2024.04.03

不正咬合の原因について

不正咬合とは、上顎や下顎の位置関係や歯並びなどが、さまざまな要因によって上と下の咬み合わせが正常ではない状態のことをいいます。不正咬合は、骨格性・歯性・機能性の3つに成因から成り立っています。

・骨格性不正咬合

主に顎骨の形態、位置異常にあるものをいう。

・歯性不正咬合

主に歯の傾斜や位置異常にあるものをいう。

・機能性不正咬合

下顎骨が安静位から中心咬合位へと閉じていく経路(閉鎖経路)上で、早期接触や咬頭干渉により下顎が偏位し、不正咬合になるものをいう。下顎位の機能的な偏位がある不正咬合を指し、機能的反対咬合や機能的交叉咬合などがある。

不正咬合の種類

①上顎前突(じょうがくぜんとつ)

上顎前突とは、上の前歯が前に傾斜し、上顎が全体的に出ている状態のことをいいます。「出っ歯」ともいわれています。上顎前突は、前歯が外傷を受ける可能性が高く、口唇()が閉じにくく、口呼吸を伴います。口呼吸によって、口の中が乾燥しやすくなり、唾液の分泌量が減少し、ドライマウスになる可能性が高くなります。ドライマウスが原因で口臭や歯肉炎、虫歯になりやすくなります。その他に、指しゃぶりや舌突出癖、吸唇癖などの口腔習癖が上顎前突になる原因でもあります。

厚生労働省の不正咬合の調査では、最新平成23(2011)の「1220歳の男女の前歯の不正咬合の状態」で上顎前突の割合は12.9%で叢生の2番目に多くみられます。

②下顎前突(かがくぜんとつ)

下顎前突とは、下の前歯が上の前歯より前に出ている状態のことをいいます。「受け口」や「反対咬合(はんたいこうごう)」ともいわれています。骨格性下顎前突では、とくに遺伝的要因が大きく関与しており、環境的要因としては、習癖・ホルモン障害・外傷などがあります。下顎前突を有する患者様では、咀嚼効率や下顎運動の円滑性の低下、発音への影響および顎関節症と相関などといった顎口腔の機能的な問題に加え、見た目に対する心理的な問題などもあります。

厚生労働省の不正咬合の下顎前突の割合は2.4%を占めています。

③過蓋咬合(かがいこうごう)

過蓋咬合とは、上下の咬み合わせが深く、下の前歯がほとんど見えない状態のことをいいます。「ディープバイト」ともいわれています。下顎前歯が上顎の歯肉(歯茎)に噛み込み、痛みが生じる場合や、下顎の前方や側方への動きが制限される場合もあります。

厚生労働省の不正咬合の過蓋咬合の割合は4.8%を占めています。

④開咬(かいこう)

開咬とは、上下の前歯部が咬み合わず隙間がある歯並びのことをいいます。「オープンバイト」ともいわれています。開咬の原因としては、遺伝的要因や前歯の萌出方向の異常、舌癖などがあります。開咬は、咀嚼や発音、嚥下機能に障害が認められます。前歯でものを咬めないため、奥歯に負担がかかり、顎にも負担がかかることで顎や顎関節を痛めてしまうことがあります。そして、舌を突き出す癖(舌突出癖)や指しゃぶり(母指吸引癖)、爪を咬む癖(咬爪癖)などの習癖を改善することもとても重要になります。

厚生労働省の不正咬合の開咬の割合は5.7%を占めています。

⑤叢生(そうせい)

叢生とは、ガタガタな歯並びや、叢(くさむら)のように歯が重なって生えている歯並びのことをいいます。「乱杭歯(らんぐいし)」ともいわれています。叢生の原因としては、歯が大きすぎる、顎が小さいことで歯が生えるスペースが不足してしまうことで叢生が起こります。八重歯も叢生の1つです。なので、歯と顎の大きさのバランスがアンバランスまた習癖などの原因によって叢生になってしまいます。

厚生労働省の不正咬合の叢生の割合は44.3%を占めています。不正咬合の中で1番多い不正咬合です。

⑥正中離開(せいちゅうりかい)

正中離開とは、上の前歯の真ん中(正中)に隙間がある歯並びのことをいいます。正中離開は、骨の中に過剰歯がある、側切歯の先天性欠如や矮小側切歯、上唇小帯の付着位置異常などの原因があります。厚生労働省の不正咬合の空隙の割合は12.4%を占めています。

不正咬合の原因には、「先天的原因」と「後天的原因」があります。

先天的原因

遺伝

不正咬合の発現には、遺伝的な原因が関与していることが多いです。

下顎前突(受け口)は遺伝的要因に関与していることが多いです。

先天異常

上唇小帯(上唇のすじ)や舌小帯(舌のすじ)の異常、口唇口蓋裂などの先天的疾患などがある場合、歯並びに影響すし、不正咬合を伴うことがあります。また、口唇・口蓋の形成手術による瘢痕組織の影響があり、上顎骨の劣成長や狭窄歯列に伴う叢生ならびに反対咬合(受け口)になる可能性があります。

歯数の異常・歯の形態異常

過剰歯(かじょうし)

過剰歯とは、基本的な歯の数を超えて作られた歯のことをいいます。過剰歯があると歯並びが悪くなったり、永久歯が萌出できないなどの影響があります。

先天性欠如歯

永久歯は親知らずを除くと全部で28本あります。しかし、その生えてくるべき永久歯が何らかの原因で作られず歯が生えてこないのを先天性欠如歯といいます。先天性欠如は、空隙歯列や隣の歯の傾斜などを引き起こします。

巨大歯

平均的な歯のサイズと比べて、異常に大きい歯のことをいいます。歯が大きいことにより、叢生の原因にもなり、見た目にも影響が出る可能性があります。

矮小歯(わいしょうし)

平均的な歯のサイズと比べて、異常に小さい歯のことをいいます。円錐のような形をしていることが多く、上び前から2番目の歯によく見られ、空隙歯列(すきっ歯)の原因にもなります。

後天的原因

口腔習癖

口腔習癖とは、日常生活の中で無意識に行っている口腔に関した習慣行動のことをいいます。

成長発育期にある小児では、口腔の形態的、機能的発達に障害を及ぼすことが多いとされています。

それは、口腔周囲以外にも小児の心理的な問題や性格とも関連し、乳幼児期の行動がそのままの場合もあります。また、母親の過干渉や溺愛、子供の遊び場が少ないなどの生活環境や社会環境が影響していることも原因の1つです。そして、口腔習癖は歯並びやかみ合わせに影響を与え、成長発育期の咀嚼・嚥下・呼吸・発音などにも影響を及ぼします。

母指吸引癖(指しゃぶり)

親指をくわえ、吸引する習癖で吸引癖のなかで最も多いです。出生直後から母乳を吸うために、ヒトは哺乳反射をもっています。乳児期の指しゃぶりは生理的なものであるが、幼児期には心身の発育に伴い、3~4歳頃には自然減少します。習癖が継続すると、頻度・時間・強度によっては不正咬合をもたらします。指しゃぶりをすることによって、上顎前歯は唇側に押されることにより上顎前突、上顎前歯の唇側傾斜、上下の前歯の間に指を入れることにより開咬になります。他にも下顎前歯の舌側傾斜、上顎歯列の狭搾、不明瞭な発音(サ行)などの影響を引き起こします。

吸唇癖・咬唇癖

口唇を咬んだり、吸引したりする癖のことをいいます。吸唇癖は指しゃぶりの

代償的行動であり、咬唇癖は1種のストレスが原因であり、開咬、上顎前突、   上顎前歯の唇側傾斜、下顎前歯の舌側傾斜などの影響を引き起こします。

口呼吸

アレルギー性鼻炎やアデノイドなどの鼻咽腔疾患があると、鼻呼吸が困難になり、

長時間口から呼吸することをいいます。その原因は、鼻咽腔疾患による鼻呼吸の困難、   上顎前突により口唇の閉鎖が困難、とくに原因がなく習慣的に行ってしまうなどの原因が考えられます。口呼吸を行うことによって、開咬・上顎前突・歯列の狭窄・交叉咬合・歯肉炎・歯周炎などの影響を引き起こします。

それ以外でも、舌突出癖・弄舌癖・咬爪癖・頬杖・ものをかむ(しゃぶる)・食いしばりなどの口腔習癖で歯並びや咬み合わせに影響を及ぼしてしまいます。

乳歯の早期喪失・晩期残存

乳歯の早期喪失は、後継永久歯が生える余地がないことから、叢生や埋伏の原因となります。乳歯が残存すると後継永久歯の位置異常をもたらすことがあります。

虫歯

虫歯や歯周病によって乳歯が早期に喪失してしまった場合、歯が斜めに生えたり、ずれて生えてしまい叢生になる原因になります。

小帯の異常

上唇小帯の高位付着は正中離開をもたらし、舌小帯の強直は低位舌を引き起こしたり発音に影響を及ぼすことがあります。

2024.03.07

妊婦さんでも矯正治療はできる?パート2

妊娠中の歯列矯正治療のリスク

①妊娠中のレントゲン撮影のリスク

妊娠していると、レントゲン撮影時の放射線の被ばくが気になる方もいるのではないでしょうか。
歯科でのレントゲン撮影には、胎児にほとんど影響はないとされているのでレントゲン撮影は可能です。ですが、心配な場合は担当の歯科医師に相談をすると良いでしょう。

歯科のレントゲン撮影ではお口の中を撮影するため、赤ちゃんのいるお腹と距離があります。また、放射線を遮断する鉛の防護エプロンを着用してレントゲン撮影を行います。
近年のレントゲンはデジタル化が進み、放射線被ばく線量は格段に減少しています。

【歯科でのデンタルレントゲン撮影の被ばく量】
・ 歯科用CT :0.06m㏜
・ お口全体のレントゲン写真 (パノラマ):0.02m㏜
・ 歯の一部のレントゲン写真 (デンタル):0.001m㏜

例えば、飛行機で東京とニューヨーク間を往復すると約0.2m㏜の被ばく量があります。これは、歯科のデジタルレントゲン撮影の被ばく量と比べると多いということが分かります。

私たちは、普段の生活で自然放射線を世界平均だと年間2.4m㏜の放射線を被ばくしています。日本平均だと2.1m㏜になります。
お腹の中の赤ちゃんに影響あるとされている放射線量は50m㏜です。
これらの事から、歯科でレントゲン撮影を行っても赤ちゃんへの影響は少ないと考えられています。
ですが、100%安全とは言い切れません。妊娠中は、レントゲン撮影を控えておいた方が良いという先生もいます。大丈夫だと言われても不安に思う方もいると思います。担当の歯科医師とよく相談をしてからレントゲン撮影を行うのか決めましょう。

特に歯列矯正開始前は歯や骨の状態を見るために、レントゲン撮影は必ず必要になります。レントゲン撮影を行わないと歯列矯正を始めるのは難しいです。もしかすると、レントゲン撮影を行わなくても歯列矯正を始めることができるという歯科医師もいるかもしれません。レントゲン写真が無い場合だと、適切な診断が行えず歯列矯正治療が失敗してしまう可能性があります。

もし、妊娠中に歯列矯正を始めたいという方はお腹の中の赤ちゃんに影響が出やすい妊娠初期を避けてレントゲン撮影を行うようにしましょう。

②妊娠中の抜歯のリスク

妊娠中は、抜歯(ばっし)のリスクも高くなりやすいです。
妊娠している間は、妊娠性高血圧や妊娠糖尿病になる可能性があり、これらが抜歯に悪影響を及ぼす可能性があります。

糖尿病の症状がある場合、抜歯後の傷の治りが悪くなりやすいです。高血圧の症状がある場合だと、局所麻酔の使用や抜歯中に血圧が上がり危険になることもあります。
抜歯後、なかなか痛みが引かない事や血がなかなか治らないなどのトラブルが発生した時に、服用することができる薬も限られます。なので、妊娠中の抜歯は出来る限り避けた方が良いでしょう。

③妊娠中のアンカースクリューのリスク

歯列矯正でアンカースクリューというチタン製の小さなネジを使用することがあります。アンカースクリューを用いることで、治療の進行が速くなる場合や難しい歯の動きが可能になり治療が行いやすくなります。
アンカースクリューを打つ時は局所麻酔を使用しますが、局所麻酔自体はその部分にのみ作用するものなので妊娠中でも心配の必要はほとんどありません。
抜歯と比べるとアンカースクリューを打ち込む時に必要な局所麻酔の量も少ないため、比較的に安全に行えるでしょう。
歯科医院で局所麻酔薬として主に使用されているのが、「リドカイン(キシロカイン)」です。産婦人科で、処置に内容によって局所麻酔を使用する場合があり、その際に使用されているものと同じ種類になります。リドカインはお腹の中の赤ちゃんへの影響は少ないと考えられています。

④歯肉炎や虫歯になるリスク

妊娠中は、唾液の分泌低下や女性ホルモンバランス、つわりなどの影響により妊娠性歯肉炎(にんしんせいしにくえん)や虫歯になるリスクが高くなります。

特にワイヤー矯正の場合、装置の間に食べ物がはさまったり、歯磨きが行い辛く磨き残しが溜まっていくと歯肉炎や虫歯になりやすいです。
妊娠中はつわりで歯磨きが出来ない方もいます。ワイヤー矯正中、つわりで歯磨きができないと、さらに食べかすやプラークが歯に溜まってしまいます。
妊娠中は、吐き気やめまい・疲労感など体調が安定しない事も多くあり、生活習慣が乱れがちになります。つわりがひどい方だと、歯ブラシがお口の中に入る刺激で吐いてしまう場合もあります。どうしても歯磨きが行えない場合は、お口の中を清潔に保つために次の方法をおすすめします。

  • ○体調が安定しているときに歯を磨く
    ○ワンタフトブラシ(先が細く1本のブラシ)を使用する
    ○夜寝る前の歯磨きだけは丁寧に行う
    ○マウスウォッシュ(うがい薬)を使用する
    ○お水を飲む

歯列矯正をしていなくても、歯はきれいに保つことをおすすめします。

歯磨き不足で妊娠性歯肉炎になり、そのまま放置しておくと歯周病に進行し、低体重未熟児や早産のリスクが高くなります。
妊娠性歯肉炎は普段の歯磨きで改善することができます。
歯磨きをしっかり行い、お口の中を健康に保つことが大切です。

妊娠している場合、安全に使用できる痛み止めを服用する必要があります。
痛み止めだけに限らず、妊娠中は服用できない薬もあるため、自己判断をせず担当医師に相談するようにしましょう。

歯列矯正をするにあたり妊娠前に済ませておいた方がいい事

妊娠中に歯列矯正を始めることは可能です。
しかし、事前にしておいた方が良いこともあります。

①かかりつけの歯医者さんを探しておく

妊娠中は、妊娠性歯肉炎や虫歯になるリスクが高くなります。
女性ホルモンの変化で特定の細菌が増えやすくなったり、つわりの影響で歯磨きが行いづらくなることがあります。
お口の中のトラブルは母体だけでなくお腹の中の赤ちゃんにも悪影響を及ぼす可能性があるため、早めに治療することをおすすめします。
また、定期的に歯医者さんに通うことで虫歯などの早期発見・早期治療にも繋がります。

②レントゲン撮影を済ませておく

歯列矯正を始めるには、レントゲン撮影が必ず必要になります。
治療方針を考えるために、歯列矯正を行う前の歯や骨の状態を確認しなければなりません。
歯医者さんで行うレントゲン撮影の被ばく量は微量ですが、お腹の中の赤ちゃんが影響を受けやすい妊娠初期は控えたほうが良いでしょう。

まとめ

妊婦さんの方でも歯列矯正をすることは可能であり、実際に患者さまにもおられます。
ですが、妊娠をしていない時と比べるとさまざまなリスクや注意が必要となります。

妊娠中はご自身の体調を優先し、一時的に治療を中断するなど担当の歯科医師とよく相談をして無理のない範囲で治療を進めていくようにしましょう。

また妊娠中は、お口の中のトラブルが多くなります。そのため、お口の中のケアは妊娠前の時よりも気を遣う必要があります。体調が安定しない時もあると思いますが、お口の中を清潔に保てるよう心がけましょう。

2024.02.22

歯並びと日常生活での癖について

今回は、日常生活のなかで、歯の並びが悪くなってしまう習慣的にしてしまう癖についてお話します。人には誰しも癖があり、その癖も様々なものがあると思います。癖を治すのはとても大変な事ですが、悪習慣になってしまうのであれば早めに治していくほうが良いです。その中でも、歯の並びに影響が出てしまう悪い癖をいくつかお話します。下記の癖が、お子さんやご自身で当てはまることがあるかチェックしてみてください。

また、当院では、歯ならびの相談の時に記入していただく用紙(歯ならび相談申込書)に
・次のような癖はありますか?
指を吸う 爪を咬む 唇を咬む 鉛筆などの物を咬む 起きている時も口がよく開いている
ほほ杖 うつぶせ寝  その他あればご記入ください。
と記載しております。お口やあごに関する癖についてお気づきの点がございましたらご記入ください。

幼少期の指しゃぶり


上顎前突(出っ歯)の原因になる指しゃぶりですが、乳児期に指を吸っていても問題はありません。その後、幼少期~小学に上がる頃になってもまだ指しゃぶりをしていると、歯やお口の中に影響がでてしまいます。吸う指は親指だけとは限らず、人差し指や中指の場合もあります。いずれの指であっても、自分の指を常に吸っていると、吸う力によって歯は押されてしまい前に傾いてしまいます。私自身も、指しゃぶりをしていた記憶があり、上の前歯2本が前に出ている上顎前突(出っ歯)でした。歯列矯正前は、右の親指(指紋のほう)が上の前歯の裏にぴったりはまっていましたが、矯正治療後は、指が入る隙間も角度もなくなりました。上顎前突になると、食べ物を前歯で噛むことが出来ず、発音にも影響がでることがあります。また、上の前歯と下の前歯が噛み合わない開咬(かいこう)や、歯がガタガタに並んでしまう叢生(そうせい)の原因にもなります。

爪やくちびるを咬む


無意識のうちに、爪や、えんぴつ・ボールペンなどの物を咬んでいたり、上の前歯で下の唇を咬んでしまっていませんか?爪や物を咬んでしまう癖も、指しゃぶりと同じように、爪や物に歯を押されていることで上顎前突(出っ歯)になりやすく、上の前歯と下の前歯が噛み合わない開咬(かいこう)になる原因になります。また、くちびるを咬んでしまう癖があると、
・上の前歯に下唇を咬む(上顎前突)(出っ歯)
・下の前歯で上唇を咬む(反対咬合)(受け口)
になる原因になります。どちらの場合も、唇を吸っている時の力で歯が押されてしまい、歯の並びがガタガタになってします叢生(そうせい)の原因になることもあります。

口での呼吸(口呼吸)


皆さんは普段の呼吸は、鼻呼吸ですか?口呼吸ですか?風邪や鼻炎などでお鼻が詰まっていないときは、鼻呼吸が正しい呼吸です。もし、話をしているとき・ご飯を食べているとき以外の、リラックスしているときに、お口が少しでも開いてしまうような方は、普段、口で呼吸をしてしまっている可能性があります。鼻呼吸を正しく出来ていると、唇は閉じられ、舌の先がスポット(上の前歯の裏側の少しくぼみがあるところ)にあります。舌の先が常にスポットに付いていることで、舌の筋肉が鍛えられると同時に、くちびるや頬の外側からの押している力と、舌が内側(お口の中)から押している力が均等になり、歯の並びが整えらます。この外側と内側の力が口呼吸によってバランスが崩れてしまうと、歯の並びがガタガタになってしまう叢生(そうせい)の原因になります。

頬杖


お口の中にことではないので、あまり気にしていない方が多いのが頬杖です。スマホを見ているときや、本を読んでいるときなど、無意識のうちの頬杖をついていませんか?頬杖を左右均等にしている方は少なく、必ずどちらか(右か左か)に頬杖をつく癖があります。頬杖をついていることで、片方のあごに手と乗せている頭の重さの力がかかり、あごの成長を妨げる原因になります。あごの成長を妨げてしまうと、左右の骨格が歪んでしまい左右非対称なお顔になってしまうことがあります。また、頬杖は顎関節症になってしまうことがありますので、要注意です。

舌癖(ぜつへき)

舌癖には様々な種類がありますが、食事中や話しているとき以外(リラックスしているとき)に、舌が上と下の歯の間からでてしまう舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)や、舌が正しい位置(スポット)についておらず、常に下の前歯の裏側に舌の先があたっている低位舌(ていいぜつ)などがあります。舌が歯の間からでているとき、舌が歯を押してしまっているため、歯が外側に倒れしまい、上顎前突(出っ歯)や、上と下の前歯が噛み合わず開咬(かいこう)になることがあります。

歯ぎしりや食いしばり


寝ている時に、歯を強くこすってしまう歯ぎしりと、何かに集中している時に、奥歯をギューッと噛みしめている食いしばりがあります。歯ぎしりや食いしばりは、日中に受けたストレスを発散させる行為だと言われていますが、どちらも歯に過度に力がかかってしまい、歯を消耗させてしまううえに、歯が傾いてしまう原因になります。また、矯正の治療中に、噛み合わせが変わることで一時的に歯ぎしりや食いしばりがおこる事があります。矯正治療中に、歯ぎしりや食いしばりがあると、矯正の装置が取れてしまうことがあります。歯ぎしりは寝ている時になるので、ご自身でも気づかないこともありますが、食いしばりは日中気をつけて、食事のときと、話すとき以外は、奥歯を噛まずに少し浮かせておくように意識するだけで防げます。歯がすり減ってしまわないよう気をつけましょう。

どちらか片側で噛む


食べ物をお口の中にいれて噛むとき、右か左どちらで噛んでいますか?右だけで噛んでいる・左だけで噛んでいる癖のことを、片噛みといいます。いつも左右どちらで噛んでいるか意識していますか?ご飯を一口、口に入れて飲みこむまで、どちらか片方だけで噛んでいる場合は片噛みの癖があります。片噛みの癖があると、いつも噛んでいる方の歯にだけ大きく負担がかかってしまいます。そのせいで、噛み合わせが悪くなったり、あごやお顔が左右ずれてしまったりして、姿勢や全身に影響がでます。食べ物を噛むときに、意識して左右両方の歯で噛むようにしてください。

うつぶせ寝や横向き寝


普段、寝るときは「仰向け」「うつぶせ」「横向き」のどれかだと思います。歯並びに影響がでるのは、うつぶせ寝と横向き寝です。どちらも短時間ならさほど問題はないと思いますが、うつぶせ寝や横向き寝が、毎日寝る時の習慣になってしまっていると、寝ているときに、頭の重さが一点に集中してしまい、顎や歯の並びに影響がでます。矯正の治療中だと、口内炎の原因になることもありますし、顎に負担がかかることで、顎関節症になってしまうこともあります。うつぶせ寝や横向き寝が癖になっているような方は、早急に治しておいたほうが、歯のためにも、全身のバランスのためにも良いです。

まとめ

今回は、歯並びに関係する癖についてお話しました。今回書いた癖は、小さい頃からの癖が大きくなっても治っていないものばかりだと思いますが、特にお子様の場合は、歯や顎の成長にも影響が出ますので早めに改善する必要があります。どんな癖でも、治していくには本人が意識して改善していくしかないですが、気になることなどありましたら、いつでも当院の主治医またはスタッフにお気軽にご相談ください。

2024.02.15

歯列矯正治療に伴うリスクについて

今回は、歯並びや噛み合わせを治療する歯列矯正治療をする時に伴うリスクについてお話します。

ご自身やお子様の歯が気になったりしませんか?

例えば、歯の並びがガタガタしている・前歯が出ている・受け口・学校の歯科健診で指摘された・よく口の中を噛んでしまうなどを治療し、整った歯並びと正しい位置での噛み合わせにするように治療するのが歯列矯正治療です。もちろん治療には、メリットとデメリットもありますが、歯列矯正治療に伴うリスクもあります。歯並びが気になっていて矯正の治療をお考えの方も多いかと思いますが、リスクに対しても理解をしてから治療を行っていただくと良いと思います。

歯列矯正治療にはどんなリスクがあるのかそれぞれ説明させていただきます。

①痛みがある

歯列矯正治療は、お口の中に様々な装置をつけて歯を動かして治療していきます。症状や治療の内容によって装置は異なりますが、装置をつけていることによって感じる痛みと、歯が動いている時に感じる痛みがあります。一番多く聞かれる質問も「痛いですか?」です。矯正の治療の痛みは、歯が動いている時に感じる痛みが主ですが、毎日痛い訳ではなく、装置をつけた後や、ワイヤーを交換した時、アライナーを交換した時のあと、2~3日歯が痛みます。前歯でガブっと硬い物を食べづらくなります。痛みがあるときは、ぬるま湯にお塩を一つまみいれていただき口に含んでいただくと温湿布のような効果があり、少し痛みが和らぐことがあります。また、矯正装置が歯肉や粘膜にあたってその部分が口内炎になり痛みがでることがあります。お渡ししているワックスを使っていただくと痛みが楽になります。

②抜歯をすることがある


歯並びや噛み合わせを治療する歯列矯正治療では、より良い結果の治療をするための抜歯をすることがあります。親知らず・健全な歯を抜く、またはエナメル質の範囲内で歯を削ることがあります。当院では、親知らずの抜歯は、総合病院の口腔外科に、その他の抜歯は、かかりつけの一般歯科医院にご紹介させていただいています。ご希望の医院がありましたらスタッフにお声がけください。

③治療を中止することもある

当院は通報通りに矯正の処置を行っておりますが、その処置中に泣いてしまって治療が出来ない・装置の不快感や違和感による不満や痛みによって装置を外してしまう・装置をつけたことによっておこる各種アレルギー・治療をしていくなかでコミュニケーションがとれず困難な場合・患者様の経済的理由などで、当院の治療や処置方法が受け入れられない場合には、治療を中止することがあります。

④虫歯や歯周病になりやすくなる

矯正の装置をお口の中つけることによって、虫歯や歯周病になりやすくなります。これは、装置がつくことで歯磨きがしづらくなり磨き残しが原因なこと多いため、矯正の装置がお口の中についたら、今まで以上で丁寧な歯磨きが必須になります。虫歯になっていないか・歯周病が悪化しないためにも、定期的にかかりつけの一般歯科医院を受診していただくようお願いします。また、初期の虫歯でも、矯正の装置をとったあとに、歯に白濁が残ることがあります。虫歯や歯周病の治療は、矯正の治療よりも優先して行っていただきます。虫歯や歯周病の治療中は、矯正の治療を一時中断します。

⑤装置が外れてしまうことがある

矯正の装置が、治療中に外れてしまうことがあります。硬い食べ物を食べてしまって外れてしまう場合と、夜寝ている時の歯ぎしりや食いしばりが原因で外れてしまう場合がほとんどです。装置が外れたままだと、歯を動かす力がかからないため、装置を付け治す必要があります。装置が取れたり・外れてしまったら速やかにご連絡を願いします。また、取れてしまった装置は必ずご持参ください。

⑥歯根吸収を生じることがある

矯正の治療中に、歯根吸収(しこんきゅうしゅう)、歯を動かすさいに歯の根っこが短くなる現象がおこることがあります。歯根吸収は、予測困難で治療中に歯根吸収が判明した場合は、矯正治療を中断することがあります。

⑦歯肉退縮をすることがある

歯肉(歯茎)や歯槽骨(しそうこつ)が、退縮してしまうことがあります。歯肉が退縮すると歯の根っこ(歯根)が歯茎から露出してしまい、冷たい物や熱い物がしみる(知覚過敏)などの症状がでることがあります。一度退縮してしまった歯肉は元には戻らないため、歯磨きのときに強く磨かない・歯ブラシの毛先を柔らかくするなどして、それ以上の退縮を防ぐことが重要です。

⑧ブラックトライアングルになることがある

歯と歯の間に隙間が生じることをブラックトライアングルといいます。成人(特に年配)の方や、歯肉の状態が悪い(歯周病など)と、矯正治療後、ブラックトライアングルができてしまうことが多く、そのような歯と歯の隙間は、回復しづらいと言われています。隙間が気になるなど、矯正とは関係のない治療はかかりつけの一般歯科医院でご相談ください。

⑨その他のリスク

  1. ①ワイヤーで矯正治療をし、歯列矯正治療をおこなった場合、治療が終わりワイヤーとブラケットを除去するさいに、歯のエナメル質にクラックという細かい微小のひびが入ることがあります。普段は気づかないですが、歯が乾燥などで乾くと見えることがあります。
  2. ②歯の根っこの治療(根管治療)を受けている歯は、矯正の治療中に悪化したりし、化膿することがあります。再根管治療が必要な場合は、矯正の治療を一時中断をして、かかりつけの一般歯科医院で治療をしていただくことになります。
  3. ③矯正の治療中に、歯の骨性癒着(歯と骨が癒着していたために歯が動かなくなる)が判明することがあります。この骨性癒着は、矯正の治療前に鑑別するのは困難なため、判明した場合は、外科的に複数回の処置が必要になるか、抜歯の可能性もあります。
  4. ④矯正の治療中に、歯髄充血あるいは歯髄壊死がおきることがあります。歯髄充血・歯髄壊死ともに、予測は困難なため、矯正の治療を中断することがあります。根っこの治療(根管治療)が必要になった場合は、かかりつけの一般歯科医院で治療をお願いします。
  5. ⑤患者様、個人の全人状態や顎顔面骨格の形態、歯の大きさなどによっては、歯列矯正治療の限界が異なります。
  6. ⑥受け口などの、著しい骨格性不正咬合の場合は、歯並びや噛み合わせを治療する歯列矯正治療だけでは治療の限界があるため、外科手術を併用することで骨格を改善することが可能になります。
  7. ⑦歯を支える歯槽骨が少ないと、矯正治療中や矯正の治療後に歯の動揺(ぐらつき)が大きくなります。治療は必要な場合は、かかりつけの一般歯科医院で治療をお願いします。

 

今回は、歯並びや噛み合わせを治療する歯列矯正治療を行ううえでの、リスクについてお話しました。少し難しい言葉や不安になるような文章もあったかもしれませんが、あくまでもリスクのお話なので、矯正治療を受ける方全員におこるわけではありません。次回、それぞれのリスクいついてもう少し詳しく話していこうかと思います。矯正の治療に関して不安に思うことや疑問がありましたら、主治医やスタッフにお気軽にご相談ください。

2024.02.08

歯科矯正のメリットとデメリットについて


長いマスク生活がやっと終わろうとしています。
今まで気にしていた口元が隠れていた分、マスクを外すと余計に気になる方もおられるのではないでしょうか。
ご自身の歯がもし、歪んでいたりガタガタしていたり噛み合わせが悪く食べ物が噛みづらいなどある場合、
歯科矯正(歯列矯正)について調べたりしているかと思います。

歯科矯正治療をすることで、見た目や健康の面で様々なメリットがあることをご存じでしょうか?
もちろん歯科矯正治療にはメリットもあればデメリットもあります。
ですが、矯正治療は医療行為なので、メリットだけでなくデメリットや注意する点というのもあります。
ご自身やお子様の矯正治療をお考えの方は、まずそのメリットとデメリットについて理解し歯科矯正治療を始めるかお考えください。

今回は、歯科矯正治療をするにあたってのメリットとデメリットについてお話していきたいと思います。

メリットについて

笑顔が!コンプレックスを解消し、イメージアップにつながる

歯並びが気になって、人前で話すとき、写真を撮る時や、不意に撮られた時に自分の口元が気になることはありませんか?
特にすきっ歯(空隙歯列)や出っ歯(上顎前突)など人目に付く前歯の歯並び(歯がガタガタなども)を気になっている方が多くおられます。歯並びの悩みを抱えていると、自分に自信を持つことができずに、つい口元を隠してしまうなど、ご自身でも気づかない癖がでたりします。矯正歯科での治療で歯並びが整うと、人前で歯を見せて笑うことや、お顔の印象が良くなりコンプレックスが解消され、自分に自信が持て笑顔に抵抗がなくなります。
また、歯並びというのは意外に他人から見られております。
歯がきれいに並んでいるだけで、清潔感のある、さわやかな印象を与えることができます。

虫歯や歯周病のリスクが減る

歯が重なっている部分の歯磨きはなかなか難しく時間もかかります。フロスや歯間ブラシを使用しても届かない場所があるので、虫歯や歯周病になるリスクがあります。
しかし歯並びが整うと、歯磨きがしやすくなり、お口の清潔を保つことができます。
また、噛み合わせが全体的に均等になることにより、食べにくかった食べ物が噛みやすくなり、噛むことで唾液の分泌が増え虫歯のリスクが減ります。
結果的に、矯正治療を行うことで、歯を将来的に健康で長持ちさせやすくなります。

食べ物が咀嚼しやすくなる

私達が日々当たり前に行っている「食べる」「飲み込む」ことは、歯並びや噛み合わせが関係しています。
矯正歯科治療で噛み合わせが整うと、食べ物をしっかり噛めるようになり、食べた物を細かくかみ砕けるようにもなり、しっかり噛むことで唾液量が増えて食べ物の消化を助けてくれます。唾液には自浄作用もあるため、口臭予防にもなります。

口臭が改善する

歯並びが悪いと、歯磨きをしてもどうしても歯ブラシが届かず磨き残しが多くなってしまいます。それによって歯周病も引き起こしやすくなります。
矯正歯科治療をすることで歯並びを治し、正しい歯磨きができることで清潔なお口の中を保ちやすくなるので口臭も改善されます。

体の不調が改善される

全体的な噛み合わせも整うメリットも大きいです。なぜなら歯並びの悪さは噛み合わせの悪さにつながっていることがあります。矯正歯科治療をすることで、歯が均一に接触するようになります。均一に接触すると歯にかかる力を分散できます。そして噛む筋肉がバランスよく働くことで、顎関節症や、様々な不定愁訴が改善されます。
矯正歯科治療によって噛み合わせが整うことで頭痛や肩こりといった体の不調が改善させる可能性もあります。

デメリットについて


装置がつくと違和感がある

矯正歯科治療では装置がお口の中に長時間装着されます。特に最初は違和感(話しにくさ、装置が舌にあたるなど)を感じる方が多いです。
食事の際などに気になることもあります。ただし違和感はずっと続くのではなく、徐々に慣れていきます。
マウスピース矯正の場合は食事や歯磨きの際に外せれるため、違和感は軽減されます。ただしマウスピース矯正は食事の際に矯正装置を毎回取り外す必要があり、その分手間がかかります。

治療中は矯正装置の見た目が気になる

矯正装置の見た目が気になる方も多くおられます。ワイヤー治療の場合、歯の表側に装置がつきますので話したり食べたり笑ったりするとどうしても装置が目立ってしまします。
気になるかたは目立たない白いワイヤーに変更か、可能であればマウスピースでの治療を選ぶことで見た目を気にせず治療することもできます。

口内炎ができる

矯正装置によって口腔内が傷つき口内炎ができる場合があります。
ワイヤー矯正ではブラケットという装置と舌や唇の裏側が擦れることで口内炎ができることがあります。
マウスピース矯正ではマウスピースの縁が尖って同じように口内炎ができることがあります。

治療中は虫歯や歯周病のリスクがある

ワイヤー矯正の場合、歯の表面に装置がつきますので、歯磨きがしづらくなります。
そのため、より丁寧なブラッシングを行わなければなりません。
もし十分なお手入れができない場合、虫歯や歯周病にかかってしますことがあります。
どの装置を使用する場合でも、時間をかけてしっかりと歯磨きを行う必要があります。

痛みや食事が不便になる

矯正歯科治療の場合、装置がつくことで食べられるものに制限があったりします。また、装置をつけた後は2~3日痛みで食事がしづらくなることがあります。
矯正歯科治療は歯に適切な力をかけて移動させるため、圧迫感のある痛みがでる場合があります。
ワイヤー矯正では、新しいワイヤーに変わった時、マウスピース矯正では新しいマウスピースに交換時2~3日痛みがあります。痛みは「歯が浮いたような感覚」や「ズーンとする感覚」「歯の根っこがズキズキする」と人のよって様々な痛みがでます。この痛みは矯正歯科治療を行っている間、常に痛いということはありません。徐々に慣れていきます。

歯茎下がりや歯根の吸収が起きることがある

矯正歯科治療で歯の重なりがなくなった場合、歯茎が下がったよう(歯茎下がり)になってしまうことがあります。また、稀にですが、治療中に歯根が溶けたように短くなる(歯根吸収)になってしますことがあります。でもこれは適正な力であれば起こることはほぼありません。

治療期間・費用の面でのデメリットがある

大人の矯正治療の場合、平均的な治療期間は2~3年くらいと長くかかります。また、保険適用外の治療(自費診療)ですので、治療費も安くはありません。またそれだけ長く通院していただく必要があります。
矯正治療に期間がかかるのは、歯や周囲組織にダメージを与えぬようにゆっくりと歯を動かす必要があるからです。
費用の面に関しては、保険適用外のため高いと思ってしまうかもしれませんが、矯正歯科治療を行うことで歯の健康を保ちやすくなります。また歯が健康なまま残る可能性が高くなり将来的に歯が長持ちします。

いかがでしょうか?歯科矯正治療にはいくつものメリットとデメリットがあります。
ふじよし矯正歯科クリニックでは、初めての方には無料で歯並びのご相談をしております。
今、ご自身の歯並びに関する不安や悩みをお持ちの方は、一度、ふじよし矯正歯科クリニックでご相談ください。

2024.02.01

妊婦さんでも歯列矯正治療はできる?パート1

妊娠中でも歯列矯正治療はできる?

妊娠中でも歯列矯正はできます。
しかし、妊娠をしている方は妊娠をしていない方に比べて歯列矯正中の注意点やリスクが多くなります。
妊娠中はホルモンバランスの変化によって、身体だけでなく精神的に不安定になることがあるため、不安に感じることがあるでしょう。
妊娠している期間の歯列矯正は、担当の歯科医師と相談して進めていくことが大事になります。

②妊娠中の歯列矯正治療の注意点

歯肉炎や虫歯のリスクが高くなる

妊娠中は、唾液の分泌低下や女性ホルモンバランス、つわりなどの影響により妊娠性歯肉炎(にんしんせいしにくえん)や虫歯になるリスクが高くなります。
特にワイヤー矯正の場合、装置の間に食べ物が挟まったり、歯磨きが行い辛く磨き残しが溜まったりしていくと歯肉炎や虫歯になりやすいです。
妊娠中はつわりで歯磨きが出来ない方もいます。ワイヤー矯正中、つわりで歯磨きができないと、さらに食べかすやプラークが歯に溜まってしまいます。
妊娠中は、吐き気やめまい・疲労感など体調が安定しない事も多くあり、生活習慣が乱れがちになります。つわりがひどい方だと、歯ブラシがお口の中に入る刺激で吐いてしまう場合もあります。どうしても歯磨きが行えない場合は、お口の中を清潔に保つために次の方法をおすすめします。

  • ○体調が安定しているときに歯を磨く
    ○ワンタフトブラシ(先が細く1本のブラシ)を使用する
    ○夜寝る前の歯磨きだけは丁寧に行う
    ○マウスウォッシュ(うがい薬)を使用する
    ○お水を飲む

歯列矯正をしていなくても、歯はきれいに保つことをおすすめします。
歯磨き不足で妊娠性歯肉炎になり、そのまま放置しておくと歯周病に進行し、低体重未熟児や早産のリスクが高くなります。
妊娠性歯肉炎は普段の歯磨きで改善することができます。
歯磨きをしっかり行い、お口の中を健康に保つことが大切です。

つわりがひどいと歯列矯正治療を続けることが難しい

妊娠初期(1~4ヶ月頃)は特につわりが出やすい時期になります。
吐きづわりのある方だと、お口の中に矯正装置が入っているだけでも吐き気が増してしまう可能性もあります。
体調が悪いときは無理をせず、体調が良くなるまで治療を中断してみるなど、担当の歯科医師とよく相談をして進めていくのが良いでしょう。

痛み止めなどを服用する場合担当医師へ相談が必要になる

歯列矯正を始めると、歯が動く時などに痛みを感じることがあります。
そのような場合、痛み止めを服用する方もいます。
妊娠している場合、安全に使用できる痛み止めを服用する必要があります。
痛み止めだけに限らず、妊娠中は服用できない薬もあるため、自己判断をせず担当医師に相談するようにしましょう。

妊娠中にできる歯列矯正の方法

歯列矯正には、歯にブラケット(一般的によく見られる固定式の装置)を装着して行うワイヤー矯正治療と歯に自分でマウスピースを装着するマウスピース矯正治療があります。妊娠中はどちらの矯正方法を選んでいただいても構いません。マウスピース矯正は歯磨きがしやすく、治療を中断する可能性が低いのでおすすめです。しかし、つわりがひどくて、マウスピースを装着し続けることが難しい場合もあります。
ワイヤー矯正の場合、いろんな症例に対応することができますが、歯磨きをしっかり行わなければなりません。自分で装置の取り外しができないため、つわりがひどくいとお口に中の装置が気持ち悪く感じてしまうこともあります。装置を除去してもらう必要が出てくることもあり得るでしょう。
矯正装置の種類を決めるときは、それぞれの装置のメリットデメリットを考慮して、担当歯科医師と十分に相談してから決めましょう。

歯列矯正中に妊娠が発覚した場合の対処法

歯列矯正中に妊娠が分かった場合、患者さまの体調に問題がなければそのまま治療を続けることが可能です。
ですが、むし歯や歯周病のリスクは通常に比べて高くなるので、歯磨きは丁寧に行うことを心がけましょう。
妊娠中は体調が突然変化することもあります。無理をせず、治療を休みたくなった場合は担当歯科医師に相談することをおすすめします。自己判断で治療を中断するのは避けましょう。

よくある質問

授乳中でも歯列矯正はできますか?

授乳中の方でも歯列矯正をしていただくことは可能です。
ただし、服用できる薬に制限があるので注意しましょう。心配な場合は、担当の医師に相談しましょう。

妊娠中に治療を中断してもいいですか?

妊娠中は身体面・精神面においてデリケートな時期なので、無理をしないことが大切です。体調が優れない場合は、担当の歯科医師と相談をして治療を中断することも可能です。

赤ちゃんと一緒に通院しても大丈夫ですか?

基本的に出産後の通院は、いつからでも可能です。
出産後は赤ちゃんのお世話で忙しく、お母さんの体調が安定しないこともしばしばあるので無理をせず、しっかり体力が回復してから治療を進めていきましょう。
赤ちゃんをベビーカーで連れて行くときは、ベビーカーで院内に入れるかどうか確認しておくのが良いでしょう。スロープがない場合や院内にベビーカーを置けるスペースが無い場合、ベビーカーでの通院が難しいこともあります。
当院では、ベビーカーのまま一緒に診療室に入っていただくことが可能です。

歯列矯正治療を始めるのは、妊娠前と出産後どちらがいいですか?

歯列矯正を始めるタイミングとしては、妊娠前に終わらせてしまうか出産後に体調が落ち着いてから開始するのが理想的です。
出産直後は、赤ちゃんのお世話による睡眠不足などで体調が不安定になる方もいます。心身のコンディションがいまいちだと、歯列矯正に対するモチベーションも下がってしまうことも考えられます。
きれいな歯並びにするためにも、無理せず自分の体調に合わせて担当の歯科医師と相談しながら治療を進めていくようにしましょう。

まとめ

妊娠中でも歯列矯正をすることは可能です。
ですが、妊娠していない時と比較するとさまざまな注意点があります。
妊娠中は自分の体調を優先して、治療の進め方や中断を担当歯科医師と相談するようにしましょう。実際に当院にも治療中の方でご妊娠をされ、治療を中断して出産後に治療を再開されている患者様もおられます。
ふじよし矯正歯科クリニックでは、初回無料で矯正の相談を行っています。歯列矯正を考えている方や歯並びが気になっている方は是非一度相談にお越しください。

2024.01.18

矯正治療中こんな時どうする?

今回は、歯並びや噛み合わせを治療する歯列矯正治療に、ご自身の環境などが変わり、歯列矯正治療以外で下記のようなことが起こった場合どうしたらいいのか?についてお話していきます。歯の並びや噛み合わせを治療する歯列矯正治療は、骨の中にある歯の根っこを少しずつ動かして治療していくため、治療が始まってから終わるまで数年かかるのが特徴です。数年といっても、大人の方でも約3年、小学生から始めると永久歯に生え変わるまでの期間の1期治療と、永久歯に生え変わってからの2期治療があり、治療が終わるまでに小学・中学・高校と進学していくことも多くあります。数年に及ぶ治療期間の中で、歯列矯正治療以外の様々なことがあります。その時に治療をどうしていけばいいか?悩むかもしれませんが、歯列矯正治療は、一時的に中止や中断をすることが可能な治療なのです。

矯正治療を中止・中断する

歯並びや噛み合わせを治療する歯列矯正治療は、骨の中にある歯の根っこをゆっくりと動かして治療していきます。長期にわたる治療のため、治療中に大切な行事やイベント・予期せぬことがおきた時には、一時的に装置を外したりして中止や中断ができます。ただし、歯が元に戻ってしまわないようにする事も必要です。また、患者様のご都合で装置を外した場合や、あらたに付け直す場合は、別途費用がかかることがかかりますのでご注意ください。では、どんな時に装置を外すのを考えるのか、治療の途中で中止や中断をするかそれぞれお話します。

結婚式や成人式

矯正の装置を取ってほしいと相談される時に、一番多いのが結婚式です。特に女性の方が気になるようで「〇月に結婚式があるのですが、矯正の装置を外すことは可能ですか?」っと。ご自身の結婚式だと人生で一番輝く日です。写真の前撮りや、挙式、新婚旅行などで写真やビデオも多く撮ることがあります。特にワイヤーでの治療中で気になさるようです。ワイヤー治療で使用している、ブラケットとワイヤーを一時的に取るのは可能ですが、装置を取っている間に歯が元に戻らないように、当院では外している間につける透明のマウスピースをお渡ししております。また、装置の取り外し・付け直しには別途費用がかかります。成人式での場合も同様です。

妊娠・出産

歯列矯正治療中に、妊娠・出産を経験される方もおられます。この場合、装置を外すことはほとんどないですが、悪阻で通院できない・出産前後も通院できないことがあります。矯正の装置が外れてなければ、体調が戻るまで矯正の治療は一時中断になります。この中断の間が長くなればなるほど治療期間も長くなり、治療が終わるのが遅くなります。

病気や怪我

年齢に関係なく、病気や怪我をすることはあります。基本的には、体調が悪いときは装置をしなくてもよいですが、矯正の装置を外してしていないときは治療をしていないと同じなので治療期間が延びてしまうことがあります。また、マウスピースでの治療をされているかたは、アライナー(マウスピース)をとっている時間が長くなってしまうと、アライナーが合わなくなってしまうので長時間外すのはおやめください。

入院

病気や怪我の時と同じですが、入院の内容によって変わります。もし、全身麻酔が必要な場合などの手術があると、矯正の装置によっては装置をとらないといけない場合があります。入院先の担当医から指摘された時は、矯正歯科の主治医にご相談ください。

MRIなどのレントゲン

当院でもたまにお問い合わせがありますのが、「MRIを撮ることになった。矯正をしていることを伝えると矯正の先生に確認をしてほしいと言われた」と、おそらくMRIを撮るときの説明で、体の中に金属はないですか?と聞かれますので、その際に「矯正治療中で口の中に矯正の装置がはいっている」と伝えると、矯正の先生にMRIを撮っても大丈夫か確認してほしい流れになります。首から下のMRI撮影は、大丈夫です。とお伝えはしておりますが、撮影する体の部位によっては、MRI撮影前に矯正の装置を一旦とることがあります。MRIの撮影が終わりましたら再度矯正の装置を付け直ししますので、ご来院いただいております。MRIの撮影をするときは、部位の確認をする必要がありますので当院までお電話をお願いいたします。

旅行(修学旅行など)

短期間の旅行(修学旅行・自然学校など)の時、取り外しができる装置は、旅行中に関してはつけなくても大丈夫です。もし旅行に持っていく場合は、紛失しないように気をつけてください。紛失した場合は、再製作料が別途必要になります。同じ取り外しができる装置にマウスピース(インビザライン)がありますが、マウスピースでの治療の方は毎日22時間装着が必須なため、旅行中もアライナーはつけるようお願いします。

県外への引っ越し

歯並びや噛み合わせを治療する歯列矯正治療は、治療の期間が長いため矯正治療中に、進学や就職などで県外に引っ越される患者様もおられます。引っ越しを機に当院での治療を中止して他院へ転医する場合と、引っ越し先から治療が終わるまで通われるか、二つ選択肢がございます。当院では、県外に引っ越し後も月に一回通われている患者様が多いです。

  • ・受験で県外の学校を目指している
  • ・就職したら勤務先が県外になる
  • ・仕事の転勤が決まった(県外の場合)
  • ・結婚して県外に引っ越す

など、矯正治療中に県外など遠くへ引っ越しの予定がある時は、主治医にお知らせください。今後の治療計画の見直しが必要になります。引っ越しと同時に転医する場合は、治療の中止のお話や、紹介状や転医資料(別途費用)のお渡しなどがありますので、急なお申し出だと対応出来かねることがあります。予定が分かり次第、お知らせください。

海外への留学

当院には、近隣に神戸市外国語大学があるため、矯正の治療の途中で数か月ほど海外へ留学される患者様が多いです。ワイヤーで治療中かマウスピースでの治療中かで対応が異なりますが、どちらも矯正の治療を一時中断して帰国後にご連絡をいただき、治療を再開していきます。留学中に装置が外れた等のトラブルは避けられませんが、留学する時期に応じて治療をしていきます。留学が決まった時点で、主治医にご相談ください。

 

今回は、長期に渡る矯正の治療中に起こりうることで、治療を一時中断や中止するときの事例についてお話しました。治療の期間が長くなるとその間に様々なことが起こります。上記に書いたこと以外でも、こんな時はどうすればいいか?と思うことがありますたら、当院の主治医もしくわスタッフまでお気軽にご相談ください。

 

2024.01.11

矯正中に起こりやすい歯肉(歯ぐき)のトラブル

今回は、歯列矯正中に起こりやすい歯肉のトラブルである、

  • ・ 歯肉退縮 (しにくたいしゅく))
      (歯肉が下がったり、瘦せたりする現象のこと)
    ・ 歯肉炎(しにくえん)
      (歯肉に痛みを感じたり、出血する現象のこと)

の2つについてご紹介いたします。

矯正をすると歯肉が下がってしまう原因

① お口の中のお手入れ不足

お口の中のお手入れ不足により、歯の汚れが溜まることで歯肉が炎症を起こしてしまいます。歯肉の炎症が続くと、歯肉の細胞やコラーゲンが破壊されて歯肉が下がってしまいます。歯肉が下がることを歯肉退縮と言います。

② 矯正装置のお手入れ不足

矯正治療中は、お口の中に装置を使用します。
装置がお口の中についていると歯磨きが行い辛く、取り外し式の装置の場合でもお手入れ不足だと装置に付着した汚れにより歯肉に炎症を起こして、歯肉が下がってしまいます。(歯肉退縮)

③ 過度な矯正力

矯正治療では歯を動かすために、歯に力をかけています。
矯正の力は、歯を支えている骨に伝わり、骨の吸収や再生という代謝が起こります。
そして、歯にかける矯正の力が強い場合、歯を支えている骨の再生がうまく行われない可能性があります。歯を支えている骨の再生がうまく行えない場合は、歯肉退縮が起きてしまいます。

④ 骨が薄い部分に歯が移動する

歯を支える骨が薄いところに力をかけると、骨の代謝がうまく行われず、歯を支える骨の再生も行えない可能性があります。
歯にかける矯正の力が強い場合と同様で、歯を支えている骨の再生が行えないと歯肉退縮が起こってしまうことがあります。

歯肉が下がると起こるデメリット

① 見た目が気になる

歯肉が下がる(歯肉退縮と言います)と

  • ・ 歯が長く見える
    ・ 歯と歯の間に隙間ができる(ブラックトライアングル)

ため、見た目が気になる方もいらっしゃると思います。

② 知覚過敏の症状を感じることがある

知覚過敏とは、冷たいものや温かいものなどの刺激で歯が痛む状態です。
歯肉退縮をして出てきた歯の根っこの部分は、エナメル質で保護されていないため刺激に敏感なので、冷たいものなどの刺激を受けると歯に痛みを感じます。

③ むし歯になる

歯肉退縮により出てきた歯の根っこの部分(歯根 しこん)は、非常に虫歯になりやすいです。
通常の歯は硬いエナメル質で保護されていますが、歯根は本来であれば歯肉に覆われている部分であるためエナメル質はありません。
歯根が露出すると、露出している部分に細菌が繁殖しやすくなります。
歯根の虫歯は進行が早く、重症化すると歯の根っこの神経(歯髄 しずい)や骨(歯槽骨 しそうこつ)にまで進行する可能性があります。

④ 歯がグラグラする

歯肉退縮をしていると、歯肉を支えている骨が通常より少なくなっている可能性があります。
そのため、歯を支える骨が少なくなっているため歯がグラグラすることがあります。

歯肉が下がったと感じたらすること

① お口の中のお手入れを丁寧に行う

しっかりお口の中のお手入れをすることにより、歯肉の炎症を抑えることが大事になります。歯肉の炎症を無くすことで、歯肉が退縮するのを防ぐことができます。
お口の中に矯正装置が入っている場合、歯ブラシのみでの清掃だけではきれいにすることは難しいかと思います。
そのような場合には、デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助清掃用具の使用をおすすめします。

② 装置のお手入れを丁寧に行う

お口の中のお手入れと同じくらい装置のお手入れも大切になります。
取り外し式の装置を使用している場合、装置をきれいに保つために科学的な洗浄も大切です。
当院では、取り外し式の装置を使用している患者様に洗浄剤のご使用を勧めています。殺菌効果などがあるため、装置を清潔に保つことができるでしょう。

③ 矯正装置の不良をそのままにしない

矯正装置が合わなかったり、歯や歯肉に違和感がある場合は早めに歯科医院に受診するようにしましょう。
装置の調整を行うことで、歯肉の退縮を防ぐことができます。

④ 歯科医師に相談してみましょう

歯肉が退縮していると感じたら、まずは一度歯科医師に相談することをおすすめします。可能な範囲で矯正装置の調整や歯周病の治療を受けることで、症状の悪化を防ぐことができます。

歯肉退縮が起きやすい人の特徴

  • ・ 歯列矯正をしている方
    ・ もともとの歯肉が薄い方
    ・ 歯磨きが充分に行えていない(磨き残しがある)方
    ・ 歯ブラシの(歯に対する)当て方が強い方
    ・ 歯周病の方
    ・ 喫煙習慣などにより口腔内の環境が悪い方
    ・ 歯ぎしりや食いしばりのクセがある方
    ・ 歯の噛み合わせが悪い方

5.矯正中に歯肉炎(しにくえん)になってしまう原因

① 歯列矯正をしている

歯肉炎は歯列矯正中に起こりやすい症状になります。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正のどちらの矯正装置でも歯肉炎は起こりやすいと言えます。
ワイヤー矯正の場合、矯正装置の影響で歯が磨きづらくなってしまうのが原因になります。歯に磨き残しが溜まっていくとプラークといわれる細菌の塊が増え、
歯肉に炎症を起こしてしまいます。
マウスピース矯正の場合、食事と歯磨きの時はマウスピースを外していただいています。そのため、歯磨きも行いやすいです。ですが、歯磨きを行わずにマウスピースを装着してしまうと、歯にぴったりと細菌がくっついているままになるため、虫歯になるリスクが高くなります。

② お口の中のお手入れ不足

歯肉炎はお口の中のお手入れ不足により、歯の汚れが溜まることで歯肉が炎症を起こしてしまいます。
歯に汚れが溜まっていることで、細菌がさらに増殖します。
歯磨きを定期的に行わなかったり、細かい部分まで磨けていない影響で歯肉に炎症が起きます。
また、定期的に歯磨きを行っていても歯ブラシの種類が合っていない場合や歯を磨く時間が短すぎる場合にも歯肉炎が起きてしまう可能性があります。

③ 生活習慣による影響

歯肉炎は、喫煙やストレスなどの生活習慣が原因で歯肉炎を発症することもあります。また、免疫の低下や血行不良などによってお口の中の環境が乱れることで歯肉炎になる可能性もあります。
歯肉炎は誰でも発症のリスクがあるお口のトラブルだといえるでしょう。

矯正中の歯肉炎には要注意

歯肉炎はさまざまな人が起こる可能性のあるお口のトラブルです。
その中でも歯列矯正中に起こる歯肉炎は特に注意が必要になります。

① 放置していると危険

歯肉炎が起きてしまって、そのまま放置しておくのは危険です。
歯肉炎は放置していると、歯周病(ししゅうびょう)や歯槽膿漏(しそうのうろう)になってしまう可能性があります。
歯肉の炎症が段々と進行することで、歯を支えている骨が溶けてしまい、歯がグラグラし、最悪の場合だと歯が抜けてしまいます。
歯肉炎は徐々に進行していくので、気がついたら素早く対処することをおすすめします。

② 完治するのに時間がかかる

歯肉炎を発症してしまったら、なかなかすぐには治りません。
一度治ったとしても、再発する可能性高いため完治するには時間がかかるという認識を持っておくといいと思います。
矯正治療中に、歯肉炎起こしてしまうと歯につけている装置が歯肉に埋まってしまうこともあります。歯肉炎の影響で、装置を付けられなくなると、矯正の治療期間や診療時間が長引いてしまう可能性も考えられます。

歯肉炎に気がついたらすること

① 歯磨き習慣を改善する

歯肉炎になってしまったら、まずは歯磨き習慣を見直してみましょう。
特に矯正中だと、口の中に装置があることで歯磨きが行い辛く、細かいところまで磨くことが難しくなります。普通の歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやワンタフトブラシ(1本ブラシ)などの清掃補助用具を使用することで細かい部分の汚れを落としやすいのでおすすめです。
また、食後に歯を磨く習慣を身に付けましょう。

② 歯医者さんで歯のクリーニングを受ける

歯肉炎が発症してしまったら、かかりつけの歯医者さんでアプローチしてもらうことをおすすめします。
歯肉の状態やプラークや歯石などの歯の汚れを取り除いてもらうことができます。
クリーニングを定期的に受けることでお口の中の環境の改善に繋がります。
普段の歯磨きでは取り切れない部分もあるので、定期的に歯医者さんに通うと良いでしょう。

2024.01.04

歯列矯正治療での痛み

今回は、歯列矯正治療中におこる痛みについてお話します。
痛みが気になって歯列矯正治療を迷っている方はぜひ最後までご覧いただいて歯列矯正治療の痛みについてご理解いただければと思います。

歯列矯正はどのくらい痛い?

歯並びの相談の時に患者様から一番よく聞かれるのが、
「歯列矯正って痛いと聞くけどどれくらい痛いですか?」
「どんな痛みですか?」
「治療中はずっと痛いですか?」
など、痛さや痛みを気にされているかたが多くおられます。
痛いですか?と聞かれると当院では、【痛いです】とお伝えしております。でも、【痛みで治療をやめられた方はいないです】とも加えてお伝えさせていただいております。
とくに、痛みの感じ方は人それぞれで違いますので、痛かったと言われる患者様もいますし、逆にそんなに痛くなかったと言われる患者様もおられます。

矯正治療中におこる痛みは3つ

①歯が動いているとき(ワイヤーやマウスピースを交換したとき)

ワイヤーでの歯列矯正でもマウスピース型の歯列矯正でも、どちらも同じく矯正装置を歯につけて力を加えると歯が動き始めます。歯を少しずつゆっくりと動かして治療していますので痛みがでます。特に最初に装置をつけて歯が動いていくときに痛みを感じることが多いです。

痛みはいつまで続く?

この痛みは、装置をつけてから2~3日がピークで徐々に慣れていき1週間ぐらいで痛みは和らぎます。歯列矯正治療をしている数か月から数年間、すっと毎日痛いわけではありませんので安心してください。個人差はありますが、治療に慣れてくるとワイヤーやマウスピースを交換しても痛みを感じなくなる患者様もおられます。

歯が動くときはどんな痛み?

この時の歯の痛みというのは、虫歯のときのような痛みではなく、歯の根っこがウズウズとうずくような、浮いたような痛みを感じます。なぜなら、上の歯も下の歯も歯槽骨(しそうこつ)という骨に埋まって生えています。歯を動かすというより骨の中に埋まっている歯を動かしていると思ってください。
私自身、矯正治療中ですが、下の前歯が動いているときは、下あごが痛かったですし、上の前歯が動いているときは、鼻の下が痛かった経験があります。歯が痛む、というより歯の根っこ付近が痛くなると思ってください。

痛みをやわらげるには?

ワイヤーの種類にもよりますが、ぬるま湯にお塩を少しいれていただき、口に含んでいただくと温湿布変わりになり痛みが軽減します。お家にある痛み止めの薬を飲んでいただいても大丈夫です。
試験や大会、旅行など大切な予定が入っている場合は終わってからご予約をお取りするようにしていますので予約の際にお伝えください。

ただし、装置が入っている違和感は治療が終わるまであります。治療が終わっても綺麗に並んだ歯が後戻りするのをふせぐために、保定装置を使っていただきます。また保定装置は慣れるまで話しづらいなど痛みとは違う不快感があります。

②つけている矯正装置がお口の中にあたっているとき

歯列矯正治療をはじめると、治療中は長い間お口の中にワイヤーや装置、マウスピース型の歯列矯正の場合はマウスピースが入ることになり、装置の一部がお口の中の頬っぺたや舌にあたって口内炎ができることがあります。

ワイヤー治療中の場合

ワイヤーでの治療の場合、歯が動き始めると余った奥のワイヤーが頬っぺたの内側にささって痛むことがあります。この場合、余ったワイヤーを切れば痛みは無くなりますのでご連絡ください。急患でご予約をおとりします。他には、ワイヤーを歯に通す装置(ブラケット)の一部が唇や頬っぺたの内側にあたってしまって口内炎になることもあります。学校やお仕事の都合ですぐに来院できない場合は、お渡ししているワックスをお使いください。

マウスピース型の治療中の場合

マウスピース型の歯列矯正治療の場合では、薄い素材でできているため、ワイヤー治療よりは口内炎になりにくいですが、まれにマウスピースの縁が舌にあたって痛みがでたりします。また、歯に負荷をかけているゴムをかける部分が頬の内側や唇にあたり痛むことがあります。マウスピースの縁があたって痛む場合は、紙ヤスリをお渡ししています。紙ヤスリで少しこすっていただくと縁の引っ掛かりはなくなります。ゴムをかけるために付いている装置(ボタン)があたって痛い場合は、ワイヤー治療の時と同じようにワックスを使っていただくと痛みは軽減します。

このお渡ししているワックスは、濡れているとつきにくいため、つけるときはティッシュなどで唾や水分を拭き取ってからお使いください。取れてしまって飲み込んでも問題のない素材なのでご安心ください。

どちらの治療の場合でも、口内炎ができるような痛みがでたらご連絡ください。

また、口内炎がお口の中にできてしまったときは、熱い食べ物や辛い食べ物などの刺激物は控えてください。

③硬い食べ物を噛むとき

歯列矯正治療が始まると、硬い食べ物が食べづらくなります。先にお話したように、歯列矯正治療とは歯槽骨(しそうこつ)に埋まっている歯を動かしています。歯列矯正治療をして歯が動いている間を動的治療中といいます。動的治療中は歯の根っこが不安定なため、歯が動揺(どうよう)しています。動揺とは、歯が揺れるようになることをいいます。この動揺のため、硬い食べ物を噛むと歯が抜けてしまいそうな感じになります。実際に抜けてしまうことはありませんが、一度経験すると食べるのを躊躇するようになると思います。私自身も歯列矯正治療を始めてから、大好きな芋けんぴが食べられなくなりました。できるだけ、歯列矯正治療が終わるまでは硬い食べ物は控えていただくようお願いいたします。

痛みがあるときの食事

ワイヤーやマウスピースを交換して歯が痛いとき、痛みのピークは2~3日なのでその間は、歯に負担のかからない柔らかくあまり噛まなくてもいい食べ物にしてください。お粥、雑炊、うどん、などを患者様にもおすすめしています。

歯列矯正治療中は控えていただきたい食べ物

歯が痛むときは、硬い食べ物がたべづらいと思いますが、痛みに慣れてきたときや、痛くないときにも食べるのを控えていただきたい物があります。
たとえば、硬いおせんべい、フランスパンなどのハード系のパン、氷をガリガリ食べる、などは装置が取れる原因にもなります。小さくするかちぎって食べるようにしてください。普段からつい氷をガリっと食べる癖がある方は歯にも悪いので止めていただいたほうがいいです。他にも、ガムも控えていただいています。ガムは、装置についてしまうと取れなくなりますので歯列矯正治療で装置がお口の中に入っている間は食べないでください。

マウスピース型での治療で気をつけたい食事

マウスピース型の歯列矯正では、基本、お食事のときはマウスピースをとっていただくのですが、ワイヤー治療と同様に硬い食べ物は控えてくだい。マウスピース型の歯列矯正の場合、歯にアタッチメントというポチポチした突起物をつけます。硬い食べ物を食べてしまうとこのアタッチメントがとれてしまいます。気づかずにとれたままにしていると計画通りに歯が動かないなど、治療に影響がでます。アタッチメントがとれたときは、お早めにご連絡をください。
また、食事によってマウスピースが着色してしまうことがあります。主に、カレーやコーヒーが着色しやすいので、カレーを食べるのは、次のマウスピースに交換する3日前ぐらいがいいかと思います。一度着色してしまったマウスピースは、洗浄剤を使ってもとれないのでご注意ください。

今回は、歯列矯正治療中におこる痛みについてお話しました。少しでも気になることがありましたら当院の医師・またはスタッフにご相談ください。

2023.12.28

顎間(がっかん)ゴムについて

歯医者さんでの歯科治療のイメージは、みなさんどういうイメージをお持ちですか?例えば、虫歯などで歯を削られる・歯周病などで歯を抜かれるなどのように歯に対する“される”ことが多いですが、矯正治療は、装置を付ける・歯型を採る・矯正の装置を調整するなどの矯正装置に対する“される”ことがあります。患者様自身が渡された可撤式矯正装置(自分で取り外しができる矯正装置)などを決められた時間使用するなど、“する”という患者様のご協力が必要であり、矯正歯科治療においてとても重要になります。
その患者様自身にご協力していただくことの中から、今回は「顎間(がっかん)ゴム」についてお話していきたいと思います。

顎間ゴムとは、小さな医療用のゴムであり、歯を動かしたり、かみ合わせを調整するための補助装置として使用されています。顎間ゴムは、「エラスティックゴム」や「ゴム掛け」とも呼ばれています。顎間ゴムは、上と下のかみ合わせを調整したり、前歯を引っ込めたりする時などに使用され、上顎前突(出っ歯)や下顎前突(受け口)、開咬などのさまざまな歯並びやかみ合わせで使用されています。
そして、歯並びやかみ合わせの状態によってゴムの掛ける位置やゴムの種類も変わります。矯正力はゴムの太さやリングの直径で異なります。しかし、歯並びやかみ合わせによって顎間ゴムを使用しない方もいますが、顎間ゴムを使用している方は多くいます。
顎間ゴムは、ワイヤー矯正治療やマウスピース型矯正治療(インビザライン)でも使用されます。

○顎間(がっかん)ゴムの種類

顎間ゴムは、Ⅱ級ゴム・Ⅲ級ゴム・垂直(すいちょく)ゴム・交叉(こうさ)ゴムなどがあります。

Ⅱ級ゴム:上顎前突(出っ歯)症例に用い、上の犬歯部付近から下の大臼歯部(奥歯)付近に掛けることが多く、上の前歯を後方に引くよう歯を動かします。

Ⅲ級ゴム:下顎前突(受け口)症例に用い、下の犬歯部付近から上の大臼歯部(奥歯)付近に掛けることが多く、下の歯を後方に引くよう歯を動かします。

垂直ゴム:開咬(かいこう)(オープンバイト)という奥歯は咬み合っているが前歯が咬み合っていない症例や上下の歯のかみ合わせが咬み合っていない症例に用い、上と下に垂直に掛けて咬み合わせの緊密化をはかります。トライアングルのように三角形でゴムを引っ掛けることもあります。

交叉(こうさ)ゴム:交叉咬合(こうさこうごう)という上下の歯の咬み合わせが左右にずれている症例に用い、上と下の歯の表側と裏側で咬合面を越えてクロスになるように掛けます。

○使用時間

顎間ゴムは、長時間装着することがとても重要であり、食事と歯磨きの時以外は毎日必ず装着してください。使用する時間が少ないと歯は動かず、力の反作用で歯が後戻りしてしまいます。使用する時間が少なく、患者様のご協力度が低い場合は矯正治療期間が長引いてしまうことがありますので、必ず主治医の指示に従って行うようにお願いいたします。

○交換頻度

1日1回は新しいゴムに交換してください。
同じゴムを使い続けると、ゴムが劣化し、伸びたり、切れてしまうことがあります。そのため、矯正力が半減し効力がなくなるため、毎日1日1回は新しいゴムに交換するようにしてください。
また、外したゴムを再度つけることに抵抗がある場合は、毎食後新しいゴムに交換していただいても大丈夫です。

○ゴムの掛け方

ワイヤー矯正治療の場合

ワイヤー矯正治療の方は、ワイヤーやフックなどに引っ掛けます。

マウスピース型矯正治療(インビザライン)の場合

インビザライン矯正治療の方は、プレジションカットというアライナーに切り込みが入っている部分にゴムを引っ掛けたり、歯に直接ボタンを装着しボタンにゴムを掛ける方法があります。

Ⅱ級ゴムやⅢ級ゴムの場合は、後方から前方に掛けていただくと掛けやすいです。
奥歯は見にくく、頬を引っ張らないと見えない場合が多いため、後方から前方に掛けるのが比較的掛けやすいです。指でも掛けることはできますが、指では困難な方は“エラスティックホルダー”というゴムを掛ける専用の道具を使用していただきます。先端にゴムを引っ掛ける部分があるのでそこにゴムを引っ掛けてゴムを掛けていただきます。

ただし、ゴムを掛ける際は大きなお口を開けるとゴムの掛ける距離が長くなり、突然ゴムが外れることがあります。そして、ゴムが掛かった状態で大きなお口を開けると顎に負担がかかるため、なるべく大きなお口を開けないよう注意してください。
もし、ゴム掛けで顎関節が痛い、音が鳴るといった症状が出た場合は、すぐに当院へご連絡をお願いいたします。また、ゴムが頬(ほほ)の内側にこすれて口内炎になることがあります。通常の口内炎の対処法として透明に近いワックスをお渡ししていますが、ゴムにワックスを付けるのは難しいため、この場合も当院へご連絡をお願いいたします。

初めてゴムを掛ける方やゴムを掛ける位置が変わった場合、当院では必ずゴムを掛ける練習を行いますのでご安心ください。最初は鏡を見ながらゴム掛けを行いますが、慣れると鏡無しでゴムを掛けられるようになります。ゴム掛けは、ゴムの掛ける場所・ゴムの種類・ゴムの掛ける時間を主治医の指示に必ず従うようにお願いいたします。治療時に新しいゴムをお渡ししていますが、次の診療日までに使い切ってしまった場合は、当院にご連絡をお願いいたします。受付でご用意しておきます。
ゴムを掛けると見た目が気になったり、話しづらかったり、掛けるのが面倒くさくなったりします。しかし、ゴム掛けは矯正治療を進めていくうえで重要な役割であり、ゴムを長時間掛けていただくことによって矯正治療の成功に近づきます。そのためには患者様のご協力が必要になります。

ゴム掛けについてご不明点やご相談がありましたら、来院の際スタッフにお気軽にお声掛けまたは当院へご連絡をお願いいたします。

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