喫煙と歯周病
たばこの煙には約4000種類の化学物質が含まれており、その中のニコチンや一酸化炭素などの有害物質が約200種類あり、発がん性物質が約70種類といわれています。
喫煙が習慣化すると、歯周病の発症しやすくなり、歯周病の進行を重症化させてしまいます。
また、口腔がんや歯周病(歯槽膿漏)などの口腔疾患だけでなく、呼吸器疾患や循環器疾患、消化器疾患などの全身疾患にも影響を及ぼします。
○ たばこの三害
たばこの主な成分は、ニコチン・タール・一酸化炭素です。
・ ニコチン
アルカロイドの一種で、神経毒性の強い猛毒であり、化学物質としては毒物に指定されています。
ニコチンは血管収縮作用があり、その影響で歯周組織の血流が悪化し、十分な栄養や酸素を供給することが困難になります。また、唾液の分泌量が減少し、細菌が増殖しやすくなり虫歯になりやすくなります。そして、ニコチンには依存性があります。たばこを吸い続けると、ニコチンを吸収しないとイライラする、落ち着かない、不安になるなどの症状が出やすくなります。(ニコチン依存症)
・ タール(たばこのヤニ)
たばこの煙のうち、一酸化炭素やガス状成分をのぞいた粒子状の成分のことです。タールは発がん性物質で、独特な臭いをもっています。
・ 一酸化炭素(CO)
一酸化炭素は酸素に比べて200倍以上もヘモグロビンに結び付きやすい性質をもっており、一酸化炭素とヘモグロビンが結合することで、血液の酸素運搬能力が低下し、末端組織が慢性的な酸欠状態に陥ります。これが一酸化炭素中毒といいます。一酸化炭素はたばこの煙の中に1~3%ほど含まれています。
○ たばこから口腔への影響
・ 血管収縮作用
口の中にたばこの成分や煙が入ると、粘膜や歯肉から吸収されます。吸収されたたばこの有害物質は、微小血管が収縮し、歯肉の血流量を減少させ、血行が悪くなることで、歯肉の炎症が起こっていても出血や腫れに気づきにくくなります。そのため、歯周病の発見が遅くなってしまいます。
・ 歯槽骨吸収、歯の喪失
血液循環が悪化して歯肉に十分な栄養や酸素がいきわたらなくなると、歯周ポケットの中で歯周病の原因となる細菌が繁殖しやすくなります。その細菌が産生する毒素が歯周ポケットを深くさせ、歯を支える骨(歯槽骨)を溶かします。歯を支える骨が溶けると、歯肉が下がり、歯がグラグラと動揺し、やがて歯を失ってしまいます。
・ 創傷治癒能力の低下
喫煙者は非喫煙者と比べて、歯周病の治療は治りにくく、歯周外科治療後などの創傷治癒能力が劣ることも報告されています。ニコチンは体を守る免疫機能を抑制するため、歯周病だけでなくさまざまな病気に対する抵抗力が落ちることで、アレルギーが出やすくなります。傷を治すための細胞(線維芽細胞)の働きまでも抑えてしまいます。そのため、手術後の治りが遅くなります。そして、歯周組織の修復機能も低下するため、治療をしても治りにくいです。
・ 味覚障害
味を感じる味細胞は常に生まれ変わりが必要であり、その際使われているが亜鉛です。たばこを吸うと体内に活性酸素が作られ、それを体外に出すのに多く亜鉛が使われます。そのため、亜鉛が欠乏し、味覚障害が起こります。たばこを吸うと味蕾がニコチンやタールで刺激され、麻痺して「苦み」が先に鈍くなり、「苦み」「酸味」「塩味」の順に影響を受け、濃い味つけを好みやすくなります。味覚予防の方法としては、第一に禁煙することであり、食事等では亜鉛を多く含む食品を摂取しましょう。
(例:レバー、チーズ、海藻、うなぎ、ナッツ類等)
また、たばこに含まれるタールは舌を乾燥させ、舌の上に残りやすいため、舌が黒ずんでくることで味覚障害が起こりやすくなります。
・ 口臭
たばこの独特な臭いは、タールによるものです。タールは粘性が高く、時間が経っても口の中にとどまります。また、たばこを吸うと唾液分泌量が低下し、口の中が乾燥するため、口臭が悪化します。また、たばこは口臭の原因となる歯周病を重症化させるため、より口臭が悪化します。
・ 虫歯
喫煙をするとニコチンの血流阻害作用により、唾液の分泌が悪くなり、唾液緩衝能力が低下することで、プラーク(歯垢)が沈着しやすくなり、虫歯菌の活性が増大して歯質の脱灰が増加することにより、虫歯になりやすくなります。また、叢生で磨きにくい場所は特にプラーク(歯垢)が溜まりやすいため、虫歯ができやすくなります。そして、喫煙によって歯肉が下がることから歯頚部(歯と歯肉の境目の部分)に虫歯が起こりやすくなります。
・ インプラント
喫煙の血流阻害作用や血管収縮作用などが原因で、歯肉や骨に十分な栄養や酸素がいきわたらなくなります。その結果、歯周組織が弱まり、インプラントと骨が結合しにくくなることで、インプラントの維持が不安定になります。
・ 口腔がん
たばこに含まれる発がん性物質や喫煙によって生じる活性酸素は、がんを抑制する遺伝子を傷つけるため、がんを引き起こすことがあります。喫煙によって分泌されるアドレナリンの影響で抗体の働きが弱体化することにより、がんの成長を助長してしまいます。また喫煙すると、がんの前身である白板症になる可能性が高くなり、口腔がんのリスクがさらに高くなります。白板症が悪性になる確率は白板症全体の5%ほどですが、喫煙を続けるとがん化するリスクが増えてしまいます。
白板症:口腔粘膜、とくに頬粘膜や舌、ときには歯肉にみられる白い病変で、こすっても剥離しないものをいいます。白板症は比較的頻度も高く、とくに舌にできたものは悪性化する可能性が高いため、前がん病変(口腔潜在的悪性疾患ともいいます。)の代表的なものとされています。びらん(ただれ)を伴うこともあり、ものが当たると痛かったり(接触痛)、食べ物がしみたりすることがあります。原因は、喫煙やアルコール、刺激性の強い食べ物(辛い物や熱いものなど)を過剰に摂取することなどによる化学的刺激、悪い歯並びや口腔粘膜を継続的に噛んだり、傷つけたり、義歯などによる慢性の機械的刺激、さらに加齢や体質なども関係するといわれています。
・ 義歯(入れ歯)
喫煙の影響で歯肉が弱まり、義歯をつくった時と比較すると口腔内の状態が変化するため、義歯が入らなくなります。また、喫煙により唾液の分泌量が減少し、口腔内が乾燥することで義歯がフィットしにくくなります。さらに喫煙を続けると、白板症になる可能性があります。
・ 着色
ニコチンやタールが歯に着色(茶褐色・黒色)し、さらに汚れが沈着することで歯の裏側は特に黒ずみます。タールが歯に沈着することで、歯の修復物のレジンの辺縁などに着色しやすく、見た目も悪くなってしまいます。たばこは喫煙者(能動喫煙)だけでなく非喫煙者(受動喫煙)にも影響を及ぼします。歯肉が黒ずんでくること(歯肉メラニン色素沈着)は、たばこ関連の歯周炎の特徴であり、非喫煙者の約5.5倍もその子どもの歯肉には色素沈着がみられます。
◦ 歯肉のメラニン色素沈着
歯肉のメラニン色素沈着が認められた場合、必ずしも受動喫煙が原因であるとは限りません。
歯肉メラニン色素沈着に影響する可能性がある因子はさまざまあります。
- 口呼吸
口呼吸は歯肉粘膜を乾燥させ、粘膜の抵抗性を減少させるため歯肉炎を発症しやすくなります。
口呼吸による歯肉の乾燥がメラニンの生成を活性化させる刺激になっている可能性があります。
- 日焼け(紫外線)
メラニン色素の生成は紫外線に対する防御であり、メラニンの酸化反応によりメラニン色素沈着が濃くなります。日焼けをしている人の方が歯肉のメラニン色素沈着も濃く、範囲が広い傾向があります。
また、直接的に日光が歯肉に当たって濃くなるのではなく、目や全身へ当たることによってメラニン色素の生成が活性化されている可能性があります。
- 髪の毛の色
頭髪の色が黒に近い方は頭髪が明るい方に比べて、歯肉のメラニン色素沈着も濃く広い範囲に
みられます。
- ビタミンC不足
メラニン色素の生成はアスコルビン酸により抑制されます。そのため、ビタミンCを不足している方は
メラニン色素の生成を促進している可能性があります。
これらの要因などでお身内に喫煙者がいない場合でも、歯肉のメラニン色素沈着が濃くなる可能性があります。また、喫煙者はメラニン色素沈着が濃くなるのはもちろん、受動喫煙者は喫煙者と同居年数が長いほどメラニン色素沈着は濃く広い範囲にみられます。そして、同居している喫煙者の喫煙場所によっても特に子どもは影響の差があります。年齢が高い方がメラニン色素は濃くなりやすいです。
○ 禁煙の効果
喫煙は歯周病の予防や治療を妨げる原因であり、喫煙者の歯周治療には禁煙が必要です。禁煙をすることによって、歯周組織は数週間で本来備わっていた免疫応答が回復するようになり、少しずつ歯肉の状態や歯肉の色も健康な色に回復していきます。そして、免疫や細胞のはたらきが高まるため、歯周病のリスクが低下し治療効果が上がります。また、口の中がさわやかになり口臭がなくなることで味覚も回復し、おいしい食事ができるようになります。口腔内だけでなく色々な病気のリスクが減少し、全身の健康にも大きく関わり、生活の質(QOL)の向上をさせるためにも禁煙はとても重要なことです。歯の喪失のリスクに関しては非喫煙者に比較して、喫煙者は高いリスクをもっていますが、禁煙によりそのリスクが徐々に低下していきます。さらに禁煙をすることで、同居している家族や職場、友人など、道ですれ違う不特定多数の人々の受動喫煙をなくすことができます。
正しく選べていますか?歯ブラシと歯磨き粉の選び方
こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者の「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
今回は、歯ブラシと歯磨き粉の選び方についてお話していきます。
皆さんは、普段歯ブラシを買い替えるときに、どう選んでいますか?好みのものがあってずっと同じメーカーの歯ブラシを買っている方や、とくにこだわりがなく、値段のお安いのを買っている方など様々かもしれません。できれば、毎日使う歯ブラシは、自分のお口の中の状態にあった物を選ぶほうがいいです。「ん?お口の中の状態?」と思うかもしれませんが、年齢や性別によっても違いますし、健康な歯や歯茎の方・歯列矯正治療中の方・虫歯の有無や歯垢のつきやすい方・歯周病軽度な方・歯周病重度の方など、お口の中の状態は皆それぞれ違いがあります。自分にあった正しい歯ブラシと歯磨き粉を選ぶときに参考になればと思います。今回は、普通の歯ブラシについて書きますが、電動の歯ブラシをお使いの方も多いと思いますので、電動歯ブラシについては、次回お話していきます。
歯ブラシの種類と症状別の選び方
ドラッグストアに行けばたくさんの歯ブラシが並んでいると思います。見た目やお値段で選ばれている方もいれませんが、ご自身のお口の中の症状と歯ブラシが合っていないことも多く、しっかり時間をかけて歯を磨いているつもりでも、きちんと磨けていないことがあります。きちんと磨けていないことを「磨き残し」といいます。磨き残しがあると歯垢がとれず、時間がたってしまうと歯石になり、虫歯や歯周病になるリスクが高くなります。また、歯茎の状態が悪いまま、硬めの歯ブラシを使っていると、歯肉が傷つき歯肉退縮(歯茎下がり)になってしまうこともあります。ご自身のお口の中の症状も見て選んでみてください。
① ブラシ部分の硬さ
歯ブラシの毛先の硬さには、「やわらかめ・ふつう・かため」と3種類あり、歯ブラシのパッケージにも記載されています。好みもあるかもしれませんが、歯磨き(歯の汚れを落とす)に適しているのは、「ふつう」の硬さです。
② ヘッド部分の大きさ
歯ブラシのヘッドとは毛先がついている歯を磨く部分の大きさです。大きいもの、小さいもの、厚みがあるもの、薄いものなど多種多様にあります。先が細くなっているものや、コンパクトサイズのものなど各メーカーから発売されております。
③ ヘッド部分の形
歯ブラシを横から見たときに、毛先が「真っ平のフラットタイプ」と「デコボコまたはギザヒザしている山型タイプ」「真ん中の毛先だけ少し低いU字型」などがあります。
④ 歯ブラシの毛先の違い
歯ブラシの毛先には2種類あるのをご存じでしょうか?毛先の先が丸くなっている「ラウンドカット」と、毛先の先にむかって毛が細くなっている「超極細毛」の2種類があります。
お口の中の症状別 歯ブラシの選び方
① 歯列矯正治療中の方
歯並びを整える歯列矯正治療中の方は、お口の中に装置が入りますので歯磨きがしにくくなにます。ふつうの硬さでヘッドが小さめの歯ブラシがおすすめです。装置やワイヤーの周りは、歯ブラシを小刻みに動かしながら磨いてください。また、普通の歯ブラシだけではなく、先が尖っているワンタフトブラシや歯間ブラシ・フロスの併用をしていただくとより丁寧なブラッシングができます。
② 奥歯が虫歯になりやすい方
奥歯が虫歯になりやすい方は、奥歯まで毛先がしっかり届くよう、ふつうの硬さのヘッドが小さめまたは薄いなど、先が細い歯ブラシが奥歯まで届きやすくておすすめです。
③ 歯周病がある方
歯磨きをした際に、歯茎から出血をしてしまうようなことがあると、歯周病になっている可能性があります。出血をしてしまう原因は、歯周病によって歯茎が腫れている状態なのに、硬めの歯ブラシで強くブラッシングしてしまうことです。歯茎下がりの原因にもなりますので、歯周病の方は、やわらかめの毛先でヘッドが大きめで厚みがあり、毛先が細い歯ブラシで、歯肉を優しくブラッシングしてあげるのがおすすめです。
歯磨き粉の正しい選び方
・知覚過敏がある
全ての歯(被せ物をした歯を除く)の表面は、エナメル質があり熱い冷たいなどの刺激から歯は守られています。このエナメル質が、正しく合っていない噛み合わせや寝ているときの歯ぎしりが原因で、欠けてしまうことがあります。エナメル質が一部でも欠けてしまうと知覚過敏を発症してしまいます。冷たい物を口にした時に、歯がしみるようなことがある方は、知覚過敏用の歯磨きをお使いください。歯磨きを変えたからといってすぐに知覚過敏の症状がなくなるわけではありませんが、長くご使用していくうちに、症状が和らいでいきます。また、知覚過敏が冷たい物以外を口のしたときにもある場合は、かかりつけの歯医者で知覚過敏用のコーティングをしてもらうといいと思います。
・電動の歯ブラシを使っている
毎日の歯磨きで、電動の歯ブラシをお使いの方は、研磨剤の入っていない歯磨き粉をお使いください。電動歯ブラシは、普通の歯ブラシと違い、毛先の回転数や歯や歯肉にかかる圧力が強いので、研磨剤が入っている歯磨き粉と併用すると歯の表面に傷がついてしまうことがあるためです。また、通常の歯磨き粉には発泡剤が含まれていて歯磨きをすると泡立つような歯磨き粉が多いですが、電動の歯ブラシの場合は、泡立たない歯磨き粉をおすすめします。ジェル状になっているものや、泡状になっているものをご使用していただくといいと思います。
・歯を磨くと血がでる
歯磨きをすると歯茎から出血をしてしまうという方には、歯周病用や歯槽膿漏用など記載されている歯磨き粉をお使いください。歯肉の炎症を抑えてくれ、歯肉を引き締める成分が含まれています。また、今の症状をそれ以上悪化しないように殺菌の成分も含まれおりおすすめです。歯磨きをする際は、力を入れすぎず歯を磨くというより歯茎をマッサージするように心がけてください。
・歯の着色が気になる
歯の黄ばみなどの着色が気になる方には、ホワイトニング効果のある歯磨き粉がおすすめです。ただ、一般的に販売されている歯磨き粉だけで歯が真っ白にはなりません。歯の表面についた茶渋(コーヒーなど)やタバコのヤニなどの汚れは取れやすくなり、再び着色がつくのを防ぐ効果があります。真っ白な歯にするには、歯医者でのホワイトニングをする必要があります。
まとめ
今回は、歯ブラシの選び方と歯磨き粉の選び方についてお話しました。ドラッグストアなどでも沢山の種類が置いてあるので、どれを使えばいいか悩んでいた方の参考になればと思います。歯科医院でしか購入できない歯ブラシや歯磨き粉も販売している医院もあります。定期的にかかりつけの歯医者で定期健診をしているならば、定期健診の時に歯科衛生士に相談されてみてはいかがでしょうか。
歯列矯正治療をしてよかったこと
こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者の「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
今回は、歯並びや噛み合わせを治す、歯列矯正をしてよかったことをお話していきます。
実際に、私は歯並びを治療して今は保定期間にはいっています。保定から一年以上経過して歯並びも安定していますので、今は、夜寝る時に毎日リテーナーをつけています。
まず、私の矯正治療前の石膏写真と、治療後の石膏写真をお見せします。
矯正治療前の歯並び
矯正治療後の歯並び
どうですか?かなり出っ歯だった私の歯並びがとても綺麗になりました。治療前と治療後の写真を見ると綺麗な歯並びと・正しい噛み合わせ・理想的な歯列弓(Uの字)になったのがわかると思います。私は、親知らず上下4本を昔に抜歯済でしたので、他の歯を抜かずに矯正治療をできました。私自身が、金属アレルギーのため、ワイヤーでの治療ではなくマウスピース治療(インビザライン)で矯正をしました。歯並びの矯正治療をして、私が良かったと思うことを今回は、まとめてみます。
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食べ物がなんでも食べられるようになった
悪かった歯並びを治療することで、今まで食べづらかった物が食べられるようになりました。
私は、上の前歯が出ている出っ歯だったので、お肉を前歯で嚙み切ることができませんでした。以前は小さくしてから食べるか、犬歯や奥歯で噛んで口の中にいれていたように思います。それが、噛み合わせと歯並びを綺麗に整えることで、「前歯で物を噛んで・犬歯でちぎり・奥歯ですりつぶして飲み込む」という、本来の正しい噛み方ができるようになって、硬い物や繊維質の物もすべて食べやすくなりました。
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歯並びが綺麗に整った
私の場合、幼い頃の指しゃぶりが原因での、上顎前突(いわゆる出っ歯)でした。上の前歯が二本でていたので、口を閉じても前歯が隠れず少し見えてしまうような状態でした。(例えば動物のビーバーのような感じです)大人になってからでも、右手の親指がすっぽり上の前歯におさまるほど前歯がでていました。それが、歯列矯正治療をして歯並びを綺麗に整えたら、上下の歯の噛み合い、歯列が正しいアーチ状(Uの字)の歯列弓になり、親指がはいる隙間はなくなりました。
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歯を見せて笑えるようになった
上の歯の出っ歯が原因で、歯が全体的にガタガタしていて、人と話すときや食事の際など、口元の見た目が気になっていましたが、歯列矯正治療で、歯の並びと奥歯の噛み合わせを治すことで、人前でも歯を見せて話せて笑えるようになりました。笑うことに自信がついたように思います。気になっていた歯並びを治療することで、口元の印象がかなり変わります。歯並びが綺麗なだけで、他の人からの印象もよくなり、自分の笑顔に自信がつく以上に相手の自分への印象が高くなります。人はまず見た目から…が第一印象ですからね。歯並びが綺麗に整っているだけで、その人の清潔感もでます。
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歯磨きがしやすくなった
歯列矯正治療をして、歯並びを整えると、とにかく歯磨きがしやすくなります。以前は、ガタガタの歯並びだったので、歯と歯が重なり歯ブラシが届かず磨けない部分がありましたが、今では隅々まで正しく歯ブラシの毛先を歯や歯茎にあてることができ、歯磨きがしっかりできるようになりました。歯磨きがしっかりと正しくできるようになれば、磨き残しがなくなりますので、虫歯や歯周病の予防にもなります。歯並びが悪いと、自分ではしっかり時間をかけて歯磨きをしているつもりでも、歯ブラシの毛先が届かない部分があるため、磨き残しが多くなってしまいます。磨き残しがあると、口臭や虫歯・歯周病のリスクが高くなってしまいます。
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虫歯や歯周病のリスクが減った
ガタガタしている歯を、歯列矯正治療で歯並びを綺麗に整えると、歯磨きがしっかり正しくでき、虫歯や歯周病のリスクが減ります。歯並びがわるいと、どうしても歯磨きをしても磨けない・磨きにくい部分があります。
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普段から口が閉じられるようになった
歯列矯正治療の治療後は、普段からお口をちゃんと閉じられるようになり、口呼吸をしなくなりました。そのおかげで、お口の中の乾燥がなくなり、口臭も減り、風邪をひくのも少なくなりました。前歯が出ている(上顎前突)・奥歯を噛んでも上と下の前歯に隙間がある(開咬)などの歯並びですと、唇がしっかり閉じられないので無意識にお口が開いていることがあります。歯列矯正治療をすることで、歯並びと噛み合わせが正しくなると、お口が普段からも閉じられるようになります。お口がしっかり閉じられていると、鼻呼吸にもなります。
- 歯並びが綺麗と褒められる
矯正治療をしてから、「歯並びが綺麗だね」と褒められることがとても嬉しいです。以前は、人前で笑うことを気にしていたのですが、矯正治療をしてから、逆に自慢できるようになりました。それは、私にとってとても自信に繋がりました。
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歯への意識が高まった
矯正治療をして、歯並びが綺麗に整ってからは、歯磨きがしっかりできるようになり、矯正治療後に虫歯になったことがありません。また正しくきちんと歯磨きができるようになってから歯周ポケットの深さも減り、健康なお口の中になりました。定期的に一般歯科に通い、歯科衛生士さんに歯石除去やクリーニングをしてもらっていますが、「いつもきちんと磨けていますね」って歯医者さんに褒められるお口に中になったのも嬉しいです。
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噛み合わせが整うことでよく噛めるようになった
矯正治療をして、気にしていた上の前歯だけではなく、上と下の奥歯の噛み合わせも正しい位置に整ったなったおかげで、奥歯がしっかり噛めるようになり、何でも食べられようになりました。矯正治療の前は、前歯で肉を噛めなかったり、とうもろこしやリンゴなどかじることも出来ませんでした。前歯だけではなく、奥歯も噛み合わせがあうことで、よく噛む癖もでき、よく噛むことで唾液の分泌もよくなり、その結果、胃などの内臓の負担も減り、全身的に健康になれたと思います。
まとめ
今回は、私自身が実際に歯列矯正治療をして良かったことをお話しました。もし、ご自身やご家族の方・お友達などで、歯並びを気にしているようなかたの参考になればといいなと思います。矯正治療は、金額も高額ですし、治療の期間も長いです。治療中は痛みもありますし、歯磨きがしづらい・口内炎ができやすいなど色々とありますが、治療後のほうが歯は長く使います。歯を健康でいつまでも使えることが長生きの第一歩だと思います。歯並びでお悩みがある方は、一度、当院の歯並びの無料相談にお越しください。
顎関節症について
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1.顎関節症とは
『顎関節症(がくかんせつしょう)』という言葉をご存知でしょうか。
歯科の二大疾患として、むし歯と歯周病が挙げられていますが、最近では顎関節症がむし歯や歯周病に続く第三の疾患として認識されるようになりました。
顎関節症の3大症状として、
・ 顎(あご)を動かすと音が鳴る
・ 顎(あご)が痛い
・ 大きなお口を開けられない
が挙げられます。このような症状を認められる場合、顎関節症と診断される可能性が高くなります。
顎関節症という呼び方をされているため、症状や原因は顎関節にのみあると思われがちですが、肩こりやめまい・頭痛・不眠症などを伴う場合もあります。何が原因なのかハッキリと分かりづらく、どこの科を受診すればいいのか迷われる方も多くいらっしゃるのではないかと思います。基本的には、一度かかりつけの歯医者さん(一般歯科)に相談してみましょう。もし痛みの度合いが大きい場合や外科手術がからむ場合は、口腔外科での対応となります。
また、噛み合わせが悪いことから顎に症状が出たのではないかという考えで、矯正歯科を受診される方もおられます。顎関節に関する知識があり、治療を行っている矯正歯科であれば問題はありませんが、そうでない場合は、かかりつけの歯医者さんや一般歯科で相談してみましょう。
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2.噛み合わせが悪いと顎関節症になるのか
顎関節症になったのは噛み合わせが悪いせいなのかと、矯正歯科へご相談に来られる患者さまがおられます。また、顎関節症を治すために矯正治療を希望してご相談に来られる方もおられます。結論からいうと、治るかどうかは分からないです。治る場合もあれば、治らない場合もあります。噛み合わせが悪い場合でも、顎関節症でない方はたくさんおられます。また、歯並びも噛み合わせも良い場合でも、顎関節症になっている方はおられます。なので、噛み合わせが悪いと顎関節症になるというイコール(=)の関係は成り立たないといえるでしょう。
顎関節症は、特に若い女性の方に起こりやすいとされていますが、若い女性の方だけが歯ならびが悪いということではありません。噛み合わせで言うと、ご高齢になるにつれて〝歯周病により歯を失った〟などのように噛み合わせに問題が起こっていることが多いのではないでしょうか。ですが、顎関節症になっているのは若い女性が多いということから、噛み合わせが悪くても顎関節症になるとは限らないということが言えます。
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3.顎関節症の原因
顎関節症は、複数の原因が重なって起こる疾患だと考えられています。
いくつかの原因が重なって、それぞれが持つ顎関節の耐久力を超えた場合、顎関節症を発症すると言われています。顎関節の耐久力には個人差のばらつきかあります。
顎関節症の原因として挙げられるのは、
・ 不正咬合(ふせいこうごう)
噛み合わせと顎関節症の関係性には様々な話がありますが、噛み合わせにより、偏咀嚼(=食べる時に同じ側ばかりで噛むこと)やブラキシズムを誘発する可能性があるとも言えるでしょう。もともとの歯ならびの噛み合わせが悪い場合だけでなく、むし歯の治療や歯列矯正治療でも起こる可能性があるので注意しましょう。
・ ブラキシズム(歯ぎしり・食いしばり等)
ブラキシズムとは、歯ぎしりや食いしばり・歯をカチカチと噛んで音を立てることをいいます。これらの行為は、筋肉が異常緊張を伴うため、顎関節や頭頚部周囲の筋肉に過度な負担を与えます。時には、健康的な歯が折れてしまったり、ひび割れてしまうこともあります。ブラキシズムといわれる無意識のうちにしている行為は、ストレスが大きく関係していると言われています。
・ 生活習慣
生活習慣とは、顎関節や頭頚部周囲の筋肉に負担をかけている癖のことを指します。例えば、指を吸う・爪を噛む・唇を噛む・鉛筆などの物を噛む・起きている時も口がよく開いている・頬杖・うつぶせ寝などが挙げられます。
・ ストレス
仕事や家庭などでのストレスや精神的な緊張は、筋肉を緊張状態にさせるのでブラキシズムの誘発因子となります。
・ 外傷
外傷とは、〝歯医者さんでの長い治療時間お口を大きく開けている状態が続いた〟 〝顎や頭頚部を強く打って怪我をした〟などのことを指します。
が挙げられます。
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4.顎関節症に関連する不正咬合の種類
不正咬合には様々な種類のものがあります。その中でも顎関節症と強い関連性があるとされているものが4種類あります。
①骨格性開咬(こっかくせいかいこう)
開咬とは、お口を閉じたときに奥歯は接触している状態で前歯は全く噛み合わない状態のことをいいます。開咬は、歯と歯が噛み合う部分が少ないです。そのため、咬合力(=噛んだ時に生じる力)を全ての歯に分散させることが難しくなります。全ての歯に分散が出来ない分、噛み合っている奥歯や顎関節に大きな負担がかかってしまいます。さらに開咬の度合いが大きい程、顎関節にかかる負担が大きくなることも証明されています。
②片側性交叉咬合(へんそくせいこうさこうごう)
偏咀嚼(=食べる時に同じ側でばかり噛むこと)や頬杖をつくなどのような悪い癖がある場合、下顎が側方の方へずれていきます。そうなると、段々と歯も移動し始め、噛み合わせにズレが生じてしまうので左右の高さが変わってくることがあります。また、顔を正面から見たときに歪んでいるように見えることがあります。このような場合、噛んだ時の力が左右で異なるためアンバランスになってしまいます。また、顎関節にかかる力も左右均等ではありません。この状態が続くと、顎関節の位置がずれやすくなってしまうので、顎関節症が起こるリスクが高くなります。
③下顎(かがく)が著しく後退した上顎前突(じょうがくぜんとつ)
噛んだ状態のときに、上の前歯の先端から下の前歯の表面までの水平的な距離をオーバージェットと言います。このオーバージェットは、2~3㎜が理想的な数値とされています。オーバージェットが6~7㎜以上の上顎前突(じょうがくぜんとつ)は顎関節症の可能性が高くなると言われています。
上顎前突は大きく分けて2種類のタイプがあり、上の前歯のみが傾斜して突出している状態の歯性上顎前突と上顎骨が骨格的に突出している骨格性上顎前突に分類されます。また、下顎が後退している上顎前突も含みます。下顎が後退している場合、上顎前突も顎関節症が起こってしまう可能性が高くなります。
④顆頭後退位(かとうこうたいい)と最大咬頭嵌合位(さいだいこうとうかんごうい)との間に4㎜以上の差がある咬合
歯と歯を接触させずに顆頭を最も後退させた位置(顆頭後退位)と歯が最も噛み合っている位置(最大咬頭嵌合位)の差を計測したとき、その差が4㎜以上ある場合は顎関節症のリスクが高くなる可能性があります。
清涼飲料水とむし歯の関係
①むし歯になりやすい飲み物
むし歯になりやすい飲み物として、
・炭酸飲料
・乳酸菌飲料
・清涼飲料水
・果実100%ジュース
などが挙げられます。上記のような飲み物には、一般的に糖質が含まれています。糖質とは、炭水化物から食物繊維を取り除いたものの総称を指します。飲み物に含まれている糖質は砂糖だけではなく、ブドウ糖やオリゴ糖、果糖などがあります。糖質には、糖質としてのエネルギー源の役割がありますが、むし歯菌のエサにもなってしまいます。
また、㏗という値(液体が酸性かアルカリ性かを表す尺度)が低い飲み物をたくさん摂取すると、歯が溶けやすくむし歯になるリスクが高まります。
②むし歯になりにくい飲み物
むし歯になりやすい飲み物として、
・水
・緑茶
などが挙げられます。
お水には一切糖質が含まれておらず、㏗の値も7.0と高いため、むし歯になりにくい飲み物になります。
お茶もお水と同様で、㏗は6.0と高い数値になっており、むし歯になりにくい飲み物といえるでしょう。
③清涼飲料水と虫歯の関係
・清涼飲料水の過剰摂取からむし歯になるメカリズム
砂糖がたくさん入っている清涼飲料水をたくさん摂取することで、お口の中の環境が虫歯になりやすくなってしまうことは皆様お分かりいただけるかと思います。むし歯は、お口の中のミュータンス菌といわれる菌が砂糖をエサとし、酸を作り出します。この酸が歯の表面を溶かし(脱灰だっかい)、歯に穴が開いてしまいます。お口の中は㏗6.8~7.0に保たれています。そこで飲食をすることでむし歯菌が働き、お口の中が酸性に傾きます。飲食が終わると、唾液の働きでお口の中が中性に戻そうとします。そして、溶けていた歯も唾液の働きで修復(再石灰化さいせっかいか)されていきます。
むし歯になりやすい状態は、お口の中が酸性に傾いているときです。
脱灰が起こる㏗の値は5.5以下と言われています。
清涼飲料水などの飲み物には、酸性のものが多くあります。
さらに砂糖も多く含まれているので、酸性の清涼飲料水を1日に頻繫に摂取しているとむし歯になるリスクが高まります。お口の中の状態が酸性である時間が長くなってしまうと、歯が脱灰(溶けること)している時間も長くなってしまうため、再石灰化(溶けた歯を唾液の働きで元に戻そうとする力)が行われず、むし歯にあってしまうリスクが高くなります。
砂糖がたくさん含まれている清涼飲料水には、むし歯になるリスクだけでなく、生活習慣病にもなる可能性があります。清涼飲料水を摂取する時は、時間・回数・摂り方に気を付けることを意識しましょう。
④むし歯を防ぐ食べ方と飲み方
・時間を決めて飲食をする
お菓子などの食べ物をだらだらと食べていたり、糖質が含まれる飲み物をだらだら飲んでいると、お口の中が酸性に傾いている状態が続いてしまいます。お口の中が酸性に傾いている状態が続くと、むし歯になるリスクが高まります。
そして、お口の中が中性に戻るまで時間がかかります。
つまり、食べ物や飲み物に含まれる糖だけでなく、食べる回数や時間もむし歯に関係しています。
・飲食の後は歯磨きやうがいをする
何かを食べたり、糖が含まれる飲み物を摂取した後は歯を磨くようにしましょう。外出時など、歯を磨くことが難しいという方はうがいやお水・お茶を飲むことをおすすめします。
・就寝30分前は飲食を控える
就寝する前に食べたり、糖が含まれる飲み物を摂取することは控えましょう。
睡眠時は、唾液(だえき)の分泌が減少してしまいます。唾液には、酸性に傾いたお口の中を中性に戻そうとする役割があります。なので、寝る前に飲食をしてしまうとお口の中が酸性の状態が続いてしまうことになります。
就寝の30分前には、歯磨きを終わらせることを心がけてみましょう。
⑤むし歯を予防するための対策
・清涼飲料水を他の飲み物に変えてみる
普段の熱中症対策としての水分補給は、お水やお茶でも十分だと言われています。お水を飲むことで、体内の水分含入量を保つことはさまざまなメリットを生み出してくれます。身体の健康や歯の健康にとってたくさんの効果があるので、代表的な例をいくつかご紹介します。
・歯に飲料による色素がつかない
・お口の中を中性に保つことができる
・こまめな水分補給で口臭対策につながる
・むし歯菌のエサとなる糖が含まれていないため、むし歯のリスクを下げる
・基礎代謝が上がる
・体温が上がる
・ニキビなどの吹き出物ができにくくなる
・むくみの解消
・リンパの流れが良くなる
・血液がサラサラになる
・老廃物をデトックスしてくれる
⑥酸蝕歯(さんしょくし)について
酸蝕歯とは、酸性の食べ物や飲み物が歯に触れることで起こり、普段の日常生活で酸の影響を受けています。ですが、唾液の働きにより修復され、バランスが保たれています。しかし、そのバランスが崩れてしまうと酸の影響を過剰に受けて酸蝕が生じてしまいます。その酸蝕の度合いが大きいと酸蝕歯になります。
⑦まとめ
暑い季節になると、冷たい清涼飲料水や炭酸水が飲みたくなる方もいらっしゃるのではないでしょうか。清涼飲料水や炭酸水を飲むときはだらだらと飲むのではなく、食事のときに一緒に摂取するとむし歯になるリスクが低くなります。そして、清涼飲料水や炭酸水を飲んだ後にうがいや歯磨き行うと、更に効果的なのぜひ行うことをおすすめします。
また、寝ている間はお口の中の唾液の分泌が減少します。なので、寝る前に清涼飲料水や炭酸水を飲んでしまうとお口の中が酸性に傾き、歯が溶けやすい状態になってしまいます。唾液が減少してしまうと、唾液がお口の中を中性に戻そうという働きが弱まります。お口の中を中性に保つために、寝る前に清涼飲料水や炭酸水を飲むことは控えましょう。
ブラックトライアングルとは?
みなさん、「ブラックトライアングル」という言葉を聞いたことがありますか?
ブラックトライアングルとは、歯と歯の間と歯肉に囲まれた三角形の黒い隙間のことをいいます。
ブラックトライアングルは、前歯部にできることが多く、特に下の前歯部にできることが多く、そのような歯肉の隙間は回復しづらいともいわれています。
○ブラックトライアングルができる原因
①加齢
加齢とともに、歯を支える骨(歯槽骨)や歯肉の細胞の活性は低下します。それにより、骨の高さが低くなり、歯肉が下がってしまうことでブラックトライアングルができます。
②歯周病(歯周炎)
歯周病とは、プラーク(歯垢)の中の細菌によって歯肉に炎症を起こし、歯を支えている骨(歯槽骨)を溶かす病気です。炎症が進行すると、歯を失う原因にもつながります。その炎症で歯を支えている骨が溶け、歯肉が下がることでブラックトライアングルができてしまいます。
歯周炎の特徴は、歯肉の色が赤紫色で、歯肉が腫れていて、歯磨きをすると歯肉から出血し膿が出ます。歯周ポケットが深くなり、歯を支えている骨(歯槽骨)が溶け、歯肉が下がって歯が長く見えます。
歯周病の原因はプラーク(歯垢)であり、そのまま放置すると硬くなり、歯石というものに変わります。歯石の中や周りに細菌が入り込むことで、より歯周病を進行させてしまいます。また、歯周炎が治療により改善し、腫れていた歯肉が引き締まることで、ブラックトライアングルができることがあります。正しい歯磨き方法で、お口の中のプラーク(歯垢)を取り除き、歯石は歯ブラシでは除去できないため、かかりつけの歯科医院で定期的にクリーニングをしてもらいましょう。
③矯正治療
歯列不正で歯並びがガタガタの場合、歯が重なって生えている部分の下の歯槽骨が十分でないことが多いです。歯が重なっている部分は、歯磨きがしづらく、歯磨きでは除去しきれない食べかすやプラーク(歯垢)が歯と歯の間に溜まっていくことで、歯肉が炎症を起こし、腫れてしまうことがあります。
そして、歯列矯正で歯並びが良くなり、歯のガタガタが解消され、歯磨きがしやすくなり、腫れていた歯肉が引き締まり、歯肉が下がることでブラックトライアングルができてしまうことがあります。
また、当院では矯正治療を開始する前の診断でのご説明の際に、矯正治療に伴うリスクとしてブラックトライアングルができることがあることを事前にご説明させていただいています。治療が必要な場合は、他院で治療をしていただくことがあります。
④歯磨き
硬い歯ブラシやゴシゴシと力強く磨いたり、間違った磨き方をしていると、歯肉が下がり、ブラックトライアングルができてしまうことがあります。また、歯間ブラシの大きさや挿入角度が間違っている場合でも、歯肉が下がることがあります。強いブラッシング圧や硬い歯ブラシの使用を長期間続けると、歯肉が下がったり楔状欠損(くさびじょうけっそん)を起こし、知覚過敏を併発することがあるので注意しましょう。また、クレフトやフェストゥーン、擦過傷を生じることもあります。
歯肉炎などで歯肉から出血がある場合や知覚過敏がある場合などは、やわらかめの歯ブラシを使用しましょう。
○楔状欠損(WSD)(くさびじょうけっそん)
歯と歯肉の境目が削れてくぼんでいるところがくさび状に見えることから、くさび状欠損といいます。くさび状欠損は、主に犬歯や小臼歯によくみられます。歯ぎしりや食いしばりなど噛む力が強い場合、歯と歯肉の境目に力が集中することで、歯の表面が傷ついてしまうことがあります。また、硬い毛の歯ブラシを使用したり、強い力でゴシゴシとブラッシングをしたり、粗い研磨剤入りの歯磨剤を使用していたりするなどの場合が長期間続くことによって、歯の表面が徐々に削られてしまうのが原因で起こります。エナメル質が削られると象牙質が露出します。象牙質が露出すると、神経に痛みや温度が伝わりやすいため、冷たい飲食物を口にした時に歯がしみる知覚過敏(象牙質知覚過敏症)を併発することがあります。
○治療方法
・IPR (Interproximal enamel Reduction)
IPRとは、隣接歯間のエナメル質を微量削合することです。ディスキングやストリッピングと呼ばれることもあります。IPRの専用のバーやストリップスというヤスリで歯の大きさや形を整えます。IPR後は歯間空隙ができるため、その隙間を閉じることでブラックトライアングルを小さくさせます。しかしIPRは、削る量に限度があるため、完全に隙間(ブラックトライアングル)を閉じることができない可能性があります。
このIPRは、矯正治療でも行われます。歯を排列するためのスペースを確保するためにも行われます。特に前歯部に行われることが多いです。IPR後は隙間ができるため、その隙間に食べ物が挟まりやすくなります。特に繊維質な食べ物や鶏肉などが挟まりやすくなります。食べかすが歯と歯の間に挟まったままだと隙間を閉じることができないため、フロスや歯間ブラシなどを使用することが大切です。
IPRは1歯につき削る量に限度があります。1歯あたり、約0.5㎜まで削ることができます。削るのは、エナメル質の範囲内なので歯がしみる知覚過敏が起こることは比較的少ないです。
また当院では、IPRを行った後にフッ素塗布をさせていただいています。フッ素塗布が必要でない場合は、気軽にスタッフへお申しつけください。
もし、ブラックトライアングルが気になるという方は、近くの歯科医院やかかりつけの歯科医院へご相談してみてください。
歯列矯正治療をしてよかったこと
こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者の「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
今回は、歯並びや噛み合わせを治す、歯列矯正をしてよかったことをお話していきます。
実際に、私は歯並びを治療して今は保定期間にはいっています。保定から一年以上経過して歯並びも安定していますので、今は、夜寝る時に毎日リテーナーをつけています。
まず、私の矯正治療前の石膏写真と、治療後の石膏写真をお見せします。
矯正治療前の歯並び
矯正治療後の歯並び
どうですか?かなり出っ歯だった私の歯並びがとても綺麗になりました。治療前と治療後の写真を見ると綺麗な歯並びと・正しい噛み合わせ・理想的な歯列弓(Uの字)になったのがわかると思います。私は、親知らず上下4本を昔に抜歯済でしたので、他の歯を抜かずに矯正治療をできました。私自身が、金属アレルギーのため、ワイヤーでの治療ではなくマウスピース治療(インビザライン)で矯正をしました。歯並びの矯正治療をして、私が良かったと思うことを今回は、まとめてみます。
食べ物がなんでも食べられるようになった
悪かった歯並びを治療することで、今まで食べづらかった物が食べられるようになりました。
私は、上の前歯が出ている出っ歯だったので、お肉を前歯で嚙み切ることができませんでした。以前は小さくしてから食べるか、犬歯や奥歯で噛んで口の中にいれていたように思います。それが、噛み合わせと歯並びを綺麗に整えることで、「前歯で物を噛んで・犬歯でちぎり・奥歯ですりつぶして飲み込む」という、本来の正しい噛み方ができるようになって、硬い物や繊維質の物もすべて食べやすくなりました。
歯並びが綺麗に整った
私の場合、幼い頃の指しゃぶりが原因での、上顎前突(いわゆる出っ歯)でした。上の前歯が二本でていたので、口を閉じても前歯が隠れず少し見えてしまうような状態でした。(例えば動物のビーバーのような感じです)大人になってからでも、右手の親指がすっぽり上の前歯におさまるほど前歯がでていました。それが、歯列矯正治療をして歯並びを綺麗に整えたら、上下の歯の噛み合い、歯列が正しいアーチ状(Uの字)の歯列弓になり、親指がはいる隙間はなくなりました。
歯を見せて笑えるようになった
上の歯の出っ歯が原因で、歯が全体的にガタガタしていて、人と話すときや食事の際など、口元の見た目が気になっていましたが、歯列矯正治療で、歯の並びと奥歯の噛み合わせを治すことで、人前でも歯を見せて話せて笑えるようになりました。笑うことに自信がついたように思います。気になっていた歯並びを治療することで、口元の印象がかなり変わります。歯並びが綺麗なだけで、他の人からの印象もよくなり、自分の笑顔に自信がつく以上に相手の自分への印象が高くなります。人はまず見た目から…が第一印象ですからね。歯並びが綺麗に整っているだけで、その人の清潔感もでます。
歯磨きがしやすくなった
歯列矯正治療をして、歯並びを整えると、とにかく歯磨きがしやすくなります。以前は、ガタガタの歯並びだったので、歯と歯が重なり歯ブラシが届かず磨けない部分がありましたが、今では隅々まで正しく歯ブラシの毛先を歯や歯茎にあてることができ、歯磨きがしっかりできるようになりました。歯磨きがしっかりと正しくできるようになれば、磨き残しがなくなりますので、虫歯や歯周病の予防にもなります。歯並びが悪いと、自分ではしっかり時間をかけて歯磨きをしているつもりでも、歯ブラシの毛先が届かない部分があるため、磨き残しが多くなってしまいます。磨き残しがあると、口臭や虫歯・歯周病のリスクが高くなってしまいます。
虫歯や歯周病のリスクが減った
ガタガタしている歯を、歯列矯正治療で歯並びを綺麗に整えると、歯磨きがしっかり正しくでき、虫歯や歯周病のリスクが減ります。歯並びがわるいと、どうしても歯磨きをしても磨けない・磨きにくい部分があります。
普段から口が閉じられるようになった
歯列矯正治療の治療後は、普段からお口をちゃんと閉じられるようになり、口呼吸をしなくなりました。そのおかげで、お口の中の乾燥がなくなり、口臭も減り、風邪をひくのも少なくなりました。前歯が出ている(上顎前突)・奥歯を噛んでも上と下の前歯に隙間がある(開咬)などの歯並びですと、唇がしっかり閉じられないので無意識にお口が開いていることがあります。歯列矯正治療をすることで、歯並びと噛み合わせが正しくなると、お口が普段からも閉じられるようになります。お口がしっかり閉じられていると、鼻呼吸にもなります。
歯並びが綺麗と褒められる
矯正治療をしてから、「歯並びが綺麗だね」と褒められることがとても嬉しいです。以前は、人前で笑うことを気にしていたのですが、矯正治療をしてから、逆に自慢できるようになりました。それは、私にとってとても自信に繋がりました。
歯への意識が高まった
矯正治療をして、歯並びが綺麗に整ってからは、歯磨きがしっかりできるようになり、矯正治療後に虫歯になったことがありません。また正しくきちんと歯磨きができるようになってから歯周ポケットの深さも減り、健康なお口の中になりました。定期的に一般歯科に通い、歯科衛生士さんに歯石除去やクリーニングをしてもらっていますが、「いつもきちんと磨けていますね」って歯医者さんに褒められるお口に中になったのも嬉しいです。
噛み合わせが整うことでよく噛めるようになった
矯正治療をして、気にしていた上の前歯だけではなく、上と下の奥歯の噛み合わせも正しい位置に整ったなったおかげで、奥歯がしっかり噛めるようになり、何でも食べられようになりました。矯正治療の前は、前歯で肉を噛めなかったり、とうもろこしやリンゴなどかじることも出来ませんでした。前歯だけではなく、奥歯も噛み合わせがあうことで、よく噛む癖もでき、よく噛むことで唾液の分泌もよくなり、その結果、胃などの内臓の負担も減り、全身的に健康になれたと思います。
まとめ
今回は、私自身が実際に歯列矯正治療をして良かったことをお話しました。もし、ご自身やご家族の方・お友達などで、歯並びを気にしているようなかたの参考になればといいなと思います。矯正治療は、金額も高額ですし、治療の期間も長いです。治療中は痛みもありますし、歯磨きがしづらい・口内炎ができやすいなど色々とありますが、治療後のほうが歯は長く使います。歯を健康でいつまでも使えることが長生きの第一歩だと思います。歯並びでお悩みがある方は、一度、当院の歯並びの無料相談にお越しください。
歯の役割と大切さについて
こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者の「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
今回は、歯の役割と大切さについてお話していきます。
皆さんは、歯の役割についてご存知でしょうか?パッと思いつくのは、「食べた物を噛む」ではないでしょうか。実は歯には、大切で大事な役割が二つあります。
- 「噛む」
- 「話す」
です。もしも、虫歯や歯周病・転倒や事故などで、歯を一本でも失うことになれば、食べ物を噛む力が減少してしまい、しっかりすりつぶしてから飲み込めないために、胃や腸にも負担がかかります。また、歯が抜けている部分から話すたびに空気が漏れてしまうので、発音が不明瞭(聞き取りにくい)になってしまいます。
もちろん、歯だけではなく、歯を支えている歯茎や歯肉も大切です。健康な歯で、長くより良い生活を送れるように、定期的な歯科検診をしていきましょう。
歯の役割
食べた物をかみ砕く
歯のイメージで一番、最初に思いつく、物を噛み・砕いて小さくし、飲み込みやすくするのが歯の一番の役割です。歯が(歯肉や歯茎も)健康であれば、食べ物を正しく良く噛めることができ、口から栄養をしっかりとることができます。また、歯には前歯から奥歯まで、それぞれに役割があります。
「前歯で食べ物を小さく噛んで、犬歯でちぎって、奥歯でさらに細かく食べ物をかみ砕いてすりつぶす」
普段、何気なく食べ物を口にいれ飲み込みを繰り返しおこない食事をしていると思いますが、歯がとても重要な役割をしています。
-
かみ砕いた食べ物を消化しやすくする
昔から、「よく噛んで食べるように」と言われたことはありませんか?食べ物を奥歯でしっかりとかみ砕きすりつぶしていると、すりつぶしている間に噛むことによって唾液が多くでます。唾液の量が増えることによって、食べ物を柔らかくし、飲み込みやすくなり、さらに胃や腸などの消化器官が消化しやすいようになります。食べ物が消化しやすいと、胃や腸の負担も減り、食べた物の栄養が摂取されやすくなります。栄養だけではなく、食べ物をしっかり噛むことで、歯並びにも良い影響がでて、顎やお顔の筋肉も鍛えられます。食べ物をお口に入れたら、飲み込むまでの間は意識していつもより多く噛んでみてください。
正しく発音する
歯は、物を噛むだけではなく、歯がそろっていることによって唇や舌が正しい位置に置かれ、その正しい位置にある唇と舌のおかげで、聞き取りやすい発音で話ができるようになります。乳歯が抜けて永久歯に生え変わる短期間であれば、さほど発音に影響はでませんが、もしも永久歯が抜けてしまうと、あとから生える歯がないので長期間に及んでしまい、発音や会話に影響がでてきます。永久歯の前歯が一本でも抜けてなくなってしまうと、会話の時に、抜けている部分から空気が漏れてしまいます。特に舌を前歯にあてて発音する「サ行」「タ行」「ナ行」「ラ行」の発音が悪くなります。永久歯の奥歯が一本でも抜けてしまうと、奥歯に舌をあてて発音する「ハ行」や「ラ行」の発音が悪くなってしまいます。また、入れ歯(部分入れ歯・総入れ歯等)も発音が悪くなります。歯は一本でも失うと会話に影響がでてしまいますので、歯を失うことのないように日頃から歯磨きを丁寧にすることが大切です。
お顔の表情を保つ
正しい嚙み合わせで綺麗に整った歯並びは、お顔の土台をつくってバランスと表情を保っています。正しい噛み合わせと歯並びが整っていると、しっかりと食べ物を噛むことができ、しっかり噛めることで、お顔の筋肉やお口まわりの筋肉が鍛えられ、表情も豊かに、そして見た目のお顔の若さを保つことができます。年配の方で、歯を失っているために総入れ歯になっている方が、総入れ歯を外すと、歯を支えている歯茎までもがなくなっていますので、お顔の輪郭が変化し、口元にシワがよってしまいより老けた印象になってしまいます。総入れ歯だけではなく、歯周病や転倒などが原因で、前歯が一本なくなってしまうだけで、見た目の印象がかなり悪くなってしまいます。健康な歯と歯茎・正しく整った歯並びは、お顔の美しく豊かな表情と、見た目の印象と若さを保つとても大切な役割を持っています。
体の姿勢と左右のバランスを保つ
歯とあまり関係がないように思うかもしれませんが、歯は、体の姿勢と左右のバランスを保つ役割があります。運動や重い物を持ち上げるときなどに、グッっと体に力をこめるときに、人は奥歯をしっかり噛んで姿勢と左右のバランスが崩れないようにしています。もし、奥歯を失ってしまうと、しっかりと食べ物を噛むことができなくなり、姿勢が悪くなり、左右のバランスが保てなくなっていきます。
歯でしっかり噛むことで脳に刺激が伝わる
食べ物をお口の中にいれて、歯でしっかり噛むことでお口の周りの筋肉も鍛えられ、唾液の分泌も多くなり、さらにしっかり歯で噛むことで、脳を刺激し脳の血流が良くなります。血流が良くなることで、脳の動きが活発になります。
たとえば、車の運転中や勉強中などで、「眠気防止にガムを噛む」は、歯で噛むことで脳を刺激しているのです。
歯の大切さ
歯の役割について話してきましたが、歯の大切さは、虫歯や歯周病や事故・怪我などで歯を失ってから初めて気づくかもしれません。お口の中に、健康な歯と舌があることで、かみ砕けない硬い食べ物や、魚の骨など、飲み込めない物を歯と舌で選別し、吐き出して異物を誤って飲み込まないようにしているのです。また、歯は抜けていなくても、虫歯になったまま治療をせずに放置している歯はありませんか?進行してしまっている虫歯の歯は、食べ物をしっかり噛むことができません。例えば、右側の歯が虫歯になったまま治療していないと、人はつい無意識に左側ばかりで食べ物を噛んでしまい、左右のバランスが崩れていきます。虫歯になっても早くに治療ができれば、健康な歯を多く削らなくてすみます。歯は、削ったり抜いてしまうと二度と元には戻りません。そのためにも、定期的にかかりつけの歯科医院でしっかり虫歯予防をしていくことが大事になってきます。
清涼飲料水とむし歯の関係
- ①むし歯になりやすい飲み物
むし歯になりやすい飲み物として、
・炭酸飲料
・乳酸菌飲料
・清涼飲料水
・果実100%ジュース
などが挙げられます。上記のような飲み物には、一般的に糖質が含まれています。糖質とは、炭水化物から食物繊維を取り除いたものの総称を指します。飲み物に含まれている糖質は砂糖だけではなく、ブドウ糖やオリゴ糖、果糖などがあります。糖質には、糖質としてのエネルギー源の役割がありますが、むし歯菌のエサにもなってしまいます。
また、㏗という値(液体が酸性かアルカリ性かを表す尺度)が低い飲み物をたくさん摂取すると、歯が溶けやすくむし歯になるリスクが高まります。
- ②むし歯になりにくい飲み物
むし歯になりやすい飲み物として、
・水
・緑茶
などが挙げられます。
お水には一切糖質が含まれておらず、㏗の値も7.0と高いため、むし歯になりにくい飲み物になります。
お茶もお水と同様で、㏗は6.0と高い数値になっており、むし歯になりにくい飲み物といえるでしょう。
- ③清涼飲料水と虫歯の関係
・清涼飲料水の過剰摂取からむし歯になるメカリズム
砂糖がたくさん入っている清涼飲料水をたくさん摂取することで、お口の中の環境が虫歯になりやすくなってしまうことは皆様お分かりいただけるかと思います。むし歯は、お口の中のミュータンス菌といわれる菌が砂糖をエサとし、酸を作り出します。この酸が歯の表面を溶かし(脱灰だっかい)、歯に穴が開いてしまいます。お口の中は㏗6.8~7.0に保たれています。そこで飲食をすることでむし歯菌が働き、お口の中が酸性に傾きます。飲食が終わると、唾液の働きでお口の中が中性に戻そうとします。そして、溶けていた歯も唾液の働きで修復(再石灰化さいせっかいか)されていきます。
むし歯になりやすい状態は、お口の中が酸性に傾いているときです。
脱灰が起こる㏗の値は5.5以下と言われています。
清涼飲料水などの飲み物には、酸性のものが多くあります。
さらに砂糖も多く含まれているので、酸性の清涼飲料水を1日に頻繫に摂取しているとむし歯になるリスクが高まります。お口の中の状態が酸性である時間が長くなってしまうと、歯が脱灰(溶けること)している時間も長くなってしまうため、再石灰化(溶けた歯を唾液の働きで元に戻そうとする力)が行われず、むし歯にあってしまうリスクが高くなります。
砂糖がたくさん含まれている清涼飲料水には、むし歯になるリスクだけでなく、生活習慣病にもなる可能性があります。清涼飲料水を摂取する時は、時間・回数・摂り方に気を付けることを意識しましょう。
- ④むし歯を防ぐ食べ方と飲み方
・時間を決めて飲食をする
お菓子などの食べ物をだらだらと食べていたり、糖質が含まれる飲み物をだらだら飲んでいると、お口の中が酸性に傾いている状態が続いてしまいます。お口の中が酸性に傾いている状態が続くと、むし歯になるリスクが高まります。
そして、お口の中が中性に戻るまで時間がかかります。
つまり、食べ物や飲み物に含まれる糖だけでなく、食べる回数や時間もむし歯に関係しています。
・飲食の後は歯磨きやうがいをする
何かを食べたり、糖が含まれる飲み物を摂取した後は歯を磨くようにしましょう。外出時など、歯を磨くことが難しいという方はうがいやお水・お茶を飲むことをおすすめします。
・就寝30分前は飲食を控える
就寝する前に食べたり、糖が含まれる飲み物を摂取することは控えましょう。
睡眠時は、唾液(だえき)の分泌が減少してしまいます。唾液には、酸性に傾いたお口の中を中性に戻そうとする役割があります。なので、寝る前に飲食をしてしまうとお口の中が酸性の状態が続いてしまうことになります。
就寝の30分前には、歯磨きを終わらせることを心がけてみましょう。
- ⑤むし歯を予防するための対策
・清涼飲料水を他の飲み物に変えてみる
普段の熱中症対策としての水分補給は、お水やお茶でも十分だと言われています。お水を飲むことで、体内の水分含入量を保つことはさまざまなメリットを生み出してくれます。身体の健康や歯の健康にとってたくさんの効果があるので、代表的な例をいくつかご紹介します。
・ 歯に飲料による色素がつかない
・ お口の中を中性に保つことができる
・ こまめな水分補給で口臭対策につながる
・ むし歯菌のエサとなる糖が含まれていないため、むし歯のリスクを下げる
・ 基礎代謝が上がる
・ 体温が上がる
・ ニキビなどの吹き出物ができにくくなる
・ むくみの解消
・ リンパの流れが良くなる
- 血液がサラサラになる
- 老廃物をデトックスしてくれる
- ⑥酸蝕歯(さんしょくし)について
酸蝕歯とは、酸性の食べ物や飲み物が歯に触れることで起こり、普段の日常生活で酸の影響を受けています。ですが、唾液の働きにより修復され、バランスが保たれています。しかし、そのバランスが崩れてしまうと酸の影響を過剰に受けて酸蝕が生じてしまいます。その酸蝕の度合いが大きいと酸蝕歯になります。
- ⑦まとめ
暑い季節になると、冷たい清涼飲料水や炭酸水が飲みたくなる方もいらっしゃるのではないでしょうか。清涼飲料水や炭酸水を飲むときはだらだらと飲むのではなく、食事のときに一緒に摂取するとむし歯になるリスクが低くなります。そして、清涼飲料水や炭酸水を飲んだ後にうがいや歯磨き行うと、更に効果的なのぜひ行うことをおすすめします。
また、寝ている間はお口の中の唾液の分泌が減少します。なので、寝る前に清涼飲料水や炭酸水を飲んでしまうとお口の中が酸性に傾き、歯が溶けやすい状態になってしまいます。唾液が減少してしまうと、唾液がお口の中を中性に戻そうという働きが弱まります。お口の中を中性に保つために、寝る前に清涼飲料水や炭酸水を飲むことは控えましょう。
歯医者での定期健診の必要性②
こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者の「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
今回は、歯医者で定期的に健診をすることのメリットをお話します。
学校や習い事、仕事などで歯医者に通う時間が無い方もおられるかと思いますが、
歯が痛くなる前に、かぶせ物が取れるまえに、数か月に一度でいいので歯医者に通っていただきたいです。以前は、「虫歯が出来てしまい歯が痛くなったら、歯医者に予約をとり何回も通院し、虫歯を治療する」「以前治療した歯の被せ物がとれたから、治してもらう」など、何かしらの症状が出てから、歯医者に通う方が多かったですが、今はそうなる前に予防する『予防歯科』というのが、どの歯医者も主流になっています。その為にも、定期的に歯医者に通うことで得られるメリット(必要性)がいくつかあります。
定期健診を受けることのメリット
1 虫歯や歯周病を早期に発見することができる
虫歯の症状は、初期の段階ですと痛みもなく、ほとんど気づかないことが多いです。熱い食べ物を食べたときに、歯がしみたり、食べ物が挟まりやすくなったり、歯が痛くなるような虫歯は、かなり進行して状態です。ここまで進行してしまうと、歯を削って治療をする・歯の神経を取るなど、通院回数も多くなり、治療に時間も費用もかかってしまいます。とくに、歯周病は、成人の80%以上が罹患しているといわれています。虫歯以上に、初期の歯周病は、自覚症状がないため気づかぬうちに進行してしまっていることがあります。歯周病は、進行してしまうと歯が抜けてしまう恐ろしい病気なのです。歯周病で歯が一本抜けてしまうと、その一本だけではなくその周囲の歯にも影響が及び、周囲の歯も抜けてしまいます。虫歯も歯周病も、早期に見つけて治療することがとても大切です。そのためにも、定期的に歯医者に通い、定期健診を受けることをおすすめします。
2 早期に発見できることで治療期間も短くなる
歯医者に、定期的に通い健診を受けることで、虫歯も歯周病も、早期に見つけることできれば、治療期間も歯医者に通う回数も少なくなり、結果的に費用もおさえられます。虫歯も初期段階なら、丁寧な歯磨きをしっかり行えば自然に治ることも多く、歯周病も、今以上に悪化させることなく、虫歯と同じく丁寧にしっかり歯磨きが出来れば、歯肉の炎症もおさまり、歯周ポケットの改善もされます。普段、ご自身が行っている、歯磨きがちゃんと出来ているかも、定期健診でチェックしてもらいましょう。
3 歯石やプラークを取り除ける
歯医者での定期健診では、専用の器具を使い、歯石やプラークを取り除くことができます。プラークは、食事後にしっかり歯磨きができていないと、約2日ほどで歯石になってしまいます。普段、どんなに丁寧に歯磨きをしていても、歯肉の奥深くまでは磨くことはできないため、歯石となって残ってしまいます。歯石は、歯ブラシでは取り除くことができません。歯医者に定期的に通って、プラークと歯石を除去することで、虫歯や歯周病を防ぎ、悪化することも防げます。
4 虫歯や歯周病になるリスクを今よりも減らすことができる
歯医者で定期的に健診をおこなうことで、常に今のお口のなかの状態を綺麗に清潔に保てるようになります。また、定期健診では、歯科衛生士が普段の歯磨きだけでは磨ききれていない汚れをも、歯の隙間の汚れも、歯と歯茎の間の歯垢や歯石も丁寧に除去してくれます。定期的に歯医者で健診をすることで、お口の中のクリーニングができ、細菌が減りますし、普段の歯磨きで磨けていない部分の、歯ブラシのあてかた・磨きかたのコツなど教えてもらえます。結果、歯医者で定期健診を受けることで、虫歯や歯周病になるリスクを今までよりも減らすことができるようになります。
5 過去に治療をした歯の不具合を早期に発見できる
昔、虫歯になってしまって治療した歯がある(銀歯など)かたは多いと思います。虫歯で治療した歯に、詰め物や被せ物がある場合、経年劣化などで、わずかに隙間ができることがあります。その隙間から、また虫歯になってしまうことが多く、健康な歯が虫歯になるよりも見つけにくい特徴があります。歯が冷たいものや熱いものにしみたりするようになれば、虫歯の進行が進んでしまって、さらに歯を削って治療することになります。削って治療ができればまだいいのですが、神経をとって治療している歯は、最悪の場合、治療が出来ずに抜歯になってしまうこともあります。虫歯で治療した歯も、歯医者に定期的に通うことで、詰め物や被せ物の不具合にも早く気づけて早期治療をすることで、悪化することを防げるようになります。
⑥お口の中や歯以外の全身の病気の予防もできる
歯医者に定期的に通うことで、虫歯や歯周病を予防するお話をしてきました。定期健診を受けることで、お口の中が清潔に保たれ、普段の歯磨きもしっかり丁寧に行うことができれば、お口の中の細菌が減ることになります。定期健診を怠れば、お口の中には多数の細菌が存在してしまい、虫歯や歯周病など、お口の中だけではなく、細菌や炎症が全身に影響していきます。全身に影響を及ぼすと、主に心臓病や糖尿病や脳卒中など、命の危険のリスクが高まることもあります。実は、私も昔ですが、奥歯の銀歯が取れたのを放置したままいると、ある日突然、激しい頭痛がし、起き上がれないほどでした。本当に頭をバッドで殴られたような激しい痛みに、脳梗塞?脳出血?と思い、救急車で病院に運んでもらい、CTやMRIを撮ってもらいましたが、頭には何にも以上はなく、激しい痛みの原因は、銀歯がとれて放置していた歯からの細菌でした。その後、歯を治療したら頭の痛みは全くなくなりました。どうか皆さんもこんな怖い目に合う前に、歯医者に定期健診を受けてください。
まとめ
今回は、歯医者に定期的に通うメリットのお話をしました。しっかりとお口の中を診察してもらい、お口の中と歯を健康に清潔に保つよう心掛けていただきたいです。
当院は、歯並び専門の矯正歯科のため、当院で定期健診は行っておりませんが、成人の方が矯正治療を始める際には、かかりつけの歯医者で、歯周基本治療を行ってもらうことがあります。また、矯正治療中は、お口の中に装置が入るため、虫歯のリスクが高まることがありますので、かかりつけの歯医者で定期健診を行っていただければと思います。