コラム

2023.07.07

不正咬合とは?

今回は、学校歯科健診で噛み合わせにチェックがはいった場合の不正咬合とは何かについてお話ししたいと思います。
前にもお話したように、学校歯科健診での歯列・咬合の判定は、学校歯科医会による判定基準により
・異常なし=0
・定期的な観察が必要=1
・専門医(歯科医)による診断が必要=2
上記の3つに分けられています。
今回は、咬合判定で「2」だった場合の基準について説明していきます。

咬合判定「2」の判断基準

・下顎前突 前歯部2歯以上の逆被蓋
・上顎前突 オーバージェット7~8mm以上(デンタルミラーの直径の半分以上)
・開  咬 上下顎前歯切縁間の空隙が6mm以上(通常のデンタルミラーのホルダーの太さ以上)ただし、萌出が歯冠長の1/3以下のものは除外
・叢  生 隣接歯が互いの歯冠幅径の1/4以上重なり合っているもの
・正中離開 上顎中切歯間の空隙が6mm以上(通常のデンタルミラーのホルダーの太さ以上)
・その他  上記以外の状態で特に注意すべき咬合並びに特記事項
(例えば、過蓋咬合、交叉咬合、鋏状咬合、逆被蓋(たとえ1歯でも咬合性外傷のあるもの)、軟組織の異常、過剰歯、限局した著しい咬耗など)

正常咬合(正常な歯並び)と、不正咬合の違いと種類

正しい歯並び(歯列)や噛み合わせを正常咬合といいます。問題がある歯並びや噛み合わせは不正咬合といいます。

①正常咬合(せいじょうこうごう)

正常咬合とは、
1、真正面からみて、上の前歯と下の前歯の真ん中(正中)がそろっている。
2、奥の歯は、横からみたときに山と谷がちゃんと噛み合っている。
3、上の前歯が、下の前歯を2~3ミリおおって前にでている。
4、上下の歯列(歯並び)が、きれいなアーチ状になっている。
上記以外の歯列(歯並び)は、不正咬合といいます。

不正咬合の種類

②反対咬合(はんたいこうごう)(下顎前突も含む)

反対咬合とは、噛んだときに上の歯より下の歯が前にでている歯並びのことをいいます。
つまり、正しい噛み合わせの逆になっているということです。
一般的には、「受け口」とも呼ばれています。

③上顎前突(じょうがくぜんとつ)

上顎前突とは、上の前歯や歯ぐきが前に飛び出ている歯並びのことをいいます。
前歯(上顎)全体が出ている場合と、前歯1~2本が突出している場合がありますがどちらも上顎前突になります。
一般的には、「出っ歯」と呼ばれています。
奥歯で噛んでも、上の前歯が出ていることで唇が閉じれずに少し口が開いた状態になります。意識して閉じれば下顎(唇の下)に梅干しのようなシワができるのも特徴的な症状です。

④叢生(そうせい)

叢生とは、歯が前後にデコボコと並んでいる状態や、ガタガタになっている歯並びのことをいいます。
乱杭歯(乱ぐい歯)とも言われます。歯列がデコボコになっているので、歯磨きをしても歯ブラシの先がちゃんと届かずに、虫歯や歯周病になりやすくなります。
八重歯もこの1つで叢生になります。

⑤開咬(かいこう)

開咬とは、奥の歯をかんでも、上と下の前歯が噛み合わずに隙間がある歯並びのことをいいます。
オープンバイトともいわれます。
隙間から舌を出してしまう癖(舌癖)があるのも特徴的な例です。
また奥の歯を噛んでも上下の前歯の間が開いているため、食べ物が前歯で噛めずに奥歯に負担がかかります。

⑥過蓋咬合(かがいこうごう)

過蓋咬合とは、上の前歯の噛み合わせが深くて下の前歯がほとんど見えない状態の歯並びのことをいいます。
ディープバイトともいわれます。
深く噛んでいることで、前歯で食べ物が噛みきれなかったり、上の前歯の内側の歯ぐきに下の歯の前歯があってしまっていることがあります。

⑦交叉咬合(こうさこうごう)

交叉咬合とは、奥歯の噛み合わせが(左右どちらかに)ずれている。または、前歯の噛み合わせが何本か逆噛みになっていることをいいます。噛み合わせが横にずれているので正中(せいちゅう)があっていないことが多いです。

⑧正中離開(せいちゅうりかい)

正中離開とは、上の前歯の真ん中に隙間があって、文字のとおり正中(せいちゅう)が離れてしまっていることをいいます。
上の前歯の正中離開は、一番目立つ部分なので気になる方も多いです。
また、上唇小帯(じょうしんしょうたい)の影響で、隙間ができている場合もあります。

⑨空隙歯列(くうげきしれつ)

空隙歯列とは、全体の歯(上下)の歯と歯の合間にすきまがあることをいいます。
一般的には、すきっ歯と呼ばれています。
上の前歯にすきまがあるのは、正中離開。
歯全体にすきまがあるのを、空隙歯列といいます。
正中離開と同様に、歯にすきまがあるので食べ物がはさまりやすくなり虫歯や歯周病になりやすいです。また、すきまから空気が漏れてしまうので発音(サ行やタ行など)が言いづらい舌足らずな喋り方になることがあります。

⑩鋏状咬合(はさみじょうこうごう)

鋏状咬合とは、上と下の奥歯が噛み合っていない(すれ違っている)状態のことをいいます。
シザースバイトともいわれています。
鋏状咬合の場合、歯が外側や内側に大きく倒れていることが多く、頬っぺたを噛んでしまって口内炎になる方もいます。また、歯が倒れていることで歯磨きがしづらく虫歯や歯周病に注意が必要です。

まとめ

不正咬合には、様々な種類があります。

不正咬合を治療することで、正常な歯並びになり虫歯や歯周病を予防して健康な歯を将来多く残しておくことが必要だとおもいます。

学校での歯科健診や、かかりつけの歯科医で不正咬合といわれたら、矯正専門の医師がいる当院へ一度ご相談ください。