2023.06.16

口腔筋機能療法(MFT)とは

普段皆さんは、舌の位置を気にしていますか?正しい舌の位置ってどこか知っていますか?
実は舌にはちゃんと正しい位置があります。
この舌の位置が、歯列矯正治療ではとても重要なことなのです。歯の並びや噛み合わせが悪い方は正しいところに舌をおいていない、舌の癖があるなどで歯列に悪い影響を与えていることが多いです。
今回は、口腔筋機能療法(MFT)とは何か、正しい舌の位置の確認、舌の位置が悪いとなぜ歯並びに影響がでるかお話していきます。

口腔筋機能療法(MFT)とは

MFTは、「Myofunctional Therapy」の略称で、口腔筋機能療法ともいいます。
(以下 MFT といいます)
MFTとは、お口の周りの筋肉を正しい動きに改善をすることによって、歯並びと舌の癖を治していくトレーニングのことをいいます。
MFTの目的は、食べる(咀嚼)、飲む(嚥下)、発音、リラックスしているときの呼吸のときの舌や口唇の正しい位置への改善をし、MFTを行っていくことで口腔周囲(お口の周り)の筋肉のバランスを正常に整えて、悪い癖を治していくことです。
皆さんの歯は、お口の中からは舌の圧力がかかり、外からは頬や唇などの筋力の圧力がかかっています。このお口回りの筋力の圧力や舌の圧力のバランスを正常に整えておかないと、歯列矯正治療が終わっても後戻りをしてしまいます。

お口の中での正しい舌の位置

今、みなさんの舌の位置はどこにありますか?そう改めて聞かれると、「ん?どこ?舌の位置?意識したことがない」って方が多いのではないでしょうか。テレビやスマホを見ているとき、読書をしているとき、など飲食をしていないリラックスしているときの舌の場所がいつものご自身の位置になります。
では一度、一緒に確認してみましょう。
まず、軽く唇を閉じてください、そのままつばを一回飲みこんでみてください。
飲みこんだ時に舌はどこにありましたか?

①舌は上の顎にぴったりとくっついている
②舌の先が上の前歯の歯の裏側にあたっている
③舌の先が下の前歯の歯の裏側にあたっている
④舌がお口の中のどこにもあたっていない

正しい舌の位置は、「①の舌は上の顎にぴったりくっついている」です。
他のところに舌がある場合、それは舌の正しい位置ではないのです。
正しい位置に置くポイントは、舌の先をスポットにおく!です。

スポットとは

スポットとは、舌を正しいところに置く位置のことをいいます。上の写真のように、舌の先が上の前歯の裏側の少しくぼみがあるところがスポットの場所です(緑の枠)。前歯の裏ではないので間違えないようにしてください。
日中、食べているとき飲み物を飲んでいるときと、話しているとき以外は、ここのスポットに舌の先があるのが正常な舌の位置になります。つばを飲みこんだときに、①以外だった方はぜひ意識してこのスポットに舌先をつけてみてください。唇を軽く閉じて、舌の先をスポットにつけ、舌全体を上の顎に吸い付けるようにつけてください。このとき、必ず口呼吸ではなくお鼻で呼吸をしてください。
どうですか?慣れていないと30秒ほどつけたままにするだけでかなり舌が疲れるかもしれません。疲れるという方は、普段正しいところに舌をおけていないということです。舌は筋肉でできているので、慣れないことをすると疲れますが、舌の悪い癖を治しておくのも歯列矯正治療ではとても必要になります。

舌の位置が悪いとどんな影響がある?

正しい舌の位置のお話はしましたので、次は、間違った位置に舌がある場合はどんな悪影響があるのかお話しします。

①歯の並びが悪くなる

舌の先が、上の前歯や下の前歯など、歯の裏側を無意識にずっと押しているような舌の癖があれば、歯の並びが悪くなります。これを、舌癖(ぜつへき)といいます。人は食べるとき(咀嚼)、飲みこむとき(嚥下)に一日に何百回~何千回も舌を無意識に動かしています。

睡眠中も、つばを飲みこんでいるので舌は自分で思っているよりも一日中動いているのです。先にも話したように、舌は筋肉でできています。筋肉は縮むときより伸ばすときのほうが力が強くなりますので、その力で普段から一日中、歯と歯の間に舌をいれてしまっていたり、の前歯や下の前歯の裏を押していると舌の圧力に負けて歯の並びは崩れてしまいます。

②口呼吸になってしまう

お口を閉じてお鼻でちゃんと呼吸できていますか?ふだん、テレビを見ているときや本を読んでいるときなどリラックスしているときや、寝ているときはお鼻で呼吸する鼻呼吸になっていないと体に悪影響がでます。歯の並びが悪いかたは、アレルギー性鼻炎や花粉症などのお鼻の疾患があることが多くお鼻が詰まりやすいため、鼻呼吸ができずに口で呼吸してしまう口呼吸になってしまいます。日常的に口呼吸のままだと、お口が常に開いていることになり舌が下がってしまい、お口の周りの筋肉も弱くなってしまい正しい飲みこみ(嚥下)ができなくなってしまいます。

また、お口が開いたままだと唾液の量も減ってしまいお口の中が乾燥してドライマウスになります。ドライマウスになると虫歯や歯周病になりやすくなるほか、乾いた口から細菌がはいり風邪をひきやすくなったりもします。口呼吸は、歯並び以外にも悪影響を及ぼすことがあるため、普段から意識して鼻呼吸が出来るようにしてください。

③発音や滑舌が悪くなる

人は話すときに、舌とお口の周りの筋肉をつかって言葉を発します。舌が正しい位置にない、舌癖などがあると話すときに舌をちゃんと使えずお口の周りの筋肉も弱ってしまいます。お口の周りの筋肉が低下してしまうと、発音や滑舌に影響がでてしまいます。とくに、サ行・タ行・ラ行の発音が舌足らずな話し方になるので、MFTでしっかり訓練して治していきましょう。

④歯列矯正治療後に後戻りをしてしまう

治療前の歯並びに戻ってしますことを、矯正歯科では「後戻り」といいます。
歯列矯正治療が終わったあと、歯並びと噛み合わせを治しても舌癖があると後戻りという歯並びが崩れてしまうことの原因になってしまいます。後戻りをしないように、舌の悪い癖がある方は、歯列矯正治療をしながらMFTも一緒にします。しっかり舌癖を治すことで、後戻りをふせぐことができます。

最後に、テレビやスマホを見ているとき、読書をしているとき、など飲食をしていないリラックスしているときのお口の周りの状態は、
・唇は軽く閉じている
・舌の先はスッポトについている
・鼻呼吸をしている
・上と下の奥歯が軽く離れている
この4つを普段から習慣づけるようにしていただければと思います。

ふじよし矯正歯科クリニックでは、舌の癖がある患者様には、歯列矯正治療と同時にMFTのトレーニングをしております。同時にすることで、治療をスムーズにし、歯列矯正後の後戻りを防ぎます。トレーニングの方法はたくさんありますので、患者様にあった段階からのトレーニングの用紙をお渡ししています。すぐに改善されるのは難しいかもしれませんが、目につくところに貼って毎日の習慣にしていただきたいです。毎日練習することで、自然と舌が正しい位置に維持できるようになります。

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