コラム

2023.06.30

Ⅰ期治療とⅡ期治療

子どもの歯列矯正(混合歯列)には、成長を利用して土台となる顎の骨の形を整える〝Ⅰ期治療 〟と
永久歯(大人の歯)が生えそろってから歯をきれいに並べる〝Ⅱ期治療 〟 の2種類に分類されます。

混合歯列とは、お口の中に乳歯(子どもの歯)と永久歯(大人の歯)の両方が生えていることです。
年齢でいうと6歳~12歳頃の学童期が目安となります。

Ⅰ期治療とは

子どもの成長を利用して、装置などを使用して上下の顎の骨のバランスや形を整えて成長を促し、永久歯が生えてくるためのスペースを作ります。

Ⅱ期治療とは

永久歯が生えそろったら、歯を動かして歯並びや噛み合わせを整えます。

○ Ⅰ期治療 ○

Ⅰ期治療では、専用の装置を使って顎の骨の拡大や牽引で方向の調整などを行い、上下のバランスを整え、永久歯が生えてくるためのスペースを作るための土台作りをします。
この土台作りを行うことにより、永久歯が重なりあったりすることや、噛み合わせが悪くなるリスクが下がります。

Ⅰ期治療を始める目安

Ⅰ期治療は早くから始めれば始めるほど良いというわけではありません。
場合によってはⅡ期治療のタイミングを待って、矯正治療を開始することをおすすめする方もいます。
お子様にⅠ期治療が必要なのか、始め時なのか、判断は難しいかと思います。
また症状によっては、早く治療を開始した方が良い場合もあります。なので、気になる方は一度専門医に相談をしてみることをおすすめします。
詳しい治療方針等は精密検査を行ってみないと分からないですが、似た症例をもとにお話しを伝えることは可能なので是非一度ご相談下さい。

Ⅰ期治療の期間

Ⅰ期治療の治療期間はお子様により異なりますが、当院の目安としましては12歳臼歯(第2大臼歯)が萌出する頃を目安としています。

Ⅰ期治療で使われる矯正装置

お子様の症状に合わせて、お友達から見えないような固定式装置(取り外しできない)やお家で使う取り外し式装置(学校や外出の時はつけなくても良い)などを使います。
当院ではこの頃の時期にブラケットを使用した治療を行うことは、あまりありません。

Ⅰ期治療のメリットとデメリットについて

メリット

・成長を利用することができる!
・成長を利用して顎の骨の発育方向をコントロールしたり、顎を広げることができる!
・永久歯が重なり合ったり、噛み合わせが悪くなるリスクが下がる!
・歯並びのほかにも、正しい舌の位置や使い方などの訓練ができる!
・悪い癖(口呼吸や指しゃぶり)に気付きやすく、改善しやすい!

デメリット

・固定式装置(取り外しができない)の場合、歯磨きがしづらくなる。
そして、磨き残しのままの状態が続くと虫歯や歯肉炎を起こしてしまう可能性がある。
・取り外し式装置の場合、本人の協力が必要なので積極的に装置を
使用していただかないと効果が出ない。
・装置によっては本人だけでなく、保護者の方に協力していただく必要がある。
・Ⅰ期矯正の適応時期に達していても、お子さまの発育状態によっては開始時期を
遅らせる場合もある。

○Ⅱ期治療 ○

Ⅱ期治療とは、永久歯が生え揃った頃から行う矯正で、成人矯正と同じになります。
この時期になると顎骨の成長にある程度の目途がついているため、
永久歯の抜歯をせずに歯並びを整えることができる可能性が高くなります。

Ⅱ期治療を始める目安

12歳臼歯(第2大臼歯)が生えてくる頃が目安となります。
お子様により成長のスピードが異なりますが大体は12歳の頃に生えてきます。

Ⅱ期治療の期間

Ⅱ期治療の治療期間は症状により異なりますが、3年程度を見込んでいます。

Ⅱ期治療で使われる矯正装置

マウスピース型矯正装置

マウスピース型の矯正装置を使って歯並びを改善していく方法です。
透明なマウスピースを使用するので装置が目立ちにくいです。
また、自分で取り外しができるのでワイヤー矯正に比べて食事や歯磨きが行いやすくなります。
当院ではインビザラインを使用しています。
自分で取り外しが可能なため、患者様の協力度が必須となります。
決められた時間は使用していただかなければ効果がでず、さらに悪化してしまうケースもあります。

*完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

マルチブラケット治療

歯にブラケットを装着し、そこにワイヤーを通して歯を動かしていきます。
当院では小臼歯まで白いブラケットを追加費用無しで使用しているので、金属の装置より目立ちにくい見た目になります。
白いワイヤーもあるので、お選びいただくことも可能です。

部分矯正

歯並び全体ではなく、前歯や噛み合わせなど気になる部分の歯並びだけを整える方法になります。
通常の矯正治療と比べて、短期間・低価格で受けることができます。ですが、症状によっては部分のみの矯正が行えない場合もあります。

Ⅱ期治療のメリットとデメリットについて

メリット

・まず、Ⅱ期治療とはⅠ期治療を行っていることが前提となります。
なので、成人から始める矯正治療に比べて顎の骨の土台作りができているため、抜歯の可能性が低くなります!
・嚙み合わせが悪化する事を防ぐことができる!
・将来大人になってから矯正治療をしなくてもよい!
・歯並びが良くなることで歯磨きが行いやすくなるため、むし歯予防・歯周病予防にもつながる。
・しっかり噛み合うことで、食事が食べやすくなる。

デメリット

・選択する装置によっては、見た目が悪くなってしまう。
・症状によっては、Ⅱ期治療まで行っても外科手術が必要になることもある。

Ⅰ期治療とⅡ期治療の関係

基本的に、「Ⅰ期治療では顎の骨の土台作り、Ⅱ期治療では歯をきれいに並べる」という流れになるので、Ⅰ期治療とⅡ期治療はセットとしてお考えいただいた方が良いです。