マウスピース治療での注意点(食べ物編)
前回の(飲み物編)に続き、今回はマウスピースで歯列矯正治療での注意点(食べ物編)です。まず、マウスピースで歯列矯正治療をする際、マウスピースのことをアライナーといいます。前回は、飲み物でアライナーが黄ばんでしまうことと、アライナーをつけている時に飲んではいけないものなどを、お話しましたが、食べる物(食事)も黄ばみの原因になります。基本、アライナーをつけている時は、食べることは出来ません。私自身、マウスピースで歯列矯正治療をしていたので、実際にアライナーをつけている時に、食べられるか食べられないか色々試してみましたが…結果何も食べられませんでした。アライナーをつけていると、歯がすべてアライナーに覆われているので奥歯が滑って噛み合いません。歯が噛み合っていないと食べ物が噛めないのです。柔らかいパンやうどんなど試してみましたが、噛めずに吐き出した記憶があります。キシリトールのガムも全く噛めませんでした。アライナーをつけている時に口に出来るのは、お水のみです。食事をする際・お水以外の飲み物を飲む時は必ず、アライナーを外してください。緑茶や麦茶などは飲んでも構いませんが、アライナーが黄ばむ原因になりますので出来れば避けていただくといいと思います。アライナー生活を機に、お水を飲む習慣がつけば健康面でもオススメです。
アライナーを外すのは食事と歯磨きの時だけ
マウスピースでの歯列矯正治療は、アライナーを一日22時間つけることで少しずつ歯を動かし歯並びを治療していきます。一日22時間ということは、一日のうち2時間ほど外せれる時間があります。この2時間は、食事と歯磨きの時間です。食べ物を食べる時と、歯を磨く時だけはアライナーは必ず取らないといけません。2時間でも矯正の装置が自分で外せることが出来るのが、マウスピース矯正のメリットだと思います。しかし、この2時間という時間、長いと思いますか?短いと思いますか?歯磨きが一回5分だとして、朝晩で歯磨きの時間は10分です。ということは、残り110分で、朝昼夜のご飯を食べる計算になります。朝ご飯とお昼ご飯はそれぞれ30分で食べられるかもしれませんが、夜ご飯のときは、ついテレビを見たり、スマホを見たりしてダラダラしてしまい1時間以上経過していることがありませんか?この時点ですでに、『一日22時間つける』が守られていません。このアライナーをつけていない時間は、歯に負荷がかかっていないため歯は正しい位置に動いていないのです。逆に元に戻ろうとしてしまい、だんだんアライナーが合わなくなったり、歯からアライナーが浮いてしまったりしてしまいます。つける日数は守っていても、つける時間を守れていないと、新しいアライナーに交換した時に入らない・合わない・浮いている原因になります。
食べる時にアライナーを外す理由
①アライナーが壊れてしまう
アライナーをつけたまま食事をしてしまうと、噛む衝撃でアライナーが歪んでしまったり変形し割れてしまうなど壊れてしまうことがあります。食事をするときは必ずアライナーを外すようにしてください。
②アライナーが黄ばんでしまう
アライナーをつけたまま飲食をすると、透明なアライナーが黄ばんでしまいます。特にカレーライスを食べたあとは、どんなに歯磨きをしてもアライナーが黄ばみます。マウスピースで歯列矯正治療をしているときに、カレーライスなど着色がつきやすい食事はアライナーの交換前(できれば二日前ぐらい)に食べると、黄ばみも減って清潔にお使いいただけます。
③虫歯になってしまう
マウスピースでの歯列矯正治療で使われているアライナーは、歯をすべて覆っているためそのままで食事をしてしまうと、食べたものが詰まったり挟まったりします。そのままだと虫歯になってしまいます。そもそも、アライナーをつけたままでの食事は出来ません。キシリトールのガムもアライナーをつけているときは噛めませんのでお気をつけください。
食事後に気をつけること
歯が動き始めると、歯と歯の間に隙間ができてきます。この隙間に食べ物が挟まるようになります。繊維質な食べ物(鶏肉・長ネギなど)がとくに挟まりやすく、一度挟まると舌の先や指ではなかなか取ることが出来ず、かなり不快になります。細いパスタの麺などはそのままの形で挟まることもありますし、ゴムを掛けるボタンにも食べ物が引っ掛かりやすくなります。食べ物が挟まったままでアライナーをつけると、虫歯のリスクが高くなりますし、アライナーが合わなくなってしまいます。食事後は、アライナーをつける前に必ず歯磨きをしてください。歯ブラシだけでは、挟まった食べ物はとれないので、歯間ブラシやデンタルフロスを使って歯と歯の間に挟まった食べ物とって歯磨きをし、歯列矯正治療中はとくに丁寧に歯磨きをすることを習慣づけていただくようにしてください。
間食や外食時に気をつけること
アライナーをつけている時は食べられませんので、間食(おやつなど)をする時もアライナーは外さないといけません。実際、私がマウスピースで歯列矯正治療を始めて一番大変だったのが、この食べる時に取ったり外したりすることでした。お菓子を食べるために、アライナーをとってお菓子を食べ、食べ終わったら歯間ブラシとデンタルフロスを使ったあとに歯磨きをし、アライナーをつける。この一連の流れがなかなか大変で面倒なのです。私は、治療が進むにつれアライナーの生活に慣れてくると、間食もしなくなっていました。間食はしなくても、外食はみなさんされると思います。外食の時、アライナーはいつ外していますか?アライナーは装着時間がとても大切なので、取ってから出かけるのではなく、できればお店についてからお手洗いでアライナーを取って、専用のケースにいれて食事をし、食べ終わったら歯磨きをしてアライナーをつける。という風にしていただければと思います。私は、出かけるときはいつもアライナー用のポーチをいつも持ち歩いていました。ポーチの中身は次の(日常生活編)で詳しく書いていきます。
食べる物の注意点
マウスピースでの歯列矯正治療は、食事をする時に装置が取れ、歯磨きがしやすいのがメリットですが、逆にアライナーをつけている時は何も食べられません(お水のみです)。また、アタッチメントという歯をより良く動かすために、歯にポチポチっとした歯と同じ色の突起物がついています。硬い物を、噛んだ時にこのアタッチメントが取れてしまうことがあります。マウスピースでの治療でもワイヤーでの治療でも、歯列矯正の治療中は、出来るだけ硬い物をガッブっと噛むのはお控えください。装置が取れてしまう原因になります。
まとめ
今回は、マウスピースでの歯列矯正治療中での気をつけていただきたいこと(食事編)をお話しました。マウスピースでの治療は、ワイヤー治療にある食べ物の制限は無いですが、アライナーをつけている時は飲食ができないため(お水のみ)、アライナー生活に慣れるまでは何かと困ることがあるかと思います。気になることがありましたら、いつでも当院にお問い合わせください。
インビザライン治療では歯を削る?その理由とメリットを解説!
こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
インビザライン治療では歯を削ることがあります。「歯を削って痛くないの?」「どれぐらい歯を削るの?」など、不安に思う方は少なくないでしょう。
今回は、インビザラインで歯を削る理由や、削る際の痛みなどを解説します。
インビザライン治療では歯を削る?
インビザライン治療では、歯を削ることがあります。歯科医師が口内の状態を確認し、インビザライン治療を進めていくうえで歯を削る処置が必要だと判断した場合のみ削ります。そのため、すべてのケースで削るわけではありません。
インビザラインに限らず、ほかのマウスピース矯正や、ワイヤー矯正でも歯を削ることがあります。矯正治療を進めるうえで行われる歯を削る処置は、歯を動かすためのスペースを作ることが目的です。歯を削る処置は「IPR(アイピーアール)」とよばれます。
歯の削り方は、以下のとおりです。
・やすりで削る
・ディスクで削る
・バーで削る
IPRで使用する機械は、歯科医院によって異なります。やすりで削る場合、歯と歯の間に専用のやすりを入れて、細かく動かして歯を削ります。
ディスクで削る場合は、電動の円盤状の器具を回転させてスペースを作るでしょう。バーで削る場合は、虫歯治療で使われるドリルのような機械を用いて歯を削ります。
インビザライン治療において歯を削る理由
インビザライン治療で歯を削る理由は、以下のとおりです。
・歯を並べるためのスペースを確保する
・歯の大きさのバランスを整える
・ブラックトライアングルを目立たなくする
それぞれ確認しましょう。
歯を並べるためのスペースを確保する
インビザラインで歯を削る理由として最も多いのは、歯を並べるスペースを確保するためです。歯並びがガタガタになる原因や、出っ歯になる原因の多くは、歯がきれいに並ぶためのスペースが足りないことです。歯を削ってスペースを確保することで、歯並びを整えます。
歯を削る量はほんのわずかですが、複数の歯の側面を削ることでスペースを確保するのです。
歯の大きさのバランスを整える
歯列矯正では歯並びを動かすことはできても、歯の大きさまで変えることはできません。歯を削ることで、ある程度歯の大きさや形を変えることができます。
例えば、左右で歯の形が違う場合や、上下の歯のバランスを整えたい場合に、歯を削ることがあるでしょう。
ブラックトライアングルを目立たなくする
ブラックトライアングルとは、歯茎と歯と歯の間にできる三角のすき間のことです。
インビザライン矯正に関わらず、歯列矯正をするとブラックトライアングルができやすい傾向にあります。ガタガタしていた部分の歯茎が引き締まったことや、歯が重なっていた部分の歯槽骨が少なかったことが原因で、ブラックトライアングルができるのです。
歯並びが悪い状態だと歯磨きが難しく、汚れが残りやすくなります。汚れが残るとプラークが溜まり、歯茎が腫れることがあるでしょう。
歯列矯正で歯並びが改善され、歯ブラシで汚れを落とせるようになると、歯茎の腫れが治まります。徐々に歯茎が健康的に引き締まるでしょう。そのため、ブラックトライアングルが出現することがあるのです。
歯並びの乱れが大きい場合、歯を支える歯槽骨が薄くなっていることがあります。歯槽骨が少ない部分に歯を並べると、歯が動いたあとにブラックトライアングルが目立つ可能性があるでしょう。
ブラックトライアングルができた場合、歯を削ることで目立たなくできます。歯を削って三角形に近い形をしていた歯を四角形に整えます。その際に生まれたスペースを埋めるように歯を並べることで、ブラックトライアングルを改善するのです。
インビザライン治療で歯を削るメリット・デメリット
インビザライン治療で歯を削るメリット・デメリットをご紹介します。
メリット
インビザライン治療で歯を削るメリットは、以下のとおりです。
・抜歯をせずに矯正できる
・治療期間を短縮できる
・後戻りを防げる
それぞれ解説します。
抜歯をせずに矯正できる
歯列矯正において歯をきれいに並べるためのスペースが足りないと判断された場合、抜歯をする必要があります。
しかし、歯を削るだけでスペースが確保できる場合、抜歯が不要となるでしょう。虫歯などのトラブルが起きていない健康な歯を抜くことに抵抗を感じる方もいます。歯を削ることで抜歯を回避できるのは、大きなメリットでしょう。
治療期間を短縮できる
抜歯をせずに歯を削ることでスペースを確保してインビザライン治療を進めると、治療期間を短縮できる可能性があります。抜歯をしないと、歯を大きく動かす必要がなくなるからです。
歯を削ってスペースを確保した場合、1本あたりの移動距離が短くなるため、治療期間が短くなる可能性があります。
後戻りを防げる
矯正装置で歯を動かしたあとは、歯全体にもとの位置に戻ろうとする力が働きます。歯がもとの位置に戻ることを後戻りといい、インビザラインに限らずすべての矯正方法で起きる可能性がある現象です。
後戻りを防ぐために、矯正装置で歯を動かしたあとは保定装置を装着し、歯列を固定する期間を設けます。歯を削ると、隣接する歯の接着面積が増えるため、支え合う面積が増えて歯並びが安定しやすいでしょう。
もちろん、後戻りを防ぐためには保定装置の使用は欠かせませんが、歯を削ることで後戻りしにくくなります。
デメリット
インビザライン治療で歯を削るデメリットは、以下のとおりです。
・健康な歯を削る
・歯同士が面で接触する
・確保できるスペースが限られる
それぞれ解説します。
健康な歯を削る
最も大きなデメリットは、健康な歯を削ることです。歯を削る量はごくわずかなので、痛みを感じることはなく、虫歯になりやすくなるなどのトラブルもありません。
しかし、健康な歯を削ることに抵抗がある方も多いです。歯を削る必要があるかどうか、事前に歯科医師に確認しましょう。
歯同士が面で接触する
天然歯は歯の先端が丸みを帯びているので、歯の隣接面は点で接触します。
しかし、歯を削ると削った面が平らになるので、歯と歯が面で触れ合うことになります。接する面積が増えるので、汚れが溜まりやすくなるでしょう。
過度に歯を削らなければ心配する必要はありませんが、歯と歯のすき間をより丁寧に掃除する必要があります。
確保できるスペースが限られる
抜歯に比べると、歯を削るだけでは大きなスペースを確保することができません。そのため、大きなスペースを作って歯全体を大きく動かさなければいけないと判断された症状などは、対応できないことがあります。
どんな方法でスペースを確保するのかは、歯科医師が判断します。希望を伝えるのは問題ありませんが、最終的な判断は歯科医師に任せましょう。
インビザライン治療で歯を削る量
一般的に、歯の一番外側にあるエナメル質とよばれる部分を少し削ります。削る場所は歯の両サイド、隣の歯と隣接する面です。
削る量は0.1mm〜0.25mm程度です。エナメル質は2〜3mm程度あるので、歯を削っても形が大きく変わることはありません。
歯を削るとしみたり痛んだりしない?
エナメル質の一部を少量削るだけなので、歯がしみたり痛みを感じたりすることはほとんどありません。削ったあとに虫歯になりやすくなることや、歯自体が脆くなることもないでしょう。歯を削っても、エナメル質の大部分は残っているためです。
まとめ
インビザライン治療で歯を削る目的は、歯を並べるスペースを作るためです。歯を削ることで、抜歯をせずに歯列矯正できるメリットはありますが、健康な歯を削らなければいけません。
歯を削る量はわずかなので、削ったことによって歯がしみる、虫歯になりやすくなるなどのトラブルは起きないといわれています。
しかし、歯を削ったあとは歯と歯の間にすき間がある状態です。すき間に汚れが溜まりやすいため、それまでと同じ歯磨きの仕方では汚れが残る場合があります。
歯間ブラシやフロスなど、細かい部分まで掃除できるアイテムを使って、丁寧にケアしてください。ケアが不十分だと、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
症状によっては、抜歯をしたほうがよい場合もあるでしょう。どのようにインビザライン治療を進めるのかは、歯科医師と相談して決めてください。
インビザライン治療を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
マウスピース型矯正について
歯科矯正を始める際に、多くの方に知られている治療方法は、ワイヤー矯正です。学校の友達や職場の方など、自分の身近の中にワイヤー矯正をされている方が実際にいらっしゃるかと思います。
しかし、ワイヤー矯正だけでなく、マウスピースを使って歯を動かして歯を並べる治療方法があることを皆さんは知っていましたか?
マウスピース型矯正とは、薄く透明なカスタムメイドで作られたマウスピースを一定時間装着することによって、歯を動かして少しずつ歯並びを治す矯正治療です。マウスピース矯正にはさまざまな種類がありますが、当院ではマウスピース型矯正装置(インビザライン)を導入しています。
インビザライン矯正とは、1997年に米国のアライン・テクノロジー社により開発された、薄く透明に近いマウスピース型の矯正装置を装着して歯並びを綺麗にする治療方法です。
これまでに世界で1500万人を超える患者様がインビザライン治療を受けられています。
(2023年3月時点)
1日22時間装着することが必須で、1週間から2週間に1回のペースでマウスピースを交換することで、歯を動かしていきます。
インビザライン・システムの特徴
・薄く透明に近いマウスピースなため、装着していても目立ちません。
・従来の矯正治療と異なり、金属性のワイヤーやブラケットを使用しません。
・矯正装置の装着による口腔内のダメージや不快感が軽減されます。
・着脱可能のため、食事や歯磨きが普段通り行えるため、口腔内を清潔に保つことができます。
・クリンチェック・ソフトウェアを通じて、歯の移動やどのような仕上がりになるのかを視覚的に確認することができます。
マウスピース型矯正装置(インビザライン)の治療の流れ
①歯並びのご相談(初回無料・ご予約制)
歯並びのお悩みやマウスピース型矯正装置(インビザライン)に関する内容や期間、費用などをお伝えさせていただきます。当院の歯並びのご相談は、初回無料・ご予約制になります。
お気軽にご相談ください。
②精密検査
診断のためにセファロ(頭部X線規格写真)、パノラマレントゲン撮影、歯型とり、お顔・お口の写真撮影などを行います。検査結果をもとに、確定診断をし、治療方針を決定します。
③光学印象(歯形とり)
当院では、マウスピースを作製するために、デジタル印象採得装置(iTero element)という口腔内スキャナを使用しています。光学印象は、歯や歯肉、咬み合わせなどを精密に記録し、マウスピースがより短時間で製作され、高精度に作製されることが分かっています。
そして、従来の歯形とり(印象採得)と違い、患者様の嘔吐反射の誘発や歯形とりが苦手な方も、肉体的・精神的負担が軽減されます。
④クリンチェック
歯型のデータや精密検査の結果などをもとに治療計画立案ソフトウェア「クリンチェック」を使って、歯がどのように動き、どのように仕上がるのかをご確認いただけます。治療開始前にこのシミュレーション画像を使って、患者様に治療計画を分かりやすくご説明いたします。
⑤治療開始
発注後約2週間~約1か月で歯科医院にマウスピースが届きます。そして、マウスピースをお渡しし、患者様にマウスピースの取り扱い方法や注意点、着脱方法をご説明します。マウスピースは1日22時間以上装着し(当院では、より効果を上げるために1日22時間以上装着していただくようお願いしています)、約1週間~約2週間に1回のペースでマウスピースを交換していただくことで、歯を動かしていきます。また、必要に応じてアタッチメント付与やIPR(歯間削合)を治療計画に沿って行います。
アタッチメントとは
アタッチメントとは、歯の表面に付ける歯に近い色のコンポジットレジンの突起物のことです。
歯に何も付いていない状態の場合と歯の表面にアタッチメントを付ける場合を比較すると、アタッチメントが付いている方がよりマウスピースの保持力を強化します。そして、アタッチメントはどのように歯を動かすかによっていろいろな種類の形状があり、アタッチメントによって精密に歯を動かすことができます。しかし、アタッチメントはエナメル質の表面に装着しているため、稀に外れることがあります。外れた場合は、歯科医師の判断によって再装着を行います。治療終了後は、アタッチメントをすべて外します。
⑥定期検診
1か月半~2か月に1回のペースで通院していただきます。マウスピースの適合や歯が治療計画通りに移動しているかどうかなどを確認します。
⑦保定
矯正治療が終了すると保定期間に移行します。
保定とは、矯正治療によって動かした歯が後戻りしないようにすることです。ワイヤー矯正の方もマウスピース矯正の方もどちらの場合でも、矯正装置を外して歯を開放すると、ほんの数日で歯が動いてしまいます。その後戻りを防ぐために、保定装置を使用して歯並びを維持させます。
※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
メリット
1.目立ちにくい
透明に近いマウスピースなのでほとんど気づかれません。ワイヤー矯正に比べて目立ちにくく、マウスピース矯正を希望される方も多くおられます。
2.取り外しが可能
インビザラインのマウスピースは取り外しが可能です。患者様自身で取り外しが出来るため、食事の時に取り外すことができるので、普段通りの食事が矯正治療中でも行えます。
3.清掃性がよい
ワイヤー矯正では、装置に引っかかったものを無理矢理取ろうとすると装置が外れてしまうことや、矯正装置の周りを丁寧に磨こうとすると時間がかかってしまいますが、フロスや歯間ブラシなどを普段通り行うことができます。
4.金属アレルギーの方でも治療可能
インビザライン治療では、金属のワイヤーや材料は使用しないため、金属アレルギーの方は安心して治療を受けることができます。
デメリット
1.歯並びによって対応できない場合がある
患者様の歯並びによっては、マウスピース矯正のみでは治療できないケースがあります。
2.患者様自身がマウスピースを管理しなければならない
マウスピース矯正は、決められた時間や交換する期間などを守らなければ歯は動かず、マウスピースが合わなくなってしまいます。また、マウスピースを紛失・破損したというトラブルも多くあります。自宅でマウスピースをティッシュに包んでいると間違えて捨ててしまったり、飼い犬が噛んでしまって破損してしまう、さらに外出中や旅行中に紛失するケースもあります。
マウスピースを紛失してしまった場合は再製作する必要があるので、その分治療期間が長引いてしまいます。このような自宅・外出・旅行など、さまざまな紛失・破損の原因になる場所や状況が多くあります。十分に注意していただき、マウスピースを外した際は、すぐに専用のケースに入れる癖をつけることが重要です。
3.装着中は水以外の飲食ができない
写真⑧
マウスピースを装着しているときは、飲食は原則できません。マウスピースを装着して食事すると、マウスピースの中に汚れが溜まって虫歯になるリスクが高まります。また、飲み物も制限されます。水分は水で摂ることをお勧めします。砂糖が入っている飲み物や砂糖の入っていない炭酸飲料も口の中を酸性にするので、虫歯のリスクを高めます。その他、コーヒーや紅茶などの色の濃い飲み物はマウスピースに着色してしまいますので、マウスピースを装着しているときは水のみになります。水以外を飲まれる際は、装置を外してから飲むようお願いします。飲食後は、歯磨きやお口をゆすぐなどをしてからマウスピースを装着することが大切です。
矯正中の食事について
歯列矯正中は、食事が食べにくいと想像される方が多くいると思います。
ご想像通り、装置に食べ物が引っかかることや、食べにくいものもあります。
しかし、食べ方に気を付けることでほとんどのものを食べることができます。
矯正治療中に気をつけたい食べ物
装置を壊してしまうリスクがある食べ物
粘りの強いものや装置にくっつきやすいもの、固いものはなるべく控えたほうが良いでしょう。
特に、ガムは溶けないので装置に一度へばりついてしまうと取るのが困難なので気を付けましょう。
キャラメルなどの溶けるものは、食べていただいても構いませんが虫歯のリスクになる為、ダラダラと食べることはおすすめしません。
ハード系のパンやせんべいなどの固いものは、装置にガリっと当たると外れる原因になります。
食べ方に注意が必要なもの
食べられないものはありませんが、食べ方に注意が必要なものはあります。
表側のワイヤー矯正では、前歯で噛み切る、丸かじりをするような食べ方をすると装置を壊してしまうリスクがあります。
装置に着色してしまうもの
ワイヤー矯正の方
カレーやキムチ白いプラスチック製の装置やワイヤーに装置を固定するゴムが着色してしまいます。ワイヤー矯正に影響はありませんが、着色により歯の色から浮いて見えます。プラスチックやゴムについた着色は、歯磨きでは落とせないです。
マウスピース矯正の方(インビザライン)
マウスピースを装着しているときは、基本的にお水しか飲食できません。
マウスピースを装着したままの食事は、マウスピース破損につながるためできません。また、マウスピースを装着したまま清涼飲料水を飲むと清涼飲料水に含まれている砂糖が長時間歯にくっついていることになります。そうすると、むし歯になるリスクが高くなってしまいます。
コーヒーやワインなどを、マウスピースを装着したまま飲食するとマウスピースの着色だけでなく、歯にも着色してしまうため控えるようにしましょう。
お茶も飲んでいただいても問題はありませんが、歯に茶しぶがついてしまったり、マウスピースの着色につながるので気になる方は、マウスピースを装着しているときの水分補給はお水をおすすめいたします。
清涼飲料水や着色がつきやすい飲み物を摂取するときは、一度マウスピースを外してから飲みましょう。
歯や装置にはさまりやすいもの
矯正中は歯が動くので、一時的に歯と歯に隙間ができるので食べ物がはさまりやすくなります。特に、ラーメンやパスタなどの麺類がはさまりやすくなります。
装置の形によっては、ねぎやにらなどのような細い食べ物がぶらんとぶら下がる場合があります。指で取ったり、うがいをしてもなかなか取りづらいので当院では歯ブラシを持ち歩くことをすすめています。歯ブラシがあるとブラシの部分で、食べ物を取り除くことが簡単に行えます。
歯の動きによる痛みがある時にオススメの食べ物
歯が動くことで生じる痛みがある時は、やわらかい食べ物が食べやすいです。
矯正中の食事にオススメのメニューをほんの一例になりますが、紹介しますのでご自身の食べやすいメニューを見つけて、バランス良く栄養を摂取できるよう工夫してみてください。
歯の痛みを感じにくい食べ物
●おかゆ、お茶漬け、ドリア、リゾット
●やわらかいパン類
●スープ、味噌汁、シチュー
●マッシュポテト
●ヨーグルト、ゼリー
●温泉卵
噛みやすい食べ物
●煮込みハンバーグ、ハンバーグなどのひき肉料理
●うどん
●茶碗蒸し
●水餃子
●オムレツなどの卵料理
●煮物
●麻婆豆腐などの豆腐料理
歯の痛みが和らいできたときは、ある程度の食べ応えがありつつ、強く嚙みしめる必要がない食べ物がおすすめです。
矯正中の食事のとり方のコツ
硬い食べ物は避ける
矯正装置に当たって変形してしまったり、外れてしまう原因になるような硬い食べ物はなるべく控えましょう。
また、噛みしめる際に強い力が必要な食べ物は、装置をつけたばかりの方や新しくワイヤーを交換した方にとっては痛みの原因になってしまいます。
粘着性のある食べ物に気を付ける
粘着性のあるガム・キャラメル・お餅などは矯正装置に付着してしまうリスクがあるため、食べていただいても構いませんがくっついてしまった場合は、歯ブラシで取り除いたり溶けるのを待ちましょう。
(※装置によってはガムを禁止しているものもあります。)
装置が頻繁に外れてしまうと、歯への正しい強制力が働かず治療が進まない原因になってしまいます。
奥歯でやさしく噛む
歯にはさまりやすい食べ物を避けていても、前歯付近の装置に食べかすが引っかかってしまうことがあります。
食べ物がはさまっていると違和感がありますし、見た目も気になってしまうので奥歯の辺りでやさしく噛むことをおすすめします。
外食する時は歯ブラシを持ち歩く
ワイヤー矯正をしている場合、マウスピース矯正とは異なり矯正装置がお口の中についた状態で食事をします。
そのため、装置のまわりに食べ物が溜まりやすいというデメリットがあります。
また、歯の裏側に装置がついている場合、ニラやネギのような細い食べ物が装置にぶら下がることがあります。そのようなとき、歯ブラシがあると簡単に取り除くことができます。
さらに、歯ブラシと一緒にデンタルフロスや歯間ブラシを持ち歩くと便利です。
歯が動いている最中だと、奥歯に細い麵類や鶏肉などとてもはさまりやすくなります。大抵は歯ブラシで取り除くことが可能ですが、歯と歯の隙間に細い食べ物がはさまると歯ブラシで取り除くことが困難な場合があります。
ですが、デンタルフロスや歯間ブラシだと簡単に取り除くことができるので一緒に持ち合わせているといざという時に助かるかと思います。
食材の大きさや固さを工夫する
大きな食べ物や固い食べ物は、装置が外れたり壊れる原因になってしまいます。
そのため、矯正期間中は食べ物の大きさを小さめサイズにしてみたり、やわらかくなるように調理して食べることをおすすめします。
少量ずつ食べる
やわらかい食べ物でも、お口いっぱいに頬張って食べることは避けましょう。
矯正装置に慣れるまでは、食事を食べることが困難に感じると思います。
食事を少量ずつ食べることで、食事の違和感を大きく軽減できるでしょう。
こまめに水分補給をして洗い流す
食事中はこまめに水分補給を行い、食べかすを流すと良いでしょう。
水分補給の際は、清涼飲料水ではなく、お水やお茶がおすすめです。
糖分が入った清涼飲料水をダラダラ飲むと虫歯の原因になってしまいます。
食べ物が詰まった時の対処法
食べ物や食べ方に注意していても、矯正装置に食べ物がはさまったり、詰まってしまうことがあります。
取り外しができないワイヤー矯正の場合は、お水をお口の中に多めに含んでしっかりブクブクうがいをすることで、大きめの食べかすを取り除くことができます。ワイヤーと歯の隙間や装置の周りを磨くときは、一般的な歯ブラシでも構いませんが、歯ブラシのヘッド部分(ブラシの部分)が小さい歯ブラシがオススメです。小回りの利くワンタフトブラシもとても磨きやすいので、普段使っている歯ブラシと併用すると磨き残しが減るでしょう。
矯正装置に詰まった食べ物を放置すると虫歯になるリスクが高くなります。
歯の健康を維持するために、食後はなるべく歯磨きをすることをオススメします。
マウスピース治療での注意点(飲み物編)
マウスピースで歯列矯正治療をしている際の注意点を(飲み物編)・(食べ物編)・(日常生活編)の三部構成でお話します。今回は(飲み物編)です。私自身、マウスピースで歯列矯正治療をし、先日、保定期間にはいりました。長い歯列矯正治療を終え、気をつけたこと、実際に試してみたこと、日常生活で困ったことなど体験談としてお話していきます。
今現在、マウスピースで歯列矯正治療中の方や、今後マウスピースで歯列矯正治療をお考えの方にも参考になればと思います。マウスピースでの歯列矯正治療の、一番のメリットは食事の時に装置を外せることです。そして透明なので目立たないことですが、気を付けなければならない事がワイヤー治療より沢山あります。それが逆にデメリットとなる場合があります。ワイヤーでの歯列矯正でも、マウスピースでの歯列矯正でも、歯の並びを綺麗にするための歯列矯正治療は、長期間になります。
このコラムを読んでいただき、ご自身の生活スタイルもふまえてマウスピースでの歯列矯正治療をお考えください。なお、マウスピースのことをアライナーと呼びます。下記からは、アライナーと書いていきます。
アライナーとは
マウスピースの歯列矯正治療に使われる装置のマウスピースのことを、アライナーといいます。当院では、インビザライン社のアライナーを使用しています。とても透明でつけていても他の人から歯列矯正治療中だと気づかれたことがないぐらいとても自然です。ただ、透明がゆえに使用していると飲み物や食べた物での着色が、アライナーにつきやすく黄ばみがつくようになります。
アライナーの黄ばみについて
アライナーをお渡しする時に最初の説明で、アライナーを装着している時の飲み物は水のみでお願いしますと当院ではお伝えしています。飲み物によってアライナーが黄ばんでしまうことがあります。黄ばんでしまっても使用するのは全く問題ありません。アライナーは10日~14日(歯の動きによって交換頻度は変わります)ごとに交換します。14日ごとの交換ならさほど気にならない黄ばみだと思いますが、追加アライナー(治療方針見直し)の時は、次の新しいアライナーが届くまで今のアライナーをずっと使っていただくことになります。長く使えば使うほど黄ばみは濃くなります。私がアライナーを使って治療している時に、一度、試しで泡ハイターにつけたことがありますが、黄ばみはほとんど取れませんでした。あまり取れなかったうえに、流水でよく洗ってもなんだか気持ち悪さだけが残りました。なので、交換まで日数が開くときは黄ばみの原因になるような、飲み物や食べ物は出来るだけ控えていただいたほうがいいかと思います。
飲み物での黄ばみについて
私が実際に使用していて思ったのが、飲み物の中で一番黄ばみがついたのは、紅茶でした。ティーカップに紅茶をいれそのままにしていたら、カップに紅茶の茶渋がついて落とすときに洗剤でこすっても取れないなんて経験ありませんか?まさにそれと同じです。ちなみに、食べ物だとカレーが一番黄ばみます。紅茶のほかに、コーヒーや緑茶やワインもアライナーが黄ばむ原因になります。私は、お酒が飲めないのでワインでの着色は分かりませんでした。普段の生活スタイルで何をよく飲むのかで変わってくるかもしれませんが、黄ばむ原因になる、紅茶・コーヒー・緑茶・ワインは、アライナーをつけたまま飲むのは控えてください。
アライナーをつけている時の飲み物について
アライナーをつけている時は、歯は全部アライナーに覆われています。アライナーをつけたままでジュースやスポーツドリンクなどの砂糖の入っている飲み物を飲んでしまうと、歯が砂糖にパックされている状態になります。かなり虫歯になりやすいので、アライナーをつけたままでの砂糖を含む飲料水は控えてください。特に夏場の水分補給としてスポーツドリンクをこまめに飲んでいると、虫歯のリスクが高くなってしまいます。また、プロテインなども飲むときは必ずアライナーは外して飲んでください。
アライナーをつけている時に飲んでいいもの
アライナーをつけている時は、『水のみ』 です。
アライナーをつけたままの状態で飲んでも構わないのは、お水のみなので必ず守ってください。夏場の水分補給も、お水にしてください。
お茶や麦茶・コーヒーや紅茶もお砂糖が入っていなければ飲んでも大丈夫ですが、歯の着色とアライナーの黄ばみの原因になるので控えたほうがいいです。水のみを飲むのを習慣にしておけないと、ついうっかり飲んでしまうことがあります。私も最初は、アライナー生活が始まるまでずっとお茶を飲んでいたので、お水のみにするのがとても大変でした。でも、お水のみに慣れると
ちなみに、味がついているお水は糖分が入っているのでアライナーをつけている時はダメです。また、無糖であっても炭酸水は酸性で歯のエナメル質が溶けて虫歯の原因になるので、炭酸水もつけている時は飲めません。
アライナーをつけている時に飲んではいけないもの
甘い飲み物
- ・ジュース(果物・野菜ジュース含む)
- ・スポーツドリンク
- ・乳酸飲料
- ・甘みのある透明のお水
色が濃い飲み物
- ・紅茶
- ・コーヒー
- ・赤ワイン
温かい飲み物(アライナーが変形する可能性がある)
- ・ホットコーヒー(紅茶含む)
- ・スープ
- ・味噌汁
アライナーを外している時は大丈夫?
アライナーをつけている時だけ気を付けてお水のみにすれば、アライナーを外しているとき(食事中)は、ジュースでもお酒でも飲んでも構いません。ただし、食事後に歯磨きが出来ずにアライナーをつけるときは、お口をよくすすいでからつけるようにしましょう。歯列矯正治療中は、歯が動いているときに歯と歯の間に隙間ができてきたり、矯正の装置がはいっています。ワイヤーでの治療でも、マウスピースの治療であっても、食事後に歯磨きの習慣が身につけば虫歯のリスクは減ります。可能であれば、学校や職場でも食後は歯磨きをしてからアライナーをつけるようにしていただければ、虫歯予防にもなり、アライナーの着色も防ぎ、歯列矯正治療が結果的にスムーズに進みます。
アライナーは、原則一日22時間使用しなければなりません。アライナーを外していいのは、ご飯を食べる時と、歯磨きの時だけです。22時間つけている時は、お水だけで他の飲食は厳禁です。
慣れるまでは大変ですが、こんな時はどうしたらいいか?など少しでも疑問や質問などありましたら、いつでも当院にお問い合わせください。お待ちしております。
保定装置と後戻りについて
今回は、歯列矯正治療が終わったあとに使用していただく、保定装置(リテーナーといいます)と、保定装置を決められたとおり使用していないとおきる後戻りについてお話します。何年も頑張って歯列矯正治療をして、綺麗な歯の並びと正しい噛み合わせになっても、歯は元に戻ろうとして崩れてしまいます。歯列矯正治療後に、歯の並びが崩れてしまうことを、後戻り(あともどり)といいます。
歯列矯正治療は、何年もお口の中に、ワイヤーやブラケットなど様々な装置が入っています。歯列矯正治療の治療期間が終わると、装置を全部取りますので開放感とともに、お口の中がスッキリします。ご飯も食べやすくなりますし、歯磨きもしやすくなります。この開放感や達成感からつい保定装置(リテーナー)をつけるのを忘れてしまうと、歯はすぐに元に戻ろうと動いてしまいます。歯列矯正治療は、歯を動かす時期を治療期間といい、矯正の装置を外したあとに歯を固定する時期を保定期間といいます。歯列矯正治療が終わったら治療した歯の位置が元に戻らないようにするために固定をし歯を今ある正しい位置に定着させなければなりません。後戻りを防ぐためにも、保定装置(リテーナー)の必要性を知っていただければと思います。
保定装置(リテーナー)とは
歯列矯正の治療後に使う装置のことを、保定装置(リテーナー)といいます。歯列矯正の治療後、装置を外してすぐの歯は、歯と歯の周りの骨(歯槽骨)がまだ不安定なため動きやすくなっています。動きやすい歯は、自然に元の悪い歯並びの時の位置に戻ろうとします。歯が元の位置に戻らないよう定着するために、保定装置(リテーナー)をお渡しします。保定装置は、主治医の判断に従い正しく適切にお使いください。
保定期間とは
歯列矯正治療が終了し、綺麗に整った歯並びと噛み合わせを保定(固定)する期間を、保定期間といいます。矯正の装置を外して最初の一年間(特に外した直後の数日)は、歯が元に戻りやすいので、食事の時、歯磨きの時以外は、保定装置(リテーナー)を必ず使用するようにしてください。後戻りがなく歯の並びが安定してきたら、主治医の判断で、夜(寝る時だけ)など使用する時間は短くなります。また、通院間隔も保定後は、1か月後、3か月後、6か月後となり、その後は1年ごとの通院になります。
保定装置(リテーナー)の種類
当院では、歯列矯正治療後の保定装置(リテーナー)は、基本的に可撤式(取り外し可能)の保定装置を使用しますが、例外的に固定式(取り外し不可)の保定装置を使用することがあります。
①可撤式の保定装置
可撤式(かてつしき)の保定装置は、取り外しが可能です。下の歯の保定装置は、歯列矯正治療を行った部位や歯列によって、形が変わります。保定開始後1年間は毎日(一日中)つけてください。食事と歯磨きのときは、外してください。
可撤式保定装置のメリット
- ・耐久性が良いため長期間の使用が可能
- ・取り外しが出来るので、食事や歯磨きがしやすい
- ・歯磨きがしやすいので虫歯のリスクが減る
- ・咬合面(噛み合わせ)が覆われていないので噛み合わせの影響がない
可撤式保定装置のデメリット
- ・慣れるまで話しづらい
- ・銀色のワイヤーが表側にくるので、お口を開けたときに保定装置が見えてしまう
- ・自分で取り外しが出来るため、長時間外したままにすると歯が後戻りしやすくなる
②固定式の保定装置(フィックスドリテーナー)
固定式の保定装置は、取り外しが出来ません。半永久的に、細いワイヤーを歯に接着したままになります。
固定式の保定装置のメリット
- ・装置が歯の裏についているため、他の人から見えない
- ・取り外す必要がないため手間がかからない
- ・装置が外れなければ後戻りしにくい
固定式の保定装置のデメリット
- ・歯の裏側につけるため慣れるまで舌感が悪くなる
- ・細いワイヤーがついているため保定部分にデンタルフロスが使用できない
- ・歯石がつきやすくなる
- ・外れていることに気づかないと歯が後戻りしてしまう
白いワイヤー・マウスピース治療後の保定装置
標準でのワイヤー治療は銀色のワイヤーですが、目立たない白いワイヤーで治療された方や、マウスピースでの治療を終えた方の保定装置は、保定後もできるだけ目立たないように前歯の部分は、樹脂製の半透明の保定装置をお渡ししております。半透明なので審美性が高く、保定中も目立ちにくくなっています。
保定装置(リテーナー)のお手入れ方法
取り外しができる保定装置は、外した後、流水でよくすすいでください。特に朝起きてすぐの保定装置は、日中よりも唾液が多くついていますので、よくすすいでください。歯ブラシに歯磨き粉をつけて軽く磨いていただいても構いません。その際も、よく流水ですすぐようにしてください。出来ましたら、一日に一回洗浄剤(ポリデント 矯正用リテーナー用洗浄剤)などを利用していただくと、清潔にお使いいただけます。また、熱で変形してしまうため、熱湯で洗うことや夏場など高温になる車内に放置することはやめてください。保定装置を外したら、必ずケースにいれてください。小さいお子さんがいたずらしたり、ペットが誤って食べたり噛んだりしてしまうことがあります。紛失や破損すると別途料金がかかりますのでご注意ください。
後戻り(あともどり)とは
歯列矯正治療をして、綺麗に整った歯の並びが、治療後に矯正の装置を外したあとに歯が元の場所に戻ろうと動いてしまうことを後戻り(あともどり)といいます。ワイヤー治療やマウスピース型の治療など、どの治療をしても保定装置を正しく使用していないと後戻りをしてしまいます。また、舌癖が残ったままだと後戻りの可能性が高くなります。
保定装置(リテーナー)の必要性
保定装置(リテーナー)は、歯を動かして正しい位置にする矯正治療とは異なり、正しい歯並びに整った歯をその位置から動かないように定着(固定)するために使用します。
ぜひ、このコラムを読んでいただき、保定装置(リテーナー)の必要性を理解して、後戻りを防ぎ綺麗な歯並びと噛み合わせを維持していただきたいです。
当院では、保定期間が1年過ぎても問題がなければパジャマのようにお使いください。とお伝えしています。寝る時にパジャマを着るように日常の生活の一部として保定装置(リテーナー)を長くご使用してください。ただし、加齢によって生じる歯並びの変化は止められません。ご使用中に、紛失・破損など気になることがありましたら、いつでも当院にご連絡をお願いいたします。
インビザライン治療後に装着するリテーナーとは?装着期間や注意点!
- こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
インビザライン治療後に装着するリテーナーとは、動かした歯を固定するための装置のことです。矯正治療で動かした歯は、もとの位置に戻ろうとする「後戻り」を起こします。後戻りを防ぐために、リテーナーの装着が必要なのです。
今回は、インビザライン治療後に装着するリテーナーについて、装着期間や注意点を解説します。
リテーナーとは?
リテーナーとは、歯列矯正の治療後に装着するものです。新たに矯正された歯の位置を固定し、もとの位置に戻ることを防ぐ目的で使用されます。
矯正直後の歯は十分に安定していないため、何もしなければ歯は自然ともとの位置に戻ろうとする傾向があります。歯がもとの位置に戻ろうとする現象を「後戻り」とよび、後戻りを防ぐためにリテーナーが必要となるのです。
リテーナーは、ワイヤー矯正やインビザライン矯正など、どの矯正治療のあとにも使用されます。矯正治療は歯を理想的な位置に動かす手段であり、リテーナーは矯正治療の成果を維持する役割を果たすのです。
特に、インビザライン矯正のあとには、専用のリテーナーであるビベラ・リテーナーがよく使用されます。透明で取り外し可能な装置で、歯にぴったりとフィットします。日々の生活に大きな影響を与えることなく、矯正した歯並びを維持できるでしょう。
インビザライン治療後に後戻りが起こる原因
インビザライン治療後に後戻りが起こる原因は、以下のとおりです。
リテーナーを適切に使用しなかった
インビザライン矯正治療後の歯の後戻りは、主にリテーナーの装着不足から生じます。治療が完了したあとも、リテーナーを適切に使用することが重要です。リテーナーを装着しないと、歯は徐々にもとの位置に戻り始めます。
リテーナーにはいくつかの種類があり、使用方法に注意が必要です。フィックスタイプのリテーナーは歯列に固定されるので、着脱の管理は不要です。
しかし、ワイヤープレートタイプやマウスピースタイプのリテーナーは取り外し可能な装置なので、決められた装着時間を厳守しなければなりません。
リテーナーを装着する保定期間の長さも非常に重要です。歯の位置を固定するための保定期間は、矯正治療に要した期間と同程度、つまり数か月から数年程度必要です。リテーナーの装着を面倒に感じて途中でやめる人も少なくありません。
しかし、リテーナーの装着を怠った場合は、ほぼ確実に歯が後戻りします。矯正治療の成果を維持するには、リテーナーの正しい使用と長期的な継続が不可欠です。
口腔習癖がある
口呼吸、舌突出癖(舌を前に出す癖)、爪や唇を噛むなどの口腔習癖は、歯並びに悪影響を及ぼす可能性があります。口腔習癖があると歯並びが悪くなるだけでなく、インビザラインなどで矯正したあとの後戻りが起きやすくなります。
口腔習癖を改善することは、矯正治療中と治療後の両方において重要です。矯正治療の効果を最大限に引き出し、そのあとも美しい歯並びを維持するために、口腔習癖を改善しましょう。
歯周病が進行している
歯周病が進行すると、歯茎や顎の骨が徐々に溶けます。歯を支える組織が破壊されて歯が動きやすくなり、噛み合わせも不安定になる可能性があります。
特に、インビザライン矯正後に歯周病になって進行した場合、矯正した歯並びが保たれにくくなるでしょう。歯並びがもとの位置に戻るだけでなく、より悪い方向へ変化することもあります。
矯正治療の結果を維持するには、歯周病の予防と管理が非常に重要です。歯磨きやフロスなどの日常的な口腔ケアを怠らず、定期的に歯科医院での定期検診を受けましょう。
インビザラインが苦手な症例だった
インビザラインは快適に使用できる矯正装置であり、多くの状況で非常に効果的です。
しかし、すべての歯並びの問題に対応できるわけではありません。例えば、骨格的な異常が原因のケースや抜歯を伴う大きな歯の移動が必要なケースなどは、インビザラインでの矯正が難しいです。
一部の歯科医院では、インビザライン以外の矯正方法に対応していないため、適切ではないケースにもインビザラインを使用して無理に治療を進めることがあります。無理な矯正治療は、後戻りなどのトラブルを引き起こす可能性を高めます。
自分に合った矯正方法を選択できるように、矯正方法の種類が豊富な歯科医院を選ぶとよいでしょう。
リテーナーの種類
リテーナーの種類は、主に3つに分けられます。固定式のタイプや患者さま自身で取り外しができるタイプがあります。それぞれのメリットやデメリットをふまえながら詳しく確認しましょう。
フィックスタイプ
フィックスタイプのリテーナーは、歯の裏側に直接ワイヤーを取り付ける保定装置です。主に、下の前歯6本(犬歯から犬歯)に使用されます。
フィックスタイプのリテーナーの大きなメリットは、装置が歯の内側にあるため目立たないことです。細いワイヤーを固定するだけなので不快感が少なく、長時間装着できることもメリットでしょう。
一方、患者さま自身で取り外すことができないため、ブラッシングがしにくくなることがデメリットです。定期的に歯科医院でプロによるクリーニングを受ける必要があるでしょう。
また、歯の裏側に取り付けられるので、自分で装置の状態を確認することが難しいです。そのため、歯から外れても気づかないことがあります。
適切に取り付けられていない状態が続くと、歯並びの後戻りの原因になります。何か違和感がある場合は、すぐに歯科医院に相談しましょう。
マウスピースタイプ
マウスピースタイプのリテーナーは、インビザライン矯正で使用する透明なマウスピースに似ている装置です。インビザライン矯正専用のリテーナーは、ビベラ・リテーナーとよばれます。
マウスピースタイプのリテーナーの特徴は、歯を全体的に覆って歯の動きを防ぐことでしょう。特に前歯に凹凸がある場合は、歯全体を安定させる効果が期待できます。
また、ワイヤーが使用されていないため目立たず、違和感も少なく、快適性が非常に高いリテーナーです。
しかし、噛み合わせの部分も覆うため、歯ぎしりや食いしばりの癖がある方の使用には適していません。マウスピースにすぐに穴があく可能性があります。
ワイヤープレートタイプ
ワイヤープレートタイプのリテーナーは、矯正後の歯並びを保つために最も一般的に使用される装置の一つです。歯の表側にワイヤーを配置し、歯列が外側に飛び出すことを防ぎます。歯の裏側は透明なプラスチック素材で覆い、歯列が内側に入ることを防ぎます。
ワイヤープレートタイプのリテーナーの特徴的なメリットは、噛み合わせる部分を覆わないため、歯ぎしりや食いしばりの癖がある方でも破損しにくいことです。壊れた場合の修理が容易なこともメリットでしょう。
ただし、歯の表側にワイヤーを取り付けるため、装着時には目立ちます。見た目にこだわる方には不向きでしょう。
リテーナーの1日の装着時間
リテーナーの装着時間は、一般的に1日20時間以上とされています。取り外し不能な固定式リテーナーの場合、装着時間を気にする必要はありません。取り外し可能なリテーナーの場合、患者さま自身で管理する必要があります。矯正治療が終わった直後は、歯が最も後戻りしやすい期間であるため特に注意が必要です。
歯並びの安定状況を確認しながら、リテーナーの装着時間を徐々に減らしていくのが一般的です。最終的には、就寝時のみリテーナーを装着するようにします。
ただし、理想的な歯並びを維持するには、リテーナーの装着時間が長ければ長いほどよいとされています。そのため、患者さま自身が日常生活のなかで適切な時間を見つけて、なるべく長くリテーナーを装着することが大切です。
リテーナーの装着期間
リテーナーの装着期間、すなわち保定期間は最低でも約2年とされています。
しかし、患者さまの状態や矯正治療のケースによって大きく変動します。歯並びが整ってきたからといって、自己判断でリテーナーを外すのはやめてください。自己判断でリテーナーを外すと、後戻りを引き起こす可能性があります。
矯正治療が完了しても、リテーナーを続けて使用しましょう。リテーナーの使用期間が長いほど、美しい歯並びを維持することができます。
後戻りを起こさないために気を付けること
インビザラインをはじめとする矯正治療は、高額な治療費用が必要です。費用や時間を無駄にしないためにも、後戻りを起こさないように注意しましょう。
リテーナーの使用方法を守る
リテーナーの使用時は、歯科医師の指示を常に忠実に守ることが非常に重要です。保定装置の使用ルールは食事と歯磨き以外の時間は常に装着することで、インビザラインと同様です。
歯並びが安定してきたら就寝時のみの装着になることもありますが、自分で判断しないでください。歯科医師の判断に従って装着時間を調節しましょう。
保定期間は、歯科医師によって判断が異なります。2年程度で終了すると指導する歯科医師もいれば、一生涯装着を続けるように指導する歯科医師もいるでしょう。
大切なのは、リテーナーは歯並びが後戻りしないために非常に重要な役割を果たしているという事実を忘れないことです。
口腔習癖を改善する
後戻りの原因になる口腔習癖がある場合は、改善しましょう。可能であれば、インビザライン矯正を始める前に習慣を改めるのが理想的です。
口腔習癖をなくすことで、インビザライン矯正はよりスムーズに進行します。もし矯正開始前の改善が難しい場合、矯正治療中や矯正後でも改善に努めることが大切です。
口腔ケアを怠らない
歯周病が進行すると後戻りが起きる可能性が高まることを上述しました。歯周病を予防するには、日常的な歯磨きと定期的な歯科医院でのクリーニングが不可欠です。
毎日丁寧に歯磨きを行っていても、完全に落とすことのできない汚れが存在します。歯磨きでは落とせない汚れは、歯科医院でのクリーニングで除去しなければなりません。
歯周病の検査と歯のクリーニングは、後戻りを防ぐだけでなく、健康な歯を維持するためにも非常に重要です。最低でも半年に一度は歯科検診やクリーニングを受けましょう。
まとめ
インビザライン治療後に装着するリテーナーとは、整えた歯並びを固定させるための装置です。特に、矯正治療の終了直後は、歯がもとの位置に戻ろうとする後戻りが起きやすい状況です。そのため、インビザライン治療後およそ2年間は、リテーナーを装着する必要があります。
リテーナーの装着時間は1日20時間以上が基本ですが、歯列が安定してきたら装着時間は短くなります。矯正治療が終わったからといって、リテーナーの装着を怠ると後戻りが起きるでしょう。再び矯正治療が必要になる可能性もあるので、リテーナーの装着は適切に行ってください。
リテーナーには固定式と着脱可能なタイプが存在します。インビザライン専用のリテーナー、ビベラ・リテーナーは、患者さま自身で取り外しができるタイプです。インビザライン同様に患者さまの管理能力が問われるでしょう。歯科医師の指示をしっかり守り、美しい歯並びを長持ちさせましょう。
インビザライン矯正を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
インビザライン矯正中の食事で気を付けること!食後のケア方法も解説
こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
インビザライン矯正は、歯列矯正のひとつで透明の薄いマウスピースを装着して歯並びを整えていきます。目立ちにくく審美性を保ちながら歯並びを整えることができるため、選択する方が増えている治療法ですが、インビザラインの取り扱いで注意することのひとつに食事があります。
今回は、インビザライン矯正中の食事で気をつけることや食後のケア方法をご紹介します。
インビザライン矯正中マウスピースをつけたまま食事できる?
インビザライン矯正では、マウスピースを装着したまま食事はしないようにしましょう。
ただし、水や炭酸水などは装着したままとっても問題ありません。マウスピースを装着したまま食事をすると以下の3つのリスクが高まるため、必ずマウスピースを外してから食事をしましょう。
虫歯や歯周病になるリスクが高くなる
マウスピースを装着したまま食事をすると、マウスピースと歯のすき間から食べカスが入り込んでしまいます。通常、歯の表面に汚れが付着した場合、唾液の殺菌作用や再石灰化作用によって虫歯や歯周病を防ぎます。
しかし、マウスピースを装着していると歯の表面に唾液が行きわたりにくく、細菌の活動が優位に働いてしまうリスクが高いでしょう。
インビザライン中に虫歯になり、虫歯の治療をするとマウスピースが合わなくなることがあります。虫歯や歯周病の原因は歯の表面に残る汚れです。食事の際はマウスピースを外して、汚れが残らないようにすることが大切です。
破損の原因となる
噛む力は男性で60kg、女性で40kgといわれています。
インビザラインのマウスピースは0.5㎜ほどの厚みしかないため、マウスピースをつけたまま食事をすると、噛む力に負けて割れたり欠けて破損したりする原因となるでしょう。破損したマウスピースを修復することは難しいため、治療計画に支障がでる可能性があります。
マウスピースが着色する
マウスピースを装着したまま食事すると、飲食物の色がマウスピースについてしまう原因となります。特に、カレーやコーヒーなど歯に色がつきやすいものは、マウスピースにも色がつきやすいです。
透明で目立たないマウスピースが着色してしまうと審美性が大きく損なわれてしまうため、食事の際はマウスピースを外しましょう。
インビザライン矯正中に飲食可能なもの
マウスピースを取り外していれば飲食の制限はほぼありません。ワイヤー矯正と異なり、矯正前と変わらない食生活ができる点はインビザライン矯正の大きなメリットといえるでしょう。
ただし、インビザライン矯正直後や新しいマウスピースに変えて痛みや違和感などの症状があるときは、負担のかからない、やわらかい食事に変更するなどの工夫が必要となります。
インビザライン矯正中に飲食をひかえたほうがよいもの
インビザライン矯正中は、食事の制限はありませんが、硬い食べ物や粘着性のある食べ物はひかえましょう。
インビザラインは、歯に弱い力を加えて歯並びを整える治療法です。歯と骨の間には歯根膜(しこんまく)とよばれる組織があります。矯正治療中は歯根膜が敏感な状態となるため、刺激に対して敏感です。硬い食べ物や粘着性のある食べ物は歯根膜に強い刺激が伝わるため、痛みなどのトラブルにつながる可能性があります。
インビザライン矯正中の食事に関する注意点
インビザライン矯正中は、食事の際に注意すべき点があります。インビザライン矯正中における食事の注意点は、以下のとおりです。
・飲食する際はマウスピースを外す
・自己管理をしっかり行う
・飲食後のマウスピースのつけ忘れに注意する
以下、それぞれ解説します。
飲食の際はマウスピースを外す
飲食の際はマウスピースを必ず外しましょう。マウスピースを装着したままの飲食は、虫歯や歯周病のリスクが高まり、破損や着色の原因となります。間食はもちろん、飴やガム、水分補給をする際も外す必要があります。
インビザラインの効果を十分に得るためには、1日20~22時間以上マウスピースを装着するように指示されるケースが多いでしょう。間食が増えると装着時間も短くなってしまうため、間食はなるべくひかえましょう。
自己管理をしっかり行う
飲食の際に外したマウスピースは、専用のケースに入れて保管しましょう。外食の際に、ペーパーナプキンに包んだまま誤って処分してしまった方は少なくありません。
万が一、マウスピースを紛失してしまうと治療計画どおりに歯が移動せず、治療期間が長くなったり追加費用がかかったりするリスクがあります。飲食の際は、マウスピースを専用のケースに入れる習慣をつけましょう。
飲食後のマウスピースのつけ忘れに注意する
マウスピースは、飲食の際にかならず外す必要があります。飲食の際、外したまま長期間マウスピースを装着せずに過ごすこともあるでしょう。
しかし、マウスピースを外している時間が長くなると、1日に必要な装着時間に満たなくなる場合があります。
インビザラインは、十分な効果を得るために必要な装着時間が決められています。インビザライン矯正できれいな歯並びを手に入れるためには、歯科医師の指示をしっかり守ることが大切です。飲食後は歯磨きをして、すみやかにマウスピースを装着しましょう。
食後のケア方法
インビザライン矯正中は、食後にどのようなケアを行えばよいのか疑問を感じている方も少なくないでしょう。インビザライン矯正中の食後のケアは、マウスピースと口内のケアが必要不可欠です。以下、マウスピースと口内のケア方法をご紹介します。
マウスピースのケア方法
飲食後は外したマウスピースをすみやかに装着しなくてはいけません。
ただし、取り外したマウスピースは、流水下で洗ってから装着しましょう。外した際に洗わずそのまま装着すると、唾液や汚れが石灰化し、マウスピースが汚れたり、においが発生したりするリスクがあります。
清潔な状態を保つためにも、外した際に洗浄する習慣をつけることが大切です。マウスピースを洗う際は、水か人肌程度のぬるま湯で洗いましょう。お湯を使用するとマウスピースが変形するリスクがあります。
また、こすり洗いをするときは、指か歯ブラシを使用して優しく洗い流します。研磨剤の入った歯磨き粉を使用すると、マウスピースに細かな傷がつくリスクが高いです。傷ついたマウスピースは、雑菌が繁殖しやすい環境となってしまうため、歯磨き粉は使用せずに洗浄しましょう。
口内のケア方法
飲食後マウスピースを装着する際は、なるべく歯磨きを行ってから装着しましょう。
飲食後は、歯の表面に食べカスなどの汚れが多く残っている状態です。不衛生な環境のままマウスピースを装着すると、唾液が行きわたらない分、細菌の活動が優位に働き、虫歯や歯周病のリスクが高くなるでしょう。
虫歯や歯周病は、歯の表面の歯垢(プラーク)が原因で罹患します。インビザライン矯正中において、歯ブラシはもちろん、デンタルフロスや糸ようじなどの清掃用具も併用して、磨き残しのない清潔な口内を保つことがポイントといえるでしょう。
インビザライン矯正中に虫歯の治療を行うと、マウスピースが入らなくなるトラブルが起こるリスクが高まります。治療期間や費用の負担が増えてしまうため、しっかり口内をケアすることが大切です。
まとめ
インビザライン矯正中は、飲食する際はマウスピースを外しましょう。マウスピースを装着したままの飲食は、虫歯や歯周病のリスクが高くなり、マウスピースの破損や着色の原因となります。治療計画の遅れやマウスピースの再作製などの影響がでる可能性があるため、飲食の際はマウスピースを外して保管する習慣をつけましょう。
飲食後はすみやかにマウスピースを装着する必要がありますが、口内とマウスピースをしっかりケアしてから装着することが大切です。歯ブラシやフロス、糸ようじなどを使用して口内の汚れをしっかり落とし、マウスピースは流水下で洗浄して清潔な状態にしてから装着します。はじめは面倒に感じますが、時間の経過とともに慣れてくるため、ふだんどおり食事を楽しむことができるでしょう。
インビザライン矯正を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
舌癖(ぜつへき)とは?
舌癖(ぜつへき)とは、舌で上の前歯の歯の裏側や、下の前歯の歯の裏側を押している、または、歯と歯の間から舌をだしてしまう舌の癖のことをいいます。普段の日常生活の中で無意識に舌で歯を触って押してしまっていたり、舌を歯と歯の間にいれていたりしていませんか?癖なので、自分でも気づかないと思いますが、お口の中の癖は、歯の並びや滑舌など発音にも大きく影響します。
また、舌癖があると、歯列矯正治療をして歯の並びを綺麗に整えても、後戻りをしてしまい、歯の並びが崩れてしまう原因にもなります。舌癖は、しっかりとトレーニングをして治しておく必要があります。
舌癖があるかな?チェックをしてみましょう
舌癖があるかセルフチェックができます。一度チェックをしてみましょう。
- ・いつもお口がぽかんと開いている
・歯で舌をかんでいる
・常に舌で上の前歯か下の前歯の裏側をさわっている
・飲みこむときに舌に歯があたっている
・むせやすい
・口の中がよく乾いている
・無意識に舌をだしている
・食べるときにくちゃくちゃと音をたてている
・食べたものが口からこぼれる
・食べるときに舌をだして食べ物を食べる
・唇を閉じると下顎に梅干しのようなシワができる
・滑舌が悪い
・姿勢が悪い(猫背)
・口呼吸をしている
・うつぶせ寝、横向きで寝ている
・寝ているときにいびきをかいている
・頬杖をつく
どうですか?お子様やご自身はいくつ当てはまりますか?一つでも当てはまれば舌癖がある可能性があります。舌癖があると、舌と唇とお口の周りの筋肉のバランスが悪くなってしまい、顎の成長や歯の並びに影響がでます。舌癖になってしまう原因はいくつかあります。
舌癖の原因
①指しゃぶり
赤ちゃんの頃(乳児期)の指しゃぶりは問題ありませんが、その後4才~5才(幼少期)になっても指しゃぶりが続いている場合は、指しゃぶりの癖を治したほうがいいです。なぜなら、指を吸っていることで上の歯と下の歯の間に隙間ができる開咬(かいこう)になってしまったり、吸っている指にそって上の前歯が傾いてしまい前歯がでてしまう上顎前突(じょうがくぜんとつ)になるからです。
また、指を強く吸っていることで、頬っぺたが歯を中へ押し込んでいる状態になってしまい、上の歯の並びがVの字になる狭窄歯列弓(きょうさくしれつきゅう)になります。指をしゃぶる癖がなくなっても、出来てしまった隙間に舌をいれてしまう癖は残ってしまいます。
②口呼吸(こうこきゅう)
アレルギー性鼻炎・花粉症・扁桃腺肥大・アデノイド・蓄膿症などの疾患があり慢性的な鼻づまりがあるとどうしても口呼吸になってしまいます。口呼吸のままだと、舌が正しい位置のスポットに置けずに下にさがってしまいます、これを低位舌(ていいぜつ)といいます。下にさがったままだと、飲みこむときに舌を前に突き出すような癖がついてしまいます。
また、口呼吸をしているとお口がポカンと開いているので、お口の周りの筋肉も弱ってしまいます。口呼吸を治さずにいると、お口の中が乾燥しているので、唾液の量が減ってしまい虫歯や歯周病のリスクが高くなり、口臭の原因にもなります。また、お口の中だけではなく、ウイルスや細菌を直接お口で吸っていることで風邪をひきやすくなります。
③低位舌(ていいぜつ)
舌が正しい位置(スポット)についておらず、常に下の前歯の裏側に舌の先があたっている状態のことを低位舌(ていいぜつ)といいます。舌が歯にあたっているので、舌の両側面に歯の形がついてしまうことがあります。起きているときも口がよく開いている(ポカン口)かたは、舌が下にさがっている場合が多いです。低位舌の癖があると、飲みこむ(嚥下)ときに、舌で下の前歯を裏側から押してしまいます。舌の力はとても強いので、下の歯を無意識に押してしまい反対咬合(受け口)や、舌の力で歯と歯に隙間ができる空隙歯列(くうげきしれつ)になってしまうことがあります。
また、低位舌の場合多くは口呼吸になっていることが多いです。
④舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)
舌を前に押し出してしまうような癖のことを、舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)といいます。開咬や空隙歯列のような歯に隙間があると、その隙間に舌をいれて、舌の力で余計に歯を押してしまいます。また、話すときや飲み物を飲みこむとき(嚥下)にも舌をだしてしまうので、上と下の前歯を常に押していることになり、開咬になります。
⑤異常嚥下癖(いじょうえんげへき)

普段、日常的に食べ物や飲み物を飲みこむときに、舌が前にでてきてしまう癖のことを異常嚥下癖(いじょうえんげへき)といいます。正しい飲みこみかたは、舌が上の顎についていて、上と下の歯が噛んでいる状態で飲みこみます。舌の癖があるのが原因で、上と下の歯が噛みあっていない場合は、異常嚥下癖になってしまうことがあります。
⑥舌小帯(ぜつしょうたい)が短い
舌の裏側のヒモのことを、舌小帯(ぜつしょうたい)といいます。この舌小帯が短いと舌が上に上がらず、正しい位置のスポットに舌が届きません。上にあげられないので舌が下がったままになってしまい低位舌になってしまいます。舌小帯が短いと、舌をあげたときに舌がひっぱられて舌がハートの形になるのが特徴です。舌が上にあげられないので滑舌が悪くなります。とくにサ行、タ行、ラ行の発音に影響がでて舌足らずな話し方になってしまうこともあります。
今回は、舌癖についてお話をしました。舌の癖は自分では気づかないこともあると思います。ふじよし矯正歯科クリニックでは、歯列矯正治療と並行して舌癖を治すトレーニングを行っています。癖を治すのは、意識して毎日トレーニングができるよう、トレーニングの用紙はいつも見えるところに貼ってもらうようお伝えしております。歯列矯正治療と一緒に舌の癖も治して、綺麗な歯並びを保てるようにしていきましょう。
『歯ならび』と『スポーツ』の関係とは
スポーツをしている大人の方・部活動をしている学生さん・運動系の習いごとに通っているお子さまで、歯ならびや嚙み合わせに悩みを抱えつつも、スポーツが出来なくなることを恐れて歯列矯正を諦めていませんか。スポーツをしている方でも可能な歯列矯正の方法があるので、歯ならびや嚙み合わせで悩んでいる方は是非参考にしてみてください。
矯正治療中にスポーツはできるのか
スポーツをしている人が歯列矯正をするのは、基本的に問題はございません。
治療中に装着している装置が壊れてしまったり、患者様側が治療を一時中断しなければならないことが起きない限りは、治療期間も3年で終わるケースがほとんどです。
スポーツを頑張っている方ほど、歯ならびや嚙み合わせを整えるとたくさんのメリットもあります。スポーツの種目によって噛む力が発揮される場面は異なります。
例えば、陸上などのスピード系の競技ではスターティングの際にしっかり噛みしめることにより体のブレを防げます。
他にもウエイトリフティング(重量挙げ)などのパワー系競技では力を込めて、しっかり噛みしめることで、最大パフォーマンスを発揮することができます。
強い動作を行う時に、しっかりと噛みしめることで、より高い瞬発力を発揮することが期待できます。
スポーツをしていても可能な矯正治療の種類
① ワイヤー矯正(表側矯正)
歯の表面にブラケット(一般的な歯につける装置)を装着し、ワイヤーを通す方法です。
ワイヤー矯正の特徴は、さまざまな症状に対応することができます。
【ワイヤー矯正(表側矯正)のメリット】
装置が歯の表面についているため、舌にあたらず大きな声を出しても影響がありません。
【ワイヤー矯正(表側矯正)のデメリット】
装置が目立ってしまうことです。
ですが、当院では小臼歯まで白いプラスチックのブラケットを追加費用なしで使用しているため、金属のブラケットよりかなり目立ちにくい見た目になっています。
さらに、追加費用がかかりますが白いワイヤーも準備しているので、見た目が気になる方も安心して治療を受けていただくことが可能です。
② ワイヤー矯正(裏側矯正)
歯の裏側にブラケットを装着し、ワイヤーを通す方法です。
【ワイヤー矯正(裏側矯正)のメリット】
外から見て目立ちにくいですが、スポーツをする方にはデメリットのほうが多くなります。
【ワイヤー矯正(裏側矯正)のデメリット】
歯の裏側に装置をつけるのはベテランの歯科医師でも難しいため、競技中の転倒などによって外れてしまった場合、修復するのに時間がかかります。
外れることが多ければ、治療が長引いてしまう可能性もあります。
他にも、装置が舌にあたることが多いので声を出すときに気になってしまうかもしれません。
装置がお口の粘膜に触れてしまう回数が増えると口内炎などのトラブルにつながる可能性も高まります。
③ マウスピース矯正
マウスピース型の矯正装置を使って歯を動かしていく方法です。
【マウスピース矯正のメリット】
裏側矯正と同じく目立ちにくいことです。
【マウスピース矯正のデメリット】
マウスピースの1日の装着時間が決められているため、マウスピースを外している時間が長いと治療がなかなか進みません。
また、マウスピースをつけたままスポーツドリンクや清涼飲料水を飲んでしまうと虫歯になってしまいます。
マウスピースを矯正は、患者様の自己管理が重要になります。
スポーツ選手・運動部が歯列矯正をするメリットとデメリット
スポーツ選手や運動部が歯列矯正を行うことにより、さまざまなメリットを得ることができます。
また、見た目の美しさだけでなくパフォーマンスアップにつながる可能性も高まります。スポーツの活動と平行して進めるのは大変なイメージがしますが、自分の通いやすい場所や信頼のできる歯科医師が見つかれば、ストレスなく快適に矯正治療を進めやすくなるでしょう。
【メリット】
① 歯ならびや噛み合わせが良いと身体能力や瞬発力にも良い影響があるといわれています。
また、歯ならびをよくすると噛み合わせが良くなるため、左右のバランスが整う効果も期待することができます。
②噛み合わせがよくなると噛む力が強くなるため、食べ物の咀嚼もしやすくなります。なので、食事の消化が良くなり、効率よく栄養補給ができるようになることが期待できます。
【デメリット】
① スポーツをしている時に矯正装置が外れてしまう可能性があることです。
スポーツの種類によっては、接触や転倒で矯正装置が外れていがんでしまい、お口の中が傷付いてしまうリスクがあります。
お口の中が痛かったり違和感がある状態だとスポーツに集中できず、ストレスに感じてしまうかもしれません。
②水分補給の時に、スポーツドリンクや清涼飲料水を飲むと虫歯のリスクが高まります。とくに、マウスピースを装着しているままスポーツドリンクなどの糖類が含まれている飲み物を摂取すると、糖を歯にパック(お顔などに貼るパックのことです)していることになるので非常に危険です。
なので、歯列矯正治療中の方には水分補給はお水かお茶をおすすめしております。もし、スポーツドリンクや清涼飲料水を飲む場合は、飲んだ後にお水を飲んだり歯磨きやうがいをしてお口の環境を整えましょう。
歯ならびと噛み合わせのスポーツの関係
① 筋肉に影響する
スポーツ中に力を入れる時、顎が正しい位置にないと最大限の力が発揮できないとされています。顎を正しい位置にもっていくためには、歯列矯正をして歯ならびや噛み合わせを正しくすることが重要となります。
噛むことで大脳にある咀嚼運動野を活性化し、全身の筋力アップにつながるということが近年分かってきました。
②全身のバランスが崩れてしまう
歯ならびや噛み合わせが悪いと頭や顎の位置が正しくなくなってしまいます。
そうなると頭が痛くなったり、顎が痛くなったり、肩や首などの身体の筋肉にも影響を及ぼすリスクがあります。
③口呼吸を日常で行っていると酸素欠乏症になりやすい
歯が出ていて(出っ歯)お口が閉じづらい、鼻がつまって鼻呼吸がしづらいなどによって鼻で呼吸することが難しい方は、口で呼吸することが癖になってしまっています。
スポーツをしているときに口で呼吸していると『酸素欠乏症』になるリスクが高くなってしまいます。
なので、歯列矯正で歯並びの改善や耳鼻咽喉科で鼻で呼吸ができるように改善することをおすすめします。
他には、普段お口がポカンと開いたままになっている方もお口で呼吸するくせがついてしまっているかもしれません。
そのような場合は、鼻で呼吸するよう意識してみてください。
④ケガをしてしまったり痛めたりするリスクが高くなる
歯ならびや噛み合わせが悪いままの状態でスポーツをするということは、
身体のバランスが歪んだり、正しくない状態でスポーツをしていることになります。
⑤むし歯や歯周病にかかりやすくなる

歯ならびが悪いと歯磨きが行いづらいので、食べかすが溜まりプラークや歯石ができやすくなってしまいます。
そうなると、むし歯や歯周病にかかるリスクが高くなってしまいます。
歯の痛みにより集中力が欠けてしまったり、食いしばったときに歯が欠けたり割れてしまう原因にもなります。
まとめ
「歯ならび」と「噛み合わせ」が「スポーツ」と関係していることが分かっていただけましたか?
スポーツをしていても問題なく歯列矯正を行うことができます。
歯ならびや嚙み合わせを改善することで、パフォーマンスの向上につながります。
歯列矯正に興味のある方、気になっている方はぜひ一度相談してみることをおすすめします。