コラム

2023.07.21

舌癖(ぜつへき)とは?


舌癖(ぜつへき)とは、舌で上の前歯の歯の裏側や、下の前歯の歯の裏側を押している、または、歯と歯の間から舌をだしてしまう舌の癖のことをいいます。普段の日常生活の中で無意識に舌で歯を触って押してしまっていたり、舌を歯と歯の間にいれていたりしていませんか?癖なので、自分でも気づかないと思いますが、お口の中の癖は、歯の並びや滑舌など発音にも大きく影響します。

また、舌癖があると、歯列矯正治療をして歯の並びを綺麗に整えても、後戻りをしてしまい、歯の並びが崩れてしまう原因にもなります。舌癖は、しっかりとトレーニングをして治しておく必要があります。

舌癖があるかな?チェックをしてみましょう


舌癖があるかセルフチェックができます。一度チェックをしてみましょう。

  • ・いつもお口がぽかんと開いている
    ・歯で舌をかんでいる
    ・常に舌で上の前歯か下の前歯の裏側をさわっている
    ・飲みこむときに舌に歯があたっている
    ・むせやすい
    ・口の中がよく乾いている
    ・無意識に舌をだしている
    ・食べるときにくちゃくちゃと音をたてている
    ・食べたものが口からこぼれる
    ・食べるときに舌をだして食べ物を食べる
    ・唇を閉じると下顎に梅干しのようなシワができる
    ・滑舌が悪い
    ・姿勢が悪い(猫背)
    ・口呼吸をしている
    ・うつぶせ寝、横向きで寝ている
    ・寝ているときにいびきをかいている
    ・頬杖をつく

 

どうですか?お子様やご自身はいくつ当てはまりますか?一つでも当てはまれば舌癖がある可能性があります。舌癖があると、舌と唇とお口の周りの筋肉のバランスが悪くなってしまい、顎の成長や歯の並びに影響がでます。舌癖になってしまう原因はいくつかあります。

舌癖の原因

①指しゃぶり

赤ちゃんの頃(乳児期)の指しゃぶりは問題ありませんが、その後4才~5才(幼少期)になっても指しゃぶりが続いている場合は、指しゃぶりの癖を治したほうがいいです。なぜなら、指を吸っていることで上の歯と下の歯の間に隙間ができる開咬(かいこう)になってしまったり、吸っている指にそって上の前歯が傾いてしまい前歯がでてしまう上顎前突(じょうがくぜんとつ)になるからです。

また、指を強く吸っていることで、頬っぺたが歯を中へ押し込んでいる状態になってしまい、上の歯の並びがVの字になる狭窄歯列弓(きょうさくしれつきゅう)になります。指をしゃぶる癖がなくなっても、出来てしまった隙間に舌をいれてしまう癖は残ってしまいます。

②口呼吸(こうこきゅう)


アレルギー性鼻炎・花粉症・扁桃腺肥大・アデノイド・蓄膿症などの疾患があり慢性的な鼻づまりがあるとどうしても口呼吸になってしまいます。口呼吸のままだと、舌が正しい位置のスポットに置けずに下にさがってしまいます、これを低位舌(ていいぜつ)といいます。下にさがったままだと、飲みこむときに舌を前に突き出すような癖がついてしまいます。

また、口呼吸をしているとお口がポカンと開いているので、お口の周りの筋肉も弱ってしまいます。口呼吸を治さずにいると、お口の中が乾燥しているので、唾液の量が減ってしまい虫歯や歯周病のリスクが高くなり、口臭の原因にもなります。また、お口の中だけではなく、ウイルスや細菌を直接お口で吸っていることで風邪をひきやすくなります。

③低位舌(ていいぜつ)


舌が正しい位置(スポット)についておらず、常に下の前歯の裏側に舌の先があたっている状態のことを低位舌(ていいぜつ)といいます。舌が歯にあたっているので、舌の両側面に歯の形がついてしまうことがあります。起きているときも口がよく開いている(ポカン口)かたは、舌が下にさがっている場合が多いです。低位舌の癖があると、飲みこむ(嚥下)ときに、舌で下の前歯を裏側から押してしまいます。舌の力はとても強いので、下の歯を無意識に押してしまい反対咬合(受け口)や、舌の力で歯と歯に隙間ができる空隙歯列(くうげきしれつ)になってしまうことがあります。
また、低位舌の場合多くは口呼吸になっていることが多いです。

④舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)

舌を前に押し出してしまうような癖のことを、舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)といいます。開咬や空隙歯列のような歯に隙間があると、その隙間に舌をいれて、舌の力で余計に歯を押してしまいます。また、話すときや飲み物を飲みこむとき(嚥下)にも舌をだしてしまうので、上と下の前歯を常に押していることになり、開咬になります。

⑤異常嚥下癖(いじょうえんげへき)

普段、日常的に食べ物や飲み物を飲みこむときに、舌が前にでてきてしまう癖のことを異常嚥下癖(いじょうえんげへき)といいます。正しい飲みこみかたは、舌が上の顎についていて、上と下の歯が噛んでいる状態で飲みこみます。舌の癖があるのが原因で、上と下の歯が噛みあっていない場合は、異常嚥下癖になってしまうことがあります。

⑥舌小帯(ぜつしょうたい)が短い

舌の裏側のヒモのことを、舌小帯(ぜつしょうたい)といいます。この舌小帯が短いと舌が上に上がらず、正しい位置のスポットに舌が届きません。上にあげられないので舌が下がったままになってしまい低位舌になってしまいます。舌小帯が短いと、舌をあげたときに舌がひっぱられて舌がハートの形になるのが特徴です。舌が上にあげられないので滑舌が悪くなります。とくにサ行、タ行、ラ行の発音に影響がでて舌足らずな話し方になってしまうこともあります。

今回は、舌癖についてお話をしました。舌の癖は自分では気づかないこともあると思います。ふじよし矯正歯科クリニックでは、歯列矯正治療と並行して舌癖を治すトレーニングを行っています。癖を治すのは、意識して毎日トレーニングができるよう、トレーニングの用紙はいつも見えるところに貼ってもらうようお伝えしております。歯列矯正治療と一緒に舌の癖も治して、綺麗な歯並びを保てるようにしていきましょう。