2024.04.03

不正咬合の原因について

不正咬合とは、上顎や下顎の位置関係や歯並びなどが、さまざまな要因によって上と下の咬み合わせが正常ではない状態のことをいいます。不正咬合は、骨格性・歯性・機能性の3つに成因から成り立っています。

・骨格性不正咬合

主に顎骨の形態、位置異常にあるものをいう。

・歯性不正咬合

主に歯の傾斜や位置異常にあるものをいう。

・機能性不正咬合

下顎骨が安静位から中心咬合位へと閉じていく経路(閉鎖経路)上で、早期接触や咬頭干渉により下顎が偏位し、不正咬合になるものをいう。下顎位の機能的な偏位がある不正咬合を指し、機能的反対咬合や機能的交叉咬合などがある。

不正咬合の種類

①上顎前突(じょうがくぜんとつ)

上顎前突とは、上の前歯が前に傾斜し、上顎が全体的に出ている状態のことをいいます。「出っ歯」ともいわれています。上顎前突は、前歯が外傷を受ける可能性が高く、口唇()が閉じにくく、口呼吸を伴います。口呼吸によって、口の中が乾燥しやすくなり、唾液の分泌量が減少し、ドライマウスになる可能性が高くなります。ドライマウスが原因で口臭や歯肉炎、虫歯になりやすくなります。その他に、指しゃぶりや舌突出癖、吸唇癖などの口腔習癖が上顎前突になる原因でもあります。

厚生労働省の不正咬合の調査では、最新平成23(2011)の「1220歳の男女の前歯の不正咬合の状態」で上顎前突の割合は12.9%で叢生の2番目に多くみられます。

②下顎前突(かがくぜんとつ)

下顎前突とは、下の前歯が上の前歯より前に出ている状態のことをいいます。「受け口」や「反対咬合(はんたいこうごう)」ともいわれています。骨格性下顎前突では、とくに遺伝的要因が大きく関与しており、環境的要因としては、習癖・ホルモン障害・外傷などがあります。下顎前突を有する患者様では、咀嚼効率や下顎運動の円滑性の低下、発音への影響および顎関節症と相関などといった顎口腔の機能的な問題に加え、見た目に対する心理的な問題などもあります。

厚生労働省の不正咬合の下顎前突の割合は2.4%を占めています。

③過蓋咬合(かがいこうごう)

過蓋咬合とは、上下の咬み合わせが深く、下の前歯がほとんど見えない状態のことをいいます。「ディープバイト」ともいわれています。下顎前歯が上顎の歯肉(歯茎)に噛み込み、痛みが生じる場合や、下顎の前方や側方への動きが制限される場合もあります。

厚生労働省の不正咬合の過蓋咬合の割合は4.8%を占めています。

④開咬(かいこう)

開咬とは、上下の前歯部が咬み合わず隙間がある歯並びのことをいいます。「オープンバイト」ともいわれています。開咬の原因としては、遺伝的要因や前歯の萌出方向の異常、舌癖などがあります。開咬は、咀嚼や発音、嚥下機能に障害が認められます。前歯でものを咬めないため、奥歯に負担がかかり、顎にも負担がかかることで顎や顎関節を痛めてしまうことがあります。そして、舌を突き出す癖(舌突出癖)や指しゃぶり(母指吸引癖)、爪を咬む癖(咬爪癖)などの習癖を改善することもとても重要になります。

厚生労働省の不正咬合の開咬の割合は5.7%を占めています。

⑤叢生(そうせい)

叢生とは、ガタガタな歯並びや、叢(くさむら)のように歯が重なって生えている歯並びのことをいいます。「乱杭歯(らんぐいし)」ともいわれています。叢生の原因としては、歯が大きすぎる、顎が小さいことで歯が生えるスペースが不足してしまうことで叢生が起こります。八重歯も叢生の1つです。なので、歯と顎の大きさのバランスがアンバランスまた習癖などの原因によって叢生になってしまいます。

厚生労働省の不正咬合の叢生の割合は44.3%を占めています。不正咬合の中で1番多い不正咬合です。

⑥正中離開(せいちゅうりかい)

正中離開とは、上の前歯の真ん中(正中)に隙間がある歯並びのことをいいます。正中離開は、骨の中に過剰歯がある、側切歯の先天性欠如や矮小側切歯、上唇小帯の付着位置異常などの原因があります。厚生労働省の不正咬合の空隙の割合は12.4%を占めています。

不正咬合の原因には、「先天的原因」と「後天的原因」があります。

先天的原因

遺伝

不正咬合の発現には、遺伝的な原因が関与していることが多いです。

下顎前突(受け口)は遺伝的要因に関与していることが多いです。

先天異常

上唇小帯(上唇のすじ)や舌小帯(舌のすじ)の異常、口唇口蓋裂などの先天的疾患などがある場合、歯並びに影響すし、不正咬合を伴うことがあります。また、口唇・口蓋の形成手術による瘢痕組織の影響があり、上顎骨の劣成長や狭窄歯列に伴う叢生ならびに反対咬合(受け口)になる可能性があります。

歯数の異常・歯の形態異常

過剰歯(かじょうし)

過剰歯とは、基本的な歯の数を超えて作られた歯のことをいいます。過剰歯があると歯並びが悪くなったり、永久歯が萌出できないなどの影響があります。

先天性欠如歯

永久歯は親知らずを除くと全部で28本あります。しかし、その生えてくるべき永久歯が何らかの原因で作られず歯が生えてこないのを先天性欠如歯といいます。先天性欠如は、空隙歯列や隣の歯の傾斜などを引き起こします。

巨大歯

平均的な歯のサイズと比べて、異常に大きい歯のことをいいます。歯が大きいことにより、叢生の原因にもなり、見た目にも影響が出る可能性があります。

矮小歯(わいしょうし)

平均的な歯のサイズと比べて、異常に小さい歯のことをいいます。円錐のような形をしていることが多く、上び前から2番目の歯によく見られ、空隙歯列(すきっ歯)の原因にもなります。

後天的原因

口腔習癖

口腔習癖とは、日常生活の中で無意識に行っている口腔に関した習慣行動のことをいいます。

成長発育期にある小児では、口腔の形態的、機能的発達に障害を及ぼすことが多いとされています。

それは、口腔周囲以外にも小児の心理的な問題や性格とも関連し、乳幼児期の行動がそのままの場合もあります。また、母親の過干渉や溺愛、子供の遊び場が少ないなどの生活環境や社会環境が影響していることも原因の1つです。そして、口腔習癖は歯並びやかみ合わせに影響を与え、成長発育期の咀嚼・嚥下・呼吸・発音などにも影響を及ぼします。

母指吸引癖(指しゃぶり)

親指をくわえ、吸引する習癖で吸引癖のなかで最も多いです。出生直後から母乳を吸うために、ヒトは哺乳反射をもっています。乳児期の指しゃぶりは生理的なものであるが、幼児期には心身の発育に伴い、3~4歳頃には自然減少します。習癖が継続すると、頻度・時間・強度によっては不正咬合をもたらします。指しゃぶりをすることによって、上顎前歯は唇側に押されることにより上顎前突、上顎前歯の唇側傾斜、上下の前歯の間に指を入れることにより開咬になります。他にも下顎前歯の舌側傾斜、上顎歯列の狭搾、不明瞭な発音(サ行)などの影響を引き起こします。

吸唇癖・咬唇癖

口唇を咬んだり、吸引したりする癖のことをいいます。吸唇癖は指しゃぶりの

代償的行動であり、咬唇癖は1種のストレスが原因であり、開咬、上顎前突、   上顎前歯の唇側傾斜、下顎前歯の舌側傾斜などの影響を引き起こします。

口呼吸

アレルギー性鼻炎やアデノイドなどの鼻咽腔疾患があると、鼻呼吸が困難になり、

長時間口から呼吸することをいいます。その原因は、鼻咽腔疾患による鼻呼吸の困難、   上顎前突により口唇の閉鎖が困難、とくに原因がなく習慣的に行ってしまうなどの原因が考えられます。口呼吸を行うことによって、開咬・上顎前突・歯列の狭窄・交叉咬合・歯肉炎・歯周炎などの影響を引き起こします。

それ以外でも、舌突出癖・弄舌癖・咬爪癖・頬杖・ものをかむ(しゃぶる)・食いしばりなどの口腔習癖で歯並びや咬み合わせに影響を及ぼしてしまいます。

乳歯の早期喪失・晩期残存

乳歯の早期喪失は、後継永久歯が生える余地がないことから、叢生や埋伏の原因となります。乳歯が残存すると後継永久歯の位置異常をもたらすことがあります。

虫歯

虫歯や歯周病によって乳歯が早期に喪失してしまった場合、歯が斜めに生えたり、ずれて生えてしまい叢生になる原因になります。

小帯の異常

上唇小帯の高位付着は正中離開をもたらし、舌小帯の強直は低位舌を引き起こしたり発音に影響を及ぼすことがあります。

2024.03.07

妊婦さんでも矯正治療はできる?パート2

妊娠中の歯列矯正治療のリスク

①妊娠中のレントゲン撮影のリスク

妊娠していると、レントゲン撮影時の放射線の被ばくが気になる方もいるのではないでしょうか。
歯科でのレントゲン撮影には、胎児にほとんど影響はないとされているのでレントゲン撮影は可能です。ですが、心配な場合は担当の歯科医師に相談をすると良いでしょう。

歯科のレントゲン撮影ではお口の中を撮影するため、赤ちゃんのいるお腹と距離があります。また、放射線を遮断する鉛の防護エプロンを着用してレントゲン撮影を行います。
近年のレントゲンはデジタル化が進み、放射線被ばく線量は格段に減少しています。

【歯科でのデンタルレントゲン撮影の被ばく量】
・ 歯科用CT :0.06m㏜
・ お口全体のレントゲン写真 (パノラマ):0.02m㏜
・ 歯の一部のレントゲン写真 (デンタル):0.001m㏜

例えば、飛行機で東京とニューヨーク間を往復すると約0.2m㏜の被ばく量があります。これは、歯科のデジタルレントゲン撮影の被ばく量と比べると多いということが分かります。

私たちは、普段の生活で自然放射線を世界平均だと年間2.4m㏜の放射線を被ばくしています。日本平均だと2.1m㏜になります。
お腹の中の赤ちゃんに影響あるとされている放射線量は50m㏜です。
これらの事から、歯科でレントゲン撮影を行っても赤ちゃんへの影響は少ないと考えられています。
ですが、100%安全とは言い切れません。妊娠中は、レントゲン撮影を控えておいた方が良いという先生もいます。大丈夫だと言われても不安に思う方もいると思います。担当の歯科医師とよく相談をしてからレントゲン撮影を行うのか決めましょう。

特に歯列矯正開始前は歯や骨の状態を見るために、レントゲン撮影は必ず必要になります。レントゲン撮影を行わないと歯列矯正を始めるのは難しいです。もしかすると、レントゲン撮影を行わなくても歯列矯正を始めることができるという歯科医師もいるかもしれません。レントゲン写真が無い場合だと、適切な診断が行えず歯列矯正治療が失敗してしまう可能性があります。

もし、妊娠中に歯列矯正を始めたいという方はお腹の中の赤ちゃんに影響が出やすい妊娠初期を避けてレントゲン撮影を行うようにしましょう。

②妊娠中の抜歯のリスク

妊娠中は、抜歯(ばっし)のリスクも高くなりやすいです。
妊娠している間は、妊娠性高血圧や妊娠糖尿病になる可能性があり、これらが抜歯に悪影響を及ぼす可能性があります。

糖尿病の症状がある場合、抜歯後の傷の治りが悪くなりやすいです。高血圧の症状がある場合だと、局所麻酔の使用や抜歯中に血圧が上がり危険になることもあります。
抜歯後、なかなか痛みが引かない事や血がなかなか治らないなどのトラブルが発生した時に、服用することができる薬も限られます。なので、妊娠中の抜歯は出来る限り避けた方が良いでしょう。

③妊娠中のアンカースクリューのリスク

歯列矯正でアンカースクリューというチタン製の小さなネジを使用することがあります。アンカースクリューを用いることで、治療の進行が速くなる場合や難しい歯の動きが可能になり治療が行いやすくなります。
アンカースクリューを打つ時は局所麻酔を使用しますが、局所麻酔自体はその部分にのみ作用するものなので妊娠中でも心配の必要はほとんどありません。
抜歯と比べるとアンカースクリューを打ち込む時に必要な局所麻酔の量も少ないため、比較的に安全に行えるでしょう。
歯科医院で局所麻酔薬として主に使用されているのが、「リドカイン(キシロカイン)」です。産婦人科で、処置に内容によって局所麻酔を使用する場合があり、その際に使用されているものと同じ種類になります。リドカインはお腹の中の赤ちゃんへの影響は少ないと考えられています。

④歯肉炎や虫歯になるリスク

妊娠中は、唾液の分泌低下や女性ホルモンバランス、つわりなどの影響により妊娠性歯肉炎(にんしんせいしにくえん)や虫歯になるリスクが高くなります。

特にワイヤー矯正の場合、装置の間に食べ物がはさまったり、歯磨きが行い辛く磨き残しが溜まっていくと歯肉炎や虫歯になりやすいです。
妊娠中はつわりで歯磨きが出来ない方もいます。ワイヤー矯正中、つわりで歯磨きができないと、さらに食べかすやプラークが歯に溜まってしまいます。
妊娠中は、吐き気やめまい・疲労感など体調が安定しない事も多くあり、生活習慣が乱れがちになります。つわりがひどい方だと、歯ブラシがお口の中に入る刺激で吐いてしまう場合もあります。どうしても歯磨きが行えない場合は、お口の中を清潔に保つために次の方法をおすすめします。

  • ○体調が安定しているときに歯を磨く
    ○ワンタフトブラシ(先が細く1本のブラシ)を使用する
    ○夜寝る前の歯磨きだけは丁寧に行う
    ○マウスウォッシュ(うがい薬)を使用する
    ○お水を飲む

歯列矯正をしていなくても、歯はきれいに保つことをおすすめします。

歯磨き不足で妊娠性歯肉炎になり、そのまま放置しておくと歯周病に進行し、低体重未熟児や早産のリスクが高くなります。
妊娠性歯肉炎は普段の歯磨きで改善することができます。
歯磨きをしっかり行い、お口の中を健康に保つことが大切です。

妊娠している場合、安全に使用できる痛み止めを服用する必要があります。
痛み止めだけに限らず、妊娠中は服用できない薬もあるため、自己判断をせず担当医師に相談するようにしましょう。

歯列矯正をするにあたり妊娠前に済ませておいた方がいい事

妊娠中に歯列矯正を始めることは可能です。
しかし、事前にしておいた方が良いこともあります。

①かかりつけの歯医者さんを探しておく

妊娠中は、妊娠性歯肉炎や虫歯になるリスクが高くなります。
女性ホルモンの変化で特定の細菌が増えやすくなったり、つわりの影響で歯磨きが行いづらくなることがあります。
お口の中のトラブルは母体だけでなくお腹の中の赤ちゃんにも悪影響を及ぼす可能性があるため、早めに治療することをおすすめします。
また、定期的に歯医者さんに通うことで虫歯などの早期発見・早期治療にも繋がります。

②レントゲン撮影を済ませておく

歯列矯正を始めるには、レントゲン撮影が必ず必要になります。
治療方針を考えるために、歯列矯正を行う前の歯や骨の状態を確認しなければなりません。
歯医者さんで行うレントゲン撮影の被ばく量は微量ですが、お腹の中の赤ちゃんが影響を受けやすい妊娠初期は控えたほうが良いでしょう。

まとめ

妊婦さんの方でも歯列矯正をすることは可能であり、実際に患者さまにもおられます。
ですが、妊娠をしていない時と比べるとさまざまなリスクや注意が必要となります。

妊娠中はご自身の体調を優先し、一時的に治療を中断するなど担当の歯科医師とよく相談をして無理のない範囲で治療を進めていくようにしましょう。

また妊娠中は、お口の中のトラブルが多くなります。そのため、お口の中のケアは妊娠前の時よりも気を遣う必要があります。体調が安定しない時もあると思いますが、お口の中を清潔に保てるよう心がけましょう。

2024.02.22

歯並びと日常生活での癖について

今回は、日常生活のなかで、歯の並びが悪くなってしまう習慣的にしてしまう癖についてお話します。人には誰しも癖があり、その癖も様々なものがあると思います。癖を治すのはとても大変な事ですが、悪習慣になってしまうのであれば早めに治していくほうが良いです。その中でも、歯の並びに影響が出てしまう悪い癖をいくつかお話します。下記の癖が、お子さんやご自身で当てはまることがあるかチェックしてみてください。

また、当院では、歯ならびの相談の時に記入していただく用紙(歯ならび相談申込書)に
・次のような癖はありますか?
指を吸う 爪を咬む 唇を咬む 鉛筆などの物を咬む 起きている時も口がよく開いている
ほほ杖 うつぶせ寝  その他あればご記入ください。
と記載しております。お口やあごに関する癖についてお気づきの点がございましたらご記入ください。

幼少期の指しゃぶり


上顎前突(出っ歯)の原因になる指しゃぶりですが、乳児期に指を吸っていても問題はありません。その後、幼少期~小学に上がる頃になってもまだ指しゃぶりをしていると、歯やお口の中に影響がでてしまいます。吸う指は親指だけとは限らず、人差し指や中指の場合もあります。いずれの指であっても、自分の指を常に吸っていると、吸う力によって歯は押されてしまい前に傾いてしまいます。私自身も、指しゃぶりをしていた記憶があり、上の前歯2本が前に出ている上顎前突(出っ歯)でした。歯列矯正前は、右の親指(指紋のほう)が上の前歯の裏にぴったりはまっていましたが、矯正治療後は、指が入る隙間も角度もなくなりました。上顎前突になると、食べ物を前歯で噛むことが出来ず、発音にも影響がでることがあります。また、上の前歯と下の前歯が噛み合わない開咬(かいこう)や、歯がガタガタに並んでしまう叢生(そうせい)の原因にもなります。

爪やくちびるを咬む


無意識のうちに、爪や、えんぴつ・ボールペンなどの物を咬んでいたり、上の前歯で下の唇を咬んでしまっていませんか?爪や物を咬んでしまう癖も、指しゃぶりと同じように、爪や物に歯を押されていることで上顎前突(出っ歯)になりやすく、上の前歯と下の前歯が噛み合わない開咬(かいこう)になる原因になります。また、くちびるを咬んでしまう癖があると、
・上の前歯に下唇を咬む(上顎前突)(出っ歯)
・下の前歯で上唇を咬む(反対咬合)(受け口)
になる原因になります。どちらの場合も、唇を吸っている時の力で歯が押されてしまい、歯の並びがガタガタになってします叢生(そうせい)の原因になることもあります。

口での呼吸(口呼吸)


皆さんは普段の呼吸は、鼻呼吸ですか?口呼吸ですか?風邪や鼻炎などでお鼻が詰まっていないときは、鼻呼吸が正しい呼吸です。もし、話をしているとき・ご飯を食べているとき以外の、リラックスしているときに、お口が少しでも開いてしまうような方は、普段、口で呼吸をしてしまっている可能性があります。鼻呼吸を正しく出来ていると、唇は閉じられ、舌の先がスポット(上の前歯の裏側の少しくぼみがあるところ)にあります。舌の先が常にスポットに付いていることで、舌の筋肉が鍛えられると同時に、くちびるや頬の外側からの押している力と、舌が内側(お口の中)から押している力が均等になり、歯の並びが整えらます。この外側と内側の力が口呼吸によってバランスが崩れてしまうと、歯の並びがガタガタになってしまう叢生(そうせい)の原因になります。

頬杖


お口の中にことではないので、あまり気にしていない方が多いのが頬杖です。スマホを見ているときや、本を読んでいるときなど、無意識のうちの頬杖をついていませんか?頬杖を左右均等にしている方は少なく、必ずどちらか(右か左か)に頬杖をつく癖があります。頬杖をついていることで、片方のあごに手と乗せている頭の重さの力がかかり、あごの成長を妨げる原因になります。あごの成長を妨げてしまうと、左右の骨格が歪んでしまい左右非対称なお顔になってしまうことがあります。また、頬杖は顎関節症になってしまうことがありますので、要注意です。

舌癖(ぜつへき)

舌癖には様々な種類がありますが、食事中や話しているとき以外(リラックスしているとき)に、舌が上と下の歯の間からでてしまう舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)や、舌が正しい位置(スポット)についておらず、常に下の前歯の裏側に舌の先があたっている低位舌(ていいぜつ)などがあります。舌が歯の間からでているとき、舌が歯を押してしまっているため、歯が外側に倒れしまい、上顎前突(出っ歯)や、上と下の前歯が噛み合わず開咬(かいこう)になることがあります。

歯ぎしりや食いしばり


寝ている時に、歯を強くこすってしまう歯ぎしりと、何かに集中している時に、奥歯をギューッと噛みしめている食いしばりがあります。歯ぎしりや食いしばりは、日中に受けたストレスを発散させる行為だと言われていますが、どちらも歯に過度に力がかかってしまい、歯を消耗させてしまううえに、歯が傾いてしまう原因になります。また、矯正の治療中に、噛み合わせが変わることで一時的に歯ぎしりや食いしばりがおこる事があります。矯正治療中に、歯ぎしりや食いしばりがあると、矯正の装置が取れてしまうことがあります。歯ぎしりは寝ている時になるので、ご自身でも気づかないこともありますが、食いしばりは日中気をつけて、食事のときと、話すとき以外は、奥歯を噛まずに少し浮かせておくように意識するだけで防げます。歯がすり減ってしまわないよう気をつけましょう。

どちらか片側で噛む


食べ物をお口の中にいれて噛むとき、右か左どちらで噛んでいますか?右だけで噛んでいる・左だけで噛んでいる癖のことを、片噛みといいます。いつも左右どちらで噛んでいるか意識していますか?ご飯を一口、口に入れて飲みこむまで、どちらか片方だけで噛んでいる場合は片噛みの癖があります。片噛みの癖があると、いつも噛んでいる方の歯にだけ大きく負担がかかってしまいます。そのせいで、噛み合わせが悪くなったり、あごやお顔が左右ずれてしまったりして、姿勢や全身に影響がでます。食べ物を噛むときに、意識して左右両方の歯で噛むようにしてください。

うつぶせ寝や横向き寝


普段、寝るときは「仰向け」「うつぶせ」「横向き」のどれかだと思います。歯並びに影響がでるのは、うつぶせ寝と横向き寝です。どちらも短時間ならさほど問題はないと思いますが、うつぶせ寝や横向き寝が、毎日寝る時の習慣になってしまっていると、寝ているときに、頭の重さが一点に集中してしまい、顎や歯の並びに影響がでます。矯正の治療中だと、口内炎の原因になることもありますし、顎に負担がかかることで、顎関節症になってしまうこともあります。うつぶせ寝や横向き寝が癖になっているような方は、早急に治しておいたほうが、歯のためにも、全身のバランスのためにも良いです。

まとめ

今回は、歯並びに関係する癖についてお話しました。今回書いた癖は、小さい頃からの癖が大きくなっても治っていないものばかりだと思いますが、特にお子様の場合は、歯や顎の成長にも影響が出ますので早めに改善する必要があります。どんな癖でも、治していくには本人が意識して改善していくしかないですが、気になることなどありましたら、いつでも当院の主治医またはスタッフにお気軽にご相談ください。

2024.02.15

歯列矯正治療に伴うリスクについて

今回は、歯並びや噛み合わせを治療する歯列矯正治療をする時に伴うリスクについてお話します。

ご自身やお子様の歯が気になったりしませんか?

例えば、歯の並びがガタガタしている・前歯が出ている・受け口・学校の歯科健診で指摘された・よく口の中を噛んでしまうなどを治療し、整った歯並びと正しい位置での噛み合わせにするように治療するのが歯列矯正治療です。もちろん治療には、メリットとデメリットもありますが、歯列矯正治療に伴うリスクもあります。歯並びが気になっていて矯正の治療をお考えの方も多いかと思いますが、リスクに対しても理解をしてから治療を行っていただくと良いと思います。

歯列矯正治療にはどんなリスクがあるのかそれぞれ説明させていただきます。

①痛みがある

歯列矯正治療は、お口の中に様々な装置をつけて歯を動かして治療していきます。症状や治療の内容によって装置は異なりますが、装置をつけていることによって感じる痛みと、歯が動いている時に感じる痛みがあります。一番多く聞かれる質問も「痛いですか?」です。矯正の治療の痛みは、歯が動いている時に感じる痛みが主ですが、毎日痛い訳ではなく、装置をつけた後や、ワイヤーを交換した時、アライナーを交換した時のあと、2~3日歯が痛みます。前歯でガブっと硬い物を食べづらくなります。痛みがあるときは、ぬるま湯にお塩を一つまみいれていただき口に含んでいただくと温湿布のような効果があり、少し痛みが和らぐことがあります。また、矯正装置が歯肉や粘膜にあたってその部分が口内炎になり痛みがでることがあります。お渡ししているワックスを使っていただくと痛みが楽になります。

②抜歯をすることがある


歯並びや噛み合わせを治療する歯列矯正治療では、より良い結果の治療をするための抜歯をすることがあります。親知らず・健全な歯を抜く、またはエナメル質の範囲内で歯を削ることがあります。当院では、親知らずの抜歯は、総合病院の口腔外科に、その他の抜歯は、かかりつけの一般歯科医院にご紹介させていただいています。ご希望の医院がありましたらスタッフにお声がけください。

③治療を中止することもある

当院は通報通りに矯正の処置を行っておりますが、その処置中に泣いてしまって治療が出来ない・装置の不快感や違和感による不満や痛みによって装置を外してしまう・装置をつけたことによっておこる各種アレルギー・治療をしていくなかでコミュニケーションがとれず困難な場合・患者様の経済的理由などで、当院の治療や処置方法が受け入れられない場合には、治療を中止することがあります。

④虫歯や歯周病になりやすくなる

矯正の装置をお口の中つけることによって、虫歯や歯周病になりやすくなります。これは、装置がつくことで歯磨きがしづらくなり磨き残しが原因なこと多いため、矯正の装置がお口の中についたら、今まで以上で丁寧な歯磨きが必須になります。虫歯になっていないか・歯周病が悪化しないためにも、定期的にかかりつけの一般歯科医院を受診していただくようお願いします。また、初期の虫歯でも、矯正の装置をとったあとに、歯に白濁が残ることがあります。虫歯や歯周病の治療は、矯正の治療よりも優先して行っていただきます。虫歯や歯周病の治療中は、矯正の治療を一時中断します。

⑤装置が外れてしまうことがある

矯正の装置が、治療中に外れてしまうことがあります。硬い食べ物を食べてしまって外れてしまう場合と、夜寝ている時の歯ぎしりや食いしばりが原因で外れてしまう場合がほとんどです。装置が外れたままだと、歯を動かす力がかからないため、装置を付け治す必要があります。装置が取れたり・外れてしまったら速やかにご連絡を願いします。また、取れてしまった装置は必ずご持参ください。

⑥歯根吸収を生じることがある

矯正の治療中に、歯根吸収(しこんきゅうしゅう)、歯を動かすさいに歯の根っこが短くなる現象がおこることがあります。歯根吸収は、予測困難で治療中に歯根吸収が判明した場合は、矯正治療を中断することがあります。

⑦歯肉退縮をすることがある

歯肉(歯茎)や歯槽骨(しそうこつ)が、退縮してしまうことがあります。歯肉が退縮すると歯の根っこ(歯根)が歯茎から露出してしまい、冷たい物や熱い物がしみる(知覚過敏)などの症状がでることがあります。一度退縮してしまった歯肉は元には戻らないため、歯磨きのときに強く磨かない・歯ブラシの毛先を柔らかくするなどして、それ以上の退縮を防ぐことが重要です。

⑧ブラックトライアングルになることがある

歯と歯の間に隙間が生じることをブラックトライアングルといいます。成人(特に年配)の方や、歯肉の状態が悪い(歯周病など)と、矯正治療後、ブラックトライアングルができてしまうことが多く、そのような歯と歯の隙間は、回復しづらいと言われています。隙間が気になるなど、矯正とは関係のない治療はかかりつけの一般歯科医院でご相談ください。

⑨その他のリスク

  1. ①ワイヤーで矯正治療をし、歯列矯正治療をおこなった場合、治療が終わりワイヤーとブラケットを除去するさいに、歯のエナメル質にクラックという細かい微小のひびが入ることがあります。普段は気づかないですが、歯が乾燥などで乾くと見えることがあります。
  2. ②歯の根っこの治療(根管治療)を受けている歯は、矯正の治療中に悪化したりし、化膿することがあります。再根管治療が必要な場合は、矯正の治療を一時中断をして、かかりつけの一般歯科医院で治療をしていただくことになります。
  3. ③矯正の治療中に、歯の骨性癒着(歯と骨が癒着していたために歯が動かなくなる)が判明することがあります。この骨性癒着は、矯正の治療前に鑑別するのは困難なため、判明した場合は、外科的に複数回の処置が必要になるか、抜歯の可能性もあります。
  4. ④矯正の治療中に、歯髄充血あるいは歯髄壊死がおきることがあります。歯髄充血・歯髄壊死ともに、予測は困難なため、矯正の治療を中断することがあります。根っこの治療(根管治療)が必要になった場合は、かかりつけの一般歯科医院で治療をお願いします。
  5. ⑤患者様、個人の全人状態や顎顔面骨格の形態、歯の大きさなどによっては、歯列矯正治療の限界が異なります。
  6. ⑥受け口などの、著しい骨格性不正咬合の場合は、歯並びや噛み合わせを治療する歯列矯正治療だけでは治療の限界があるため、外科手術を併用することで骨格を改善することが可能になります。
  7. ⑦歯を支える歯槽骨が少ないと、矯正治療中や矯正の治療後に歯の動揺(ぐらつき)が大きくなります。治療は必要な場合は、かかりつけの一般歯科医院で治療をお願いします。

 

今回は、歯並びや噛み合わせを治療する歯列矯正治療を行ううえでの、リスクについてお話しました。少し難しい言葉や不安になるような文章もあったかもしれませんが、あくまでもリスクのお話なので、矯正治療を受ける方全員におこるわけではありません。次回、それぞれのリスクいついてもう少し詳しく話していこうかと思います。矯正の治療に関して不安に思うことや疑問がありましたら、主治医やスタッフにお気軽にご相談ください。

2024.02.08

歯科矯正のメリットとデメリットについて


長いマスク生活がやっと終わろうとしています。
今まで気にしていた口元が隠れていた分、マスクを外すと余計に気になる方もおられるのではないでしょうか。
ご自身の歯がもし、歪んでいたりガタガタしていたり噛み合わせが悪く食べ物が噛みづらいなどある場合、
歯科矯正(歯列矯正)について調べたりしているかと思います。

歯科矯正治療をすることで、見た目や健康の面で様々なメリットがあることをご存じでしょうか?
もちろん歯科矯正治療にはメリットもあればデメリットもあります。
ですが、矯正治療は医療行為なので、メリットだけでなくデメリットや注意する点というのもあります。
ご自身やお子様の矯正治療をお考えの方は、まずそのメリットとデメリットについて理解し歯科矯正治療を始めるかお考えください。

今回は、歯科矯正治療をするにあたってのメリットとデメリットについてお話していきたいと思います。

メリットについて

笑顔が!コンプレックスを解消し、イメージアップにつながる

歯並びが気になって、人前で話すとき、写真を撮る時や、不意に撮られた時に自分の口元が気になることはありませんか?
特にすきっ歯(空隙歯列)や出っ歯(上顎前突)など人目に付く前歯の歯並び(歯がガタガタなども)を気になっている方が多くおられます。歯並びの悩みを抱えていると、自分に自信を持つことができずに、つい口元を隠してしまうなど、ご自身でも気づかない癖がでたりします。矯正歯科での治療で歯並びが整うと、人前で歯を見せて笑うことや、お顔の印象が良くなりコンプレックスが解消され、自分に自信が持て笑顔に抵抗がなくなります。
また、歯並びというのは意外に他人から見られております。
歯がきれいに並んでいるだけで、清潔感のある、さわやかな印象を与えることができます。

虫歯や歯周病のリスクが減る

歯が重なっている部分の歯磨きはなかなか難しく時間もかかります。フロスや歯間ブラシを使用しても届かない場所があるので、虫歯や歯周病になるリスクがあります。
しかし歯並びが整うと、歯磨きがしやすくなり、お口の清潔を保つことができます。
また、噛み合わせが全体的に均等になることにより、食べにくかった食べ物が噛みやすくなり、噛むことで唾液の分泌が増え虫歯のリスクが減ります。
結果的に、矯正治療を行うことで、歯を将来的に健康で長持ちさせやすくなります。

食べ物が咀嚼しやすくなる

私達が日々当たり前に行っている「食べる」「飲み込む」ことは、歯並びや噛み合わせが関係しています。
矯正歯科治療で噛み合わせが整うと、食べ物をしっかり噛めるようになり、食べた物を細かくかみ砕けるようにもなり、しっかり噛むことで唾液量が増えて食べ物の消化を助けてくれます。唾液には自浄作用もあるため、口臭予防にもなります。

口臭が改善する

歯並びが悪いと、歯磨きをしてもどうしても歯ブラシが届かず磨き残しが多くなってしまいます。それによって歯周病も引き起こしやすくなります。
矯正歯科治療をすることで歯並びを治し、正しい歯磨きができることで清潔なお口の中を保ちやすくなるので口臭も改善されます。

体の不調が改善される

全体的な噛み合わせも整うメリットも大きいです。なぜなら歯並びの悪さは噛み合わせの悪さにつながっていることがあります。矯正歯科治療をすることで、歯が均一に接触するようになります。均一に接触すると歯にかかる力を分散できます。そして噛む筋肉がバランスよく働くことで、顎関節症や、様々な不定愁訴が改善されます。
矯正歯科治療によって噛み合わせが整うことで頭痛や肩こりといった体の不調が改善させる可能性もあります。

デメリットについて


装置がつくと違和感がある

矯正歯科治療では装置がお口の中に長時間装着されます。特に最初は違和感(話しにくさ、装置が舌にあたるなど)を感じる方が多いです。
食事の際などに気になることもあります。ただし違和感はずっと続くのではなく、徐々に慣れていきます。
マウスピース矯正の場合は食事や歯磨きの際に外せれるため、違和感は軽減されます。ただしマウスピース矯正は食事の際に矯正装置を毎回取り外す必要があり、その分手間がかかります。

治療中は矯正装置の見た目が気になる

矯正装置の見た目が気になる方も多くおられます。ワイヤー治療の場合、歯の表側に装置がつきますので話したり食べたり笑ったりするとどうしても装置が目立ってしまします。
気になるかたは目立たない白いワイヤーに変更か、可能であればマウスピースでの治療を選ぶことで見た目を気にせず治療することもできます。

口内炎ができる

矯正装置によって口腔内が傷つき口内炎ができる場合があります。
ワイヤー矯正ではブラケットという装置と舌や唇の裏側が擦れることで口内炎ができることがあります。
マウスピース矯正ではマウスピースの縁が尖って同じように口内炎ができることがあります。

治療中は虫歯や歯周病のリスクがある

ワイヤー矯正の場合、歯の表面に装置がつきますので、歯磨きがしづらくなります。
そのため、より丁寧なブラッシングを行わなければなりません。
もし十分なお手入れができない場合、虫歯や歯周病にかかってしますことがあります。
どの装置を使用する場合でも、時間をかけてしっかりと歯磨きを行う必要があります。

痛みや食事が不便になる

矯正歯科治療の場合、装置がつくことで食べられるものに制限があったりします。また、装置をつけた後は2~3日痛みで食事がしづらくなることがあります。
矯正歯科治療は歯に適切な力をかけて移動させるため、圧迫感のある痛みがでる場合があります。
ワイヤー矯正では、新しいワイヤーに変わった時、マウスピース矯正では新しいマウスピースに交換時2~3日痛みがあります。痛みは「歯が浮いたような感覚」や「ズーンとする感覚」「歯の根っこがズキズキする」と人のよって様々な痛みがでます。この痛みは矯正歯科治療を行っている間、常に痛いということはありません。徐々に慣れていきます。

歯茎下がりや歯根の吸収が起きることがある

矯正歯科治療で歯の重なりがなくなった場合、歯茎が下がったよう(歯茎下がり)になってしまうことがあります。また、稀にですが、治療中に歯根が溶けたように短くなる(歯根吸収)になってしますことがあります。でもこれは適正な力であれば起こることはほぼありません。

治療期間・費用の面でのデメリットがある

大人の矯正治療の場合、平均的な治療期間は2~3年くらいと長くかかります。また、保険適用外の治療(自費診療)ですので、治療費も安くはありません。またそれだけ長く通院していただく必要があります。
矯正治療に期間がかかるのは、歯や周囲組織にダメージを与えぬようにゆっくりと歯を動かす必要があるからです。
費用の面に関しては、保険適用外のため高いと思ってしまうかもしれませんが、矯正歯科治療を行うことで歯の健康を保ちやすくなります。また歯が健康なまま残る可能性が高くなり将来的に歯が長持ちします。

いかがでしょうか?歯科矯正治療にはいくつものメリットとデメリットがあります。
ふじよし矯正歯科クリニックでは、初めての方には無料で歯並びのご相談をしております。
今、ご自身の歯並びに関する不安や悩みをお持ちの方は、一度、ふじよし矯正歯科クリニックでご相談ください。

2024.02.01

妊婦さんでも歯列矯正治療はできる?パート1

妊娠中でも歯列矯正治療はできる?

妊娠中でも歯列矯正はできます。
しかし、妊娠をしている方は妊娠をしていない方に比べて歯列矯正中の注意点やリスクが多くなります。
妊娠中はホルモンバランスの変化によって、身体だけでなく精神的に不安定になることがあるため、不安に感じることがあるでしょう。
妊娠している期間の歯列矯正は、担当の歯科医師と相談して進めていくことが大事になります。

②妊娠中の歯列矯正治療の注意点

歯肉炎や虫歯のリスクが高くなる

妊娠中は、唾液の分泌低下や女性ホルモンバランス、つわりなどの影響により妊娠性歯肉炎(にんしんせいしにくえん)や虫歯になるリスクが高くなります。
特にワイヤー矯正の場合、装置の間に食べ物が挟まったり、歯磨きが行い辛く磨き残しが溜まったりしていくと歯肉炎や虫歯になりやすいです。
妊娠中はつわりで歯磨きが出来ない方もいます。ワイヤー矯正中、つわりで歯磨きができないと、さらに食べかすやプラークが歯に溜まってしまいます。
妊娠中は、吐き気やめまい・疲労感など体調が安定しない事も多くあり、生活習慣が乱れがちになります。つわりがひどい方だと、歯ブラシがお口の中に入る刺激で吐いてしまう場合もあります。どうしても歯磨きが行えない場合は、お口の中を清潔に保つために次の方法をおすすめします。

  • ○体調が安定しているときに歯を磨く
    ○ワンタフトブラシ(先が細く1本のブラシ)を使用する
    ○夜寝る前の歯磨きだけは丁寧に行う
    ○マウスウォッシュ(うがい薬)を使用する
    ○お水を飲む

歯列矯正をしていなくても、歯はきれいに保つことをおすすめします。
歯磨き不足で妊娠性歯肉炎になり、そのまま放置しておくと歯周病に進行し、低体重未熟児や早産のリスクが高くなります。
妊娠性歯肉炎は普段の歯磨きで改善することができます。
歯磨きをしっかり行い、お口の中を健康に保つことが大切です。

つわりがひどいと歯列矯正治療を続けることが難しい

妊娠初期(1~4ヶ月頃)は特につわりが出やすい時期になります。
吐きづわりのある方だと、お口の中に矯正装置が入っているだけでも吐き気が増してしまう可能性もあります。
体調が悪いときは無理をせず、体調が良くなるまで治療を中断してみるなど、担当の歯科医師とよく相談をして進めていくのが良いでしょう。

痛み止めなどを服用する場合担当医師へ相談が必要になる

歯列矯正を始めると、歯が動く時などに痛みを感じることがあります。
そのような場合、痛み止めを服用する方もいます。
妊娠している場合、安全に使用できる痛み止めを服用する必要があります。
痛み止めだけに限らず、妊娠中は服用できない薬もあるため、自己判断をせず担当医師に相談するようにしましょう。

妊娠中にできる歯列矯正の方法

歯列矯正には、歯にブラケット(一般的によく見られる固定式の装置)を装着して行うワイヤー矯正治療と歯に自分でマウスピースを装着するマウスピース矯正治療があります。妊娠中はどちらの矯正方法を選んでいただいても構いません。マウスピース矯正は歯磨きがしやすく、治療を中断する可能性が低いのでおすすめです。しかし、つわりがひどくて、マウスピースを装着し続けることが難しい場合もあります。
ワイヤー矯正の場合、いろんな症例に対応することができますが、歯磨きをしっかり行わなければなりません。自分で装置の取り外しができないため、つわりがひどくいとお口に中の装置が気持ち悪く感じてしまうこともあります。装置を除去してもらう必要が出てくることもあり得るでしょう。
矯正装置の種類を決めるときは、それぞれの装置のメリットデメリットを考慮して、担当歯科医師と十分に相談してから決めましょう。

歯列矯正中に妊娠が発覚した場合の対処法

歯列矯正中に妊娠が分かった場合、患者さまの体調に問題がなければそのまま治療を続けることが可能です。
ですが、むし歯や歯周病のリスクは通常に比べて高くなるので、歯磨きは丁寧に行うことを心がけましょう。
妊娠中は体調が突然変化することもあります。無理をせず、治療を休みたくなった場合は担当歯科医師に相談することをおすすめします。自己判断で治療を中断するのは避けましょう。

よくある質問

授乳中でも歯列矯正はできますか?

授乳中の方でも歯列矯正をしていただくことは可能です。
ただし、服用できる薬に制限があるので注意しましょう。心配な場合は、担当の医師に相談しましょう。

妊娠中に治療を中断してもいいですか?

妊娠中は身体面・精神面においてデリケートな時期なので、無理をしないことが大切です。体調が優れない場合は、担当の歯科医師と相談をして治療を中断することも可能です。

赤ちゃんと一緒に通院しても大丈夫ですか?

基本的に出産後の通院は、いつからでも可能です。
出産後は赤ちゃんのお世話で忙しく、お母さんの体調が安定しないこともしばしばあるので無理をせず、しっかり体力が回復してから治療を進めていきましょう。
赤ちゃんをベビーカーで連れて行くときは、ベビーカーで院内に入れるかどうか確認しておくのが良いでしょう。スロープがない場合や院内にベビーカーを置けるスペースが無い場合、ベビーカーでの通院が難しいこともあります。
当院では、ベビーカーのまま一緒に診療室に入っていただくことが可能です。

歯列矯正治療を始めるのは、妊娠前と出産後どちらがいいですか?

歯列矯正を始めるタイミングとしては、妊娠前に終わらせてしまうか出産後に体調が落ち着いてから開始するのが理想的です。
出産直後は、赤ちゃんのお世話による睡眠不足などで体調が不安定になる方もいます。心身のコンディションがいまいちだと、歯列矯正に対するモチベーションも下がってしまうことも考えられます。
きれいな歯並びにするためにも、無理せず自分の体調に合わせて担当の歯科医師と相談しながら治療を進めていくようにしましょう。

まとめ

妊娠中でも歯列矯正をすることは可能です。
ですが、妊娠していない時と比較するとさまざまな注意点があります。
妊娠中は自分の体調を優先して、治療の進め方や中断を担当歯科医師と相談するようにしましょう。実際に当院にも治療中の方でご妊娠をされ、治療を中断して出産後に治療を再開されている患者様もおられます。
ふじよし矯正歯科クリニックでは、初回無料で矯正の相談を行っています。歯列矯正を考えている方や歯並びが気になっている方は是非一度相談にお越しください。

2024.01.18

矯正治療中こんな時どうする?

今回は、歯並びや噛み合わせを治療する歯列矯正治療に、ご自身の環境などが変わり、歯列矯正治療以外で下記のようなことが起こった場合どうしたらいいのか?についてお話していきます。歯の並びや噛み合わせを治療する歯列矯正治療は、骨の中にある歯の根っこを少しずつ動かして治療していくため、治療が始まってから終わるまで数年かかるのが特徴です。数年といっても、大人の方でも約3年、小学生から始めると永久歯に生え変わるまでの期間の1期治療と、永久歯に生え変わってからの2期治療があり、治療が終わるまでに小学・中学・高校と進学していくことも多くあります。数年に及ぶ治療期間の中で、歯列矯正治療以外の様々なことがあります。その時に治療をどうしていけばいいか?悩むかもしれませんが、歯列矯正治療は、一時的に中止や中断をすることが可能な治療なのです。

矯正治療を中止・中断する

歯並びや噛み合わせを治療する歯列矯正治療は、骨の中にある歯の根っこをゆっくりと動かして治療していきます。長期にわたる治療のため、治療中に大切な行事やイベント・予期せぬことがおきた時には、一時的に装置を外したりして中止や中断ができます。ただし、歯が元に戻ってしまわないようにする事も必要です。また、患者様のご都合で装置を外した場合や、あらたに付け直す場合は、別途費用がかかることがかかりますのでご注意ください。では、どんな時に装置を外すのを考えるのか、治療の途中で中止や中断をするかそれぞれお話します。

結婚式や成人式

矯正の装置を取ってほしいと相談される時に、一番多いのが結婚式です。特に女性の方が気になるようで「〇月に結婚式があるのですが、矯正の装置を外すことは可能ですか?」っと。ご自身の結婚式だと人生で一番輝く日です。写真の前撮りや、挙式、新婚旅行などで写真やビデオも多く撮ることがあります。特にワイヤーでの治療中で気になさるようです。ワイヤー治療で使用している、ブラケットとワイヤーを一時的に取るのは可能ですが、装置を取っている間に歯が元に戻らないように、当院では外している間につける透明のマウスピースをお渡ししております。また、装置の取り外し・付け直しには別途費用がかかります。成人式での場合も同様です。

妊娠・出産

歯列矯正治療中に、妊娠・出産を経験される方もおられます。この場合、装置を外すことはほとんどないですが、悪阻で通院できない・出産前後も通院できないことがあります。矯正の装置が外れてなければ、体調が戻るまで矯正の治療は一時中断になります。この中断の間が長くなればなるほど治療期間も長くなり、治療が終わるのが遅くなります。

病気や怪我

年齢に関係なく、病気や怪我をすることはあります。基本的には、体調が悪いときは装置をしなくてもよいですが、矯正の装置を外してしていないときは治療をしていないと同じなので治療期間が延びてしまうことがあります。また、マウスピースでの治療をされているかたは、アライナー(マウスピース)をとっている時間が長くなってしまうと、アライナーが合わなくなってしまうので長時間外すのはおやめください。

入院

病気や怪我の時と同じですが、入院の内容によって変わります。もし、全身麻酔が必要な場合などの手術があると、矯正の装置によっては装置をとらないといけない場合があります。入院先の担当医から指摘された時は、矯正歯科の主治医にご相談ください。

MRIなどのレントゲン

当院でもたまにお問い合わせがありますのが、「MRIを撮ることになった。矯正をしていることを伝えると矯正の先生に確認をしてほしいと言われた」と、おそらくMRIを撮るときの説明で、体の中に金属はないですか?と聞かれますので、その際に「矯正治療中で口の中に矯正の装置がはいっている」と伝えると、矯正の先生にMRIを撮っても大丈夫か確認してほしい流れになります。首から下のMRI撮影は、大丈夫です。とお伝えはしておりますが、撮影する体の部位によっては、MRI撮影前に矯正の装置を一旦とることがあります。MRIの撮影が終わりましたら再度矯正の装置を付け直ししますので、ご来院いただいております。MRIの撮影をするときは、部位の確認をする必要がありますので当院までお電話をお願いいたします。

旅行(修学旅行など)

短期間の旅行(修学旅行・自然学校など)の時、取り外しができる装置は、旅行中に関してはつけなくても大丈夫です。もし旅行に持っていく場合は、紛失しないように気をつけてください。紛失した場合は、再製作料が別途必要になります。同じ取り外しができる装置にマウスピース(インビザライン)がありますが、マウスピースでの治療の方は毎日22時間装着が必須なため、旅行中もアライナーはつけるようお願いします。

県外への引っ越し

歯並びや噛み合わせを治療する歯列矯正治療は、治療の期間が長いため矯正治療中に、進学や就職などで県外に引っ越される患者様もおられます。引っ越しを機に当院での治療を中止して他院へ転医する場合と、引っ越し先から治療が終わるまで通われるか、二つ選択肢がございます。当院では、県外に引っ越し後も月に一回通われている患者様が多いです。

  • ・受験で県外の学校を目指している
  • ・就職したら勤務先が県外になる
  • ・仕事の転勤が決まった(県外の場合)
  • ・結婚して県外に引っ越す

など、矯正治療中に県外など遠くへ引っ越しの予定がある時は、主治医にお知らせください。今後の治療計画の見直しが必要になります。引っ越しと同時に転医する場合は、治療の中止のお話や、紹介状や転医資料(別途費用)のお渡しなどがありますので、急なお申し出だと対応出来かねることがあります。予定が分かり次第、お知らせください。

海外への留学

当院には、近隣に神戸市外国語大学があるため、矯正の治療の途中で数か月ほど海外へ留学される患者様が多いです。ワイヤーで治療中かマウスピースでの治療中かで対応が異なりますが、どちらも矯正の治療を一時中断して帰国後にご連絡をいただき、治療を再開していきます。留学中に装置が外れた等のトラブルは避けられませんが、留学する時期に応じて治療をしていきます。留学が決まった時点で、主治医にご相談ください。

 

今回は、長期に渡る矯正の治療中に起こりうることで、治療を一時中断や中止するときの事例についてお話しました。治療の期間が長くなるとその間に様々なことが起こります。上記に書いたこと以外でも、こんな時はどうすればいいか?と思うことがありますたら、当院の主治医もしくわスタッフまでお気軽にご相談ください。

 

2023.10.11

歯列矯正治療と楽器(吹奏楽)

今回は、歯列矯正治療をしながらでも楽器の演奏や、吹奏楽部に入っても問題ないか?についてお話していきます。つい先日も、歯並びの相談に来院された小学高学年の保護者の方が「中学で吹奏楽部に入部したいと言っているので矯正しながらでもできるか聞きたい」とおっしゃっていました。文化部の中でも最近は特に、吹奏楽部が人気なようで当院に通われている方の中でも吹奏楽部に入部して楽器を演奏しておられる方が多くいます。そして必ず聞かれるのが、楽器の演奏は可能ですか?中学生や高校生になったら吹奏楽部に入部をしたいと思っていますが、矯正の装置が入っていても演奏できますか?吹奏楽部の顧問の先生に、歯並びの矯正治療中なら矯正の先生に楽器の相談をするように言われましたが大丈夫ですか?止めておいたほうが楽器はありますか?など聞かれることがあります。吹奏楽部に入ると学校に置いてある楽器ではなく、新しく自分専用の楽器を購入するご家庭も多いので、事前にしっかり確認をする必要があります。私の家族も吹奏楽部に入っていましたが、入部後に楽器を購入しました。かなり高額なお買い物になりました。今、歯列矯正治療中の方や、これから治療をお考えの方で楽器(吹奏楽)を演奏される方の参考になればと思います。

吹奏楽部でも装置はできる?


基本的には、矯正の装置がついていても問題ないと思います。とくにお口を使って演奏をしない楽器(ドラム・ピアノ・ギター・ベースなど)は、歯並びの治療をしていても問題なく演奏できます。問題が出るとしたらお口をつかって演奏する楽器(トランペット・トロンボーン・サックス・クラリネット・フルート・ホルン・オーボエなど)は、矯正の装置があたって口内炎になってしまい、音が上手く出せないこともあります。また、お口と楽器が触れない楽器(バイオリン・ビオラ)などは、楽器を顎に挟んで演奏するため、顎の噛み合わせに影響が出てしまい、顎関節症になる可能性もあります。歯並びの不正咬合の種類によって避けておいたほうがいい楽器もあります。

吹奏楽部に入部するとき


中学や高校に進学してから、部活動で吹奏楽部を希望されるときは、まず矯正の主治医にご相談をお願いします。また、吹奏楽部の顧問の先生にも、歯並びの矯正をしているとお伝えください。主治医に相談し顧問の先生にお伝えしてから希望する楽器を演奏できるか確認をとることがとても大切です。最近は、希望の楽器を事前に3つほど候補をあげてから決まるみたいですが、矯正の装置がついていると演奏に影響がでることがありますので注意が必要です。

装置をつけることで影響があること

①音が出しにくい

お口を使う楽器の演奏は、楽器を吹くときの舌の動き・唇の動き・頬の動きなどとても繊細な動きをして音を奏でます。歯並びの矯正の様々な装置は、お口の中につきますので慣れるまでは音(特に高音)が出しにくくなります。楽器によって慣れる間隔は変わります。また、矯正の為に抜歯をした場合は、抜いたところから空気が漏れてしまい音が出しにくくなることがあります。

②装置があたって口内炎になる

ワイヤー治療をしている場合は、唇に楽器を押し付けて吹くような楽器(トランペットやトロンボーンなど)を吹くときに、唇を強く楽器のマウスピースに押し付けるため、口内炎になりやすくなります。お渡ししている透明のワックスをつけることで口内炎は防ぐことが出来ます。

③装置を外したあとも影響がでる

矯正の装置をつけての演奏に慣れていると、今度は装置を外した時に違和感があり演奏に影響がでることもあります。また、矯正の装置が外れても保定装置をつけないといけません。装置を外したあともしばらく慣れるまでは、演奏に影響がでることがあります。

不正咬合の種類と楽器の種類


吹奏楽で使われる楽器には、木管楽器と金管楽器がありそれぞれにシングルリード・ダブルリード・リップリードなどがあり、不正咬合の種類によっては避けたほうがよいものがあります。
例えば、吹奏楽部で人気の楽器のクラリネットやサックスは、シングルリードの木管楽器ですが、吹くときに下の唇を軽く巻き込むようにして下の歯の上にかぶせ楽器のマウスピースを置き上の前歯にあて上の唇をさらに覆いかぶせるようにして演奏します。上顎前突(出っ歯)や開咬の不正咬合があると歯並びを悪化させるうえ、矯正治療中の場合は治療の妨げになることもあります。また、トランペット・トロンボーンは、リップリードの金管楽器ですが、吹くときには、楽器のマウスピースを唇に強く押し当てるため、叢生(歯並びがガタガタ)や過蓋咬合(噛み合わせが深い)の不正咬合の場合は、口内炎になりやすいうえにうまく楽器が吹きにくいなど影響がでることがあります。

矯正装置で楽器が吹けない?


当院の患者さんのお話ですが、「ワイヤー治療を始めた後に吹奏楽部に入部しトロンボーンを吹いているが部活動に支障がでる。装置にあたって血がでて口内炎になってしまう。装置を一旦取れないか?」と、おっしゃる患者さんが一人だけおられました。保護者同伴で相談をしこの患者さんは、ワイヤー治療からマウスピースでの治療を選択しその後は問題なく部活動が出来ていました。楽器や付けている装置によって、支障がでることがありますので、矯正治療の主治医にご相談をお願いします。

マウスピースでの治療なら影響がない?


歯の表側に装置がつくワイヤー治療よりも、取り外しが可能なマウスピースでの治療のほうが、楽器を演奏するのは影響がないようです。矯正の装置と楽器があたってできる口内炎のリスクも少なく、舌・唇・頬の動きにも影響が少ないと思います。ただし、マウスピースでの治療は全ての方の不正咬合に適応していないため、マウスピース治療が行えない場合があります。

こんな時はお知らせください!


歯並びの矯正治療中でも、楽器を演奏することは問題ありませんが、ワイヤー治療中にワイヤーを交換したときの痛みがでてしまう、新しい装置をつけると違和感がさらに増してしまうことがあります。コンクールなどの大会の前や、定期演奏家などの発表会の前などはさけて治療することは可能なので、お気軽に矯正治療の主治医やスタッフにご相談ください。

2023.10.04

歯列矯正治療中に引っ越し・留学するとき

今回は、歯列矯正治療中にお仕事や進学等で、引っ越しや海外に留学する場合、歯列矯正治療をどうすればいいのかお話します。
歯並びを整えるための歯列矯正治療は、一般の歯医者さんで治療する虫歯や歯周病とは違って、治療の期間が数年かかるなどで長期間になります(大人の方の場合でも2年~3年)。治療を始めるときは、引っ越しなどないと思っていても数年治療で通う間に、転勤や異動での引っ越し・進学するときの引っ越しなどは、長期にわたる歯列矯正治療では出てくる問題になります。

また、当院の近くには、神戸市外国語大学があるため、歯列矯正治療の途中で海外に留学される方も多くおられます。今の治療を中断・中止して、引っ越し先で治療を再開することを転院(てんいん)もしくは転医(てんい)といいます。基本的に転医は可能ですが、治療の内容によっては転医先で同じ治療ができないことがありますので注意が必要です。

転医するときの注意点

①同じ治療は行えない

歯列矯正治療で使われている装置には、同じようにみえても沢山のメーカーや種類があります。先生によって使用する矯正の装置が違うため、今の治療のまま転医先の医院で引き続き同じ治療ができないのです。ワイヤー治療の場合だと、転医前に一度全部装置をとってしまい、歯が後戻りしないように仮の保定装置をお渡しし、転医先で新たに治療していただくということになります。マウスピース治療の場合は、転医先で新たに再スキャンをする必要があります。

②舌側矯正の場合

舌側矯正とは、歯の裏側にワイヤーをつけて治療することで前からワイヤーが見えず目立たないワイヤー治療のことをいいます。舌側矯正の途中でも転院は可能ですが、通常のワイヤー治療と違って、そもそも舌側矯正治療を取り扱っていない医院が多く、転院先が決まらないこともありますので注意が必要です。

③手術予定の治療をしている場合

顎変形症などで、術前矯正治療を行っている場合も、転医が難しくなります。なぜなら、術前矯正治療は、手術を担当してくださる総合病院の口腔外科と連携して治療をおこなっています。口腔外科で手術日が決まるとその日に合わせて矯正治療も進めています。治療途中で転医をすると治療が遅れてしまい、手術日に間に合わなくなってしまいます。術前矯正治療中は、連携している総合病院の手術スケジュールもありますので、途中での転医が難しいです。

治療途中で転医する場合のリスク

①治療費が再度必要

歯並びを整える歯列矯正治療の料金は、各医院によって違います。転医の際は、当院のそれまでの治療費は一旦精算しますが、転医先の医院で治療費が再度必要になります。医院によって治療費の他に調節料などが必要な場合もありますので、転医先の医院でご相談ください。

②転医する医院を探す必要がある

引っ越し先によっては、当院からご紹介できる地域もありますが、そうでない場合は、ご自身で引き続き治療をしてくださる医院を探していただかなければなりません。手間も労力もかかってしまいます。引っ越し後は何かと他にも手続きが多くあり、転医先を探す暇もしばらく無いかもしれません。

③治療が長引いてしまう

歯列矯正治療を途中で止めていますので、次の治療を始めるまでの期間が開いてしまい、そのために、そもそもの治療期間がさらに伸びて治療が長引いてしまいます。矯正治療は、歯に少しずつ力を加えて動かしていく治療です。もし、途中で数か月ほど動かす力が歯にかからなければその間は全く治療が出来ていないことになります。結果、当初の予定よりも治療期間が長くなってしまいます。

転医(転院)の流れ

もし、引っ越しの可能性がある場合、他県への進学を考えている・転勤になりそうなど、分かった時点で早めに主治医にお伝えください。転医の手続きと引っ越しまでの矯正治療の方針を決めていきます。転医資料の作成や、治療費の精算も行います。転医資料をお作りするのにはお時間をいただいておりますので、引っ越しをする可能性がありましたら、お早めにご相談ください。お引っ越し先によっては、当院からご紹介できることもありますので、あわせてご相談ください。治療費の精算、転医資料の確認とお渡し、診療情報提供書などお渡しいたしますので必ずご来院をお願いします。(未成年の方は保護者同伴)
引っ越し後、転医先にご連絡のうえ相談のご予約をお取りいただき矯正の治療を再開してください。

転医する場合の治療費について

転医する場合は、当院規定により矯正治療費の精算をいたします。転医の際は、転医資料代(大阪大学病院諸料金に準じる)が別途必要になります。また、海外へ転医の場合は転医資料代の他に別途費用がかかります。なお、精算時に計算の結果、金額がマイナスの場合は患者様から当院にお支払いいただきます。詳しくは同意書をご確認ください。

海外への留学の場合

先にもお話したように、当院の近くには神戸市外国語大学がありますので、通われている学生の方の矯正治療も多いです。外国語大学に通われていると、数か月海外へ留学されることが多いため、いつから留学予定なのかを確認し、治療方針を決めていきます。長期間の留学の場合、一度、治療を中断し装置を外して仮の保定装置をお渡しすることもあります。(治療方法によって異なる)帰国しましたらご連絡をいただき予約をして治療を再開します。

進学・就職前の場合

まだ、歯列矯正治療を受ける前で、進学や就職で県外に行く可能性がある場合は、進学先や就職先が決まってから歯列矯正治療を始められるのをお勧めしています。歯列矯正の治療は数年かかることが多いため、通院回数が多くなりますのでお近くで治療を始めた方が金銭面でも良いかと思います。当院ですでに歯列矯正治療中の方で、高校や大学で県外に引っ越される方、就職後に転勤で県外に引っ越される方で、通院が困難であれば転医手続きをさせていただきます。ちなみに通院間隔は、通常のワイヤー治療で月一回、マウスピース治療の場合二か月に一回通院していただきますが、月一回なら…と遠方に引っ越されたあとも転医せずに通われている方もおられます。転医をするか、そのまま通って治療を継続するかは主治医とご相談していただければと思います。

まとめ

歯列矯正治療を始めると数年装置をつけなければなりません。通っていただく期間が長くなりますので、その間に引っ越しや留学で治療を中断する必要があれば、お早目に当院の主治医にご相談ください。最適な方法を決めていただければと思います。

土日診療 078-782-1182歯並び相談(初回無料)WEB予約メールお問い合わせ
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