コラム

2024.04.17

歯が作られる時期について

歯が作られる時期

妊娠7週目から10週目頃に乳歯(子どもの歯)の芽となる歯胚(しはい)が作られます。妊娠10週目くらいになると乳歯の芽がほとんど揃います。妊娠3ヶ月頃からは、永久歯(大人の歯)の芽となる歯胚が作られ始めます。
歯胚は、何年もの期間をかけて歯槽骨の中で発育して歯として口の中に生えてきます。

乳歯(子どもの歯)が生えてくる時期

最初の乳歯は、生後6ヶ月から8ヶ月頃に下の前歯から生えてきます。
この歯の名前を乳中切歯(にゅうちゅうせっし)と呼びます。次にその隣から歯が生えてきます。その歯を乳側切歯(にゅうそくせっし)と呼びます。同じ頃の時期に、上の乳切歯が生えてきます。1歳半くらいになると、1本離れたところから奥歯の第1乳臼歯(だいいちにゅうきゅうし)が生えてき、2歳頃までには乳側切歯と第1乳臼歯の間に乳犬歯(にゅうけんし)が生えてきます。最後に1番後ろの第2乳臼歯(だいににゅうきゅうし)が2歳半から3歳頃にかけて生えてきます。
歯が生える時期には、お子様それぞれの個人差があるため、上記の目安から数か月遅れることも珍しくはありません。
もし、お子様の歯が生える遅れが気になる場合は、歯医者さんに診てもらうのも良いでしょう。

永久歯(大人の歯)が生えてくる時期

6歳前後の時期になると最初の永久歯となる、第1大臼歯(だいいちだいきゅうし)が奥歯の1番後ろから生えてきます。
近年では、下の乳中切歯(にゅうちゅうせっし)が先に永久歯(えいきゅうし)に生え変わる方が早い場合も多くなってきているようです。
下の前歯である中切歯(ちゅうせっし)が生えて6か月から1年経つ頃に、その隣から側切歯(そくせっし)や上の前歯となる中切歯が生え変わります。そして、その数か月後に上の中切歯の隣から側切歯が生えてきます。
9歳から12歳頃にかけて、乳犬歯が犬歯(けんし)に生え変わり、第1乳臼歯が第1大臼歯(だいいちだいきゅうし)に生え代わり、第2乳臼歯が第2大臼歯(だいにだいきゅうし)に生え代わると永久歯の歯並びが完成します。人によっては、第2大臼歯のさらに奥に親知らずと呼ばれている第3大臼歯(だいさんだいきゅうし)が生える場合もあります。

なぜ大人の歯と子どもの歯があるの?

なぜ子どもの歯(乳歯)から大人の歯(永久歯)へ生え代わりが起こるのかというと、顔や顎・全身の成長に対応するためです。
赤ちゃんは1歳頃になると母乳や人工ミルクだけでは、栄養の摂取量が不足してしまいます。栄養価の高い固形食品の効率的な摂取に対応するためには、食べ物をよく噛んで細かくしなければなりません。そのためには、歯が必要になります。
ですが、硬く丈夫な永久歯(えいきゅうし)ができるまでに5年以上の期間がかかります。そのため、まずは小さめサイズで歯のエナメル質や象牙質といわれる組織の厚みが永久歯の半分ほどで、成長の変化と共に擦り減っていくことができる適度な硬さの乳歯(にゅうし)が生えます。この乳歯を使って、成長期前半の栄養摂取が進められます。
そして、6歳前後から12歳頃にかけて乳歯から丈夫な永久歯へと生え代わりが進み永久歯列(えいきゅうしれつ)が完成すると、大人の顎の大きさと筋肉の強さに適した永久歯の歯並びと噛み合わせが完成します。

丈夫な歯を作るための歯に良い栄養素

歯を強くする食べ物には、歯や骨を作るもとになるカルシウムやミネラルが多く含まれている、牛乳・チーズ・小魚・海藻類などがあります。
主に歯を作っている栄養素はカルシウムで、歯の土台になっているものはタンパク質で作られています。これらがうまく働くには、ビタミンA・ビタミンC・ビタミンDが必要になります。歯や骨、血液を強くするためには、鉄分・マグネシウム・亜鉛などの無機質も欠かせない栄養素となります。ビタミン類は、カルシウムの吸収を助ける働きがあり、他には抵抗力を高める役割があるのでしっかり摂取するとよいでしょう。

タンパク質のはたらき

歯の土台を作るために必要な栄養素がタンパク質です。歯の丈夫さや強さは、歯が作られる時期の環境や栄養により異なります。丈夫な歯を作るためには、歯の土台となるタンパク質を摂取することが重要になります。
タンパク質はアミノ酸により生成されており、体内で作られる非必須アミノ酸と食物から摂取する必須アミノ酸に分かれています。乳製品や肉類、魚介類などの動物性タンパク質は、食物性タンパク質に比べるとアミノ酸の含有バランスが優れています。

ビタミンⅮのはたらき

ビタミンDは、カルシウムの代謝や石灰質を調整する役割があります。

ビタミンDを多く含む食品

  • ・ かわはぎ
    ・ いくら
    ・ 紅鮭、白鮭
    ・ うなぎ
    ・ 鮎
    ・ しらす
    ・ きくらげ
    ・ まいたけ
    ・ エリンギ
    ・ たまご
    ・ マーガリン

ビタミンCのはたらき

歯の象牙質(ぞうげしつ)を作るために必要な栄養素は、ビタミンCになります。

ビタミンCを多く含む食品

  • ・ ピーマン
    ・ ブロッコリー
    ・ バナナ
    ・ アセロラ
    ・ ゆず
    ・ レモン
    ・ キウイフルーツ
    ・ 青汁
    ・ ハム
    ・ 海苔
    ・ いちご
    ・ 緑茶

ビタミンAのはたらき

脂溶性の混合物であるビタミンAは、骨の成長や細胞の分化に関して、とても重要な役割があります。
ビタミンAは骨の健康にとって重要で、ビタミンⅮと一緒に働くことで骨の成長の促進と調整の役割をします。他にもビタミンAh、体内のカルシウムの働きを助ける役割があります。
ビタミンAは、健康な歯を維持するために欠かせない栄養素になります。

ビタミンAを多く含む食品

  • ・ 鶏レバー
    ・ 豚レバー
    ・ 牛レバー
    ・ 鶏むね肉
    ・ たまご
    ・ 牛乳
    ・ バター
    ・ しそ
    ・ にんじん
    ・ にら
    ・ ほうれん草
    ・ 海苔
    ・ 乾燥わかめ、ひじき

まとめ

子どもの歯が作られ始まるのは、お母さんのお腹の中にいる頃からということになります。丈夫で健康な歯を作るためにも栄養バランスを考えた食事を心がけると良いでしょう。
また、歯が生えてきたら定期的に歯医者さんに通うことをおすすめします。
お口の中を健康的に保つことができますし、むし歯があった場合でも早期発見・早期治療へと繋がります。