2023.09.27

マウスピース治療での注意点(食べ物編)

前回の(飲み物編)に続き、今回はマウスピースで歯列矯正治療での注意点(食べ物編)です。まず、マウスピースで歯列矯正治療をする際、マウスピースのことをアライナーといいます。前回は、飲み物でアライナーが黄ばんでしまうことと、アライナーをつけている時に飲んではいけないものなどを、お話しましたが、食べる物(食事)も黄ばみの原因になります。基本、アライナーをつけている時は、食べることは出来ません。私自身、マウスピースで歯列矯正治療をしていたので、実際にアライナーをつけている時に、食べられるか食べられないか色々試してみましたが…結果何も食べられませんでした。アライナーをつけていると、歯がすべてアライナーに覆われているので奥歯が滑って噛み合いません。歯が噛み合っていないと食べ物が噛めないのです。柔らかいパンやうどんなど試してみましたが、噛めずに吐き出した記憶があります。キシリトールのガムも全く噛めませんでした。アライナーをつけている時に口に出来るのは、お水のみです。食事をする際・お水以外の飲み物を飲む時は必ず、アライナーを外してください。緑茶や麦茶などは飲んでも構いませんが、アライナーが黄ばむ原因になりますので出来れば避けていただくといいと思います。アライナー生活を機に、お水を飲む習慣がつけば健康面でもオススメです。

アライナーを外すのは食事と歯磨きの時だけ


マウスピースでの歯列矯正治療は、アライナーを一日22時間つけることで少しずつ歯を動かし歯並びを治療していきます。一日22時間ということは、一日のうち2時間ほど外せれる時間があります。この2時間は、食事と歯磨きの時間です。食べ物を食べる時と、歯を磨く時だけはアライナーは必ず取らないといけません。2時間でも矯正の装置が自分で外せることが出来るのが、マウスピース矯正のメリットだと思います。しかし、この2時間という時間、長いと思いますか?短いと思いますか?歯磨きが一回5分だとして、朝晩で歯磨きの時間は10分です。ということは、残り110分で、朝昼夜のご飯を食べる計算になります。朝ご飯とお昼ご飯はそれぞれ30分で食べられるかもしれませんが、夜ご飯のときは、ついテレビを見たり、スマホを見たりしてダラダラしてしまい1時間以上経過していることがありませんか?この時点ですでに、『一日22時間つける』が守られていません。このアライナーをつけていない時間は、歯に負荷がかかっていないため歯は正しい位置に動いていないのです。逆に元に戻ろうとしてしまい、だんだんアライナーが合わなくなったり、歯からアライナーが浮いてしまったりしてしまいます。つける日数は守っていても、つける時間を守れていないと、新しいアライナーに交換した時に入らない・合わない・浮いている原因になります。

食べる時にアライナーを外す理由

①アライナーが壊れてしまう

アライナーをつけたまま食事をしてしまうと、噛む衝撃でアライナーが歪んでしまったり変形し割れてしまうなど壊れてしまうことがあります。食事をするときは必ずアライナーを外すようにしてください。

②アライナーが黄ばんでしまう

アライナーをつけたまま飲食をすると、透明なアライナーが黄ばんでしまいます。特にカレーライスを食べたあとは、どんなに歯磨きをしてもアライナーが黄ばみます。マウスピースで歯列矯正治療をしているときに、カレーライスなど着色がつきやすい食事はアライナーの交換前(できれば二日前ぐらい)に食べると、黄ばみも減って清潔にお使いいただけます。

③虫歯になってしまう

マウスピースでの歯列矯正治療で使われているアライナーは、歯をすべて覆っているためそのままで食事をしてしまうと、食べたものが詰まったり挟まったりします。そのままだと虫歯になってしまいます。そもそも、アライナーをつけたままでの食事は出来ません。キシリトールのガムもアライナーをつけているときは噛めませんのでお気をつけください。

食事後に気をつけること

歯が動き始めると、歯と歯の間に隙間ができてきます。この隙間に食べ物が挟まるようになります。繊維質な食べ物(鶏肉・長ネギなど)がとくに挟まりやすく、一度挟まると舌の先や指ではなかなか取ることが出来ず、かなり不快になります。細いパスタの麺などはそのままの形で挟まることもありますし、ゴムを掛けるボタンにも食べ物が引っ掛かりやすくなります。食べ物が挟まったままでアライナーをつけると、虫歯のリスクが高くなりますし、アライナーが合わなくなってしまいます。食事後は、アライナーをつける前に必ず歯磨きをしてください。歯ブラシだけでは、挟まった食べ物はとれないので、歯間ブラシやデンタルフロスを使って歯と歯の間に挟まった食べ物とって歯磨きをし、歯列矯正治療中はとくに丁寧に歯磨きをすることを習慣づけていただくようにしてください。

間食や外食時に気をつけること


アライナーをつけている時は食べられませんので、間食(おやつなど)をする時もアライナーは外さないといけません。実際、私がマウスピースで歯列矯正治療を始めて一番大変だったのが、この食べる時に取ったり外したりすることでした。お菓子を食べるために、アライナーをとってお菓子を食べ、食べ終わったら歯間ブラシとデンタルフロスを使ったあとに歯磨きをし、アライナーをつける。この一連の流れがなかなか大変で面倒なのです。私は、治療が進むにつれアライナーの生活に慣れてくると、間食もしなくなっていました。間食はしなくても、外食はみなさんされると思います。外食の時、アライナーはいつ外していますか?アライナーは装着時間がとても大切なので、取ってから出かけるのではなく、できればお店についてからお手洗いでアライナーを取って、専用のケースにいれて食事をし、食べ終わったら歯磨きをしてアライナーをつける。という風にしていただければと思います。私は、出かけるときはいつもアライナー用のポーチをいつも持ち歩いていました。ポーチの中身は次の(日常生活編)で詳しく書いていきます。

食べる物の注意点

マウスピースでの歯列矯正治療は、食事をする時に装置が取れ、歯磨きがしやすいのがメリットですが、逆にアライナーをつけている時は何も食べられません(お水のみです)。また、アタッチメントという歯をより良く動かすために、歯にポチポチっとした歯と同じ色の突起物がついています。硬い物を、噛んだ時にこのアタッチメントが取れてしまうことがあります。マウスピースでの治療でもワイヤーでの治療でも、歯列矯正の治療中は、出来るだけ硬い物をガッブっと噛むのはお控えください。装置が取れてしまう原因になります。

まとめ

今回は、マウスピースでの歯列矯正治療中での気をつけていただきたいこと(食事編)をお話しました。マウスピースでの治療は、ワイヤー治療にある食べ物の制限は無いですが、アライナーをつけている時は飲食ができないため(お水のみ)、アライナー生活に慣れるまでは何かと困ることがあるかと思います。気になることがありましたら、いつでも当院にお問い合わせください。

2023.09.20

マウスピース型矯正について

歯科矯正を始める際に、多くの方に知られている治療方法は、ワイヤー矯正です。学校の友達や職場の方など、自分の身近の中にワイヤー矯正をされている方が実際にいらっしゃるかと思います。
しかし、ワイヤー矯正だけでなく、マウスピースを使って歯を動かして歯を並べる治療方法があることを皆さんは知っていましたか?
マウスピース型矯正とは、薄く透明なカスタムメイドで作られたマウスピースを一定時間装着することによって、歯を動かして少しずつ歯並びを治す矯正治療です。マウスピース矯正にはさまざまな種類がありますが、当院ではマウスピース型矯正装置(インビザライン)を導入しています。

インビザライン矯正とは、1997年に米国のアライン・テクノロジー社により開発された、薄く透明に近いマウスピース型の矯正装置を装着して歯並びを綺麗にする治療方法です。
これまでに世界で1500万人を超える患者様がインビザライン治療を受けられています。
(2023年3月時点)
1日22時間装着することが必須で、1週間から2週間に1回のペースでマウスピースを交換することで、歯を動かしていきます。

インビザライン・システムの特徴

・薄く透明に近いマウスピースなため、装着していても目立ちません。
・従来の矯正治療と異なり、金属性のワイヤーやブラケットを使用しません。
・矯正装置の装着による口腔内のダメージや不快感が軽減されます。
・着脱可能のため、食事や歯磨きが普段通り行えるため、口腔内を清潔に保つことができます。
・クリンチェック・ソフトウェアを通じて、歯の移動やどのような仕上がりになるのかを視覚的に確認することができます。

マウスピース型矯正装置(インビザライン)の治療の流れ

①歯並びのご相談(初回無料・ご予約制)

歯並びのお悩みやマウスピース型矯正装置(インビザライン)に関する内容や期間、費用などをお伝えさせていただきます。当院の歯並びのご相談は、初回無料・ご予約制になります。
お気軽にご相談ください。

②精密検査

診断のためにセファロ(頭部X線規格写真)、パノラマレントゲン撮影、歯型とり、お顔・お口の写真撮影などを行います。検査結果をもとに、確定診断をし、治療方針を決定します。

③光学印象(歯形とり)

当院では、マウスピースを作製するために、デジタル印象採得装置(iTero element)という口腔内スキャナを使用しています。光学印象は、歯や歯肉、咬み合わせなどを精密に記録し、マウスピースがより短時間で製作され、高精度に作製されることが分かっています。
そして、従来の歯形とり(印象採得)と違い、患者様の嘔吐反射の誘発や歯形とりが苦手な方も、肉体的・精神的負担が軽減されます。

④クリンチェック

歯型のデータや精密検査の結果などをもとに治療計画立案ソフトウェア「クリンチェック」を使って、歯がどのように動き、どのように仕上がるのかをご確認いただけます。治療開始前にこのシミュレーション画像を使って、患者様に治療計画を分かりやすくご説明いたします。

⑤治療開始

発注後約2週間~約1か月で歯科医院にマウスピースが届きます。そして、マウスピースをお渡しし、患者様にマウスピースの取り扱い方法や注意点、着脱方法をご説明します。マウスピースは1日22時間以上装着し(当院では、より効果を上げるために1日22時間以上装着していただくようお願いしています)、約1週間~約2週間に1回のペースでマウスピースを交換していただくことで、歯を動かしていきます。また、必要に応じてアタッチメント付与やIPR(歯間削合)を治療計画に沿って行います。

アタッチメントとは

アタッチメントとは、歯の表面に付ける歯に近い色のコンポジットレジンの突起物のことです。
歯に何も付いていない状態の場合と歯の表面にアタッチメントを付ける場合を比較すると、アタッチメントが付いている方がよりマウスピースの保持力を強化します。そして、アタッチメントはどのように歯を動かすかによっていろいろな種類の形状があり、アタッチメントによって精密に歯を動かすことができます。しかし、アタッチメントはエナメル質の表面に装着しているため、稀に外れることがあります。外れた場合は、歯科医師の判断によって再装着を行います。治療終了後は、アタッチメントをすべて外します。

⑥定期検診

1か月半~2か月に1回のペースで通院していただきます。マウスピースの適合や歯が治療計画通りに移動しているかどうかなどを確認します。

⑦保定

矯正治療が終了すると保定期間に移行します。
保定とは、矯正治療によって動かした歯が後戻りしないようにすることです。ワイヤー矯正の方もマウスピース矯正の方もどちらの場合でも、矯正装置を外して歯を開放すると、ほんの数日で歯が動いてしまいます。その後戻りを防ぐために、保定装置を使用して歯並びを維持させます。
※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

メリット

1.目立ちにくい

透明に近いマウスピースなのでほとんど気づかれません。ワイヤー矯正に比べて目立ちにくく、マウスピース矯正を希望される方も多くおられます。

2.取り外しが可能

インビザラインのマウスピースは取り外しが可能です。患者様自身で取り外しが出来るため、食事の時に取り外すことができるので、普段通りの食事が矯正治療中でも行えます。

3.清掃性がよい


ワイヤー矯正では、装置に引っかかったものを無理矢理取ろうとすると装置が外れてしまうことや、矯正装置の周りを丁寧に磨こうとすると時間がかかってしまいますが、フロスや歯間ブラシなどを普段通り行うことができます。

4.金属アレルギーの方でも治療可能

インビザライン治療では、金属のワイヤーや材料は使用しないため、金属アレルギーの方は安心して治療を受けることができます。

デメリット

1.歯並びによって対応できない場合がある

患者様の歯並びによっては、マウスピース矯正のみでは治療できないケースがあります。

2.患者様自身がマウスピースを管理しなければならない

マウスピース矯正は、決められた時間や交換する期間などを守らなければ歯は動かず、マウスピースが合わなくなってしまいます。また、マウスピースを紛失・破損したというトラブルも多くあります。自宅でマウスピースをティッシュに包んでいると間違えて捨ててしまったり、飼い犬が噛んでしまって破損してしまう、さらに外出中や旅行中に紛失するケースもあります。
マウスピースを紛失してしまった場合は再製作する必要があるので、その分治療期間が長引いてしまいます。このような自宅・外出・旅行など、さまざまな紛失・破損の原因になる場所や状況が多くあります。十分に注意していただき、マウスピースを外した際は、すぐに専用のケースに入れる癖をつけることが重要です。

3.装着中は水以外の飲食ができない

写真⑧
マウスピースを装着しているときは、飲食は原則できません。マウスピースを装着して食事すると、マウスピースの中に汚れが溜まって虫歯になるリスクが高まります。また、飲み物も制限されます。水分は水で摂ることをお勧めします。砂糖が入っている飲み物や砂糖の入っていない炭酸飲料も口の中を酸性にするので、虫歯のリスクを高めます。その他、コーヒーや紅茶などの色の濃い飲み物はマウスピースに着色してしまいますので、マウスピースを装着しているときは水のみになります。水以外を飲まれる際は、装置を外してから飲むようお願いします。飲食後は、歯磨きやお口をゆすぐなどをしてからマウスピースを装着することが大切です。

2023.09.13

矯正中の食事について

歯列矯正中は、食事が食べにくいと想像される方が多くいると思います。
ご想像通り、装置に食べ物が引っかかることや、食べにくいものもあります。
しかし、食べ方に気を付けることでほとんどのものを食べることができます。

矯正治療中に気をつけたい食べ物

装置を壊してしまうリスクがある食べ物

粘りの強いものや装置にくっつきやすいもの、固いものはなるべく控えたほうが良いでしょう。
特に、ガムは溶けないので装置に一度へばりついてしまうと取るのが困難なので気を付けましょう。
キャラメルなどの溶けるものは、食べていただいても構いませんが虫歯のリスクになる為、ダラダラと食べることはおすすめしません。
ハード系のパンやせんべいなどの固いものは、装置にガリっと当たると外れる原因になります。

食べ方に注意が必要なもの

食べられないものはありませんが、食べ方に注意が必要なものはあります。
表側のワイヤー矯正では、前歯で噛み切る、丸かじりをするような食べ方をすると装置を壊してしまうリスクがあります。

装置に着色してしまうもの

ワイヤー矯正の方

カレーやキムチ白いプラスチック製の装置やワイヤーに装置を固定するゴムが着色してしまいます。ワイヤー矯正に影響はありませんが、着色により歯の色から浮いて見えます。プラスチックやゴムについた着色は、歯磨きでは落とせないです。

マウスピース矯正の方(インビザライン)

マウスピースを装着しているときは、基本的にお水しか飲食できません。
マウスピースを装着したままの食事は、マウスピース破損につながるためできません。また、マウスピースを装着したまま清涼飲料水を飲むと清涼飲料水に含まれている砂糖が長時間歯にくっついていることになります。そうすると、むし歯になるリスクが高くなってしまいます。
コーヒーやワインなどを、マウスピースを装着したまま飲食するとマウスピースの着色だけでなく、歯にも着色してしまうため控えるようにしましょう。
お茶も飲んでいただいても問題はありませんが、歯に茶しぶがついてしまったり、マウスピースの着色につながるので気になる方は、マウスピースを装着しているときの水分補給はお水をおすすめいたします。
清涼飲料水や着色がつきやすい飲み物を摂取するときは、一度マウスピースを外してから飲みましょう。

歯や装置にはさまりやすいもの

矯正中は歯が動くので、一時的に歯と歯に隙間ができるので食べ物がはさまりやすくなります。特に、ラーメンやパスタなどの麺類がはさまりやすくなります。
装置の形によっては、ねぎやにらなどのような細い食べ物がぶらんとぶら下がる場合があります。指で取ったり、うがいをしてもなかなか取りづらいので当院では歯ブラシを持ち歩くことをすすめています。歯ブラシがあるとブラシの部分で、食べ物を取り除くことが簡単に行えます。

歯の動きによる痛みがある時にオススメの食べ物

歯が動くことで生じる痛みがある時は、やわらかい食べ物が食べやすいです。
矯正中の食事にオススメのメニューをほんの一例になりますが、紹介しますのでご自身の食べやすいメニューを見つけて、バランス良く栄養を摂取できるよう工夫してみてください。

歯の痛みを感じにくい食べ物

●おかゆ、お茶漬け、ドリア、リゾット
●やわらかいパン類
●スープ、味噌汁、シチュー
●マッシュポテト
●ヨーグルト、ゼリー
●温泉卵

噛みやすい食べ物

●煮込みハンバーグ、ハンバーグなどのひき肉料理
●うどん
●茶碗蒸し
●水餃子
●オムレツなどの卵料理
●煮物
●麻婆豆腐などの豆腐料理

歯の痛みが和らいできたときは、ある程度の食べ応えがありつつ、強く嚙みしめる必要がない食べ物がおすすめです。

矯正中の食事のとり方のコツ

硬い食べ物は避ける

矯正装置に当たって変形してしまったり、外れてしまう原因になるような硬い食べ物はなるべく控えましょう。
また、噛みしめる際に強い力が必要な食べ物は、装置をつけたばかりの方や新しくワイヤーを交換した方にとっては痛みの原因になってしまいます。

粘着性のある食べ物に気を付ける

粘着性のあるガム・キャラメル・お餅などは矯正装置に付着してしまうリスクがあるため、食べていただいても構いませんがくっついてしまった場合は、歯ブラシで取り除いたり溶けるのを待ちましょう。
(※装置によってはガムを禁止しているものもあります。)
装置が頻繁に外れてしまうと、歯への正しい強制力が働かず治療が進まない原因になってしまいます。

奥歯でやさしく噛む

歯にはさまりやすい食べ物を避けていても、前歯付近の装置に食べかすが引っかかってしまうことがあります。
食べ物がはさまっていると違和感がありますし、見た目も気になってしまうので奥歯の辺りでやさしく噛むことをおすすめします。

外食する時は歯ブラシを持ち歩く

ワイヤー矯正をしている場合、マウスピース矯正とは異なり矯正装置がお口の中についた状態で食事をします。
そのため、装置のまわりに食べ物が溜まりやすいというデメリットがあります。
また、歯の裏側に装置がついている場合、ニラやネギのような細い食べ物が装置にぶら下がることがあります。そのようなとき、歯ブラシがあると簡単に取り除くことができます。
さらに、歯ブラシと一緒にデンタルフロスや歯間ブラシを持ち歩くと便利です。
歯が動いている最中だと、奥歯に細い麵類や鶏肉などとてもはさまりやすくなります。大抵は歯ブラシで取り除くことが可能ですが、歯と歯の隙間に細い食べ物がはさまると歯ブラシで取り除くことが困難な場合があります。
ですが、デンタルフロスや歯間ブラシだと簡単に取り除くことができるので一緒に持ち合わせているといざという時に助かるかと思います。

食材の大きさや固さを工夫する

大きな食べ物や固い食べ物は、装置が外れたり壊れる原因になってしまいます。
そのため、矯正期間中は食べ物の大きさを小さめサイズにしてみたり、やわらかくなるように調理して食べることをおすすめします。

少量ずつ食べる

やわらかい食べ物でも、お口いっぱいに頬張って食べることは避けましょう。
矯正装置に慣れるまでは、食事を食べることが困難に感じると思います。
食事を少量ずつ食べることで、食事の違和感を大きく軽減できるでしょう。

こまめに水分補給をして洗い流す

食事中はこまめに水分補給を行い、食べかすを流すと良いでしょう。
水分補給の際は、清涼飲料水ではなく、お水やお茶がおすすめです。
糖分が入った清涼飲料水をダラダラ飲むと虫歯の原因になってしまいます。

食べ物が詰まった時の対処法

食べ物や食べ方に注意していても、矯正装置に食べ物がはさまったり、詰まってしまうことがあります。
取り外しができないワイヤー矯正の場合は、お水をお口の中に多めに含んでしっかりブクブクうがいをすることで、大きめの食べかすを取り除くことができます。ワイヤーと歯の隙間や装置の周りを磨くときは、一般的な歯ブラシでも構いませんが、歯ブラシのヘッド部分(ブラシの部分)が小さい歯ブラシがオススメです。小回りの利くワンタフトブラシもとても磨きやすいので、普段使っている歯ブラシと併用すると磨き残しが減るでしょう。
矯正装置に詰まった食べ物を放置すると虫歯になるリスクが高くなります。
歯の健康を維持するために、食後はなるべく歯磨きをすることをオススメします。

2023.09.06

マウスピース治療での注意点(飲み物編)

マウスピースで歯列矯正治療をしている際の注意点を(飲み物編)・(食べ物編)・(日常生活編)の三部構成でお話します。今回は(飲み物編)です。私自身、マウスピースで歯列矯正治療をし、先日、保定期間にはいりました。長い歯列矯正治療を終え、気をつけたこと、実際に試してみたこと、日常生活で困ったことなど体験談としてお話していきます。

今現在、マウスピースで歯列矯正治療中の方や、今後マウスピースで歯列矯正治療をお考えの方にも参考になればと思います。マウスピースでの歯列矯正治療の、一番のメリットは食事の時に装置を外せることです。そして透明なので目立たないことですが、気を付けなければならない事がワイヤー治療より沢山あります。それが逆にデメリットとなる場合があります。ワイヤーでの歯列矯正でも、マウスピースでの歯列矯正でも、歯の並びを綺麗にするための歯列矯正治療は、長期間になります。

このコラムを読んでいただき、ご自身の生活スタイルもふまえてマウスピースでの歯列矯正治療をお考えください。なお、マウスピースのことをアライナーと呼びます。下記からは、アライナーと書いていきます。

アライナーとは

マウスピースの歯列矯正治療に使われる装置のマウスピースのことを、アライナーといいます。当院では、インビザライン社のアライナーを使用しています。とても透明でつけていても他の人から歯列矯正治療中だと気づかれたことがないぐらいとても自然です。ただ、透明がゆえに使用していると飲み物や食べた物での着色が、アライナーにつきやすく黄ばみがつくようになります。

アライナーの黄ばみについて

アライナーをお渡しする時に最初の説明で、アライナーを装着している時の飲み物は水のみでお願いしますと当院ではお伝えしています。飲み物によってアライナーが黄ばんでしまうことがあります。黄ばんでしまっても使用するのは全く問題ありません。アライナーは10日~14日(歯の動きによって交換頻度は変わります)ごとに交換します。14日ごとの交換ならさほど気にならない黄ばみだと思いますが、追加アライナー(治療方針見直し)の時は、次の新しいアライナーが届くまで今のアライナーをずっと使っていただくことになります。長く使えば使うほど黄ばみは濃くなります。私がアライナーを使って治療している時に、一度、試しで泡ハイターにつけたことがありますが、黄ばみはほとんど取れませんでした。あまり取れなかったうえに、流水でよく洗ってもなんだか気持ち悪さだけが残りました。なので、交換まで日数が開くときは黄ばみの原因になるような、飲み物や食べ物は出来るだけ控えていただいたほうがいいかと思います。

飲み物での黄ばみについて

私が実際に使用していて思ったのが、飲み物の中で一番黄ばみがついたのは、紅茶でした。ティーカップに紅茶をいれそのままにしていたら、カップに紅茶の茶渋がついて落とすときに洗剤でこすっても取れないなんて経験ありませんか?まさにそれと同じです。ちなみに、食べ物だとカレーが一番黄ばみます。紅茶のほかに、コーヒーや緑茶やワインもアライナーが黄ばむ原因になります。私は、お酒が飲めないのでワインでの着色は分かりませんでした。普段の生活スタイルで何をよく飲むのかで変わってくるかもしれませんが、黄ばむ原因になる、紅茶・コーヒー・緑茶・ワインは、アライナーをつけたまま飲むのは控えてください。

アライナーをつけている時の飲み物について

アライナーをつけている時は、歯は全部アライナーに覆われています。アライナーをつけたままでジュースやスポーツドリンクなどの砂糖の入っている飲み物を飲んでしまうと、歯が砂糖にパックされている状態になります。かなり虫歯になりやすいので、アライナーをつけたままでの砂糖を含む飲料水は控えてください。特に夏場の水分補給としてスポーツドリンクをこまめに飲んでいると、虫歯のリスクが高くなってしまいます。また、プロテインなども飲むときは必ずアライナーは外して飲んでください。

アライナーをつけている時に飲んでいいもの

アライナーをつけている時は、『水のみ』 です。

アライナーをつけたままの状態で飲んでも構わないのは、お水のみなので必ず守ってください。夏場の水分補給も、お水にしてください。

お茶や麦茶・コーヒーや紅茶もお砂糖が入っていなければ飲んでも大丈夫ですが、歯の着色とアライナーの黄ばみの原因になるので控えたほうがいいです。水のみを飲むのを習慣にしておけないと、ついうっかり飲んでしまうことがあります。私も最初は、アライナー生活が始まるまでずっとお茶を飲んでいたので、お水のみにするのがとても大変でした。でも、お水のみに慣れると

ちなみに、味がついているお水は糖分が入っているのでアライナーをつけている時はダメです。また、無糖であっても炭酸水は酸性で歯のエナメル質が溶けて虫歯の原因になるので、炭酸水もつけている時は飲めません。

アライナーをつけている時に飲んではいけないもの

甘い飲み物

  • ・ジュース(果物・野菜ジュース含む)
  • ・スポーツドリンク
  • ・乳酸飲料
  • ・甘みのある透明のお水

色が濃い飲み物

  • ・紅茶
  • ・コーヒー
  • ・赤ワイン

温かい飲み物(アライナーが変形する可能性がある)

  • ・ホットコーヒー(紅茶含む)
  • ・スープ
  • ・味噌汁

アライナーを外している時は大丈夫?

アライナーをつけている時だけ気を付けてお水のみにすれば、アライナーを外しているとき(食事中)は、ジュースでもお酒でも飲んでも構いません。ただし、食事後に歯磨きが出来ずにアライナーをつけるときは、お口をよくすすいでからつけるようにしましょう。歯列矯正治療中は、歯が動いているときに歯と歯の間に隙間ができてきたり、矯正の装置がはいっています。ワイヤーでの治療でも、マウスピースの治療であっても、食事後に歯磨きの習慣が身につけば虫歯のリスクは減ります。可能であれば、学校や職場でも食後は歯磨きをしてからアライナーをつけるようにしていただければ、虫歯予防にもなり、アライナーの着色も防ぎ、歯列矯正治療が結果的にスムーズに進みます。

アライナーは、原則一日22時間使用しなければなりません。アライナーを外していいのは、ご飯を食べる時と、歯磨きの時だけです。22時間つけている時は、お水だけで他の飲食は厳禁です。

慣れるまでは大変ですが、こんな時はどうしたらいいか?など少しでも疑問や質問などありましたら、いつでも当院にお問い合わせください。お待ちしております。

 

2023.08.30

保定装置と後戻りについて

今回は、歯列矯正治療が終わったあとに使用していただく、保定装置(リテーナーといいます)と、保定装置を決められたとおり使用していないとおきる後戻りについてお話します。何年も頑張って歯列矯正治療をして、綺麗な歯の並びと正しい噛み合わせになっても、歯は元に戻ろうとして崩れてしまいます。歯列矯正治療後に、歯の並びが崩れてしまうことを、後戻り(あともどり)といいます。

歯列矯正治療は、何年もお口の中に、ワイヤーやブラケットなど様々な装置が入っています。歯列矯正治療の治療期間が終わると、装置を全部取りますので開放感とともに、お口の中がスッキリします。ご飯も食べやすくなりますし、歯磨きもしやすくなります。この開放感や達成感からつい保定装置(リテーナー)をつけるのを忘れてしまうと、歯はすぐに元に戻ろうと動いてしまいます。歯列矯正治療は、歯を動かす時期を治療期間といい、矯正の装置を外したあとに歯を固定する時期を保定期間といいます。歯列矯正治療が終わったら治療した歯の位置が元に戻らないようにするために固定をし歯を今ある正しい位置に定着させなければなりません。後戻りを防ぐためにも、保定装置(リテーナー)の必要性を知っていただければと思います。

保定装置(リテーナー)とは

歯列矯正の治療後に使う装置のことを、保定装置(リテーナー)といいます。歯列矯正の治療後、装置を外してすぐの歯は、歯と歯の周りの骨(歯槽骨)がまだ不安定なため動きやすくなっています。動きやすい歯は、自然に元の悪い歯並びの時の位置に戻ろうとします。歯が元の位置に戻らないよう定着するために、保定装置(リテーナー)をお渡しします。保定装置は、主治医の判断に従い正しく適切にお使いください。

保定期間とは

歯列矯正治療が終了し、綺麗に整った歯並びと噛み合わせを保定(固定)する期間を、保定期間といいます。矯正の装置を外して最初の一年間(特に外した直後の数日)は、歯が元に戻りやすいので、食事の時、歯磨きの時以外は、保定装置(リテーナー)を必ず使用するようにしてください。後戻りがなく歯の並びが安定してきたら、主治医の判断で、夜(寝る時だけ)など使用する時間は短くなります。また、通院間隔も保定後は、1か月後、3か月後、6か月後となり、その後は1年ごとの通院になります。

 

保定装置(リテーナー)の種類

当院では、歯列矯正治療後の保定装置(リテーナー)は、基本的に可撤式(取り外し可能)の保定装置を使用しますが、例外的に固定式(取り外し不可)の保定装置を使用することがあります。

①可撤式の保定装置

可撤式(かてつしき)の保定装置は、取り外しが可能です。下の歯の保定装置は、歯列矯正治療を行った部位や歯列によって、形が変わります。保定開始後1年間は毎日(一日中)つけてください。食事と歯磨きのときは、外してください。

可撤式保定装置のメリット

  • ・耐久性が良いため長期間の使用が可能
  • ・取り外しが出来るので、食事や歯磨きがしやすい
  • ・歯磨きがしやすいので虫歯のリスクが減る
  • ・咬合面(噛み合わせ)が覆われていないので噛み合わせの影響がない

可撤式保定装置のデメリット

  • ・慣れるまで話しづらい
  • ・銀色のワイヤーが表側にくるので、お口を開けたときに保定装置が見えてしまう
  • ・自分で取り外しが出来るため、長時間外したままにすると歯が後戻りしやすくなる

②固定式の保定装置(フィックスドリテーナー)

固定式の保定装置は、取り外しが出来ません。半永久的に、細いワイヤーを歯に接着したままになります。

固定式の保定装置のメリット

  • ・装置が歯の裏についているため、他の人から見えない
  • ・取り外す必要がないため手間がかからない
  • ・装置が外れなければ後戻りしにくい

固定式の保定装置のデメリット

  • ・歯の裏側につけるため慣れるまで舌感が悪くなる
  • ・細いワイヤーがついているため保定部分にデンタルフロスが使用できない
  • ・歯石がつきやすくなる
  • ・外れていることに気づかないと歯が後戻りしてしまう

白いワイヤー・マウスピース治療後の保定装置

標準でのワイヤー治療は銀色のワイヤーですが、目立たない白いワイヤーで治療された方や、マウスピースでの治療を終えた方の保定装置は、保定後もできるだけ目立たないように前歯の部分は、樹脂製の半透明の保定装置をお渡ししております。半透明なので審美性が高く、保定中も目立ちにくくなっています。

保定装置(リテーナー)のお手入れ方法

取り外しができる保定装置は、外した後、流水でよくすすいでください。特に朝起きてすぐの保定装置は、日中よりも唾液が多くついていますので、よくすすいでください。歯ブラシに歯磨き粉をつけて軽く磨いていただいても構いません。その際も、よく流水ですすぐようにしてください。出来ましたら、一日に一回洗浄剤(ポリデント 矯正用リテーナー用洗浄剤)などを利用していただくと、清潔にお使いいただけます。また、熱で変形してしまうため、熱湯で洗うことや夏場など高温になる車内に放置することはやめてください。保定装置を外したら、必ずケースにいれてください。小さいお子さんがいたずらしたり、ペットが誤って食べたり噛んだりしてしまうことがあります。紛失や破損すると別途料金がかかりますのでご注意ください。

後戻り(あともどり)とは

歯列矯正治療をして、綺麗に整った歯の並びが、治療後に矯正の装置を外したあとに歯が元の場所に戻ろうと動いてしまうことを後戻り(あともどり)といいます。ワイヤー治療やマウスピース型の治療など、どの治療をしても保定装置を正しく使用していないと後戻りをしてしまいます。また、舌癖が残ったままだと後戻りの可能性が高くなります。

保定装置(リテーナー)の必要性

保定装置(リテーナー)は、歯を動かして正しい位置にする矯正治療とは異なり、正しい歯並びに整った歯をその位置から動かないように定着(固定)するために使用します。

ぜひ、このコラムを読んでいただき、保定装置(リテーナー)の必要性を理解して、後戻りを防ぎ綺麗な歯並びと噛み合わせを維持していただきたいです。

当院では、保定期間が1年過ぎても問題がなければパジャマのようにお使いください。とお伝えしています。寝る時にパジャマを着るように日常の生活の一部として保定装置(リテーナー)を長くご使用してください。ただし、加齢によって生じる歯並びの変化は止められません。ご使用中に、紛失・破損など気になることがありましたら、いつでも当院にご連絡をお願いいたします。

2023.07.14

『歯ならび』と『スポーツ』の関係とは

スポーツをしている大人の方・部活動をしている学生さん・運動系の習いごとに通っているお子さまで、歯ならびや嚙み合わせに悩みを抱えつつも、スポーツが出来なくなることを恐れて歯列矯正を諦めていませんか。スポーツをしている方でも可能な歯列矯正の方法があるので、歯ならびや嚙み合わせで悩んでいる方は是非参考にしてみてください。

矯正治療中にスポーツはできるのか

スポーツをしている人が歯列矯正をするのは、基本的に問題はございません。
治療中に装着している装置が壊れてしまったり、患者様側が治療を一時中断しなければならないことが起きない限りは、治療期間も3年で終わるケースがほとんどです。
スポーツを頑張っている方ほど、歯ならびや嚙み合わせを整えるとたくさんのメリットもあります。スポーツの種目によって噛む力が発揮される場面は異なります。
例えば、陸上などのスピード系の競技ではスターティングの際にしっかり噛みしめることにより体のブレを防げます。
他にもウエイトリフティング(重量挙げ)などのパワー系競技では力を込めて、しっかり噛みしめることで、最大パフォーマンスを発揮することができます。
強い動作を行う時に、しっかりと噛みしめることで、より高い瞬発力を発揮することが期待できます。

スポーツをしていても可能な矯正治療の種類

① ワイヤー矯正(表側矯正)

歯の表面にブラケット(一般的な歯につける装置)を装着し、ワイヤーを通す方法です。
ワイヤー矯正の特徴は、さまざまな症状に対応することができます。
【ワイヤー矯正(表側矯正)のメリット】
装置が歯の表面についているため、舌にあたらず大きな声を出しても影響がありません。

【ワイヤー矯正(表側矯正)のデメリット】
装置が目立ってしまうことです。
ですが、当院では小臼歯まで白いプラスチックのブラケットを追加費用なしで使用しているため、金属のブラケットよりかなり目立ちにくい見た目になっています。
さらに、追加費用がかかりますが白いワイヤーも準備しているので、見た目が気になる方も安心して治療を受けていただくことが可能です。

② ワイヤー矯正(裏側矯正)

歯の裏側にブラケットを装着し、ワイヤーを通す方法です。
【ワイヤー矯正(裏側矯正)のメリット】
外から見て目立ちにくいですが、スポーツをする方にはデメリットのほうが多くなります。
【ワイヤー矯正(裏側矯正)のデメリット】
歯の裏側に装置をつけるのはベテランの歯科医師でも難しいため、競技中の転倒などによって外れてしまった場合、修復するのに時間がかかります。
外れることが多ければ、治療が長引いてしまう可能性もあります。
他にも、装置が舌にあたることが多いので声を出すときに気になってしまうかもしれません。
装置がお口の粘膜に触れてしまう回数が増えると口内炎などのトラブルにつながる可能性も高まります。

③ マウスピース矯正

マウスピース型の矯正装置を使って歯を動かしていく方法です。
【マウスピース矯正のメリット】
裏側矯正と同じく目立ちにくいことです。
【マウスピース矯正のデメリット】
マウスピースの1日の装着時間が決められているため、マウスピースを外している時間が長いと治療がなかなか進みません。
また、マウスピースをつけたままスポーツドリンクや清涼飲料水を飲んでしまうと虫歯になってしまいます。
マウスピースを矯正は、患者様の自己管理が重要になります。

スポーツ選手・運動部が歯列矯正をするメリットとデメリット

スポーツ選手や運動部が歯列矯正を行うことにより、さまざまなメリットを得ることができます。
また、見た目の美しさだけでなくパフォーマンスアップにつながる可能性も高まります。スポーツの活動と平行して進めるのは大変なイメージがしますが、自分の通いやすい場所や信頼のできる歯科医師が見つかれば、ストレスなく快適に矯正治療を進めやすくなるでしょう。

【メリット】
① 歯ならびや噛み合わせが良いと身体能力や瞬発力にも良い影響があるといわれています。
また、歯ならびをよくすると噛み合わせが良くなるため、左右のバランスが整う効果も期待することができます。
②噛み合わせがよくなると噛む力が強くなるため、食べ物の咀嚼もしやすくなります。なので、食事の消化が良くなり、効率よく栄養補給ができるようになることが期待できます。
【デメリット】
① スポーツをしている時に矯正装置が外れてしまう可能性があることです。
スポーツの種類によっては、接触や転倒で矯正装置が外れていがんでしまい、お口の中が傷付いてしまうリスクがあります。

お口の中が痛かったり違和感がある状態だとスポーツに集中できず、ストレスに感じてしまうかもしれません。
②水分補給の時に、スポーツドリンクや清涼飲料水を飲むと虫歯のリスクが高まります。とくに、マウスピースを装着しているままスポーツドリンクなどの糖類が含まれている飲み物を摂取すると、糖を歯にパック(お顔などに貼るパックのことです)していることになるので非常に危険です。
なので、歯列矯正治療中の方には水分補給はお水かお茶をおすすめしております。もし、スポーツドリンクや清涼飲料水を飲む場合は、飲んだ後にお水を飲んだり歯磨きやうがいをしてお口の環境を整えましょう。

歯ならびと噛み合わせのスポーツの関係

① 筋肉に影響する

スポーツ中に力を入れる時、顎が正しい位置にないと最大限の力が発揮できないとされています。顎を正しい位置にもっていくためには、歯列矯正をして歯ならびや噛み合わせを正しくすることが重要となります。
噛むことで大脳にある咀嚼運動野を活性化し、全身の筋力アップにつながるということが近年分かってきました。

②全身のバランスが崩れてしまう

歯ならびや噛み合わせが悪いと頭や顎の位置が正しくなくなってしまいます。
そうなると頭が痛くなったり、顎が痛くなったり、肩や首などの身体の筋肉にも影響を及ぼすリスクがあります。

③口呼吸を日常で行っていると酸素欠乏症になりやすい

歯が出ていて(出っ歯)お口が閉じづらい、鼻がつまって鼻呼吸がしづらいなどによって鼻で呼吸することが難しい方は、口で呼吸することが癖になってしまっています。
スポーツをしているときに口で呼吸していると『酸素欠乏症』になるリスクが高くなってしまいます。
なので、歯列矯正で歯並びの改善や耳鼻咽喉科で鼻で呼吸ができるように改善することをおすすめします。
他には、普段お口がポカンと開いたままになっている方もお口で呼吸するくせがついてしまっているかもしれません。
そのような場合は、鼻で呼吸するよう意識してみてください。

④ケガをしてしまったり痛めたりするリスクが高くなる

歯ならびや噛み合わせが悪いままの状態でスポーツをするということは、
身体のバランスが歪んだり、正しくない状態でスポーツをしていることになります。

⑤むし歯や歯周病にかかりやすくなる

歯ならびが悪いと歯磨きが行いづらいので、食べかすが溜まりプラークや歯石ができやすくなってしまいます。
そうなると、むし歯や歯周病にかかるリスクが高くなってしまいます。
歯の痛みにより集中力が欠けてしまったり、食いしばったときに歯が欠けたり割れてしまう原因にもなります。

まとめ

「歯ならび」と「噛み合わせ」が「スポーツ」と関係していることが分かっていただけましたか?
スポーツをしていても問題なく歯列矯正を行うことができます。
歯ならびや嚙み合わせを改善することで、パフォーマンスの向上につながります。
歯列矯正に興味のある方、気になっている方はぜひ一度相談してみることをおすすめします。

2023.07.07

不正咬合とは?

今回は、学校歯科健診で噛み合わせにチェックがはいった場合の不正咬合とは何かについてお話ししたいと思います。
前にもお話したように、学校歯科健診での歯列・咬合の判定は、学校歯科医会による判定基準により
・異常なし=0
・定期的な観察が必要=1
・専門医(歯科医)による診断が必要=2
上記の3つに分けられています。
今回は、咬合判定で「2」だった場合の基準について説明していきます。

咬合判定「2」の判断基準

・下顎前突 前歯部2歯以上の逆被蓋
・上顎前突 オーバージェット7~8mm以上(デンタルミラーの直径の半分以上)
・開  咬 上下顎前歯切縁間の空隙が6mm以上(通常のデンタルミラーのホルダーの太さ以上)ただし、萌出が歯冠長の1/3以下のものは除外
・叢  生 隣接歯が互いの歯冠幅径の1/4以上重なり合っているもの
・正中離開 上顎中切歯間の空隙が6mm以上(通常のデンタルミラーのホルダーの太さ以上)
・その他  上記以外の状態で特に注意すべき咬合並びに特記事項
(例えば、過蓋咬合、交叉咬合、鋏状咬合、逆被蓋(たとえ1歯でも咬合性外傷のあるもの)、軟組織の異常、過剰歯、限局した著しい咬耗など)

正常咬合(正常な歯並び)と、不正咬合の違いと種類

正しい歯並び(歯列)や噛み合わせを正常咬合といいます。問題がある歯並びや噛み合わせは不正咬合といいます。

①正常咬合(せいじょうこうごう)

正常咬合とは、
1、真正面からみて、上の前歯と下の前歯の真ん中(正中)がそろっている。
2、奥の歯は、横からみたときに山と谷がちゃんと噛み合っている。
3、上の前歯が、下の前歯を2~3ミリおおって前にでている。
4、上下の歯列(歯並び)が、きれいなアーチ状になっている。
上記以外の歯列(歯並び)は、不正咬合といいます。

不正咬合の種類

②反対咬合(はんたいこうごう)(下顎前突も含む)

反対咬合とは、噛んだときに上の歯より下の歯が前にでている歯並びのことをいいます。
つまり、正しい噛み合わせの逆になっているということです。
一般的には、「受け口」とも呼ばれています。

③上顎前突(じょうがくぜんとつ)

上顎前突とは、上の前歯や歯ぐきが前に飛び出ている歯並びのことをいいます。
前歯(上顎)全体が出ている場合と、前歯1~2本が突出している場合がありますがどちらも上顎前突になります。
一般的には、「出っ歯」と呼ばれています。
奥歯で噛んでも、上の前歯が出ていることで唇が閉じれずに少し口が開いた状態になります。意識して閉じれば下顎(唇の下)に梅干しのようなシワができるのも特徴的な症状です。

④叢生(そうせい)

叢生とは、歯が前後にデコボコと並んでいる状態や、ガタガタになっている歯並びのことをいいます。
乱杭歯(乱ぐい歯)とも言われます。歯列がデコボコになっているので、歯磨きをしても歯ブラシの先がちゃんと届かずに、虫歯や歯周病になりやすくなります。
八重歯もこの1つで叢生になります。

⑤開咬(かいこう)

開咬とは、奥の歯をかんでも、上と下の前歯が噛み合わずに隙間がある歯並びのことをいいます。
オープンバイトともいわれます。
隙間から舌を出してしまう癖(舌癖)があるのも特徴的な例です。
また奥の歯を噛んでも上下の前歯の間が開いているため、食べ物が前歯で噛めずに奥歯に負担がかかります。

⑥過蓋咬合(かがいこうごう)

過蓋咬合とは、上の前歯の噛み合わせが深くて下の前歯がほとんど見えない状態の歯並びのことをいいます。
ディープバイトともいわれます。
深く噛んでいることで、前歯で食べ物が噛みきれなかったり、上の前歯の内側の歯ぐきに下の歯の前歯があってしまっていることがあります。

⑦交叉咬合(こうさこうごう)

交叉咬合とは、奥歯の噛み合わせが(左右どちらかに)ずれている。または、前歯の噛み合わせが何本か逆噛みになっていることをいいます。噛み合わせが横にずれているので正中(せいちゅう)があっていないことが多いです。

⑧正中離開(せいちゅうりかい)

正中離開とは、上の前歯の真ん中に隙間があって、文字のとおり正中(せいちゅう)が離れてしまっていることをいいます。
上の前歯の正中離開は、一番目立つ部分なので気になる方も多いです。
また、上唇小帯(じょうしんしょうたい)の影響で、隙間ができている場合もあります。

⑨空隙歯列(くうげきしれつ)

空隙歯列とは、全体の歯(上下)の歯と歯の合間にすきまがあることをいいます。
一般的には、すきっ歯と呼ばれています。
上の前歯にすきまがあるのは、正中離開。
歯全体にすきまがあるのを、空隙歯列といいます。
正中離開と同様に、歯にすきまがあるので食べ物がはさまりやすくなり虫歯や歯周病になりやすいです。また、すきまから空気が漏れてしまうので発音(サ行やタ行など)が言いづらい舌足らずな喋り方になることがあります。

⑩鋏状咬合(はさみじょうこうごう)

鋏状咬合とは、上と下の奥歯が噛み合っていない(すれ違っている)状態のことをいいます。
シザースバイトともいわれています。
鋏状咬合の場合、歯が外側や内側に大きく倒れていることが多く、頬っぺたを噛んでしまって口内炎になる方もいます。また、歯が倒れていることで歯磨きがしづらく虫歯や歯周病に注意が必要です。

まとめ

不正咬合には、様々な種類があります。

不正咬合を治療することで、正常な歯並びになり虫歯や歯周病を予防して健康な歯を将来多く残しておくことが必要だとおもいます。

学校での歯科健診や、かかりつけの歯科医で不正咬合といわれたら、矯正専門の医師がいる当院へ一度ご相談ください。

2023.06.30

Ⅰ期治療とⅡ期治療

子どもの歯列矯正(混合歯列)には、成長を利用して土台となる顎の骨の形を整える〝Ⅰ期治療 〟と
永久歯(大人の歯)が生えそろってから歯をきれいに並べる〝Ⅱ期治療 〟 の2種類に分類されます。

混合歯列とは、お口の中に乳歯(子どもの歯)と永久歯(大人の歯)の両方が生えていることです。
年齢でいうと6歳~12歳頃の学童期が目安となります。

Ⅰ期治療とは

子どもの成長を利用して、装置などを使用して上下の顎の骨のバランスや形を整えて成長を促し、永久歯が生えてくるためのスペースを作ります。

Ⅱ期治療とは

永久歯が生えそろったら、歯を動かして歯並びや噛み合わせを整えます。

○ Ⅰ期治療 ○

Ⅰ期治療では、専用の装置を使って顎の骨の拡大や牽引で方向の調整などを行い、上下のバランスを整え、永久歯が生えてくるためのスペースを作るための土台作りをします。
この土台作りを行うことにより、永久歯が重なりあったりすることや、噛み合わせが悪くなるリスクが下がります。

Ⅰ期治療を始める目安

Ⅰ期治療は早くから始めれば始めるほど良いというわけではありません。
場合によってはⅡ期治療のタイミングを待って、矯正治療を開始することをおすすめする方もいます。
お子様にⅠ期治療が必要なのか、始め時なのか、判断は難しいかと思います。
また症状によっては、早く治療を開始した方が良い場合もあります。なので、気になる方は一度専門医に相談をしてみることをおすすめします。
詳しい治療方針等は精密検査を行ってみないと分からないですが、似た症例をもとにお話しを伝えることは可能なので是非一度ご相談下さい。

Ⅰ期治療の期間

Ⅰ期治療の治療期間はお子様により異なりますが、当院の目安としましては12歳臼歯(第2大臼歯)が萌出する頃を目安としています。

Ⅰ期治療で使われる矯正装置

お子様の症状に合わせて、お友達から見えないような固定式装置(取り外しできない)やお家で使う取り外し式装置(学校や外出の時はつけなくても良い)などを使います。
当院ではこの頃の時期にブラケットを使用した治療を行うことは、あまりありません。

Ⅰ期治療のメリットとデメリットについて

メリット

・成長を利用することができる!
・成長を利用して顎の骨の発育方向をコントロールしたり、顎を広げることができる!
・永久歯が重なり合ったり、噛み合わせが悪くなるリスクが下がる!
・歯並びのほかにも、正しい舌の位置や使い方などの訓練ができる!
・悪い癖(口呼吸や指しゃぶり)に気付きやすく、改善しやすい!

デメリット

・固定式装置(取り外しができない)の場合、歯磨きがしづらくなる。
そして、磨き残しのままの状態が続くと虫歯や歯肉炎を起こしてしまう可能性がある。
・取り外し式装置の場合、本人の協力が必要なので積極的に装置を
使用していただかないと効果が出ない。
・装置によっては本人だけでなく、保護者の方に協力していただく必要がある。
・Ⅰ期矯正の適応時期に達していても、お子さまの発育状態によっては開始時期を
遅らせる場合もある。

○Ⅱ期治療 ○

Ⅱ期治療とは、永久歯が生え揃った頃から行う矯正で、成人矯正と同じになります。
この時期になると顎骨の成長にある程度の目途がついているため、
永久歯の抜歯をせずに歯並びを整えることができる可能性が高くなります。

Ⅱ期治療を始める目安

12歳臼歯(第2大臼歯)が生えてくる頃が目安となります。
お子様により成長のスピードが異なりますが大体は12歳の頃に生えてきます。

Ⅱ期治療の期間

Ⅱ期治療の治療期間は症状により異なりますが、3年程度を見込んでいます。

Ⅱ期治療で使われる矯正装置

マウスピース型矯正装置

マウスピース型の矯正装置を使って歯並びを改善していく方法です。
透明なマウスピースを使用するので装置が目立ちにくいです。
また、自分で取り外しができるのでワイヤー矯正に比べて食事や歯磨きが行いやすくなります。
当院ではインビザラインを使用しています。
自分で取り外しが可能なため、患者様の協力度が必須となります。
決められた時間は使用していただかなければ効果がでず、さらに悪化してしまうケースもあります。

マルチブラケット治療

歯にブラケットを装着し、そこにワイヤーを通して歯を動かしていきます。
当院では小臼歯まで白いブラケットを追加費用無しで使用しているので、金属の装置より目立ちにくい見た目になります。
白いワイヤーもあるので、お選びいただくことも可能です。

部分矯正

歯並び全体ではなく、前歯や噛み合わせなど気になる部分の歯並びだけを整える方法になります。
通常の矯正治療と比べて、短期間・低価格で受けることができます。ですが、症状によっては部分のみの矯正が行えない場合もあります。

Ⅱ期治療のメリットとデメリットについて

メリット

・まず、Ⅱ期治療とはⅠ期治療を行っていることが前提となります。
なので、成人から始める矯正治療に比べて顎の骨の土台作りができているため、抜歯の可能性が低くなります!
・嚙み合わせが悪化する事を防ぐことができる!
・将来大人になってから矯正治療をしなくてもよい!
・歯並びが良くなることで歯磨きが行いやすくなるため、むし歯予防・歯周病予防にもつながる。
・しっかり噛み合うことで、食事が食べやすくなる。

デメリット

・選択する装置によっては、見た目が悪くなってしまう。
・症状によっては、Ⅱ期治療まで行っても外科手術が必要になることもある。

Ⅰ期治療とⅡ期治療の関係

基本的に、「Ⅰ期治療では顎の骨の土台作り、Ⅱ期治療では歯をきれいに並べる」という流れになるので、Ⅰ期治療とⅡ期治療はセットとしてお考えいただいた方が良いです。

 

2023.06.23

大人の矯正について

いつから始めればいいの?大人の矯正治療

「矯正治療はいつ始めればいいんですか?」「大人になってからでも矯正治療は間に合うんでしょうか?」など、矯正治療の始めるタイミングについての質問がよく寄せられます。
矯正治療は子どもが行うイメージがあると思います。
「大人から矯正治療を始めることはできるの?」と不安に感じている方も多いと思いますが、大人の方でも矯正を始める方が増えてきています。
今回は大人の矯正について、治療の開始時期・治療方法(種類)・メリット・デメリットについてお話していきたいと思います。

治療の開始時期は?

「大人から歯科矯正を始めるのは遅いのかな」と思っている方はいると思いますが、歯科矯正に年齢の制限はありません。ガタガタの歯を治したい方や歯ならびをきれいにして口元の印象を良くするためや虫歯・歯周病の予防のために矯正を始めている方も大勢います。
人と日常的に話す職業の方や、矯正装置が目立って気になるという方でも、透明のマウスピース型の矯正装置など「目立たない矯正装置」を使って矯正することもできます。
まずは、歯並びでお悩みの方は気軽にふじよし矯正クリニックにご相談ください。
矯正治療は見た目だけでなく、歯の健康を維持するうえでも大切な治療です。
歯並びをきれいに整えるためにも、大切な歯を病気から守るためにも、矯正治療を一度ご検討ください。

矯正治療の種類

ワイヤー矯正

もっとも一般的な矯正治療方法になります。歯の表面にブラケットを装着し、そこにワイヤーを通して歯を動かします。ワイヤー矯正といえば、銀色の金属製のブラケットに銀色のワイヤーのイメージがあると思いますが、当院では、前歯から小臼歯までを透明のプラスチック製のブラケットを使用しています。ワイヤーも銀色と白色のワイヤーがあります。
白いワイヤーとは、銀色のワイヤーの表面を白色にコーティングした目立たないワイヤーになっています。

メリット

・適応する範囲が広い
マウスピース矯正と比べて適応する幅が広く、マウスピース矯正では難しい症例でもワイヤー矯正では治療できる可能性があります。

・細かい調整ができる
マウスピース矯正と比べて細かい調整をすることで効率よく歯を動かすことができます。

・取り外す手間がない
ワイヤー矯正はマウスピース矯正と違って常に歯に装置がついているので、取り外すという行為がないため、装置を無くすこともありません。

デメリット

・装置が目立ちやすい
マウスピース矯正や歯の裏側に装置を付ける舌側矯正に比べて、歯の表面にブラケットやワイヤーを付けるため目立ちやすくなってしまいます。

・虫歯や歯周病になるリスクが高まる
ワイヤー矯正は取り外せないので、どうしても歯ブラシの毛先が届かず装置の周辺に汚れが溜まりやすくなってしまいます。汚れが残っていると虫歯や歯周病のリスクが高くなるので、歯ブラシ以外にブラケット周りやワイヤーの下など汚れが溜まりやすいところは、ワンタフトブラシや歯間ブラシを使用し、丁寧に磨いたり、定期的なメインテナンスを受診することが大切です。

・痛みがある

口の中に矯正装置が入り、歯が動き始めると痛みを感じます。
痛みは個人差がありますが、3日から1週間くらいで治まります。

・装置が外れることがある
ワイヤー矯正は固定式ですが、くいしばりや歯ぎしり、粘着性のある食べ物や硬い食べ物などを食べると装置が外れてしまう可能性があります。
装置が外れて付け直すのを後回しにしてしまうと、その部分だけ矯正力が加わらず、後戻りや歯の動きが遅くなり、矯正治療期間が長引いてしまいます。
装置が外れた場合は、付け直しが必要になりますので、早めのご連絡をお勧めします。

・高価
白いワイヤーは、通常の金属のワイヤーに白いコーティングをしているため、金属のワイヤーよりも価格が高くなっています。

マウスピース矯正

マウスピース矯正は、薄く透明なカスタムメイドで作られたマウスピースを一定時間装着することによって、歯を動かして歯並びを治す矯正治療です。
当院では、マウスピース型矯正装置(インビザライン)を導入しています。

インビザラインとは、1997年にアメリカのアライン・テクノロジー社によって開発された薄く透明なマウスピース型矯正装置です。
1日22時間装着することが必須で、1週間から2週間に1回のペースでマウスピースを交換することで、歯を動かしていきます。

メリット

・目立ちにくい
マウスピース矯正は、ワイヤー矯正に比べて目立ちません。矯正治療をしたくても目立つ矯正装置に気が進まず一歩踏み出せなかった方も、マウスピース矯正ならやってみたいと希望される方もいます。

・取り外しができる

マウスピース矯正は、食事と歯磨きの時は装置を取り外すことができます。取り外せることにより、歯磨きが治療開始前と同じようにできます。
しかし、装置を取り外せるということはメリットでもありデメリットにもなり得ます。
ワイヤー矯正の場合、24時間365日歯に矯正力が加わるため、しっかり通院していただければ治療は進みます。
マウスピース矯正の場合は、取り外すことはできますが、マウスピースを装着しなければ治療が進みません。装着時間は1日24時間以上の装着が必要になります。食事後すぐに歯磨きをしてマウスピースを装着すれば問題はありませんが、だらだら食いや装着時間を守らなければ、治療計画通りに歯は動かず、マウスピースが適合しなくなってしまいます。
その結果、治療期間が長引いてしまいますので、マウスピースの装着時間をしっかり守ることが重要になります。

・清掃性がよい

マウスピース矯正は取り外すことができるので、歯磨きが通常通り行うことができます。
ワイヤー矯正では、装置を外すことはできないので、装置の周りを磨くのに時間がかかってしまいます。その結果、歯磨きの困難さが虫歯のリスクを高めてしまいます。
しかし、マウスピース矯正では歯ブラシやフロス、歯間ブラシなどを使用することができます。治療中に歯が動くと歯と歯の間に隙間ができ、今まで挟まらなかったところに食べ物が挟まります。このような場合でも、フロスや歯間ブラシを使用することができるので、虫歯のリスクを抑えることができます。

・金属アレルギーの方でもできる
マウスピース型矯正装置は金属を使用しないため、金属アレルギーの心配がありません。

デメリット

・歯並びによっては対応できない場合がある
患者様の歯並びによっては、マウスピース矯正のみでは治療できないケースがあります。

・患者様自身がマウスピースを管理しなければならない
マウスピース矯正は決められた時間や交換する期間などを守らなければ、歯は動かずマウスピースが合わなくなってしまいます。
また、マウスピースを紛失・破損したというトラブルも多くあります。
自宅でマウスピースをティッシュに包んでいると間違えて捨てられてしまったり、飼い犬に噛まれて破損してしまう、さらに外出中や旅行中に紛失するケースもあります。
マウスピースを紛失・破損してしまった場合は、再製作する必要があるので、その分治療期間が長引いてしまいます。
このような自宅・外出・旅行など、さまざまな紛失・破損の原因になる場所や状況が多くありますので、十分に注意していただき、マウスピースを外した際はすぐに専用のケースに入れる癖をつけることが重要です。

・装着中の水以外の飲食ができない

マウスピースを装着しているときは、飲食は原則できません。
マウスピースを装着して食事をすると、マウスピースの中に汚れが溜まって虫歯になるリスクが高まります。また飲み物も制限されます。水分は水で摂ることをお勧めします。

砂糖が入っている飲み物や砂糖の入っていない炭酸飲料も口の中を酸性にするので、虫歯のリスクを高めます。砂糖の入っていないお茶は虫歯のリスクを高めることはありませんが、マウスピースに茶渋や汚れが付きやすくなります。その他、コーヒーや紅茶などの色の濃い飲み物はマウスピースに着色がついてしまうので、装置をつけているときは水のみになります。
水以外を飲まれる際は、マウスピースを外してから飲むようお願いします。
飲んだ後は、歯磨きやお口をゆすぐなどをしてからマウスピースを装着することが大切です。

2023.06.16

口腔筋機能療法(MFT)とは

普段皆さんは、舌の位置を気にしていますか?正しい舌の位置ってどこか知っていますか?
実は舌にはちゃんと正しい位置があります。
この舌の位置が、歯列矯正治療ではとても重要なことなのです。歯の並びや噛み合わせが悪い方は正しいところに舌をおいていない、舌の癖があるなどで歯列に悪い影響を与えていることが多いです。
今回は、口腔筋機能療法(MFT)とは何か、正しい舌の位置の確認、舌の位置が悪いとなぜ歯並びに影響がでるかお話していきます。

口腔筋機能療法(MFT)とは

MFTは、「Myofunctional Therapy」の略称で、口腔筋機能療法ともいいます。
(以下 MFT といいます)
MFTとは、お口の周りの筋肉を正しい動きに改善をすることによって、歯並びと舌の癖を治していくトレーニングのことをいいます。
MFTの目的は、食べる(咀嚼)、飲む(嚥下)、発音、リラックスしているときの呼吸のときの舌や口唇の正しい位置への改善をし、MFTを行っていくことで口腔周囲(お口の周り)の筋肉のバランスを正常に整えて、悪い癖を治していくことです。
皆さんの歯は、お口の中からは舌の圧力がかかり、外からは頬や唇などの筋力の圧力がかかっています。このお口回りの筋力の圧力や舌の圧力のバランスを正常に整えておかないと、歯列矯正治療が終わっても後戻りをしてしまいます。

お口の中での正しい舌の位置

今、みなさんの舌の位置はどこにありますか?そう改めて聞かれると、「ん?どこ?舌の位置?意識したことがない」って方が多いのではないでしょうか。テレビやスマホを見ているとき、読書をしているとき、など飲食をしていないリラックスしているときの舌の場所がいつものご自身の位置になります。
では一度、一緒に確認してみましょう。
まず、軽く唇を閉じてください、そのままつばを一回飲みこんでみてください。
飲みこんだ時に舌はどこにありましたか?

①舌は上の顎にぴったりとくっついている
②舌の先が上の前歯の歯の裏側にあたっている
③舌の先が下の前歯の歯の裏側にあたっている
④舌がお口の中のどこにもあたっていない

正しい舌の位置は、「①の舌は上の顎にぴったりくっついている」です。
他のところに舌がある場合、それは舌の正しい位置ではないのです。
正しい位置に置くポイントは、舌の先をスポットにおく!です。

スポットとは

スポットとは、舌を正しいところに置く位置のことをいいます。上の写真のように、舌の先が上の前歯の裏側の少しくぼみがあるところがスポットの場所です(緑の枠)。前歯の裏ではないので間違えないようにしてください。
日中、食べているとき飲み物を飲んでいるときと、話しているとき以外は、ここのスポットに舌の先があるのが正常な舌の位置になります。つばを飲みこんだときに、①以外だった方はぜひ意識してこのスポットに舌先をつけてみてください。唇を軽く閉じて、舌の先をスポットにつけ、舌全体を上の顎に吸い付けるようにつけてください。このとき、必ず口呼吸ではなくお鼻で呼吸をしてください。
どうですか?慣れていないと30秒ほどつけたままにするだけでかなり舌が疲れるかもしれません。疲れるという方は、普段正しいところに舌をおけていないということです。舌は筋肉でできているので、慣れないことをすると疲れますが、舌の悪い癖を治しておくのも歯列矯正治療ではとても必要になります。

舌の位置が悪いとどんな影響がある?

正しい舌の位置のお話はしましたので、次は、間違った位置に舌がある場合はどんな悪影響があるのかお話しします。

①歯の並びが悪くなる

舌の先が、上の前歯や下の前歯など、歯の裏側を無意識にずっと押しているような舌の癖があれば、歯の並びが悪くなります。これを、舌癖(ぜつへき)といいます。人は食べるとき(咀嚼)、飲みこむとき(嚥下)に一日に何百回~何千回も舌を無意識に動かしています。

睡眠中も、つばを飲みこんでいるので舌は自分で思っているよりも一日中動いているのです。先にも話したように、舌は筋肉でできています。筋肉は縮むときより伸ばすときのほうが力が強くなりますので、その力で普段から一日中、歯と歯の間に舌をいれてしまっていたり、の前歯や下の前歯の裏を押していると舌の圧力に負けて歯の並びは崩れてしまいます。

②口呼吸になってしまう

お口を閉じてお鼻でちゃんと呼吸できていますか?ふだん、テレビを見ているときや本を読んでいるときなどリラックスしているときや、寝ているときはお鼻で呼吸する鼻呼吸になっていないと体に悪影響がでます。歯の並びが悪いかたは、アレルギー性鼻炎や花粉症などのお鼻の疾患があることが多くお鼻が詰まりやすいため、鼻呼吸ができずに口で呼吸してしまう口呼吸になってしまいます。日常的に口呼吸のままだと、お口が常に開いていることになり舌が下がってしまい、お口の周りの筋肉も弱くなってしまい正しい飲みこみ(嚥下)ができなくなってしまいます。

また、お口が開いたままだと唾液の量も減ってしまいお口の中が乾燥してドライマウスになります。ドライマウスになると虫歯や歯周病になりやすくなるほか、乾いた口から細菌がはいり風邪をひきやすくなったりもします。口呼吸は、歯並び以外にも悪影響を及ぼすことがあるため、普段から意識して鼻呼吸が出来るようにしてください。

③発音や滑舌が悪くなる

人は話すときに、舌とお口の周りの筋肉をつかって言葉を発します。舌が正しい位置にない、舌癖などがあると話すときに舌をちゃんと使えずお口の周りの筋肉も弱ってしまいます。お口の周りの筋肉が低下してしまうと、発音や滑舌に影響がでてしまいます。とくに、サ行・タ行・ラ行の発音が舌足らずな話し方になるので、MFTでしっかり訓練して治していきましょう。

④歯列矯正治療後に後戻りをしてしまう

治療前の歯並びに戻ってしますことを、矯正歯科では「後戻り」といいます。
歯列矯正治療が終わったあと、歯並びと噛み合わせを治しても舌癖があると後戻りという歯並びが崩れてしまうことの原因になってしまいます。後戻りをしないように、舌の悪い癖がある方は、歯列矯正治療をしながらMFTも一緒にします。しっかり舌癖を治すことで、後戻りをふせぐことができます。

最後に、テレビやスマホを見ているとき、読書をしているとき、など飲食をしていないリラックスしているときのお口の周りの状態は、
・唇は軽く閉じている
・舌の先はスッポトについている
・鼻呼吸をしている
・上と下の奥歯が軽く離れている
この4つを普段から習慣づけるようにしていただければと思います。

ふじよし矯正歯科クリニックでは、舌の癖がある患者様には、歯列矯正治療と同時にMFTのトレーニングをしております。同時にすることで、治療をスムーズにし、歯列矯正後の後戻りを防ぎます。トレーニングの方法はたくさんありますので、患者様にあった段階からのトレーニングの用紙をお渡ししています。すぐに改善されるのは難しいかもしれませんが、目につくところに貼って毎日の習慣にしていただきたいです。毎日練習することで、自然と舌が正しい位置に維持できるようになります。

土日診療 078-782-1182歯並び相談(初回無料)WEB予約メールお問い合わせ
一番上に戻る