コラム

2025.07.02

金属アレルギーと歯並びの矯正治療

金属アレルギーについて考える女性

こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者の「ふじよし矯正歯科クリニック」です。

みなさんは、金属アレルギーってご存知でしょうか。最近、当院でも金属アレルギーだけど歯列矯正治療ができるのかご相談される方が増えてきています。歯列矯正治療ってお口の中にいっぱい金属の装置がついているイメージを思い浮かべると思いますが、金属アレルギーがあると、歯並びや噛み合わせが気になるけど治す歯列矯正治療は出来ないのでは…。と不安になるのも当然です。

今回は、金属アレルギーについてと、金属アレルギーの方でも歯列矯正治療が安心して出来るようにお話をします。私自身も金属アレルギーがありますが、歯の並びが悪く当院で歯列矯正治療を始めて終了しました。金属アレルギーがあるけど歯並びを治したい方の参考になれば幸いです。

金属アレルギーとは?

金属のピアスを装着する様子

金属アレルギーとは(金属かぶれ ともいいます)、1種類または数種類の金属が原因で皮膚に炎症がおこることをいいます。アクセサリーや洋服についている金具などが肌に直接ふれ、汗や唾液の成分に反応してその部分の皮膚が赤くなり、痒みや発疹を発症し猛烈な痒みが特徴です。とくに汗をかく時期は要注意です。

今までは何ともなかったのに、アレルギーは突然発症します。ピアスやネックレス、指輪などのアクセサリーやジーンズのボタンの裏やベルトのバックル、下着のホックやワイヤーなどにも反応します。私自身が金属アレルギーを発症したのは、ジーンズのボタンの裏の金具が原因で、おへその下が真っ赤に腫れ、強烈な痒みがありました。

それ以来、肌に触れる部分には、金属アレルギー用のトップコートを塗ったりして保護をするか、直接肌に触れないように気をつけています。過去に一度でも金属が触れた個所が赤くなったり痒くなったりした経験がある方は、歯列矯正治療を始める前にどの金属でアレルギーがでるのか、金属アレルギーのパッチテストを事前に受けておくといいと思います。

金属アレルギーのパッチテストは、皮膚科で行いますが、一部お取り扱いがない皮膚科医院もございますので、事前にお電話でお近くの皮膚科にお問い合わせください。

アレルギーが出やすい金属

アレルギーが出やすい金属のピアス

一般的に金属アレルギーが発症しやすい物質は、「ニッケル(Ni)」・「コバルト(Co)」・「クロム(Cr)」・「パラジウム(Pd)」が代表的です。

それぞれの物質が主に使われているのは、

  • ・ニッケル(Ni) 指輪・ピアス・イヤリング・ネックレス・ブレスレット・眼鏡のフレーム・衣類のボタンなど
  • ・コバルト(Co) 虫歯治療での銀の詰め物・矯正治療の装置の一部・食器など
  • ・クロム(Cr) 金属加工品・ステンレス鋼・眼鏡のフレーム・ベルトのバックルなど
  • ・パラジウム(Pd)  虫歯治療での銀の詰め物・シルバーのアクセサリーなど
  • 特にニッケルは一番金属アレルギーがでやすい物質です。また、ごくわずかですが食品にも含まれていることがあります。

歯列矯正治療で使用する金属

矯正治療した歯

歯並びを治療する歯列矯正治療では、主にニッケル(Ni)・コバルト(Co)・クロム(Cr)が矯正装置の材料に多く使用されています。

一般歯科では、虫歯治療の後の銀の被せ物や入れ歯などに金属が使われていますが、歯列矯正歯科では、装置の一部や、ワイヤー治療でのブラケットやワイヤーに金属アレルギーを発症しやすい物質が多く含まれる装置が使われます。

ワイヤーには沢山の種類があり、素材が治療の時期によってかわります。主に、ニッケルチタンワイヤーやステンレススチールワイヤーなどがあり、ブラケットも奥歯にはメタル(銀)の素材のものを使用しています。

また矯正の装置で一番多く使う歯にはめるバンド(銀の輪っか)にも金属が含まれています。なので、矯正治療中はお口の中が金属の物質の装置が多くはいることになります。

金属アレルギーかも?心配ならまずは検査を

金属アレルギーを発症した手首

金属アレルギーとは、金属(アクセサリーなど)の部分が肌に触れていた部分が、赤くなり強い痒みや水ぶくれなどを発症する症状のことです。これは、接触性皮膚炎とよばれ、体が汗をかいたときに金属と皮膚が接触していた部分でおこり、汗で金属が溶けでてイオン化して金属イオンと汗で発生したたんぱく質が合わさってしまい、体が異物だと思い免疫反応をおこし赤みや痒みになって現れます。

汗をかきやすい春~夏に発症することがおおいのも特徴です。直接触れた部分に発症する接触性皮膚炎とは別に全身性金属皮膚炎とよばれるものもあり、これは金属と接触した体の皮膚ではなく、金属アレルギーをひきおこす物質が体の中に入ることで発症します。

虫歯治療での銀歯や矯正のための装置などが、体内に入ってアレルギーの反応が出てしまう、金属物質が含まれている食べ物原因でおこります。金属アレルギーの検査は皮膚科で行っています。パッチテストや血液検査などでアレルギーの特定が可能です。

パッチテストが出来る皮膚科は限られていますのでお電話で問い合わせてみるといいと思います。

金属アレルギーの方の歯列矯正の方法

マウスピース

金属アレルギーの検査をして、アレルギーが特定されていれば、その物質を含む金属は避けないといけません。

一番安全なのは、マウスピースを用いた矯正治療になります。ワイヤーでの治療と違い、金属の素材がないため安心して歯並びの治療が受けられます。

ですが、全ての患者様がマウスピースで治療可能ではないため、歯並びの相談のときや診断のときにしっかりと確認する必要があります。また当院では、マウスピースでの治療ができない症例の場合、アレルギーの物質を含まないワイヤーもございます。

まとめ

まとめ

今回は、金属アレルギーと矯正についてお話しました。

私自身も金属アレルギーがあり、皮膚科でパッチテストを行った結果ニッケル・コバルト・パラジウムに反応し物質が特定できました。ニッケルは数分で痒くなり今でもその部分はアザになっています…。大変な思いをしたパッチテストですが、特定されたことにより安心があります。私は、金属アレルギーがあることと、マウスピース治療が可能だったので歯並びはマウスピースで治療をしました。

ちゃんと検査をしたことがないけど、昔痒くなったことがある。金属アレルギーかも?と思う方は一度皮膚科の受診をおすすめします。金属アレルギーでも安心して歯並びは治療が可能です。

当院では、歯並びのご相談を無料で行っておりますので、お気軽にご連絡お待ちしております。