2023.09.27

マウスピース治療での注意点(食べ物編)

前回の(飲み物編)に続き、今回はマウスピースで歯列矯正治療での注意点(食べ物編)です。まず、マウスピースで歯列矯正治療をする際、マウスピースのことをアライナーといいます。前回は、飲み物でアライナーが黄ばんでしまうことと、アライナーをつけている時に飲んではいけないものなどを、お話しましたが、食べる物(食事)も黄ばみの原因になります。基本、アライナーをつけている時は、食べることは出来ません。私自身、マウスピースで歯列矯正治療をしていたので、実際にアライナーをつけている時に、食べられるか食べられないか色々試してみましたが…結果何も食べられませんでした。アライナーをつけていると、歯がすべてアライナーに覆われているので奥歯が滑って噛み合いません。歯が噛み合っていないと食べ物が噛めないのです。柔らかいパンやうどんなど試してみましたが、噛めずに吐き出した記憶があります。キシリトールのガムも全く噛めませんでした。アライナーをつけている時に口に出来るのは、お水のみです。食事をする際・お水以外の飲み物を飲む時は必ず、アライナーを外してください。緑茶や麦茶などは飲んでも構いませんが、アライナーが黄ばむ原因になりますので出来れば避けていただくといいと思います。アライナー生活を機に、お水を飲む習慣がつけば健康面でもオススメです。

アライナーを外すのは食事と歯磨きの時だけ


マウスピースでの歯列矯正治療は、アライナーを一日22時間つけることで少しずつ歯を動かし歯並びを治療していきます。一日22時間ということは、一日のうち2時間ほど外せれる時間があります。この2時間は、食事と歯磨きの時間です。食べ物を食べる時と、歯を磨く時だけはアライナーは必ず取らないといけません。2時間でも矯正の装置が自分で外せることが出来るのが、マウスピース矯正のメリットだと思います。しかし、この2時間という時間、長いと思いますか?短いと思いますか?歯磨きが一回5分だとして、朝晩で歯磨きの時間は10分です。ということは、残り110分で、朝昼夜のご飯を食べる計算になります。朝ご飯とお昼ご飯はそれぞれ30分で食べられるかもしれませんが、夜ご飯のときは、ついテレビを見たり、スマホを見たりしてダラダラしてしまい1時間以上経過していることがありませんか?この時点ですでに、『一日22時間つける』が守られていません。このアライナーをつけていない時間は、歯に負荷がかかっていないため歯は正しい位置に動いていないのです。逆に元に戻ろうとしてしまい、だんだんアライナーが合わなくなったり、歯からアライナーが浮いてしまったりしてしまいます。つける日数は守っていても、つける時間を守れていないと、新しいアライナーに交換した時に入らない・合わない・浮いている原因になります。

食べる時にアライナーを外す理由

①アライナーが壊れてしまう

アライナーをつけたまま食事をしてしまうと、噛む衝撃でアライナーが歪んでしまったり変形し割れてしまうなど壊れてしまうことがあります。食事をするときは必ずアライナーを外すようにしてください。

②アライナーが黄ばんでしまう

アライナーをつけたまま飲食をすると、透明なアライナーが黄ばんでしまいます。特にカレーライスを食べたあとは、どんなに歯磨きをしてもアライナーが黄ばみます。マウスピースで歯列矯正治療をしているときに、カレーライスなど着色がつきやすい食事はアライナーの交換前(できれば二日前ぐらい)に食べると、黄ばみも減って清潔にお使いいただけます。

③虫歯になってしまう

マウスピースでの歯列矯正治療で使われているアライナーは、歯をすべて覆っているためそのままで食事をしてしまうと、食べたものが詰まったり挟まったりします。そのままだと虫歯になってしまいます。そもそも、アライナーをつけたままでの食事は出来ません。キシリトールのガムもアライナーをつけているときは噛めませんのでお気をつけください。

食事後に気をつけること

歯が動き始めると、歯と歯の間に隙間ができてきます。この隙間に食べ物が挟まるようになります。繊維質な食べ物(鶏肉・長ネギなど)がとくに挟まりやすく、一度挟まると舌の先や指ではなかなか取ることが出来ず、かなり不快になります。細いパスタの麺などはそのままの形で挟まることもありますし、ゴムを掛けるボタンにも食べ物が引っ掛かりやすくなります。食べ物が挟まったままでアライナーをつけると、虫歯のリスクが高くなりますし、アライナーが合わなくなってしまいます。食事後は、アライナーをつける前に必ず歯磨きをしてください。歯ブラシだけでは、挟まった食べ物はとれないので、歯間ブラシやデンタルフロスを使って歯と歯の間に挟まった食べ物とって歯磨きをし、歯列矯正治療中はとくに丁寧に歯磨きをすることを習慣づけていただくようにしてください。

間食や外食時に気をつけること


アライナーをつけている時は食べられませんので、間食(おやつなど)をする時もアライナーは外さないといけません。実際、私がマウスピースで歯列矯正治療を始めて一番大変だったのが、この食べる時に取ったり外したりすることでした。お菓子を食べるために、アライナーをとってお菓子を食べ、食べ終わったら歯間ブラシとデンタルフロスを使ったあとに歯磨きをし、アライナーをつける。この一連の流れがなかなか大変で面倒なのです。私は、治療が進むにつれアライナーの生活に慣れてくると、間食もしなくなっていました。間食はしなくても、外食はみなさんされると思います。外食の時、アライナーはいつ外していますか?アライナーは装着時間がとても大切なので、取ってから出かけるのではなく、できればお店についてからお手洗いでアライナーを取って、専用のケースにいれて食事をし、食べ終わったら歯磨きをしてアライナーをつける。という風にしていただければと思います。私は、出かけるときはいつもアライナー用のポーチをいつも持ち歩いていました。ポーチの中身は次の(日常生活編)で詳しく書いていきます。

食べる物の注意点

マウスピースでの歯列矯正治療は、食事をする時に装置が取れ、歯磨きがしやすいのがメリットですが、逆にアライナーをつけている時は何も食べられません(お水のみです)。また、アタッチメントという歯をより良く動かすために、歯にポチポチっとした歯と同じ色の突起物がついています。硬い物を、噛んだ時にこのアタッチメントが取れてしまうことがあります。マウスピースでの治療でもワイヤーでの治療でも、歯列矯正の治療中は、出来るだけ硬い物をガッブっと噛むのはお控えください。装置が取れてしまう原因になります。

まとめ

今回は、マウスピースでの歯列矯正治療中での気をつけていただきたいこと(食事編)をお話しました。マウスピースでの治療は、ワイヤー治療にある食べ物の制限は無いですが、アライナーをつけている時は飲食ができないため(お水のみ)、アライナー生活に慣れるまでは何かと困ることがあるかと思います。気になることがありましたら、いつでも当院にお問い合わせください。

2023.09.20

マウスピース型矯正について

歯科矯正を始める際に、多くの方に知られている治療方法は、ワイヤー矯正です。学校の友達や職場の方など、自分の身近の中にワイヤー矯正をされている方が実際にいらっしゃるかと思います。
しかし、ワイヤー矯正だけでなく、マウスピースを使って歯を動かして歯を並べる治療方法があることを皆さんは知っていましたか?
マウスピース型矯正とは、薄く透明なカスタムメイドで作られたマウスピースを一定時間装着することによって、歯を動かして少しずつ歯並びを治す矯正治療です。マウスピース矯正にはさまざまな種類がありますが、当院ではマウスピース型矯正装置(インビザライン)を導入しています。

インビザライン矯正とは、1997年に米国のアライン・テクノロジー社により開発された、薄く透明に近いマウスピース型の矯正装置を装着して歯並びを綺麗にする治療方法です。
これまでに世界で1500万人を超える患者様がインビザライン治療を受けられています。
(2023年3月時点)
1日22時間装着することが必須で、1週間から2週間に1回のペースでマウスピースを交換することで、歯を動かしていきます。

インビザライン・システムの特徴

・薄く透明に近いマウスピースなため、装着していても目立ちません。
・従来の矯正治療と異なり、金属性のワイヤーやブラケットを使用しません。
・矯正装置の装着による口腔内のダメージや不快感が軽減されます。
・着脱可能のため、食事や歯磨きが普段通り行えるため、口腔内を清潔に保つことができます。
・クリンチェック・ソフトウェアを通じて、歯の移動やどのような仕上がりになるのかを視覚的に確認することができます。

マウスピース型矯正装置(インビザライン)の治療の流れ

①歯並びのご相談(初回無料・ご予約制)

歯並びのお悩みやマウスピース型矯正装置(インビザライン)に関する内容や期間、費用などをお伝えさせていただきます。当院の歯並びのご相談は、初回無料・ご予約制になります。
お気軽にご相談ください。

②精密検査

診断のためにセファロ(頭部X線規格写真)、パノラマレントゲン撮影、歯型とり、お顔・お口の写真撮影などを行います。検査結果をもとに、確定診断をし、治療方針を決定します。

③光学印象(歯形とり)

当院では、マウスピースを作製するために、デジタル印象採得装置(iTero element)という口腔内スキャナを使用しています。光学印象は、歯や歯肉、咬み合わせなどを精密に記録し、マウスピースがより短時間で製作され、高精度に作製されることが分かっています。
そして、従来の歯形とり(印象採得)と違い、患者様の嘔吐反射の誘発や歯形とりが苦手な方も、肉体的・精神的負担が軽減されます。

④クリンチェック

歯型のデータや精密検査の結果などをもとに治療計画立案ソフトウェア「クリンチェック」を使って、歯がどのように動き、どのように仕上がるのかをご確認いただけます。治療開始前にこのシミュレーション画像を使って、患者様に治療計画を分かりやすくご説明いたします。

⑤治療開始

発注後約2週間~約1か月で歯科医院にマウスピースが届きます。そして、マウスピースをお渡しし、患者様にマウスピースの取り扱い方法や注意点、着脱方法をご説明します。マウスピースは1日22時間以上装着し(当院では、より効果を上げるために1日22時間以上装着していただくようお願いしています)、約1週間~約2週間に1回のペースでマウスピースを交換していただくことで、歯を動かしていきます。また、必要に応じてアタッチメント付与やIPR(歯間削合)を治療計画に沿って行います。

アタッチメントとは

アタッチメントとは、歯の表面に付ける歯に近い色のコンポジットレジンの突起物のことです。
歯に何も付いていない状態の場合と歯の表面にアタッチメントを付ける場合を比較すると、アタッチメントが付いている方がよりマウスピースの保持力を強化します。そして、アタッチメントはどのように歯を動かすかによっていろいろな種類の形状があり、アタッチメントによって精密に歯を動かすことができます。しかし、アタッチメントはエナメル質の表面に装着しているため、稀に外れることがあります。外れた場合は、歯科医師の判断によって再装着を行います。治療終了後は、アタッチメントをすべて外します。

⑥定期検診

1か月半~2か月に1回のペースで通院していただきます。マウスピースの適合や歯が治療計画通りに移動しているかどうかなどを確認します。

⑦保定

矯正治療が終了すると保定期間に移行します。
保定とは、矯正治療によって動かした歯が後戻りしないようにすることです。ワイヤー矯正の方もマウスピース矯正の方もどちらの場合でも、矯正装置を外して歯を開放すると、ほんの数日で歯が動いてしまいます。その後戻りを防ぐために、保定装置を使用して歯並びを維持させます。
※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

メリット

1.目立ちにくい

透明に近いマウスピースなのでほとんど気づかれません。ワイヤー矯正に比べて目立ちにくく、マウスピース矯正を希望される方も多くおられます。

2.取り外しが可能

インビザラインのマウスピースは取り外しが可能です。患者様自身で取り外しが出来るため、食事の時に取り外すことができるので、普段通りの食事が矯正治療中でも行えます。

3.清掃性がよい


ワイヤー矯正では、装置に引っかかったものを無理矢理取ろうとすると装置が外れてしまうことや、矯正装置の周りを丁寧に磨こうとすると時間がかかってしまいますが、フロスや歯間ブラシなどを普段通り行うことができます。

4.金属アレルギーの方でも治療可能

インビザライン治療では、金属のワイヤーや材料は使用しないため、金属アレルギーの方は安心して治療を受けることができます。

デメリット

1.歯並びによって対応できない場合がある

患者様の歯並びによっては、マウスピース矯正のみでは治療できないケースがあります。

2.患者様自身がマウスピースを管理しなければならない

マウスピース矯正は、決められた時間や交換する期間などを守らなければ歯は動かず、マウスピースが合わなくなってしまいます。また、マウスピースを紛失・破損したというトラブルも多くあります。自宅でマウスピースをティッシュに包んでいると間違えて捨ててしまったり、飼い犬が噛んでしまって破損してしまう、さらに外出中や旅行中に紛失するケースもあります。
マウスピースを紛失してしまった場合は再製作する必要があるので、その分治療期間が長引いてしまいます。このような自宅・外出・旅行など、さまざまな紛失・破損の原因になる場所や状況が多くあります。十分に注意していただき、マウスピースを外した際は、すぐに専用のケースに入れる癖をつけることが重要です。

3.装着中は水以外の飲食ができない

写真⑧
マウスピースを装着しているときは、飲食は原則できません。マウスピースを装着して食事すると、マウスピースの中に汚れが溜まって虫歯になるリスクが高まります。また、飲み物も制限されます。水分は水で摂ることをお勧めします。砂糖が入っている飲み物や砂糖の入っていない炭酸飲料も口の中を酸性にするので、虫歯のリスクを高めます。その他、コーヒーや紅茶などの色の濃い飲み物はマウスピースに着色してしまいますので、マウスピースを装着しているときは水のみになります。水以外を飲まれる際は、装置を外してから飲むようお願いします。飲食後は、歯磨きやお口をゆすぐなどをしてからマウスピースを装着することが大切です。

2023.09.13

矯正中の食事について

歯列矯正中は、食事が食べにくいと想像される方が多くいると思います。
ご想像通り、装置に食べ物が引っかかることや、食べにくいものもあります。
しかし、食べ方に気を付けることでほとんどのものを食べることができます。

矯正治療中に気をつけたい食べ物

装置を壊してしまうリスクがある食べ物

粘りの強いものや装置にくっつきやすいもの、固いものはなるべく控えたほうが良いでしょう。
特に、ガムは溶けないので装置に一度へばりついてしまうと取るのが困難なので気を付けましょう。
キャラメルなどの溶けるものは、食べていただいても構いませんが虫歯のリスクになる為、ダラダラと食べることはおすすめしません。
ハード系のパンやせんべいなどの固いものは、装置にガリっと当たると外れる原因になります。

食べ方に注意が必要なもの

食べられないものはありませんが、食べ方に注意が必要なものはあります。
表側のワイヤー矯正では、前歯で噛み切る、丸かじりをするような食べ方をすると装置を壊してしまうリスクがあります。

装置に着色してしまうもの

ワイヤー矯正の方

カレーやキムチ白いプラスチック製の装置やワイヤーに装置を固定するゴムが着色してしまいます。ワイヤー矯正に影響はありませんが、着色により歯の色から浮いて見えます。プラスチックやゴムについた着色は、歯磨きでは落とせないです。

マウスピース矯正の方(インビザライン)

マウスピースを装着しているときは、基本的にお水しか飲食できません。
マウスピースを装着したままの食事は、マウスピース破損につながるためできません。また、マウスピースを装着したまま清涼飲料水を飲むと清涼飲料水に含まれている砂糖が長時間歯にくっついていることになります。そうすると、むし歯になるリスクが高くなってしまいます。
コーヒーやワインなどを、マウスピースを装着したまま飲食するとマウスピースの着色だけでなく、歯にも着色してしまうため控えるようにしましょう。
お茶も飲んでいただいても問題はありませんが、歯に茶しぶがついてしまったり、マウスピースの着色につながるので気になる方は、マウスピースを装着しているときの水分補給はお水をおすすめいたします。
清涼飲料水や着色がつきやすい飲み物を摂取するときは、一度マウスピースを外してから飲みましょう。

歯や装置にはさまりやすいもの

矯正中は歯が動くので、一時的に歯と歯に隙間ができるので食べ物がはさまりやすくなります。特に、ラーメンやパスタなどの麺類がはさまりやすくなります。
装置の形によっては、ねぎやにらなどのような細い食べ物がぶらんとぶら下がる場合があります。指で取ったり、うがいをしてもなかなか取りづらいので当院では歯ブラシを持ち歩くことをすすめています。歯ブラシがあるとブラシの部分で、食べ物を取り除くことが簡単に行えます。

歯の動きによる痛みがある時にオススメの食べ物

歯が動くことで生じる痛みがある時は、やわらかい食べ物が食べやすいです。
矯正中の食事にオススメのメニューをほんの一例になりますが、紹介しますのでご自身の食べやすいメニューを見つけて、バランス良く栄養を摂取できるよう工夫してみてください。

歯の痛みを感じにくい食べ物

●おかゆ、お茶漬け、ドリア、リゾット
●やわらかいパン類
●スープ、味噌汁、シチュー
●マッシュポテト
●ヨーグルト、ゼリー
●温泉卵

噛みやすい食べ物

●煮込みハンバーグ、ハンバーグなどのひき肉料理
●うどん
●茶碗蒸し
●水餃子
●オムレツなどの卵料理
●煮物
●麻婆豆腐などの豆腐料理

歯の痛みが和らいできたときは、ある程度の食べ応えがありつつ、強く嚙みしめる必要がない食べ物がおすすめです。

矯正中の食事のとり方のコツ

硬い食べ物は避ける

矯正装置に当たって変形してしまったり、外れてしまう原因になるような硬い食べ物はなるべく控えましょう。
また、噛みしめる際に強い力が必要な食べ物は、装置をつけたばかりの方や新しくワイヤーを交換した方にとっては痛みの原因になってしまいます。

粘着性のある食べ物に気を付ける

粘着性のあるガム・キャラメル・お餅などは矯正装置に付着してしまうリスクがあるため、食べていただいても構いませんがくっついてしまった場合は、歯ブラシで取り除いたり溶けるのを待ちましょう。
(※装置によってはガムを禁止しているものもあります。)
装置が頻繁に外れてしまうと、歯への正しい強制力が働かず治療が進まない原因になってしまいます。

奥歯でやさしく噛む

歯にはさまりやすい食べ物を避けていても、前歯付近の装置に食べかすが引っかかってしまうことがあります。
食べ物がはさまっていると違和感がありますし、見た目も気になってしまうので奥歯の辺りでやさしく噛むことをおすすめします。

外食する時は歯ブラシを持ち歩く

ワイヤー矯正をしている場合、マウスピース矯正とは異なり矯正装置がお口の中についた状態で食事をします。
そのため、装置のまわりに食べ物が溜まりやすいというデメリットがあります。
また、歯の裏側に装置がついている場合、ニラやネギのような細い食べ物が装置にぶら下がることがあります。そのようなとき、歯ブラシがあると簡単に取り除くことができます。
さらに、歯ブラシと一緒にデンタルフロスや歯間ブラシを持ち歩くと便利です。
歯が動いている最中だと、奥歯に細い麵類や鶏肉などとてもはさまりやすくなります。大抵は歯ブラシで取り除くことが可能ですが、歯と歯の隙間に細い食べ物がはさまると歯ブラシで取り除くことが困難な場合があります。
ですが、デンタルフロスや歯間ブラシだと簡単に取り除くことができるので一緒に持ち合わせているといざという時に助かるかと思います。

食材の大きさや固さを工夫する

大きな食べ物や固い食べ物は、装置が外れたり壊れる原因になってしまいます。
そのため、矯正期間中は食べ物の大きさを小さめサイズにしてみたり、やわらかくなるように調理して食べることをおすすめします。

少量ずつ食べる

やわらかい食べ物でも、お口いっぱいに頬張って食べることは避けましょう。
矯正装置に慣れるまでは、食事を食べることが困難に感じると思います。
食事を少量ずつ食べることで、食事の違和感を大きく軽減できるでしょう。

こまめに水分補給をして洗い流す

食事中はこまめに水分補給を行い、食べかすを流すと良いでしょう。
水分補給の際は、清涼飲料水ではなく、お水やお茶がおすすめです。
糖分が入った清涼飲料水をダラダラ飲むと虫歯の原因になってしまいます。

食べ物が詰まった時の対処法

食べ物や食べ方に注意していても、矯正装置に食べ物がはさまったり、詰まってしまうことがあります。
取り外しができないワイヤー矯正の場合は、お水をお口の中に多めに含んでしっかりブクブクうがいをすることで、大きめの食べかすを取り除くことができます。ワイヤーと歯の隙間や装置の周りを磨くときは、一般的な歯ブラシでも構いませんが、歯ブラシのヘッド部分(ブラシの部分)が小さい歯ブラシがオススメです。小回りの利くワンタフトブラシもとても磨きやすいので、普段使っている歯ブラシと併用すると磨き残しが減るでしょう。
矯正装置に詰まった食べ物を放置すると虫歯になるリスクが高くなります。
歯の健康を維持するために、食後はなるべく歯磨きをすることをオススメします。

2023.07.28

インビザラインで出っ歯を治療するメリットや費用、治療法を解説!

こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。

インビザラインを前に掲げて笑う女性

インビザラインで出っ歯を治療することは可能ですが、ワイヤー矯正との併用や外科手術が必要な場合があります。

今回は、インビザラインで出っ歯を治療するメリットや費用、治療法について解説します。

出っ歯とは

前歯を見せて笑う女性の口元

出っ歯とは、主に上の歯または上顎全体が前に突き出ている状態です。専門的には、上顎前突とよびます。

一般的には、上の前歯が前に出ている状態を思い浮かべる方が多いと思いますが、必ずしも上の歯が大きく前に出ているわけではありません。実際には、下顎が通常より小さく発育している場合に、上の前歯が前に突き出て見えるという状況もあります。下顎が小さいため、相対的に上の前歯が前に出て見えるというケースも、出っ歯として認識されるのです。

出っ歯になる原因

顎に手を当てて考える女性

出っ歯になる原因は、遺伝などの先天的なものと後天的なものがあります。

遺伝

出っ歯は遺伝によっても引き起こされることがあります。

一つは、遺伝による前歯の位置の異常です。遺伝的な要素によって上の前歯が前方に位置することで、出っ歯になります。

もう一つの要因は、遺伝による上下の顎のバランスの異常です。上顎の骨が過度に成長することで前歯が前方に突出し、出っ歯になることがあります。下顎の骨の成長が不足した場合も、相対的に上顎が前方に位置することになり、出っ歯に見えることもあるでしょう。

歯列のバランス

上の前歯のサイズが大きすぎる場合、出っ歯になることがあります。

歯が正常よりも大きいと、歯と歯の間に十分なスペースがなくなるため、歯が前方に出る可能性が高まります。歯自体の形状や大きさが原因なため、個人の努力で解決することは難しいです。

日常の癖

出っ歯は遺伝的な要因以外に、生活習慣や日常の癖が原因で生じることがあります。

特に、こどもの頃の癖が出っ歯を引き起こす原因となることが多いです。指しゃぶりや舌を上の前歯に当てる癖などが上の前歯を前方に押し出し、出っ歯になります。乳児期の癖が問題になることは少ないですが、幼児期や学童期まで癖が続くと歯並びへの影響が大きくなるでしょう。

口腔習慣は早い段階で改善することが重要です。4~5歳になっても指しゃぶりや舌を前に出す癖などが続いていると、歯並びが乱れる可能性が高まります。保護者の方が指導しても改善しない場合は、歯科医師に相談して専門的なアドバイスを得ましょう。

インビザラインで出っ歯は治療できる?

顎に手を当てて考える女性

インビザラインは、出っ歯やガタガタした歯並び、八重歯、受け口などの不正咬合を治療するための矯正方法の一つです。透明なプラスチック製のマウスピースを使用し、歯並びを徐々に修正し、美しい歯列に整えます。

出っ歯の治療では、小臼歯を抜歯し、歯を大きく動かして歯列を下げる方法が一般的です。歯の移動距離が長い場合はワイヤー矯正が適しており、ワイヤー矯正とインビザラインを組み合わせて治療することもあります。

しかし、上顎の骨格が前に出ているような骨格に問題がある出っ歯の場合は、インビザラインだけで口元の突出感をなくすのは難しいです。骨格に問題がある出っ歯の場合は、外科手術を行って上顎を後退させる必要があります。

インビザラインで出っ歯の治療は行えますが、ほかの矯正法と組み合わせる場合や外科的手術が必要な場合もあるのです。

インビザラインで出っ歯を治療するメリット・デメリット

MERIT DEMERITと書かれたメモが吊るされている

歯の移動量が大きい出っ歯にはワイヤー矯正のほうが適していますが、インビザラインにもさまざまなメリットがあります。インビザラインで出っ歯を治療するメリット・デメリットをご紹介します。

インビザラインで出っ歯を治療するメリット

インビザラインで出っ歯を治療するメリットは、以下のとおりです。

治療結果を予測できる

インビザラインでは、治療を開始する前にコンピューターを用いたソフトウェア「クリンチェック」で治療結果のシミュレーションを行います。クリンチェックでは、治療後の歯の動きや変化を具体的に可視化することが可能です。

シミュレーションを通じて、患者さま自身が治療後の歯並びや顔つきを事前にイメージすることができます。治療のゴールが明確になり、術後に想像と違う結果になって後悔するなどのトラブルを避けることも可能です。

矯正装置が目立たない

インビザラインは透明で薄いマウスピースを使用するため、外見上の違和感が少なく、目立たずに歯列矯正を行うことが可能です。

従来のワイヤー矯正の場合、金属製の矯正装置が歯に直接取り付けられます。口を開けたときに矯正装置が目立つのに対し、インビザラインは装着していることがほとんどわかりません。

痛みや違和感が少ない

インビザラインは、12週間ごとに新しいマウスピースに交換して歯をゆっくりと移動させます。従来のワイヤー矯正と比較して微細な圧力で動かすため、歯が動く際の痛みが抑えられるでしょう。

マウスピースは非常に薄く作られており、粘膜や舌への刺激が大幅に軽減します。口内炎や舌の痛みなどの問題に悩むこともほとんどありません。

マウスピースを取り外せる

インビザラインのマウスピースは、ご自身で簡単に着脱できます。

食事や歯磨きの際などに矯正装置を取り外すことが可能なため、食事が制限されることや歯磨きがしにくくなることがありません。ワイヤー矯正のように、食べ物が引っ掛かって取れなくなることや、磨き残しが生じる心配もないのです。

口内を清潔に保てる

インビザラインのマウスピースは自由に取り外すことができるため、歯磨きや装置の清掃が簡単です。

流水と歯ブラシを使ってマウスピースを丁寧に清掃できるため、食べかすや細菌が装置に付着して、口内環境を悪化させることを防げるでしょう。

インビザラインで出っ歯を治療するデメリット

インビザライン出っ歯を治療するデメリットは、以下のとおりです。

虫歯や歯周病のリスクがある

インビザラインを進めている最中に虫歯や歯周病になった場合、治療のために矯正を一時的に中断しなければなりません。虫歯や歯周病の治療が終わるまで、インビザラインを再開することはできません。

虫歯治療によって歯の形状が変わると、治療後の歯の形状に合わせて新たなマウスピースの作製が必要です。新しいマウスピースが作成され、患者さまに届くまでには時間がかかるため、治療期間がさらに延びる可能性があります。

適応症例が限られている

インビザラインでの矯正は非常に便利で効果的な治療法ですが、すべての症例に対応できるわけではありません。出っ歯の種類によっては、インビザライン単独では治療が困難な場合もあります。

インビザラインを希望しても、ワイヤー矯正と併用することで治療期間を短縮できるケースも存在します。インビザラインだけで出っ歯の治療を行えない場合もあるため、注意が必要です。

自己管理を徹底する必要がある

インビザラインは着脱が自由にできますが、デメリットにもなり得ます。

矯正治療は、装置をつける時間が長ければ長いほど効果が出ます。装着時間が短いと、治療期間が延びるでしょう。ご自身で装着時間をしっかりと管理することが重要です。

また、マウスピースの破損や紛失にも注意が必要です。取り外しが可能なため、ティッシュに包んで誤って捨ててしまった方や、マウスピースを置いていることを忘れて上に物を置いてしまい、マウスピースが破損してしまった方もいます。外した際は専用のケースに入れる、保管場所を決めるなど、破損・紛失に気をつけてください。

ワイヤー矯正よりも治療期間が長くなる場合がある

インビザラインは、ワイヤー矯正と比較すると歯に与える圧力が弱いため、矯正期間が延びる傾向にあります。

マウスピースの装着を忘れる、マウスピースを紛失するなど、マウスピースを装着していない時間が多いと、治療期間はさらに長引きます。自己管理が苦手な方や紛失するリスクを避けたい方は、取り外しの必要がないワイヤー矯正を選択しましょう。

インビザラインでの出っ歯の治療法

歯科医院で説明を受ける女性患者

インビザラインでの出っ歯の治療法は、抜歯を必要とする方法と必要としない方法で分けられます。

抜歯をする治療法

歯が大きいなどの理由で歯列をきれいに整えられない場合は、抜歯が必要になります。抜歯によってできたスペースを利用して、突き出ている歯を奥へと移動させて歯並びを整えるのです。

抜歯が必要となる場合、一般的には4番目の小臼歯(前歯から数えて4番目、最初の丸い歯)が抜かれます。前歯と奥歯の間に位置しており、この場所にスペースを作ると全体の歯の移動量が最小限に抑えられるからです。歯の役割を「食べ物を噛み切る前歯」「食物をすり潰す奥歯」と分けると、4番目の小臼歯の役割が相対的に少ないため、抜歯対象となることが多いです。

抜歯をしない治療法

抜歯をしない治療法では、奥歯を後方へ移動させて、すき間を作ります。最も奥にある歯を後ろに動かし、生まれたスペースに隣の歯を移動させることで前歯へと空間を集めます。前歯に空間が集まったら、出っ歯を改善するのです。

しかし、歯は無限に移動させられるわけではありません。歯を動かせる範囲を超えた場合は、歯と歯の間を微細に削ることもあります。歯の側面を削る処置をIPR(ディスキング)とよびます。IPRを行うことで新たなスペースが生まれ、歯を移動させる余裕が生まれるのです。

インビザラインでの出っ歯の治療にかかる期間

机に置かれた植物とカレンダー

インビザラインでの出っ歯の治療期間は、短い場合で約半年、長い場合で約2年とされていますが、患者さまの歯並びの状態によって大きく変動します。

治療期間を具体的に決定する大きな要素としては、奥歯の矯正が必要かどうかが挙げられます。全体的に歯並びが悪く奥歯も動かす必要がある場合は、治療時間が長くなるでしょう。奥歯は、前歯と比べて動かすのに時間がかかるためです。

一方、全体的な歯並びに大きな問題がなく、見える部分だけの矯正を目指す部分矯正の場合は、治療期間が半年程度と比較的短くなることが多いです。

インビザラインでの出っ歯の治療にかかる費用

机に置かれた電卓とノートとペン

インビザラインは自由診療で保険適用外のため、費用は歯科医院により異なります。部分矯正の費用は約400,000500,000円、全体矯正の場合は約700,0001,200,000円とされています。

上記の費用相場はインビザラインだけの費用なので、診断料や検査料、毎月の調整料等が別途必要な場合もあるでしょう。調整料が必要な場合は、治療期間が長引くと治療費も増大します。

しかし、費用が安いという理由だけで歯科医院を選ぶと、医師の治療技術が十分でないために治療が失敗し、さらなる費用がかかるケースがあります。治療費を検討することは重要ですが、信頼できる歯科医院かどうか、インビザラインの実績があるか、さまざまなケースに対応可能かどうかも確認し、総合的に歯科医院を選びましょう。

まとめ

マウスピースを装着しながら笑う女性

インビザラインで出っ歯を治療する場合、抜歯を必要するケースと必要としないケースに分けられます。すべての症例にインビザラインが適応されるわけではありません。多くの移動量を必要とする出っ歯の場合は、ワイヤー矯正との併用が必要となることがあります。歯並びではなく、骨格に問題がある場合は、矯正治療だけでは改善できないため外科手術が必要になるでしょう。

インビザラインは矯正装置が目立ちにくく、食事や歯磨きの際に取り外すことが可能なメリットの大きい治療法です。一方で、自己管理が重要となるなどのデメリットも存在します。

インビザラインでは、クリンチェックとよばれるシミュレーションソフトを活用しますが、歯科医師の技術力にも治療結果は大きく左右されます。信頼できる歯科医院を選ぶために、事前にホームページで医師の情報を確認し、カウンセリングを受けましょう。

インビザラインでの出っ歯の治療を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。

2023.07.21

インビザラインで歯が動く仕組みとは?補助装置についても解説!

こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。

整った歯を見せて笑う女性

インビザラインで歯が動く仕組みには、歯根膜が大きく関係しています。歯に圧力をかけられた歯根膜が膨張・収縮することで、顎の骨の吸収・再生が行われて徐々に歯が動くのです。

今回は、インビザラインで歯が動く仕組みや補助装置について詳しく解説します。

歯の矯正治療で歯が動く仕組み

顎に手を当てて考える女性

歯は、歯茎から見えている歯冠と、歯茎に隠れている歯根から成り立ちます。歯根の周囲にある、骨と結合している薄い膜が歯根膜です。歯科矯正では、歯根膜の働きを活用して歯を動かします。

歯冠に力を加えると歯根にも伝わり、加えられた力によって引っ張られる側の歯根膜は伸び、逆に押された側の歯根膜は縮みます。さらに力を加え続けると、引っ張られて伸びた側の歯根膜は厚みを増し、押されて縮んだ側の歯根膜の厚みは減るのです。厚みを増した歯根膜は、もとの厚さに戻ろうと働き、すき間を埋めるように新しい骨を形成します。厚みが減った側の歯根膜は、もとの大きさに戻ろうと働き、骨を溶かす細胞を活性化させます。

ワイヤー矯正やインビザラインなど、どの矯正方法でも、歯根膜が一定の厚さを保つための働きを利用して歯が動かされます。歯根膜がもとの厚みに戻ろうとする性質を利用して、少しずつ確実に歯を正しい位置へと導くのが、矯正治療の仕組みです。

仕組みを知らないと、力を加えて無理に歯を動かしているように見えるかもしれません。

しかし、実際には人間の体が本来持つ、歯根膜が厚さを一定に保とうとする働きを利用して歯を自然に動かします。

インビザラインで歯が動く仕組み

スマホを操作して考える女性

インビザラインは、歯と歯茎全体を包み込むマウスピース型の矯正装置を用いて歯を動かす方法です。従来のワイヤーとブラケットを使用した矯正とは異なり、目立たないことが特徴です。

インビザライン矯正は、口腔内のスキャナーで歯形や歯並びの情報を取得することから始まります。得られたデータを分析し、一人ひとりの口腔状態に合わせたオーダーメイドのマウスピースが製作されるのです。アライナーともよばれるマウスピースは、もとの歯並びと少しずらして製作されます。そのため、マウスピースを装着するとずれによって歯に圧力がかかって歯が動くのが、インビザラインの仕組みです。

一般的に、マウスピースは約12週間ごとに新しいものに交換します。1つのマウスピースで、0.25mmほど歯が動きます。微細な力で徐々に歯が動かすため、インビザライン矯正は、ワイヤー型矯正に比べて痛みや不快感が少ないと思われる方が多いことも特徴です。

歯を動かすために使われる補助装置

インビザラインを見せて説明する女性歯科医師

インビザライン矯正では、効率的に歯を動かすために補助装置が用いられることも多いです。今回は、アタッチメントと顎間ゴム(ゴムかけ)をご紹介します。

アタッチメント

インビザラインの矯正治療では、より効果的な治療を目指して、アタッチメントとよばれる小さな樹脂製の器具が使用されることがあります。

アタッチメントは、歯の色に近い突起状の器具で、歯並びの微調整や治療をスピーディに進める目的で使用される場合が多いです。治療完了後には跡を残さず取り外されるため、心配する必要はありません。

アタッチメントの使用は、マウスピース型の矯正装置が歯に固定されることを助け、歯の向きや角度の微調整を可能にします。適切な位置にアタッチメントを設置することで、矯正治療がより効果的に行えるのです。

ただし、全ての症例でアタッチメントが使用されるわけではありません。必要に応じて歯科医師が使用を指示します。

アタッチメントの形状や大きさによって作用する力は変わります。例えば、縦に生えている歯に対してねじれた力を加える、前に出ている歯を歯茎から90度の向きに動かすような力を加えることなども可能です。治療目標に応じて、最適な形状のアタッチメントが取り付けられるでしょう。

顎間ゴム(ゴムかけ)

顎間ゴム(ゴムかけ)は、歯科矯正治療において上の歯と下の歯の噛み合わせを改善するために使用されます。フック状の装置に医療用ゴムを引っ掛けるものです。

見た目の歯並びが改善されたあとに行われることが多く、機能面の改善を目的に最終仕上げとして行われます。

歯科矯正では、見た目の改善だけでなく、噛み合わせの状態も重要視されます。歯並びが美しくなっても、食事中に顎に痛みを感じると食事が苦痛になるでしょう。このようなケースにおいても、顎間ゴムは重要な役割を果たすのです。目安ですが、120時間ほど装着します。

ゴムの種類と用途を表にまとめました。

<顎間ゴムの種類と用途>

ゴムの種類 用途
Ⅱ級ゴム ・主に上顎前突(出っ歯)の症例に使用する
・上顎の犬歯と下顎の第一大臼歯にゴムをかけ、上顎が後方へ、下顎は前方へ引っ張る
Ⅲ級ゴム ・主に反対咬合(受け口)の症例に使用する
・下顎の犬歯と上顎の第一大臼歯にゴムをかけ、上顎が前方へ、下顎が後方へ引っ張る
クロスゴム ・クロスバイトやシザーズバイト(歯列が左右にずれている)に使用する
・上顎と下顎の同じ歯の頬側、舌側または口蓋側にゴムをかける
垂直ゴム ・上顎と下顎の歯が接触していない、開咬に使用する
・上顎と下顎の同じ歯の頬側にゴムをかけ、上下の歯を互いに垂直に引っ張る

 

インビザライン治療の効果はいつ頃から実感できる?

インビザラインを持って笑う女性

インビザラインによる矯正治療の効果を感じるまでの期間は、個々の状況や治療計画によって異なります。インビザライン治療の効果を感じられる一般的な時期は、以下のとおりです。

初期の変化

インビザライン矯正では、1枚のマウスピースで0.25mmほどしか動かせないため、治療を開始してすぐには効果を実感できません。通常、治療開始から34か月程度で効果を実感できるでしょう。

中期の変化

数か月〜1年程度の途中経過時期には、歯の移動や整列が進み、より明らかな変化が感じられるでしょう。アライナーを定期的に交換することで、歯列は理想の位置へと徐々に近づきます。数か月〜1年程度経つと、歯の位置や噛み合わせの改善が明確に感じられる方が多いです。

最終的な変化

最終的な治療結果は、治療開始から12年後に実感できます。部分矯正や軽度の症例の場合は、早くて半年ほどです。

まとめ

インビザラインを専用のケースに片付ける

インビザライン矯正で歯が動く仕組みは、歯根と骨の間にある歯根膜が関係しています。マウスピースで歯冠に力を加えることで、片側の歯根膜は引っ張られて厚みが増します。一方、押された側の歯根膜は縮んで厚みが減るので、厚みを補うために骨が形成され、引っ張られた側の歯根膜の骨は吸収されていくのです。

骨の吸収と再生のサイクルを利用して歯を動かすのが、矯正治療の仕組みです。早く動かそうと過度に力を加えると、歯根に炎症が起きて歯根吸収が起きます。歯根吸収が起きると、痛みを感じる場合や、歯がグラグラと動く場合があるでしょう。矯正治療では、適度な力を加えること、骨の吸収と再生のサイクルに合わせて歯を移動させることが非常に重要です。

インビザライン矯正では、歯を効率的に動かすためにアタッチメントや顎間ゴム(ゴムかけ)などの補助装置を使用することがあります。正しく使用することで、より早く、よりきれいな歯並びを手に入れられるでしょう。

インビザライン矯正は、1つのマウスピースで0.25mmほどしか歯が移動しません。矯正の効果を実感するまでに34か月ほどかかりますが、治療中の問題や後戻りのリスクを下げるために、根気強く続けましょう。インビザライン矯正について疑問や不安がある場合は、事前に歯科医師に相談してください。

インビザラインを検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。

2023.07.07

どちらがおすすめ?インビザラインとワイヤー矯正を徹底比較!

こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。

インビザラインとワイヤー矯正の模型を持って笑う女性

矯正治療を検討する際、インビザラインとワイヤー矯正のどちらがよいか悩む方も多いでしょう。矯正治療を選ぶ際はメリットだけでなく、デメリットや費用、治療期間など、さまざまなポイントを比較して検討することが重要です。

今回は、インビザラインとワイヤー矯正をポイントごとに比較して解説します。それぞれの治療法がどんな人におすすめかもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

インビザラインとは?

マウスピースを両手に持ってはめる女性の口元

インビザラインとは、マウスピースを使って歯並びを整える矯正治療です。120〜22時間マウスピースを装着し、12週間ごとに新しいマウスピースに交換して治療を進めます。透明なマウスピースを使用するため、矯正治療中であることを他人に気づかれることは少ないでしょう。好きなタイミングで取り外しができるため、食事や歯磨きの際も負担なく過ごせます。

インビザラインのマウスピースは、1枚で最大0.25mmしか歯を動かせません。マウスピースを何枚も交換して徐々に歯を動かす矯正治療なので、違和感や痛みが出にくいこともメリットのです。

ただし、インビザラインは患者様自身でマウスピースを管理しなければ、うまく治療が進みません。マウスピースの装着時間が20時間よりも短かったり適切な時期にマウスピースを交換していなかったりすると、理想的な歯並びにならない可能性があるのです。

また、インビザラインは、歯並びの乱れが比較的軽度な場合に適した矯正治療のため、歯並びの乱れが重度なケースや抜歯が複数本必要なケースなどには対応できないことがあります。

ワイヤー矯正とは?

ワイヤー矯正の器具を装着した女性の口元

ワイヤー矯正とは、固定式の矯正装置を使って歯並びを整える矯正治療のことです。歯の表面にブラケットとよばれる装置を接着し、ブラケットにワイヤーを通して歯に力をかけ、歯並びを整えます。

ワイヤー矯正は、矯正治療の中で最も歴史のある治療法で、歯科医院だけでなく大学病院でも行われるほど症例数が豊富です。抜歯や外科処置が必要な難症例にも対応できるため、インビザラインよりも幅広い方が治療を受けられることがメリットです。

歯の表面に矯正装置を固定するので歯の11本に力がかかりやすく、歯並び全体を大きく動かせます。効率的に矯正できるため、インビザラインよりも治療期間が短い場合もあるでしょう。

ただし、歯に強い力がかかるため、違和感や痛みが出やすいといわれています。矯正装置は取り外せないため、食事の制限や歯磨きのしづらさを感じる方が非常に多いです。

インビザラインとワイヤー矯正の比較表

?を比較する赤い服を着た女性

インビザラインとワイヤー矯正を比較して解説します。

<インビザラインとワイヤー矯正の比較>

矯正方法 インビザライン ワイヤー矯正
見た目 透明で目立たない 金属部分が目立つ
痛み 少ない 出やすい
治療期間 部分矯正:2か月~1年以内
全体矯正:2~3年
部分矯正:3か月~1年
全体矯正:2~3年
費用 部分矯正:200,000~600,000円
全体矯正:600,000~1,000,000円
部分矯正:300,000~700,000円
全体矯正:600,000~1,700,000円
適応症例 少ない 多い
食事制限 なし 一部あり
歯磨きのしやすさ しやすい しにくい

 

それぞれを詳しく解説します。

見た目

矯正治療中の見た目が気になる方には、インビザラインが適しているでしょう。

インビザラインは、薄くて透明なマウスピースを使用するため、目立つことはありません。

ワイヤー矯正の場合、歯の表面にブラケットやワイヤーを固定するため、目立ちやすいといえます。

ワイヤー矯正でも、歯の裏側に矯正装置を固定する裏側矯正や、上の歯は裏側に、下の歯は表側に矯正装置を固定するハーフリンガル矯正を選べば、ワイヤー矯正でも目立ちにくくできるでしょう。歯の表側に矯正装置を固定する表側矯正でも、セラミックなどのブラケットやホワイトワイヤーを選べば、目立ちにくくできます。目立ちにくい素材や矯正方法を選ぶと、その分費用が高くなる傾向にあるので注意が必要です。

痛み

インビザラインは、マウスピースを何枚も交換することで歯を徐々に動かすため、違和感や痛みが出にくい矯正治療といえます。使用するマウスピースは薄くて滑らかなため、お口の中を傷つける心配がなく、口内炎もできにくいでしょう。

ワイヤー矯正は、歯の11本に力をかけて、歯並び全体を一気に動かせることがメリットですが、その分、違和感や痛みが出やすいといえます。歯の表面に矯正装置を固定するため、不快感をおぼえる方や装置が擦れて口内炎ができる方もいるでしょう。

治療期間

インビザラインもワイヤー矯正も、全体矯正にかかる期間は約23年と大差はありません。

しかし、ワイヤー矯正は、インビザラインよりも歯に力をかけやすいため、治療期間が短くなる症例もあるでしょう。

インビザラインは、歯並びの乱れが軽度な場合に適した治療法です。部分矯正や歯並びの乱れが軽度な場合、ワイヤー矯正よりも治療期間が短い場合があります。通院頻度に関しては、ワイヤー矯正は歯科医師による調整が必要なため、月に一度は通院しなければいけません。インビザラインは患者様自身で治療を進めるため、2か月に一度の頻度で通院するのが一般的です。

矯正治療にかかる期間は、矯正の種類だけでなくもともとの歯並びの状態に左右されます。実際にどのくらいの期間が必要になるか知りたい場合は、歯科医師に相談しましょう。

費用

矯正治療にかかる費用は、矯正方法だけでなく、部分矯正か全体矯正かによっても異なります。

ワイヤー矯正には、表側矯正・裏側矯正・ハーフリンガル矯正の3種類があり、目立ちにくい方法を選ぶほど費用が高額になるでしょう。例えば、表側矯正の費用相場は600,0001,000,000円でインビザラインと変わりませんが、目立ちにくい裏側矯正は1,000,0001,500,000円で表側矯正の1.5倍といわれています。また、ワイヤー矯正でセラミックやジルコニアのブラケット、ホワイトワイヤーを選ぶと、その分追加で費用がかかるので注意が必要です。

ワイヤー矯正とインビザラインを比較すると、インビザラインのほうが費用が安いことがわかります。インビザラインは、歯並びの乱れが軽度な場合に適しているので治療の難易度が低い場合が多く、ワイヤー矯正よりもリーズナブルに治療ができるといえるでしょう。

ただし、インビザラインは、使用するマウスピースの枚数によって費用が変わります。マウスピースの追加や作り直しが必要になると、予定していた費用よりも高くなる可能性があるので注意しましょう。

適応症例

ワイヤー矯正は、治療実績が豊富な矯正なので、抜歯や外科処置が必要になるケースなど、難しい症例にも対応できます。インビザラインと比較すると、幅広い方が治療を受けられることがメリットです。

インビザラインは、歯を水平移動させることが苦手なため、歯並びの乱れが重度なケースや歯の移動距離が長いケースには適しません。

ただし、抜歯が必要な歯並びでも、インビザラインで治療できるケースもあります。どちらの矯正方法が適しているかは歯並びの状態によって異なるので、一度歯科医院で相談しましょう。

食事制限

インビザラインは、自分の好きなタイミングでマウスピースを取り外せます。マウスピースを取り外して食事できるため、食事制限はありません。矯正治療中でありながら、ふだんどおり食事を楽しめるでしょう。

ワイヤー矯正は、固定式の矯正装置なので、装置が外れる可能性がある食べ物を避けなければいけません。ガムやキャラメルなどの粘着性があるものは避けてください。また、繊維質の野菜やキノコ類、細い麺類などは、矯正装置に挟まりやすいため注意が必要です。

歯磨きのしやすさ

ワイヤー矯正は、矯正装置を取り外せないため、歯磨きがしづらく、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。特に、歯と歯の間は歯ブラシが入りにくいため、歯間ブラシやタフトブラシを使用して磨きましょう。

マウスピースを取り外せるインビザラインは、ワイヤー矯正と比較すると歯磨きしやすいといえます。ふだんどおり歯を磨けるため、虫歯や歯周病のリスクが低く、清潔な口内を保てるでしょう。

インビザラインがおすすめの人

インビザラインを2つもってハートのようにする女性

インビザラインがおすすめの人は、以下のとおりです。

・矯正治療中の見た目が気になる人

・人前で話す機会が多い人

・通院回数を少なくしたい人

・自己管理ができる人

インビザラインは、透明なマウスピースを使用するため、矯正治療中であることが周囲に気づかれにくいです。自分の好きなタイミングでマウスピースを取り外せるため、見た目が気になる人に適しています。人前に立つ機会が多い職業や接客業に従事する人にも向いている矯正治療といえるでしょう。

インビザラインは120〜22時間マウスピースを装着し、1~2週間ごとに新しいマウスピースに交換することで治療を進めます。患者様ご自身がマウスピースを管理するため、通院回数が少ないメリットがありますが、マウスピースの装着時間や交換時期を守れなければ理想的な歯並びになりません。マウスピースをしっかりと自己管理できる人は、インビザライン矯正が向いているでしょう。

ワイヤー矯正がおすすめの人

ワイヤー矯正の装置を調整してもらう女性

ワイヤー矯正がおすすめの人は、以下のとおりです。

・歯並びの乱れが重度な人

・抜歯が必要な人

・歯科医師の判断で治療を進めてほしい人

・自己管理が苦手な人

ワイヤー矯正は、インビザラインよりも幅広い症例に対応できます。ガタガタした歯並びや出っ歯だけでなく、抜歯や外科処置が必要な難しい症例にも対応できることがメリットです。インビザラインで治療が難しい歯並びの人は、ワイヤー矯正が向いているでしょう。

ワイヤー矯正は、治療の経過を診ながら歯科医師の判断によって歯並びを整えます。インビザラインのように自分で管理する必要がないので、自己管理が苦手な人や歯科医師に任せて治療を進めたい人に適しています。

まとめ

歯科医院で鏡で自分の歯並びを確認して笑う女性

インビザラインは、透明なマウスピースを使用しているため、矯正治療を受けていることが目立たないことが最大のメリットです。好きなときに取り外せるため、食事や歯磨きをふだんどおり行えることもメリットでしょう。

しかし、マウスピースの管理ができないとうまく治療が進まない、治療できない歯並びがあるなどのデメリットが存在します。

ワイヤー矯正は、歯に矯正装置を固定して歯並びを整える方法です。11本の歯に力がかかりやすいため、重度の歯並びの乱れや抜歯が必要な症例など、幅広い方が治療を受けられます。

ただし、インビザラインと比較すると、矯正装置が目立つ、違和感や痛みが出やすいなどのデメリットがあります。

矯正方法を選ぶ際は、メリットやデメリット、必要な費用、治療にかかる期間などを比較して検討しましょう。

歯科矯正を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。

土日診療 078-782-1182歯並び相談(初回無料)WEB予約メールお問い合わせ
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