コラム

2024.01.04

歯列矯正治療での痛み

今回は、歯列矯正治療中におこる痛みについてお話します。
痛みが気になって歯列矯正治療を迷っている方はぜひ最後までご覧いただいて歯列矯正治療の痛みについてご理解いただければと思います。

歯列矯正はどのくらい痛い?

歯並びの相談の時に患者様から一番よく聞かれるのが、
「歯列矯正って痛いと聞くけどどれくらい痛いですか?」
「どんな痛みですか?」
「治療中はずっと痛いですか?」
など、痛さや痛みを気にされているかたが多くおられます。
痛いですか?と聞かれると当院では、【痛いです】とお伝えしております。でも、【痛みで治療をやめられた方はいないです】とも加えてお伝えさせていただいております。
とくに、痛みの感じ方は人それぞれで違いますので、痛かったと言われる患者様もいますし、逆にそんなに痛くなかったと言われる患者様もおられます。

矯正治療中におこる痛みは3つ

①歯が動いているとき(ワイヤーやマウスピースを交換したとき)

ワイヤーでの歯列矯正でもマウスピース型の歯列矯正でも、どちらも同じく矯正装置を歯につけて力を加えると歯が動き始めます。歯を少しずつゆっくりと動かして治療していますので痛みがでます。特に最初に装置をつけて歯が動いていくときに痛みを感じることが多いです。

痛みはいつまで続く?

この痛みは、装置をつけてから2~3日がピークで徐々に慣れていき1週間ぐらいで痛みは和らぎます。歯列矯正治療をしている数か月から数年間、すっと毎日痛いわけではありませんので安心してください。個人差はありますが、治療に慣れてくるとワイヤーやマウスピースを交換しても痛みを感じなくなる患者様もおられます。

歯が動くときはどんな痛み?

この時の歯の痛みというのは、虫歯のときのような痛みではなく、歯の根っこがウズウズとうずくような、浮いたような痛みを感じます。なぜなら、上の歯も下の歯も歯槽骨(しそうこつ)という骨に埋まって生えています。歯を動かすというより骨の中に埋まっている歯を動かしていると思ってください。
私自身、矯正治療中ですが、下の前歯が動いているときは、下あごが痛かったですし、上の前歯が動いているときは、鼻の下が痛かった経験があります。歯が痛む、というより歯の根っこ付近が痛くなると思ってください。

痛みをやわらげるには?

ワイヤーの種類にもよりますが、ぬるま湯にお塩を少しいれていただき、口に含んでいただくと温湿布変わりになり痛みが軽減します。お家にある痛み止めの薬を飲んでいただいても大丈夫です。
試験や大会、旅行など大切な予定が入っている場合は終わってからご予約をお取りするようにしていますので予約の際にお伝えください。

ただし、装置が入っている違和感は治療が終わるまであります。治療が終わっても綺麗に並んだ歯が後戻りするのをふせぐために、保定装置を使っていただきます。また保定装置は慣れるまで話しづらいなど痛みとは違う不快感があります。

②つけている矯正装置がお口の中にあたっているとき

歯列矯正治療をはじめると、治療中は長い間お口の中にワイヤーや装置、マウスピース型の歯列矯正の場合はマウスピースが入ることになり、装置の一部がお口の中の頬っぺたや舌にあたって口内炎ができることがあります。

ワイヤー治療中の場合

ワイヤーでの治療の場合、歯が動き始めると余った奥のワイヤーが頬っぺたの内側にささって痛むことがあります。この場合、余ったワイヤーを切れば痛みは無くなりますのでご連絡ください。急患でご予約をおとりします。他には、ワイヤーを歯に通す装置(ブラケット)の一部が唇や頬っぺたの内側にあたってしまって口内炎になることもあります。学校やお仕事の都合ですぐに来院できない場合は、お渡ししているワックスをお使いください。

マウスピース型の治療中の場合

マウスピース型の歯列矯正治療の場合では、薄い素材でできているため、ワイヤー治療よりは口内炎になりにくいですが、まれにマウスピースの縁が舌にあたって痛みがでたりします。また、歯に負荷をかけているゴムをかける部分が頬の内側や唇にあたり痛むことがあります。マウスピースの縁があたって痛む場合は、紙ヤスリをお渡ししています。紙ヤスリで少しこすっていただくと縁の引っ掛かりはなくなります。ゴムをかけるために付いている装置(ボタン)があたって痛い場合は、ワイヤー治療の時と同じようにワックスを使っていただくと痛みは軽減します。

このお渡ししているワックスは、濡れているとつきにくいため、つけるときはティッシュなどで唾や水分を拭き取ってからお使いください。取れてしまって飲み込んでも問題のない素材なのでご安心ください。

どちらの治療の場合でも、口内炎ができるような痛みがでたらご連絡ください。

また、口内炎がお口の中にできてしまったときは、熱い食べ物や辛い食べ物などの刺激物は控えてください。

③硬い食べ物を噛むとき

歯列矯正治療が始まると、硬い食べ物が食べづらくなります。先にお話したように、歯列矯正治療とは歯槽骨(しそうこつ)に埋まっている歯を動かしています。歯列矯正治療をして歯が動いている間を動的治療中といいます。動的治療中は歯の根っこが不安定なため、歯が動揺(どうよう)しています。動揺とは、歯が揺れるようになることをいいます。この動揺のため、硬い食べ物を噛むと歯が抜けてしまいそうな感じになります。実際に抜けてしまうことはありませんが、一度経験すると食べるのを躊躇するようになると思います。私自身も歯列矯正治療を始めてから、大好きな芋けんぴが食べられなくなりました。できるだけ、歯列矯正治療が終わるまでは硬い食べ物は控えていただくようお願いいたします。

痛みがあるときの食事

ワイヤーやマウスピースを交換して歯が痛いとき、痛みのピークは2~3日なのでその間は、歯に負担のかからない柔らかくあまり噛まなくてもいい食べ物にしてください。お粥、雑炊、うどん、などを患者様にもおすすめしています。

歯列矯正治療中は控えていただきたい食べ物

歯が痛むときは、硬い食べ物がたべづらいと思いますが、痛みに慣れてきたときや、痛くないときにも食べるのを控えていただきたい物があります。
たとえば、硬いおせんべい、フランスパンなどのハード系のパン、氷をガリガリ食べる、などは装置が取れる原因にもなります。小さくするかちぎって食べるようにしてください。普段からつい氷をガリっと食べる癖がある方は歯にも悪いので止めていただいたほうがいいです。他にも、ガムも控えていただいています。ガムは、装置についてしまうと取れなくなりますので歯列矯正治療で装置がお口の中に入っている間は食べないでください。

マウスピース型での治療で気をつけたい食事

マウスピース型の歯列矯正では、基本、お食事のときはマウスピースをとっていただくのですが、ワイヤー治療と同様に硬い食べ物は控えてくだい。マウスピース型の歯列矯正の場合、歯にアタッチメントというポチポチした突起物をつけます。硬い食べ物を食べてしまうとこのアタッチメントがとれてしまいます。気づかずにとれたままにしていると計画通りに歯が動かないなど、治療に影響がでます。アタッチメントがとれたときは、お早めにご連絡をください。
また、食事によってマウスピースが着色してしまうことがあります。主に、カレーやコーヒーが着色しやすいので、カレーを食べるのは、次のマウスピースに交換する3日前ぐらいがいいかと思います。一度着色してしまったマウスピースは、洗浄剤を使ってもとれないのでご注意ください。

今回は、歯列矯正治療中におこる痛みについてお話しました。少しでも気になることがありましたら当院の医師・またはスタッフにご相談ください。