コラム

2023.07.14

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)ができない症例とおすすめできない人とは?

こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。

インビザラインを専用のケースに片付ける女性の手元

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では、治療が難しい症例があります。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では治療できない場合でも、ほかの治療法できれいな歯並びを目指せるため、矯正治療自体を諦める必要はありません。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)に必要な自己管理についての知識を身につけ、ご自身の生活スタイルと照らし合わせながら治療を受けるかどうか検討しましょう。

今回は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)ができない症例や、かわりの治療法について解説します。ご自身に合った無理のない治療法で、歯並びを整えましょう。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)ができない症例とは

胸の前でNGサインを作る女性

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)ができない症例は、以下の4つです。

・顔面骨格の問題が重度な症例

・歯周病が進行している症例

・複数本の抜歯が必要な症例

・インプラント治療の経験がある症例

ひとつずつ解説します。

顔面骨格の問題がが重度な症例

顔面骨格の問題が重度な場合、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)だけでなくワイヤー矯正でも治療が難しいです。多くは外科手術を併用した矯正治療が必要になります。ただし顎口腔機能診断施設である歯科医院であれば、矯正治療も手術も保険適用になりますが、マウスピース型矯正装置をもちいる場合は保険適用になりません。

歯周病が進行している症例

歯周病が重度の場合、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)だけではなく矯正治療自体が困難です。歯周病の炎症が顎の骨に広がると、歯を支える顎の骨が溶かされます。骨が溶けた状態では、歯列矯正の強い力に歯が耐えられず抜けてしまうため、矯正治療が難しいのです。

また、治療完了後は歯を正しい位置に定着させるため、インプラント、ブリッジ、入れ歯などの治療で歯を互いに固定する必要があります。

矯正治療を検討している方は、毎日の歯磨きで歯周病を予防しましょう。すでに歯周病の症状がある方は、矯正治療を希望していることを歯科医師に伝え、歯周病治療を開始してください。

複数本の抜歯が必要な症例

複数本の抜歯が必要な場合、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で治療できない可能性があります。歯を複数本抜歯すると歯の移動距離が長くなるため、歯並びの微調整を得意とするマウスピース型矯正装置(インビザライン※)は不向きとなるのです。

抜歯が必要な症例として、重度の出っ歯や叢生などが挙げられます。これらの症例では、抜歯であいた空間にほかの歯を移動させるために、長い期間が必要です。

そのため、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)とワイヤー矯正を併用する、あるいはマウスピース型矯正装置(インビザライン※)以外を選択するなどで治療する場合が多いでしょう。

インプラント治療の経験がある症例

インプラント治療の経験がある方は、矯正治療が難しいとされています。

インプラントは、顎の骨に埋め込んだネジを人工歯の土台とするため、矯正力を加えても動かすことができません。歯列矯正の対象はあくまでも天然の歯なので、インプラント部分は対象外なのです。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)をおすすめできない人

 NGの吹き出しを出す木の人形

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が向いていない人の特徴は、以下の3つです。

・決められた装着時間を守れない

・マウスピースの定期的な交換ができない

・適切な衛生管理ができない

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は自己管理が必要な治療なので、生活スタイルや性格によっては向いていない場合があります。以下を参考に、ご自身の生活に取り入れられそうか検討してください。

決められた装着時間を守れない

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では、マウスピースを1日20~22時間装着する必要があります。決められた時間を守る前提で治療計画が立てられているため、装着時間が短くなると計画どおりに歯が動きません。

食事や歯磨きの時間などは除いて20~22時間の装着が必要なため、食後は必ずマウスピースを装着する習慣をつけましょう。装着時間が守れない人、まとまった食事時間がとれずマウスピースを頻繁に取り外す人は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は向いていないといえます。

マウスピースの定期的な交換ができない

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では、定期的に新しいマウスピースに交換しなければいけません。具体的には、1~2週間ごとにマウスピースを交換し、歯を徐々に移動させ歯並びを整えます。

ご自身で交換時期を意識して新しいマウスピースへの取り替えを行い、歯科医師に歯の動きをチェックしてもらうために定期的に受診する必要があります。

マウスピースの交換や定期検診を怠ると歯の移動が遅れるため、治療が停滞するでしょう。交換時期の管理が難しい人は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)よりも、歯科医師の管理のもとで進めるワイヤー矯正のほうが向いているかもしれません。

適切な衛生管理ができない

マウスピースは、取り外すたびに洗浄する必要があります。洗浄が不十分だと、マウスピースが不衛生になり、虫歯や歯周病のリスクが高まるでしょう。

虫歯や歯周病になると、矯正治療を中断して虫歯や歯周病治療を優先する場合が多いです。治療計画から大幅に遅れるため、食事や歯磨きのときにマウスピースを外したら必ずブラッシングを行い洗浄しましょう。

また、定期的にマウスピース専用の洗浄剤を用いて清潔に保つ必要があります。毎日の適切な衛生管理に苦手意識のある人は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は向いていないといえるでしょう。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)にかわる治療法

ワイヤー矯正をつけて笑う女性

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が適応外でもかわりの方法で治療が可能なため、矯正治療を諦める必要はありません。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)のかわりの方法は、以下の2つです。

・ワイヤー矯正

・ワイヤー矯正とマウスピース型矯正装置(インビザライン※)の併用

それぞれ解説します。

ワイヤー矯正

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)のかわりの治療方法として第一の選択となるのが、ワイヤー矯正です。

ワイヤー矯正は、歯の表面にブラケットという装置を取り付け、ブラケットに通したワイヤーの力を利用して歯並びを整える治療方法です。ワイヤー矯正は歯を大きく動かせることが特徴なため、抜歯が必要な重度の叢生や重度の出っ歯などの治療も可能です。

しかし、ワイヤー矯正は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)のように自力で装置の取り外しができません。ワイヤー矯正の見た目が気になる方は、クリアブラケットを選択するとよいでしょう。ワイヤーやブラケットが透明や白色になっている、目立たない矯正装置が利用できる場合があります。

ワイヤー矯正は多くの症例で治療が可能なため、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)ができないといわれた人も治療が可能なことがあります。

ワイヤー矯正のなかに、舌側矯正という方法があります。

舌側矯正は、歯の裏側にブラケットとワイヤーを取り付ける方法です。矯正装置が正面から見えないため、審美性が気になる方も治療に取り組みやすいことがメリットです。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は目立たないことから選択する人が多いので、かわりの治療として選ばれています。

舌側矯正もほとんどの症例の治療が可能ですが、通常のワイヤー矯正よりも装置の作製が難しい傾向があります。そのため、舌側矯正に対応していない歯科医院もあります。通常のワイヤー矯正よりも治療費が高額になることも知っておきましょう。また歯の裏側に装置をつけるため、舌が傷ついて痛い、話しづらくて仕事に支障をきたすという理由で、治療途中でマウスピース型矯正装置に変更される人もいます。

ワイヤー矯正とマウスピース型矯正装置(インビザライン※)の併用

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)だけでの治療が難しくても、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)とワイヤー矯正を併用することで治療できる場合があります。歯の移動距離が長い部分はワイヤー矯正で治療し、ある程度歯並びが整ってきたらマウスピース型矯正装置(インビザライン※)で微調整する方法です。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、噛み合わせの調整や細かい歯の動きの調整を得意とするため、矯正初期はワイヤー矯正を行い、矯正中期〜後期にかけて切り替える場合が多いです。ワイヤー矯正とマウスピース型矯正装置(インビザライン※)を併用することで、見た目の違和感を軽減できるでしょう。

まとめ

歯科医院で鏡を見て歯を確認する男性

今回は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)ができない症例とおすすめできない人について解説しました。

顔面骨格の問題が重度の症例や歯周病が進行している症例では、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の適応外となる可能性が高いです。また、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は自己管理が必要なため、装着時間を守れない人やマウスピースの定期的な交換ができない人、衛生管理が苦手な人には向いていないでしょう。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)にかわる治療法としては、ワイヤー矯正が挙げられます。審美性の高い舌側矯正、ワイヤー矯正とマウスピース型矯正装置(インビザライン※)の併用でも治療が可能な場合が多いです。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)ができない場合は、かわりの矯正方法を利用してきれいな歯並びを目指しましょう。ストレスなく治療を進めるには、生活スタイルやご自身の性格を考慮して、自己管理できそうか検討する必要があります。

歯科矯正を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。

※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。