コラム

2024.08.05

唾液の役割と口臭の関係

唾液の役割と口臭の関係イメージ

1 唾液の役割

唾液の役割について教えてくれる歯科衛生士

唾液には9つの役割があります。

抗菌作用

唾液の中に含まれるリゾチームやラクトフェリンなどの菌の活動を抑制します。

再石灰化作用

唾液の中に含まれるカルシウムイオン・リン酸イオン・フッ素イオンは、脱灰された歯の再石灰化を促進します。

歯や粘膜の保護作用

歯の表面は、ペリクルといわれる唾液のたんぱく質に覆われています。歯はペリクルによって、摩耗したり脱灰するのを守られています。お口の粘膜も唾液のたんぱく質に覆われることによって、感染や機械的な損傷から守られています。

緩衝作用

唾液中に含まれる炭酸やリン酸・重炭酸などの物質は、急激な酸性やアルカリ性に変化しないように中和して、プラーク中の㏗が酸性に傾いて歯が脱灰するのを抑制します。

消化作用

唾液中に含まれるαアミラーゼという物質がでんぷんを麦芽糖に分解します。

自浄作用

お口の中の汚れや食べかすを洗い流します。

食塊形成作用

唾液の水分によって食べ物の味を拡散させたり、食べ物を噛み砕いて飲み込みやすくします。

2 ドライマウス(口腔乾燥症)について

ドライマウス(口腔乾燥症)について悩む女性

ドライマウスとは、お口の中の唾液の分泌が減少することで、お口の中が乾燥してしまう病気のことです。お口の中が乾燥することで、むし歯や歯周病のリスクが高まります。また、口臭が気になるということもあります。

ドライマウスになる原因には、

  • ・ 鼻呼吸がしづらく口呼吸をしている
  • ・ 極端なダイエットをしている
  • ・ 日常生活でのストレス
  • ・ お酒やタバコの摂取

が主に挙げられます。他にも、

  • ・ お薬の副作用
  • ・ 糖尿病や腎不全などの病気

などが原因でドライマウスを引き起こすこともあります。

ドライマウスには、口の中の粘つき・舌の痛み・口臭などの症状が見られますが、他にも乾いた食品を食べられない・食べ物をうまく飲み込むことができないといった症状が見られる場合があります。お口の中が乾いてしまうと唾液の働きである自浄作用が失われてしまうため、通常よりも感染症になりやすくなります。高齢者の方の場合、そのまま放置しておくと食べ物を飲み込む筋力が低下してしまう可能性があります。食べ物を飲み込む筋力が低下してしまう、と摂食嚥下障害などの病気になってしまうリスクが高くなります。

3 唾液が減少する原因

唾液が減少する原因イメージ

口呼吸

アレルギー性鼻炎や花粉症などの影響で鼻が詰まっていると、自然と口呼吸になります。そうなると、お口の中が乾燥して唾液が減少してしまいます。

鼻呼吸の場合、副鼻腔というたくさんの壁に仕切られているところを空気が通るので、乾燥しにくい構造になっています。

口呼吸の場合、お口の中の粘膜が空気に触れるので唾液が乾きやすくなってしまいます。

ストレス

唾液の分泌をコントロールしているのは自律神経になります。

過度なストレスやイライラ・緊張状態が続くことによりバランスが崩れ、交感神経が優位に働くことでネバネバした唾液が分泌されるようになります。また、唾液の量自体も減少してしまうので、お口の中が乾いた状態になってしまいます。

噛む回数が少ない

唾液は噛むことでお口の周囲の筋肉が働き、唾液腺が刺激され、唾液の分泌を促します。なので、あまり噛む必要のない柔らかいものを好んで食べていたり、あまり噛まずに食べていると唾液の分泌が悪くなってしまいます。そうなると、徐々に唾液が少なくなってしまいます。

水分不足

正常な成人の唾液の分泌量は、1日1.5リットルだと言われています。

なので、その分水分補給をする必要があります。水分補給を怠ってしまうと唾液の減少に繋がります。ダイエットなどで無理な食事・水分などの制限を行っている方は特に注意しましょう。

喫煙

タバコに含まれているニコチンには、体内の血管を縮小し、血行を悪化させてしまう作用があります。これが、唾液の分泌機能を低下させることになります。

喫煙者の口臭がきつくなりやすいのは、この唾液が減少した状態になってしまうことも原因の1つとして挙げられます。

過剰なアルコール摂取

アルコールを摂取すると、汗や尿と一緒にアルコールを体外に排出しようとする利尿作用が働きます。またアルコールをたくさん摂取することにより、食事量や水分量が不足しがちになりやすいため、脱水症状を引き起こしやすくなります。

アルコールの過剰摂取により、体内の水分のバランスが崩れて、お口の中の唾液が減少してしまいます。これは、唾液が減少する原因のひとつになります。

薬の副作用

日常的に服用する薬によっては、副作用で唾液分泌が減少してしまうことがあります。

加齢

年齢を重ねるにつれて、お口の周りの筋肉や歯の力が衰えてしまいます。そうなると、噛むという行為が難しくなり、唾液の分泌が促されにくくなります。

また、高齢になると背筋が徐々に猫背になってしまいがちです。猫背は呼吸を浅くさせ、口呼吸を引き起こす原因になります。

4 唾液の分泌を増やす方法

唾液の分泌を増やすため水分補給をしている女性

水分補給

お口の中が乾燥することで、唾液の分泌の減少につながります。なので、普段からこまめに水分補給を行い、唾液の分泌を促すことを意識してみましょう。

唾液腺マッサージ

唾液腺マッサージとは、耳下腺・舌下腺・顎下線の3ヶ所をマッサージすることです。

耳下腺のマッサージ方法

耳たぶの少し前方向、上の奥歯辺りの頬に人差し指から小指までの4本の指を軽く押し当てます。円を描くように前に向かって優しくマッサージをします。5~10回を目安に行いましょう。

耳下腺は、すっぱい食べ物を想像すると唾液が出る場所です。

舌下腺のマッサージ方法

顎の先のとがった部分の内側に舌の付け根があります。舌の付け根を押すことで耳下腺に刺激を与えます。両親指で、顎の下のやわらかい部分を押し上げてください。この時、舌を持ち上げるように行うことを意識してみましょう。5~10回を目安に行いましょう。

顎下腺のマッサージ方法

顎の骨の内側にある柔らかい部分に人差し指から小指までの4本の指を当てます。4本の指で顎から耳の下まで指の腹で優しくマッサージしましょう。

5~10回を目安に行いましょう。

食事法

すっぱい食べ物を食べることで味覚が刺激されます。また、すっぱい食べ物を想像すると唾液がじわじわと出てきます。一度、レモンや梅干しといったすっぱい食べ物を想像してみてください。

食事の際は、よく噛んで食べましょう。噛むことで、唾液の分泌が促されます。食事の際は、よく噛むことを意識してみましょう。

口呼吸をしない

普段の生活で口呼吸が癖になっている方は、鼻呼吸を心がけましょう。

口呼吸になってしまう原因が鼻のアレルギーや病気によるものである場合、その病気に対して専門の病院で治療を行うのが解決策につながるでしょう。

歯並びが原因により、お口が閉じることが難しいというような場合は、一度かかりつけの歯医者さんや歯列矯正を行っている歯科医院で相談してみましょう。

5 口臭防止アイテム

口臭防止アイテム

マウスウオッシュ

マウスウオッシュには、殺菌成分が含まれており、お口の中の細菌を減少させるため、長時間にわたって口臭予防の効果に期待できるでしょう。

マウスウオッシュを購入する際は、アルコールフリーや低濃度の製品がおすすめです。アルコールが含まれている製品の場合だとお口の中を乾燥させてしまい

口臭を悪化させてしまいます。また、口内炎がある方には刺激がある可能性があります。

タブレット

タブレットにもさまざまな種類があります。

噛んでお口の中を消臭するタイプのものや噛まずに飲み込んで胃の中で広がるものなどがあります。それぞれの好みに合わせて選ぶと良いでしょう。