コラム

2023.07.28

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で出っ歯を治療するメリットや費用、治療法を解説!

こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。

インビザラインを前に掲げて笑う女性

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で出っ歯を治療することは可能ですが、ワイヤー矯正との併用や外科手術が必要な場合があります。

今回は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で出っ歯を治療するメリットや費用、治療法について解説します。

出っ歯とは

前歯を見せて笑う女性の口元

出っ歯とは、主に上の歯または上顎全体が前に突き出ている状態です。専門的には、上顎前突とよびます。一般的には、上の前歯が前に出ている状態を思い浮かべる方が多いと思いますが、必ずしも上の歯が大きく前に出ているわけではありません。

実際には、下顎が通常より小さく発育している場合に、上の前歯が前に突き出て見えるという状況もあります。下顎が小さいため、相対的に上の前歯が前に出て見えるというケースも、出っ歯として認識されるのです。

出っ歯になる原因

顎に手を当てて考える女性

出っ歯になる原因は、遺伝などの先天的なものと後天的なものがあります。

遺伝

出っ歯は遺伝によっても引き起こされることがあります。

一つは、遺伝による前歯の位置の異常です。遺伝的な要素によって上の前歯が前方に位置することで、出っ歯になります。

もう一つの要因は、遺伝による上下の顎のバランスの異常です。上顎の骨が過度に成長することで前歯が前方に突出し、出っ歯になることがあります。下顎の骨の成長が不足した場合も、相対的に上顎が前方に位置することになり、出っ歯に見えることもあるでしょう。

歯列のバランス

上の前歯のサイズが大きすぎる場合、出っ歯になることがあります。

歯が正常よりも大きいと、歯と歯の間に十分なスペースがなくなるため、歯が前方に出る可能性が高まります。歯自体の形状や大きさが原因なため、個人の努力で解決することは難しいです。

日常の癖

出っ歯は遺伝的な要因以外に、生活習慣や日常の癖が原因で生じることがあります。

特に、こどもの頃の癖が出っ歯を引き起こす原因となることが多いです。指しゃぶりや舌を上の前歯に当てる癖などが上の前歯を前方に押し出し、出っ歯になります。乳児期の癖が問題になることは少ないですが、幼児期や学童期まで癖が続くと歯並びへの影響が大きくなるでしょう。

口腔習慣は早い段階で改善することが重要です。4~5歳になっても指しゃぶりや舌を前に出す癖などが続いていると、歯並びが乱れる可能性が高まります。保護者の方が指導しても改善しない場合は、歯科医師に相談して専門的なアドバイスを得ましょう。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で出っ歯は治療できる?

顎に手を当てて考える女性

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、出っ歯やガタガタした歯並び、八重歯、受け口などの不正咬合を治療するための矯正方法の一つです。透明なプラスチック製のマウスピースを使用し、歯並びを徐々に修正し美しい歯列に整えます。

出っ歯の治療では、小臼歯を抜歯し、歯を大きく動かして歯列を下げる方法が一般的です。歯の移動距離が長い場合はワイヤー矯正が選択されることが多く、ワイヤー矯正とマウスピース型矯正装置(インビザライン※)を組み合わせて治療することもあります。

しかし、上顎の骨格が前に出ているような骨格に問題がある出っ歯の場合は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)だけで口元の突出感をなくすのは難しいです。骨格に問題がある出っ歯の場合は、外科手術を行って上顎を後退させる必要があります。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で出っ歯の治療は行えますが、ほかの矯正法と組み合わせる場合や外科的手術が必要な場合もあるのです。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で出っ歯を治療するメリット・デメリット

MERIT DEMERITと書かれたメモが吊るされている

歯の移動量が大きい出っ歯はワイヤー矯正で治療することが多いですが、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)にもさまざまなメリットがあります。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で出っ歯を治療するメリット・デメリットをご紹介します。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で出っ歯を治療するメリット

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で出っ歯を治療するメリットは、以下のとおりです。

治療結果を予測できる

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では、治療を開始する前にコンピューターを用いたソフトウェア「クリンチェック」で治療結果のシミュレーションを行います。クリンチェックでは、治療後の歯の動きや変化を具体的に可視化することが可能です。

シミュレーションを通じて、患者さま自身が治療後の歯並びや顔つきを事前にイメージすることができます。治療のゴールが明確になり、術後に想像と違う結果になって後悔するなどのトラブルを避けることも可能です。

矯正装置が目立たない

透明で薄いマウスピースを使用するため、外見上の違和感が少なく、目立たずに歯列矯正を行うことが可能です。

従来のワイヤー矯正の場合、金属製の矯正装置が歯に直接取り付けられます。口を開けたときに矯正装置が目立つのに対し、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は装着していることがほとんどわかりません。

マウスピースを取り外せる

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)のマウスピースは、ご自身で簡単に着脱できます。

食事や歯磨きの際などに矯正装置を取り外すことが可能なため、食事が制限されることや歯磨きがしにくくなることがありません。ワイヤー矯正のように、食べ物が引っ掛かって取れなくなることや、磨き残しが生じる心配もないのです。

口内を清潔に保てる

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)のマウスピースは自由に取り外すことができるため、歯磨きや装置の清掃が簡単です。流水と歯ブラシを使ってマウスピースを丁寧に清掃できるため、食べかすや細菌が装置に付着して、口内環境を悪化させることを防げるでしょう。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)出っ歯を治療するデメリット

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で出っ歯を治療するデメリットは、以下のとおりです。

虫歯や歯周病のリスクがある

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を進めている最中に虫歯や歯周病になった場合、治療のために矯正を一時的に中断しなければなりません。虫歯や歯周病の治療が終わるまで、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を再開できないことがあるのです。

虫歯治療によって歯の形状が変わると、治療後の歯の形状に合わせて新たなマウスピースの作製が必要です。新しいマウスピースが作成され、患者さまに届くまでには時間がかかるため、治療期間がさらに延びる可能性があります。

適応症例が限られている

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での矯正は非常に便利で効果的な治療法ですが、すべての症例に対応できるわけではありません。出っ歯の種類によっては、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)単独では治療が困難な場合もあります。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を希望しても、ワイヤー矯正と併用することで治療期間を短縮できるケースも存在します。

自己管理を徹底する必要がある

マウスピースは着脱が自由にできますが、デメリットにもなり得ます。矯正治療は、装置をつける時間が長ければ長いほど効果が出ます。装着時間が短いと、治療期間が延びるでしょう。

ご自身で装着時間をしっかりと管理することが重要です。

また、マウスピースの破損や紛失にも注意が必要です。取り外しが可能なため、ティッシュに包んで誤って捨ててしまった方や、マウスピースを置いていることを忘れて上に物を置いてしまい、マウスピースが破損してしまった方もいます。

外した際は専用のケースに入れる、保管場所を決めるなど、破損・紛失に気をつけてください。

ワイヤー矯正よりも治療期間が長くなる場合がある

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、ワイヤー矯正と比較すると歯に与える圧力が弱いため矯正期間が延びやすいです。マウスピースの装着を忘れる、マウスピースを紛失するなど、マウスピースを装着していない時間が多いと、治療期間はさらに長引きます。

自己管理が苦手な方や紛失するリスクを避けたい方は、取り外しの必要がないワイヤー矯正を選択したほうがいいかもしれません。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での出っ歯の治療法

歯科医院で説明を受ける女性患者

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での出っ歯の治療法は、抜歯を必要とする方法と必要としない方法で分けられます。

抜歯をする治療法

歯が大きいなどの理由で歯列をきれいに整えられない場合は、抜歯が必要になります。抜歯によってできたスペースを利用して、突き出ている歯を奥へと移動させて歯並びを整えるのです。

抜歯が必要となる場合、一般的には4番目の小臼歯(前歯から数えて4番目、最初の丸い歯)が抜かれます。前歯と奥歯の間に位置しており、この場所にスペースを作ると全体の歯の移動量が最小限に抑えられるからです。

歯の役割を「食べ物を噛み切る前歯」「食物をすり潰す奥歯」と分けると、4番目の小臼歯の役割が相対的に少ないため、抜歯対象となることが多いです。

抜歯をしない治療法

抜歯をしない治療法では、奥歯を後方へ移動させて、すき間を作ります。最も奥にある歯を後ろに動かし、生まれたスペースに隣の歯を移動させることで前歯へと空間を集めます。前歯に空間が集まったら、出っ歯を改善するのです。

しかし、歯は無限に移動させられるわけではありません。歯を動かせる範囲を超えた場合は、歯と歯の間を微細に削ることもあります。歯の側面を削る処置をIPR(ディスキング)とよびます。IPRを行うことで新たなスペースが生まれ、歯を移動させる余裕が生まれるのです。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での出っ歯の治療にかかる期間

机に置かれた植物とカレンダー

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での出っ歯の治療期間は、短い場合で約半年、長い場合で約2年とされていますが、患者さまの歯並びの状態によって大きく変動します。

治療期間を具体的に決定する大きな要素としては、奥歯の矯正が必要かどうかが挙げられます。全体的に歯並びが悪く奥歯も動かす必要がある場合は、治療時間が長くなるでしょう。奥歯は、前歯と比べて動かすのに時間がかかるためです。

一方、全体的な歯並びに大きな問題がなく、見える部分だけの矯正を目指す部分矯正の場合は、治療期間が半年程度と比較的短くなることが多いです。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での出っ歯の治療にかかる費用

机に置かれた電卓とノートとペン

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は自由診療で保険適用外のため、費用は歯科医院により異なります。部分矯正の費用は約400,000~500,000円、全体矯正の場合は約700,000~1,200,000円とされています。

上記の費用相場はマウスピース型矯正装置(インビザライン※)だけの費用なので、診断料や検査料、毎月の調整料等が別途必要な場合もあるでしょう。調整料が必要な場合は、治療期間が長引くと治療費も増大します。

しかし、費用が安いという理由だけで歯科医院を選ぶと、医師の治療技術が十分でないために治療が失敗し、さらなる費用がかかるケースがあります。治療費を検討することは重要ですが、信頼できる歯科医院かどうか、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での実績があるか、さまざまなケースに対応可能かどうかも確認し、総合的に歯科医院を選びましょう。

まとめ

マウスピースを装着しながら笑う女性

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で出っ歯を治療する場合、抜歯を必要するケースと必要としないケースに分けられます。すべての症例にマウスピース型矯正装置(インビザライン※)が適応されるわけではありません。

多くの移動量を必要とする出っ歯の場合は、ワイヤー矯正との併用が必要となることがあります。歯並びではなく、骨格に問題がある場合は、矯正治療だけでは改善できないため外科手術が必要になるでしょう。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は矯正装置が目立ちにくく、食事や歯磨きの際に取り外すことが可能なメリットの大きい治療法です。一方で、自己管理が重要となるなどのデメリットも存在します。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)ではクリンチェックとよばれるシミュレーションソフトを活用しますが、歯科医師の技術力にも治療結果は大きく左右されます。信頼できる歯科医院を選ぶために、事前にホームページで医師の情報を確認し、カウンセリングを受けましょう。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での出っ歯の治療を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。

※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。