コラム

2023.07.07

どちらがおすすめ?マウスピース型矯正装置(インビザライン※)とワイヤー矯正を徹底比較!

こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。

インビザラインとワイヤー矯正の模型を持って笑う女性

矯正治療を検討する際、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)とワイヤー矯正のどちらがよいか悩む方も多いでしょう。矯正治療を選ぶ際はメリットだけでなく、デメリットや費用、治療期間など、さまざまなポイントを比較して検討することが重要です。

今回は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)とワイヤー矯正をポイントごとに比較して解説します。それぞれの治療法がどんな人にあっているかもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

マウスピース型矯正装置、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)とは?

マウスピースを両手に持ってはめる女性の口元

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)とは、マウスピースを使って歯並びを整える矯正治療です。1日20〜22時間マウスピースを装着し、1~2週間ごとに新しいマウスピースに交換して治療を進めます。

透明なマウスピースを使用するため、矯正治療中であることを他人に気づかれることは少ないでしょう。好きなタイミングで取り外しができるため、食事や歯磨きの際も負担なく過ごせます。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)のマウスピースは、1枚で最大0.25mmしか歯を動かせません。マウスピースを何枚も交換して徐々に歯を動かす矯正治療なので、違和感や痛みが出にくいこともメリットのです。

ただし、患者様自身でマウスピースを管理しなければ、うまく治療が進みません。マウスピースの装着時間が20時間よりも短かったり適切な時期にマウスピースを交換していなかったりすると、理想的な歯並びにならない可能性があるのです。

また、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、歯並びの乱れが比較的軽度な場合に適した矯正治療のため、歯並びの乱れが重度なケースや抜歯が複数本必要なケースなどには対応できないことがあります。

ワイヤー矯正とは?

ワイヤー矯正の器具を装着した女性の口元

ワイヤー矯正とは、固定式の矯正装置を使って歯並びを整える矯正治療のことです。歯の表面にブラケットとよばれる装置を接着し、ブラケットにワイヤーを通して歯に力をかけ、歯並びを整えます。

ワイヤー矯正は、矯正治療の中で最も歴史のある治療法で、大学病院における専門教育も充実しており、世界中で行われている標準治療です。抜歯や外科処置が必要な難症例にも対応できるため、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)よりも幅広い方が治療を受けられることがメリットです。

歯の表面に矯正装置を固定するので歯の1本1本に力がかかりやすく、歯並び全体を大きく動かせます。効率的に矯正できるため、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)よりも治療期間が短い場合もあるでしょう。

ただし、矯正装置は取り外せないため、食事の制限や歯磨きのしづらさを感じる方が非常に多いです。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)とワイヤー矯正の比較表

?を比較する赤い服を着た女性

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)とワイヤー矯正を比較して解説します。

<マウスピース型矯正装置(インビザライン※)とワイヤー矯正の比較>

矯正方法 マウスピース型矯正装置(インビザライン※) ワイヤー矯正
見た目 透明 金属
治療期間 部分矯正:2か月~1年以内
全体矯正:2~3年
部分矯正:3か月~1年
全体矯正:2~3年
費用 部分矯正:300,000~600,000円
全体矯正:600,000~1,100,000円
部分矯正:200,000~500,000円
全体矯正:600,000~1,500,000円
適応症例 対応できない場合がある 幅広い
食事制限 なし 一部あり
歯磨き マウスピースを外して行える 装置が固定式なので難しくなる

それぞれ詳しく解説します。

見た目

矯正治療中の見た目が気になる方には、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が適しているかもしれません。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では、薄く透明なマウスピースを使用します。

ワイヤー矯正の場合、歯の表面にブラケットやワイヤーを固定するため、目立ちやすいでしょう。ワイヤー矯正でも、歯の裏側に矯正装置を固定する舌側矯正を選べば目立ちにくくできるでしょう。

歯の表側に矯正装置を固定する方法でも、セラミックなどのブラケットやホワイトワイヤーを選べば、目立ちにくくできます。目立ちにくい素材や矯正方法を選ぶと、その分費用が高くなる傾向にあるので注意が必要です。

治療期間

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)もワイヤー矯正も、全体矯正にかかる期間は約2~3年と大差はありません。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、歯並びの乱れが軽度な場合に行う治療です。部分矯正や歯並びの乱れが軽度な場合、ワイヤー矯正よりも治療期間が短いかもしれません。

また、ワイヤー矯正は歯科医師による調整が必要なため、月に一度は通院しなければいけません。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は患者様自身で治療を進めるため、2か月に一度の頻度で通院するのが一般的です。

矯正治療にかかる期間は、矯正の種類だけでなくもともとの歯並びの状態に左右されます。実際にどのくらいの期間が必要になるか知りたい場合は、歯科医師に相談しましょう。

費用

矯正治療にかかる費用は、矯正方法だけでなく、部分矯正か全体矯正かによっても異なります。

ワイヤー矯正は、舌側矯正などの目立ちにくい方法を選ぶほど費用が高額になります。通常のワイヤー矯正の費用相場は600,000~1,100,000円でマウスピース型矯正装置(インビザライン※)と変わりませんが、目立ちにくい舌側矯正は1,000,000~1,500,000円ほどといわれています。

また、ワイヤー矯正でセラミックやジルコニアのブラケット、ホワイトワイヤーを選ぶと、その分追加で費用がかかるので注意が必要です。

ただし、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、使用するマウスピースの枚数によって費用が変わります。マウスピースの追加や作り直しが必要になると、予定していた費用よりも高くなる可能性があるので注意しましょう。

適応症例

ワイヤー矯正は治療実績が豊富な矯正なので、抜歯や外科処置が必要になるケースなど、難しい症例にも対応できます。マウスピース型矯正装置と比較すると、幅広い方が治療を受けられることがメリットです。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、歯を水平移動させることが苦手なため、歯並びの乱れが重度なケースや歯の移動距離が長いケースには適しません。

ただし、抜歯が必要な歯並びでも、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で治療できるケースもあります。どちらの矯正方法があっているかは歯並びの状態によって異なるので、一度歯科医院で相談しましょう。

食事制限

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)のマウスピースは、自分の好きなタイミングで取り外せます。マウスピースを取り外して食事できるため、食事制限はありません。矯正治療中でありながら、ふだんどおり食事を楽しめるでしょう。

ワイヤー矯正は固定式の矯正装置なので、装置が外れる可能性がある食べ物を避けなければいけません。ガムやキャラメルなどの粘着性があるものは避けてください。また、繊維質の野菜やキノコ類、細い麺類などは、矯正装置に挟まりやすいため注意が必要です。

歯磨きのしやすさ

ワイヤー矯正は、矯正装置を取り外せないため、歯磨きがしづらく虫歯や歯周病のリスクが高くなります。特に、歯と歯の間は歯ブラシが入りにくいため、歯間ブラシやタフトブラシを使用して磨きましょう。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、ワイヤー矯正と比較すると歯磨きしやすいといえます。ふだんどおり歯を磨けるため、虫歯や歯周病のリスクが低く、清潔な口内を保てるでしょう。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)がおすすめの人

インビザラインを2つもってハートのようにする女性

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を選択する傾向にあるのは、以下の特徴がある方です。

・矯正治療中の見た目が気になる人

・人前で話す機会が多い人

・通院回数を少なくしたい人

・自己管理ができる人

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では透明なマウスピースを使用するため、矯正治療中であることが周囲に気づかれにくいです。自分の好きなタイミングでマウスピースを取り外せるため、見た目が気になる人に選ばれています。人前に立つ機会が多い職業や接客業に従事する人も治療を受けています。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では1日20〜22時間マウスピースを装着し、1~2週間ごとに新しいマウスピースに交換することで治療を進めます。患者様ご自身がマウスピースを管理するため通院回数が少ないメリットがありますが、マウスピースの装着時間や交換時期を守れなければ理想的な歯並びになりません。

マウスピースをしっかりと自己管理できる人は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が向いているかもしれません。

ワイヤー矯正がおすすめの人

ワイヤー矯正の装置を調整してもらう女性

ワイヤー矯正を選択する傾向にあるのは、以下の特徴がある方です。

・歯並びの乱れが重度な人

・抜歯が必要な人

・歯科医師の判断で治療を進めてほしい人

・自己管理が苦手な人

ワイヤー矯正は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)よりも幅広い症例に対応できます。ガタガタした歯並びや出っ歯だけでなく、抜歯や外科処置が必要な難しい症例にも対応できることがメリットです。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療が難しい歯並びの人は、ワイヤー矯正を選択する傾向があります。

ワイヤー矯正は、治療の経過を診ながら歯科医師の判断によって歯並びを整えます。治療の過程で自己管理の必要はありますが、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)ほどではありません。自己管理の負担を軽くしたい人に選ばれています。

まとめ

歯科医院で鏡で自分の歯並びを確認して笑う女性

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、透明なマウスピースを使用しているため、矯正治療を受けていることが目立たないことが最大のメリットです。好きなときに取り外せるため、食事や歯磨きをふだんどおり行えることもメリットでしょう。

しかし、マウスピースの管理ができないとうまく治療が進まない、治療できない歯並びがあるなどのデメリットが存在します。

ワイヤー矯正は、歯に矯正装置を固定して歯並びを整える方法です。1本1本の歯に力がかかりやすいため、重度の歯並びの乱れや抜歯が必要な症例など、幅広い方が治療を受けられます。

ただし、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)と比較すると、矯正装置が目立つなどのデメリットがあります。矯正方法を選ぶ際は、メリットやデメリット、必要な費用、治療にかかる期間などを比較して検討しましょう。

歯科矯正を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。

※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

2023.06.30

Ⅰ期治療とⅡ期治療

子どもの歯列矯正(混合歯列)には、成長を利用して土台となる顎の骨の形を整える〝Ⅰ期治療 〟と
永久歯(大人の歯)が生えそろってから歯をきれいに並べる〝Ⅱ期治療 〟 の2種類に分類されます。

混合歯列とは、お口の中に乳歯(子どもの歯)と永久歯(大人の歯)の両方が生えていることです。
年齢でいうと6歳~12歳頃の学童期が目安となります。

Ⅰ期治療とは

子どもの成長を利用して、装置などを使用して上下の顎の骨のバランスや形を整えて成長を促し、永久歯が生えてくるためのスペースを作ります。

Ⅱ期治療とは

永久歯が生えそろったら、歯を動かして歯並びや噛み合わせを整えます。

○ Ⅰ期治療 ○

Ⅰ期治療では、専用の装置を使って顎の骨の拡大や牽引で方向の調整などを行い、上下のバランスを整え、永久歯が生えてくるためのスペースを作るための土台作りをします。
この土台作りを行うことにより、永久歯が重なりあったりすることや、噛み合わせが悪くなるリスクが下がります。

Ⅰ期治療を始める目安

Ⅰ期治療は早くから始めれば始めるほど良いというわけではありません。
場合によってはⅡ期治療のタイミングを待って、矯正治療を開始することをおすすめする方もいます。
お子様にⅠ期治療が必要なのか、始め時なのか、判断は難しいかと思います。
また症状によっては、早く治療を開始した方が良い場合もあります。なので、気になる方は一度専門医に相談をしてみることをおすすめします。
詳しい治療方針等は精密検査を行ってみないと分からないですが、似た症例をもとにお話しを伝えることは可能なので是非一度ご相談下さい。

Ⅰ期治療の期間

Ⅰ期治療の治療期間はお子様により異なりますが、当院の目安としましては12歳臼歯(第2大臼歯)が萌出する頃を目安としています。

Ⅰ期治療で使われる矯正装置

お子様の症状に合わせて、お友達から見えないような固定式装置(取り外しできない)やお家で使う取り外し式装置(学校や外出の時はつけなくても良い)などを使います。
当院ではこの頃の時期にブラケットを使用した治療を行うことは、あまりありません。

Ⅰ期治療のメリットとデメリットについて

メリット

・成長を利用することができる!
・成長を利用して顎の骨の発育方向をコントロールしたり、顎を広げることができる!
・永久歯が重なり合ったり、噛み合わせが悪くなるリスクが下がる!
・歯並びのほかにも、正しい舌の位置や使い方などの訓練ができる!
・悪い癖(口呼吸や指しゃぶり)に気付きやすく、改善しやすい!

デメリット

・固定式装置(取り外しができない)の場合、歯磨きがしづらくなる。
そして、磨き残しのままの状態が続くと虫歯や歯肉炎を起こしてしまう可能性がある。
・取り外し式装置の場合、本人の協力が必要なので積極的に装置を
使用していただかないと効果が出ない。
・装置によっては本人だけでなく、保護者の方に協力していただく必要がある。
・Ⅰ期矯正の適応時期に達していても、お子さまの発育状態によっては開始時期を
遅らせる場合もある。

○Ⅱ期治療 ○

Ⅱ期治療とは、永久歯が生え揃った頃から行う矯正で、成人矯正と同じになります。
この時期になると顎骨の成長にある程度の目途がついているため、
永久歯の抜歯をせずに歯並びを整えることができる可能性が高くなります。

Ⅱ期治療を始める目安

12歳臼歯(第2大臼歯)が生えてくる頃が目安となります。
お子様により成長のスピードが異なりますが大体は12歳の頃に生えてきます。

Ⅱ期治療の期間

Ⅱ期治療の治療期間は症状により異なりますが、3年程度を見込んでいます。

Ⅱ期治療で使われる矯正装置

マウスピース型矯正装置

マウスピース型の矯正装置を使って歯並びを改善していく方法です。
透明なマウスピースを使用するので装置が目立ちにくいです。
また、自分で取り外しができるのでワイヤー矯正に比べて食事や歯磨きが行いやすくなります。
当院ではインビザラインを使用しています。
自分で取り外しが可能なため、患者様の協力度が必須となります。
決められた時間は使用していただかなければ効果がでず、さらに悪化してしまうケースもあります。

*完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

マルチブラケット治療

歯にブラケットを装着し、そこにワイヤーを通して歯を動かしていきます。
当院では小臼歯まで白いブラケットを追加費用無しで使用しているので、金属の装置より目立ちにくい見た目になります。
白いワイヤーもあるので、お選びいただくことも可能です。

部分矯正

歯並び全体ではなく、前歯や噛み合わせなど気になる部分の歯並びだけを整える方法になります。
通常の矯正治療と比べて、短期間・低価格で受けることができます。ですが、症状によっては部分のみの矯正が行えない場合もあります。

Ⅱ期治療のメリットとデメリットについて

メリット

・まず、Ⅱ期治療とはⅠ期治療を行っていることが前提となります。
なので、成人から始める矯正治療に比べて顎の骨の土台作りができているため、抜歯の可能性が低くなります!
・嚙み合わせが悪化する事を防ぐことができる!
・将来大人になってから矯正治療をしなくてもよい!
・歯並びが良くなることで歯磨きが行いやすくなるため、むし歯予防・歯周病予防にもつながる。
・しっかり噛み合うことで、食事が食べやすくなる。

デメリット

・選択する装置によっては、見た目が悪くなってしまう。
・症状によっては、Ⅱ期治療まで行っても外科手術が必要になることもある。

Ⅰ期治療とⅡ期治療の関係

基本的に、「Ⅰ期治療では顎の骨の土台作り、Ⅱ期治療では歯をきれいに並べる」という流れになるので、Ⅰ期治療とⅡ期治療はセットとしてお考えいただいた方が良いです。

 

2023.06.23

大人の矯正について

いつから始めればいいの?大人の矯正治療

「矯正治療はいつ始めればいいんですか?」「大人になってからでも矯正治療は間に合うんでしょうか?」など、矯正治療の始めるタイミングについての質問がよく寄せられます。
矯正治療は子どもが行うイメージがあると思います。
「大人から矯正治療を始めることはできるの?」と不安に感じている方も多いと思いますが、大人の方でも矯正を始める方が増えてきています。
今回は大人の矯正について、治療の開始時期・治療方法(種類)・メリット・デメリットについてお話していきたいと思います。

治療の開始時期は?

「大人から歯科矯正を始めるのは遅いのかな」と思っている方はいると思いますが、歯科矯正に年齢の制限はありません。ガタガタの歯を治したい方や歯ならびをきれいにして口元の印象を良くするためや虫歯・歯周病の予防のために矯正を始めている方も大勢います。
人と日常的に話す職業の方や、矯正装置が目立って気になるという方でも、透明のマウスピース型の矯正装置など「目立たない矯正装置」を使って矯正することもできます。
まずは、歯並びでお悩みの方は気軽にふじよし矯正クリニックにご相談ください。
矯正治療は見た目だけでなく、歯の健康を維持するうえでも大切な治療です。
歯並びをきれいに整えるためにも、大切な歯を病気から守るためにも、矯正治療を一度ご検討ください。

矯正治療の種類

マルチブラケット装置を用いた矯正(以下ワイヤー矯正)

もっとも一般的な矯正治療方法になります。歯の表面にブラケットを装着し、そこにワイヤーを通して歯を動かします。ワイヤー矯正といえば、銀色の金属製のブラケットに銀色のワイヤーのイメージがあると思いますが、当院では、前歯から小臼歯までを透明のプラスチック製のブラケットを使用しています。ワイヤーも銀色と白色のワイヤーがあります。
白いワイヤーとは、銀色のワイヤーの表面を白色にコーティングした目立たないワイヤーになっています。

メリット

・適応する範囲が広い
マウスピース型矯正装置を用いた矯正治療(以下マウスピース矯正)と比べて適応する幅が広く、マウスピース矯正では難しい症例でもワイヤー矯正では治療できる可能性があります。

・細かい調整ができる
マウスピース矯正と比べて細かい調整をすることで効率よく歯を動かすことができます。

・取り外す手間がない
ワイヤー矯正はマウスピース矯正と違って常に歯に装置がついているので、取り外すという行為がないため、装置を無くすこともありません。

デメリット

・装置が目立ちやすい
マウスピース矯正や歯の裏側に装置を付ける舌側矯正に比べて、歯の表面にブラケットやワイヤーを付けるため目立ちやすくなってしまいます。

・虫歯や歯周病になるリスクが高まる
ワイヤー矯正は取り外せないので、どうしても歯ブラシの毛先が届かず装置の周辺に汚れが溜まりやすくなってしまいます。汚れが残っていると虫歯や歯周病のリスクが高くなるので、歯ブラシ以外にブラケット周りやワイヤーの下など汚れが溜まりやすいところは、ワンタフトブラシや歯間ブラシを使用し、丁寧に磨いたり、定期的なメインテナンスを受診することが大切です。

・痛みがある

口の中に矯正装置が入り、歯が動き始めると痛みを感じます。
痛みは個人差がありますが、3日から1週間くらいで治まります。

・装置が外れることがある
ワイヤー矯正は固定式ですが、くいしばりや歯ぎしり、粘着性のある食べ物や硬い食べ物などを食べると装置が外れてしまう可能性があります。
装置が外れて付け直すのを後回しにしてしまうと、その部分だけ矯正力が加わらず、後戻りや歯の動きが遅くなり、矯正治療期間が長引いてしまいます。
装置が外れた場合は、付け直しが必要になりますので、早めのご連絡をお勧めします。

・高価
白いワイヤーは、通常の金属のワイヤーに白いコーティングをしているため、金属のワイヤーよりも価格が高くなっています。

マウスピース矯正

マウスピース矯正は、薄く透明なカスタムメイドで作られたマウスピースを一定時間装着することによって、歯を動かして歯並びを治す矯正治療です。
当院では、マウスピース型矯正装置(インビザライン)を導入しています。

インビザラインとは、1997年にアメリカのアライン・テクノロジー社によって開発された薄く透明なマウスピース型矯正装置です。
1日22時間装着することが必須で、1週間から2週間に1回のペースでマウスピースを交換することで、歯を動かしていきます。

*完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

メリット

・目立ちにくい
マウスピース矯正は、ワイヤー矯正に比べて目立ちません。矯正治療をしたくても目立つ矯正装置に気が進まず一歩踏み出せなかった方も、マウスピース矯正ならやってみたいと希望される方もいます。

・取り外しができる

マウスピース矯正は、食事と歯磨きの時は装置を取り外すことができます。取り外せることにより、歯磨きが治療開始前と同じようにできます。
しかし、装置を取り外せるということはメリットでもありデメリットにもなり得ます。
ワイヤー矯正の場合、24時間365日歯に矯正力が加わるため、しっかり通院していただければ治療は進みます。
マウスピース矯正の場合は、取り外すことはできますが、マウスピースを装着しなければ治療が進みません。装着時間は1日24時間以上の装着が必要になります。食事後すぐに歯磨きをしてマウスピースを装着すれば問題はありませんが、だらだら食いや装着時間を守らなければ、治療計画通りに歯は動かず、マウスピースが適合しなくなってしまいます。
その結果、治療期間が長引いてしまいますので、マウスピースの装着時間をしっかり守ることが重要になります。

・清掃性がよい

マウスピース矯正は取り外すことができるので、歯磨きが通常通り行うことができます。
ワイヤー矯正では、装置を外すことはできないので、装置の周りを磨くのに時間がかかってしまいます。その結果、歯磨きの困難さが虫歯のリスクを高めてしまいます。
しかし、マウスピース矯正では歯ブラシやフロス、歯間ブラシなどを使用することができます。治療中に歯が動くと歯と歯の間に隙間ができ、今まで挟まらなかったところに食べ物が挟まります。このような場合でも、フロスや歯間ブラシを使用することができるので、虫歯のリスクを抑えることができます。

・金属アレルギーの方でもできる
マウスピース型矯正装置は金属を使用しないため、金属アレルギーの心配がありません。

デメリット

・歯並びによっては対応できない場合がある
患者様の歯並びによっては、マウスピース矯正のみでは治療できないケースがあります。

・患者様自身がマウスピースを管理しなければならない
マウスピース矯正は決められた時間や交換する期間などを守らなければ、歯は動かずマウスピースが合わなくなってしまいます。
また、マウスピースを紛失・破損したというトラブルも多くあります。
自宅でマウスピースをティッシュに包んでいると間違えて捨てられてしまったり、飼い犬に噛まれて破損してしまう、さらに外出中や旅行中に紛失するケースもあります。
マウスピースを紛失・破損してしまった場合は、再製作する必要があるので、その分治療期間が長引いてしまいます。
このような自宅・外出・旅行など、さまざまな紛失・破損の原因になる場所や状況が多くありますので、十分に注意していただき、マウスピースを外した際はすぐに専用のケースに入れる癖をつけることが重要です。

・装着中の水以外の飲食ができない

マウスピースを装着しているときは、飲食は原則できません。
マウスピースを装着して食事をすると、マウスピースの中に汚れが溜まって虫歯になるリスクが高まります。また飲み物も制限されます。水分は水で摂ることをお勧めします。

砂糖が入っている飲み物や砂糖の入っていない炭酸飲料も口の中を酸性にするので、虫歯のリスクを高めます。砂糖の入っていないお茶は虫歯のリスクを高めることはありませんが、マウスピースに茶渋や汚れが付きやすくなります。その他、コーヒーや紅茶などの色の濃い飲み物はマウスピースに着色がついてしまうので、装置をつけているときは水のみになります。
水以外を飲まれる際は、マウスピースを外してから飲むようお願いします。
飲んだ後は、歯磨きやお口をゆすぐなどをしてからマウスピースを装着することが大切です。

2023.06.16

口腔筋機能療法(MFT)とは

普段皆さんは、舌の位置を気にしていますか?正しい舌の位置ってどこか知っていますか?
実は舌にはちゃんと正しい位置があります。
この舌の位置が、歯列矯正治療ではとても重要なことなのです。歯の並びや噛み合わせが悪い方は正しいところに舌をおいていない、舌の癖があるなどで歯列に悪い影響を与えていることが多いです。
今回は、口腔筋機能療法(MFT)とは何か、正しい舌の位置の確認、舌の位置が悪いとなぜ歯並びに影響がでるかお話していきます。

口腔筋機能療法(MFT)とは

MFTは、「Myofunctional Therapy」の略称で、口腔筋機能療法ともいいます。
(以下 MFT といいます)
MFTとは、お口の周りの筋肉を正しい動きに改善をすることによって、歯並びと舌の癖を治していくトレーニングのことをいいます。
MFTの目的は、食べる(咀嚼)、飲む(嚥下)、発音、リラックスしているときの呼吸のときの舌や口唇の正しい位置への改善をし、MFTを行っていくことで口腔周囲(お口の周り)の筋肉のバランスを正常に整えて、悪い癖を治していくことです。
皆さんの歯は、お口の中からは舌の圧力がかかり、外からは頬や唇などの筋力の圧力がかかっています。このお口回りの筋力の圧力や舌の圧力のバランスを正常に整えておかないと、歯列矯正治療が終わっても後戻りをしてしまいます。

お口の中での正しい舌の位置

今、みなさんの舌の位置はどこにありますか?そう改めて聞かれると、「ん?どこ?舌の位置?意識したことがない」って方が多いのではないでしょうか。テレビやスマホを見ているとき、読書をしているとき、など飲食をしていないリラックスしているときの舌の場所がいつものご自身の位置になります。
では一度、一緒に確認してみましょう。
まず、軽く唇を閉じてください、そのままつばを一回飲みこんでみてください。
飲みこんだ時に舌はどこにありましたか?

①舌は上の顎にぴったりとくっついている
②舌の先が上の前歯の歯の裏側にあたっている
③舌の先が下の前歯の歯の裏側にあたっている
④舌がお口の中のどこにもあたっていない

正しい舌の位置は、「①の舌は上の顎にぴったりくっついている」です。
他のところに舌がある場合、それは舌の正しい位置ではないのです。
正しい位置に置くポイントは、舌の先をスポットにおく!です。

スポットとは

スポットとは、舌を正しいところに置く位置のことをいいます。上の写真のように、舌の先が上の前歯の裏側の少しくぼみがあるところがスポットの場所です(緑の枠)。前歯の裏ではないので間違えないようにしてください。
日中、食べているとき飲み物を飲んでいるときと、話しているとき以外は、ここのスポットに舌の先があるのが正常な舌の位置になります。つばを飲みこんだときに、①以外だった方はぜひ意識してこのスポットに舌先をつけてみてください。唇を軽く閉じて、舌の先をスポットにつけ、舌全体を上の顎に吸い付けるようにつけてください。このとき、必ず口呼吸ではなくお鼻で呼吸をしてください。
どうですか?慣れていないと30秒ほどつけたままにするだけでかなり舌が疲れるかもしれません。疲れるという方は、普段正しいところに舌をおけていないということです。舌は筋肉でできているので、慣れないことをすると疲れますが、舌の悪い癖を治しておくのも歯列矯正治療ではとても必要になります。

舌の位置が悪いとどんな影響がある?

正しい舌の位置のお話はしましたので、次は、間違った位置に舌がある場合はどんな悪影響があるのかお話しします。

①歯の並びが悪くなる

舌の先が、上の前歯や下の前歯など、歯の裏側を無意識にずっと押しているような舌の癖があれば、歯の並びが悪くなります。これを、舌癖(ぜつへき)といいます。人は食べるとき(咀嚼)、飲みこむとき(嚥下)に一日に何百回~何千回も舌を無意識に動かしています。

睡眠中も、つばを飲みこんでいるので舌は自分で思っているよりも一日中動いているのです。先にも話したように、舌は筋肉でできています。筋肉は縮むときより伸ばすときのほうが力が強くなりますので、その力で普段から一日中、歯と歯の間に舌をいれてしまっていたり、の前歯や下の前歯の裏を押していると舌の圧力に負けて歯の並びは崩れてしまいます。

②口呼吸になってしまう

お口を閉じてお鼻でちゃんと呼吸できていますか?ふだん、テレビを見ているときや本を読んでいるときなどリラックスしているときや、寝ているときはお鼻で呼吸する鼻呼吸になっていないと体に悪影響がでます。歯の並びが悪いかたは、アレルギー性鼻炎や花粉症などのお鼻の疾患があることが多くお鼻が詰まりやすいため、鼻呼吸ができずに口で呼吸してしまう口呼吸になってしまいます。日常的に口呼吸のままだと、お口が常に開いていることになり舌が下がってしまい、お口の周りの筋肉も弱くなってしまい正しい飲みこみ(嚥下)ができなくなってしまいます。

また、お口が開いたままだと唾液の量も減ってしまいお口の中が乾燥してドライマウスになります。ドライマウスになると虫歯や歯周病になりやすくなるほか、乾いた口から細菌がはいり風邪をひきやすくなったりもします。口呼吸は、歯並び以外にも悪影響を及ぼすことがあるため、普段から意識して鼻呼吸が出来るようにしてください。

③発音や滑舌が悪くなる

人は話すときに、舌とお口の周りの筋肉をつかって言葉を発します。舌が正しい位置にない、舌癖などがあると話すときに舌をちゃんと使えずお口の周りの筋肉も弱ってしまいます。お口の周りの筋肉が低下してしまうと、発音や滑舌に影響がでてしまいます。とくに、サ行・タ行・ラ行の発音が舌足らずな話し方になるので、MFTでしっかり訓練して治していきましょう。

④歯列矯正治療後に後戻りをしてしまう

治療前の歯並びに戻ってしますことを、矯正歯科では「後戻り」といいます。
歯列矯正治療が終わったあと、歯並びと噛み合わせを治しても舌癖があると後戻りという歯並びが崩れてしまうことの原因になってしまいます。後戻りをしないように、舌の悪い癖がある方は、歯列矯正治療をしながらMFTも一緒にします。しっかり舌癖を治すことで、後戻りをふせぐことができます。

最後に、テレビやスマホを見ているとき、読書をしているとき、など飲食をしていないリラックスしているときのお口の周りの状態は、
・唇は軽く閉じている
・舌の先はスッポトについている
・鼻呼吸をしている
・上と下の奥歯が軽く離れている
この4つを普段から習慣づけるようにしていただければと思います。

ふじよし矯正歯科クリニックでは、舌の癖がある患者様には、歯列矯正治療と同時にMFTのトレーニングをしております。同時にすることで、治療をスムーズにし、歯列矯正後の後戻りを防ぎます。トレーニングの方法はたくさんありますので、患者様にあった段階からのトレーニングの用紙をお渡ししています。すぐに改善されるのは難しいかもしれませんが、目につくところに貼って毎日の習慣にしていただきたいです。毎日練習することで、自然と舌が正しい位置に維持できるようになります。

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