こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で歯が動く仕組みには、歯根膜が大きく関係しています。歯に圧力をかけられた歯根膜が膨張・収縮することで、顎の骨の吸収・再生が行われて徐々に歯が動くのです。
今回は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で歯が動く仕組みや補助装置について詳しく解説します。
歯の矯正治療で歯が動く仕組み
歯は、歯茎から見えている歯冠と、歯茎に隠れている歯根から成り立ちます。歯根の周囲にある、骨と結合している薄い膜が歯根膜です。歯科矯正では、歯根膜の働きを活用して歯を動かします。
歯冠に力を加えると歯根にも伝わり、加えられた力によって引っ張られる側の歯根膜は伸び、逆に押された側の歯根膜は縮みます。さらに力を加え続けると、引っ張られて伸びた側の歯根膜は厚みを増し、押されて縮んだ側の歯根膜の厚みは減るのです。
厚みを増した歯根膜は、もとの厚さに戻ろうと働き、すき間を埋めるように新しい骨を形成します。厚みが減った側の歯根膜は、もとの大きさに戻ろうと働き、骨を溶かす細胞を活性化させます。
ワイヤー矯正やマウスピース型矯正装置(インビザライン※)など、どの矯正方法でも、歯根膜が一定の厚さを保つための働きを利用して歯が動かされます。歯根膜がもとの厚みに戻ろうとする性質を利用して、少しずつ確実に歯を正しい位置へと導くのが、矯正治療の仕組みです。
仕組みを知らないと、力を加えて無理に歯を動かしているように見えるかもしれません。
しかし、実際には人間の体が本来持つ、歯根膜が厚さを一定に保とうとする働きを利用して歯を自然に動かします。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で歯が動く仕組み
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、歯と歯茎全体を包み込むマウスピース型矯正装置を用いて歯を動かす方法です。従来のワイヤーとブラケットを使用した矯正とは異なり、目立たないことが特徴です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、スキャナーで歯形や歯並びの情報を取得することから始まります。得られたデータを分析し、一人ひとりの口腔状態に合わせたカスタムメイドのマウスピースが製作されるのです。
アライナーともよばれるマウスピースは、もとの歯並びと少しずらして製作されます。そのため、マウスピースを装着するとずれによって歯に圧力がかかって歯が動くのが、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の仕組みです。
一般的に、マウスピースは約1~2週間ごとに新しいものに交換します。1枚のマウスピースで0.25mmほど歯が動きます。
歯を動かすために使われる補助装置
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、効率的に歯を動かすために補助装置が用いられることも多いです。今回は、アタッチメントと顎間ゴム(ゴムかけ)をご紹介します。
アタッチメント
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の矯正治療では、より効果的な治療を目指して、アタッチメントとよばれる小さな樹脂製の器具が使用されることがあります。
アタッチメントは、歯の色に近い突起状の器具で、歯並びの微調整や治療をスピーディに進める目的で使用される場合が多いです。治療完了後には跡を残さず取り外されるため、心配する必要はありません。
アタッチメントの使用は、マウスピース型矯正装置が歯に固定されることを助け、歯の向きや角度の微調整を可能にします。適切な位置にアタッチメントを設置することで、矯正治療がより効果的に行えるのです。
ただし、全ての症例でアタッチメントが使用されるわけではありません。必要に応じて歯科医師が使用を指示します。
アタッチメントの形状や大きさによって作用する力は変わります。例えば、縦に生えている歯に対してねじれた力を加える、前に出ている歯を歯茎から90度の向きに動かすような力を加えることなども可能です。
治療目標に応じて、最適な形状のアタッチメントが取り付けられるでしょう。
顎間ゴム(ゴムかけ)
顎間ゴム(ゴムかけ)は、歯科矯正治療において上の歯と下の歯の噛み合わせを改善するために使用されます。フック状の装置に医療用ゴムを引っ掛けるものです。
見た目の歯並びが改善されたあとに行われることが多く、機能面の改善を目的に最終仕上げとして行われます。
歯科矯正では、見た目の改善だけでなく、噛み合わせの状態も重要視されます。歯並びが美しくなっても、食事中に顎に痛みを感じると食事が苦痛になるでしょう。このようなケースにおいても、顎間ゴムは重要な役割を果たすのです。目安ですが、1日20時間ほど装着します。
ゴムの種類と用途を表にまとめました。
<顎間ゴムの種類と用途>
ゴムの種類 | 用途 |
---|---|
Ⅱ級ゴム | ・主に上顎前突(出っ歯)の症例に使用する ・上顎の犬歯と下顎の第一大臼歯にゴムをかけ、上顎が後方へ、下顎は前方へ引っ張る |
Ⅲ級ゴム | ・主に反対咬合(受け口)の症例に使用する ・下顎の犬歯と上顎の第一大臼歯にゴムをかけ、上顎が前方へ、下顎が後方へ引っ張る |
クロスゴム | ・クロスバイトやシザーズバイト(歯列が左右にずれている)に使用する ・上顎と下顎の同じ歯の頬側、舌側または口蓋側にゴムをかける |
垂直ゴム | ・上顎と下顎の歯が接触していない、開咬に使用する ・上顎と下顎の同じ歯の頬側にゴムをかけ、上下の歯を互いに垂直に引っ張る |
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の効果はいつ頃から実感できる?
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正治療の効果を感じるまでの期間は、個々の状況や治療計画によって異なります。
初期の変化
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では1枚のマウスピースで0.25mmほどしか動かせないため、治療を開始してすぐには効果を実感できません。通常、治療開始から3~4か月程度で効果を実感できるでしょう。
中期の変化
数か月〜1年程度の途中経過時期には、歯の移動や整列が進み、より明らかな変化が感じられるでしょう。アライナーを定期的に交換することで、歯列は理想の位置へと徐々に近づきます。数か月〜1年程度経つと、歯の位置や噛み合わせの改善が明確に感じられる方が多いです。
最終的な変化
最終的な治療結果は、治療開始から1~2年後に実感できます。部分矯正や軽度の症例の場合は、早くて半年ほどです。
まとめ
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で歯が動く仕組みは、歯根と骨の間にある歯根膜が関係しています。マウスピースで歯冠に力を加えることで、片側の歯根膜は引っ張られて厚みが増します。
一方、押された側の歯根膜は縮んで厚みが減るので、厚みを補うために骨が形成され、引っ張られた側の歯根膜の骨は吸収されていくのです。
骨の吸収と再生のサイクルを利用して歯を動かすのが、矯正治療の仕組みです。早く動かそうと過度に力を加えると、歯根に炎症が起きて歯根吸収が起きます。歯根吸収が起きると、痛みを感じる場合や、歯がグラグラと動く場合があるでしょう。
矯正治療では、適度な力を加えること、骨の吸収と再生のサイクルに合わせて歯を移動させることが非常に重要です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では、歯を効率的に動かすためにアタッチメントや顎間ゴム(ゴムかけ)などの補助装置を使用することがあります。正しく使用することで、より早くよりきれいな歯並びを手に入れられるでしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では、1つのマウスピースで0.25mmほどしか歯が移動しません。矯正の効果を実感するまでに3~4か月ほどかかりますが、治療中の問題や後戻りのリスクを下げるために根気強く続けましょう。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)について疑問や不安がある場合は、事前に歯科医師に相談してください。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。