コラム

2024.05.24

顎が小さいと歯ならびが悪くなる?

  • 顎が小さいと歯ならびに影響する?

歯ならびが悪くなる原因には、舌で歯を押す癖や指しゃぶり等の癖、もともとの骨格や歯の大きさといったいろいろな要因が考えられます。なので、一概に顎が小さいということだけが原因になるわけではありません。

しかし、顎が小さいことにより将来的に歯ならびが悪くなる可能性があります。なぜかというと、小さい顎に子どもの歯より大きい大人の歯が生えてくると、入るスペースがなく、本来生えてくるはずだった位置とは異なる場所から生えてきてしまう可能性があるからです。

また、上下どちらかの顎が小さい場合でも、バランスが崩れて噛み合わせが悪くなる可能性があります。噛み合わせが悪くなると、正しい位置で噛めません。そのため、お口の周囲の筋肉のバランスも悪くなってしまい、生えてくる大人の歯を正しい位置に導くことが難しくなります。

顎の大きさと歯ならびの関係

顎の骨は10歳頃~18歳頃まで成長が続きます。第2次成長期でピークを迎えます。歯列の全長より顎の骨が大きい場合、大人の歯がきれいに生えてくる可能性が高くなります。しかし、顎の骨が未発達の状態の時に大人の歯が生えてくる場合、大人の歯が生えてくるスペースが足りません。そうなると、歯ならびが悪くなってしまいます。

顎の骨には、上顎骨(じょうがくこつ)と下顎骨(かがくこつ)があり、上下で成長が異なります。上顎骨と下顎骨のどちらかが過剰に成長しても歯ならびに影響を及ぼします。

  • 顎が小さくなる原因

顎が小さくなってしまう原因は、先天性(せんてんせい)と後天性(こうてんせい)の2つに分けられます。先天性の要因というのは、遺伝のことを指します。後天性の要因というのは、普段の食生活・生活習慣・鼻や喉の病気のことを指します。

遺伝

骨格は遺伝性が高いと言われています。両親や祖父母の顎が小さいと子どもの顎も小さいという傾向があります。

遺伝性の不正咬合の場合、子どもの骨の成長を利用して顎を拡大することが可能になります。

食生活

毎日の生活において行っている『食べる』という行為は、顎の発育に影響を及ぼします。食べるという行為には、前歯で食べ物を噛みきる・唇をしっかり閉じる・食べ物を噛み砕く・食べ物をすりつぶす・舌を使って食べ物を奥歯へと移動させる・舌で食べ物を喉の奥へと移動させて飲み込むという動作が行われます。つまり、『食べる』ということで、唇・舌・頬・顎といったお口の周りの筋肉を鍛えることができます。

しかし、近年では調理技術が発達して、あまり噛まなくても食べることができる柔らかい食べ物が増えてきました。そのため、先ほどお話した動作がしっかりと行われる前に飲み込んでしまうことが可能になってしまいます。また、子どもの食べ物に対する好き嫌いで柔らかい食品を好む可能性もあります。

顎の発達を促すためにも普段からよく噛んで食べることを心がけましょう。

矯正専門医院では、お口の周りや舌のトレーニングを行っている所もあります。気になる方は、是非一度ご相談してみることをお勧めします。

  • 生活習慣

顎の骨がなかなか発達しない原因の1つに生活習慣があります。

特に、乳幼児期から幼少期にかけて著しい習慣が原因で顎の発達が遅れる可能性が出てきます。また、乳幼児に顎の骨は柔らかいため、生活習慣により変形してしまいそのまま成長すると歯列に影響してしまう可能性が高くなります。

例えば、お子さんをふと見たときにお口がポカンと開いていることがありませんか。これがいわゆるポカン口と言われる口呼吸をしているあらわれであり、顎の発達の妨げになってしまう可能性があります。口呼吸が続いてしまうとお口周りの筋肉が衰えてしまい、顎の成長に必要な刺激が加わりづらくなります。また口呼吸は舌の筋肉にも関係します。舌の筋肉が弱くなると、正しい位置に舌を収めることが出来なくなり上顎の発達に影響を及ぼします。

他にも生活習慣の1つに指しゃぶりがあります。幼少期に見かけられることが多い癖です。問題は、指の向きと歯の関係です。親指をお口に入れているとき常に前歯や上顎に触れている場合、歯に余計な圧力がかかります。そうなると上顎が突出するため、出っ歯になってしまう可能性があります。また、頬杖をつくことや猫背なども歯に影響を与えやすくなります。

子どもの癖を直すのはなかなか難しいため、専門家に一度相談してみるのも良いでしょう。

  • 鼻やのどの病気

アレルギー性鼻炎・扁桃腺肥大といった鼻やのどの病気を抱えていると、鼻で呼吸がしづらいため口呼吸を誘発してしまいます。

これらの病気は免疫機能の未熟な成長期の子どもにみられることが多くあり、口呼吸が習慣化する原因になります。

鼻やのどに気になる症状がある場合は早めに耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。

  • 顎の発達に重要なこと

顎の大きさを改善するためには、顎の発育を促す食事や生活習慣を意識する必要があります。おすすめの3つをご紹介します。

  • 歯ごたえのある食べ物を食べる

噛む回数が多ければ多いほど顎の発達によい影響をもたらします。

近年では、調理技術が発達してきていることもあり、あまり噛まなくても食べることができる柔らかい食べ物が増えてきました。

顎の発育を促すために、きのこ類・りんごなどの果物類・わかめや昆布などの海藻類・小松菜などの葉物野菜・にんじんや大根などの根菜類といった歯ごたえのある食べ物を意識して取り入れると良いでしょう。

  • 正しい姿勢で食べる

意外かもしれませんが、食べるときの姿勢は顎の発育に関係しています。

姿勢が不安定だと食べるときに十分な力が入らず、しっかりと噛んで食べることができません。また、姿勢が左右どちらかに傾いていると片方の顎だけに負担がかかってしまうため、顎をバランスよく育てることができません。

食事中に正しい姿勢をとることができているかチェックしてみて下さい。

  • ・ 椅子に深く腰をかけて座る
  • ・ 背筋をまっすぐ伸ばして座る
  • ・ 机とお腹の間にこぶし1個分入る
  • ・ いすと背中の間にこぶし1個分入る
  • ・ 足の裏がぴったりと床につく
  • ・ ひざ、腰、ひじが90°になっている
  • 椅子に座ったときに、足が床につかない場合は踏み台などを使用して高さの調整を行うとよいでしょう。
  • お口を使った遊びを行う

お子さんがポカンとお口を開けている様子が見られる場合は、お口を使った遊びを取り入れてみることをおすすめします。

例えば、シャボン玉を作ってみたり、風船を膨らませる遊びはお口の周りの筋肉を鍛えることができます。他には、にらめっこなどの遊びも効果的です。

  • まとめ

歯ならびが悪くなるにはさまざまな原因がありますし、顎の大きさも関係していることがお分かりいただけましたか。

お子さんの顎の大きさや歯ならびでお悩みがありましたら、歯科医院で相談してみるのもよいでしょう。

当院では、歯ならびの相談を初回無料で行っております。ご予約はweb、またはお電話で受け付けております。一度ご都合の良い日時にお越しください。