾液(つば)の働きにより中性に保たれています。
そして、食べたり飲んだりすることでお口の中は酸性に傾き、お口の中が酸性の状態が長くなるとむし歯になりやすくなります。
そのため、だらだらと食べたり飲んだりしていると歯が酸にさらされている時間が続くのでむし歯になるリスクが高くなってしまいます。
また、食べたら歯を磨くようにしましょう。
寝ている間は唾液の出る量が少なくなるので、お口の中の細菌が増えやすく、働きが活発になります。なので、寝る前は特に丁寧に歯を磨くように心がけましょう。
④ 虫歯になりやすい食べ物と歯にいい食べ物
【虫歯になりやすい食べ物の特徴】
1 砂糖を含んでいるもの
2 歯にくっつきやすいもの
3 お口に残りやすいもの
4 ネバネバしたもの
【虫歯になりやすい食べ物の例】
・ チョコレート
・ キャラメル
・ キャンディー
・ スナック菓子
・ 清涼飲料水 (ジュースやスポーツドリンク) など
【歯にいい食べ物の特徴】
1 砂糖が少ない・含まれていない
2 歯にくっつきにくい
3 お口の中に残らない
4 カルシウムが多く含まれている
【歯にいい食べ物】
・ チーズ
・ ヨーグルト
・ アイスクリーム
・ せんべい
・ 果物
Ⅵ.むし歯を防ぐ『フッ素』の役割
フッ素によるむし歯予防の効果
① 歯の再石灰化(さいせっかいか)の促進
歯から溶け出してしまったカルシウム・リンの再石灰化(溶けた歯のカルシウムやリンを再び歯に戻す作用のこと)を促進します。
② 歯の質を強くする
歯の質を強くすることで、酸に溶けにくい歯を作ります。
③ 細菌による酸の産生を抑制する
プラーク(歯垢)の中の細菌の働きを弱め、酸が作られるのを抑制させます。
フッ素が含まれている身近な食品
フッ素は自然界にある元素であり、魚介類・海藻類・お茶などの身近な食品に含まれています。
フッ素は、歯や骨を作るのに欠かせない役割があり、むし歯予防においても高い効果があります。
【フッ素が多く含まれている食品】
・ イワシ
・ エビ
・ 海藻類
・ お茶類
フッ素入りの歯磨き粉を使おう
歯磨き粉は、フッ素入りをおすすめします。
年齢に応じたフッ素濃度や量を使用するようにしましょう。
また、歯を磨いた後もお口の中にフッ素を残すためにうがいに水は少量で1回のみがおすすめです。
【歯の生え始め~2歳】
使用量 1~2㎜程度 (米粒程度)
フッ素濃度 900~1000ppm
【3~5歳】
使用量 5㎜程度 (グリンピース程度)
フッ素濃度 900~1000ppm
【6歳~成人・高齢者】
使用量 1.5~2㎝程度
フッ素濃度 1400~1500ppm
Ⅶ.まとめ
虫歯についてお分かりいただけましたか。
虫歯は、普段の歯磨きの仕方や食事の取り方、食べ物の内容等を気を付けることで防ぐことができます。
フッ素が含まれている歯磨き粉や食べ物を取り入れることで虫歯予防にもなります。適切なフッ素濃度を適切な分量で使用しましょう。
また、定期的に歯医者さんに行くことをおすすめします。
歯医者さんに行くことで、むし歯の早期発見にもつながります。