インビザライン治療では歯を削る?その理由とメリットを解説!
こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
インビザライン治療では歯を削ることがあります。「歯を削って痛くないの?」「どれぐらい歯を削るの?」など、不安に思う方は少なくないでしょう。
今回は、インビザラインで歯を削る理由や、削る際の痛みなどを解説します。
インビザライン治療では歯を削る?
インビザライン治療では、歯を削ることがあります。歯科医師が口内の状態を確認し、インビザライン治療を進めていくうえで歯を削る処置が必要だと判断した場合のみ削ります。そのため、すべてのケースで削るわけではありません。
インビザラインに限らず、ほかのマウスピース矯正や、ワイヤー矯正でも歯を削ることがあります。矯正治療を進めるうえで行われる歯を削る処置は、歯を動かすためのスペースを作ることが目的です。歯を削る処置は「IPR(アイピーアール)」とよばれます。
歯の削り方は、以下のとおりです。
・やすりで削る
・ディスクで削る
・バーで削る
IPRで使用する機械は、歯科医院によって異なります。やすりで削る場合、歯と歯の間に専用のやすりを入れて、細かく動かして歯を削ります。
ディスクで削る場合は、電動の円盤状の器具を回転させてスペースを作るでしょう。バーで削る場合は、虫歯治療で使われるドリルのような機械を用いて歯を削ります。
インビザライン治療において歯を削る理由
インビザライン治療で歯を削る理由は、以下のとおりです。
・歯を並べるためのスペースを確保する
・歯の大きさのバランスを整える
・ブラックトライアングルを目立たなくする
それぞれ確認しましょう。
歯を並べるためのスペースを確保する
インビザラインで歯を削る理由として最も多いのは、歯を並べるスペースを確保するためです。歯並びがガタガタになる原因や、出っ歯になる原因の多くは、歯がきれいに並ぶためのスペースが足りないことです。歯を削ってスペースを確保することで、歯並びを整えます。
歯を削る量はほんのわずかですが、複数の歯の側面を削ることでスペースを確保するのです。
歯の大きさのバランスを整える
歯列矯正では歯並びを動かすことはできても、歯の大きさまで変えることはできません。歯を削ることで、ある程度歯の大きさや形を変えることができます。
例えば、左右で歯の形が違う場合や、上下の歯のバランスを整えたい場合に、歯を削ることがあるでしょう。
ブラックトライアングルを目立たなくする
ブラックトライアングルとは、歯茎と歯と歯の間にできる三角のすき間のことです。
インビザライン矯正に関わらず、歯列矯正をするとブラックトライアングルができやすい傾向にあります。ガタガタしていた部分の歯茎が引き締まったことや、歯が重なっていた部分の歯槽骨が少なかったことが原因で、ブラックトライアングルができるのです。
歯並びが悪い状態だと歯磨きが難しく、汚れが残りやすくなります。汚れが残るとプラークが溜まり、歯茎が腫れることがあるでしょう。
歯列矯正で歯並びが改善され、歯ブラシで汚れを落とせるようになると、歯茎の腫れが治まります。徐々に歯茎が健康的に引き締まるでしょう。そのため、ブラックトライアングルが出現することがあるのです。
歯並びの乱れが大きい場合、歯を支える歯槽骨が薄くなっていることがあります。歯槽骨が少ない部分に歯を並べると、歯が動いたあとにブラックトライアングルが目立つ可能性があるでしょう。
ブラックトライアングルができた場合、歯を削ることで目立たなくできます。歯を削って三角形に近い形をしていた歯を四角形に整えます。その際に生まれたスペースを埋めるように歯を並べることで、ブラックトライアングルを改善するのです。
インビザライン治療で歯を削るメリット・デメリット
インビザライン治療で歯を削るメリット・デメリットをご紹介します。
メリット
インビザライン治療で歯を削るメリットは、以下のとおりです。
・抜歯をせずに矯正できる
・治療期間を短縮できる
・後戻りを防げる
それぞれ解説します。
抜歯をせずに矯正できる
歯列矯正において歯をきれいに並べるためのスペースが足りないと判断された場合、抜歯をする必要があります。
しかし、歯を削るだけでスペースが確保できる場合、抜歯が不要となるでしょう。虫歯などのトラブルが起きていない健康な歯を抜くことに抵抗を感じる方もいます。歯を削ることで抜歯を回避できるのは、大きなメリットでしょう。
治療期間を短縮できる
抜歯をせずに歯を削ることでスペースを確保してインビザライン治療を進めると、治療期間を短縮できる可能性があります。抜歯をしないと、歯を大きく動かす必要がなくなるからです。
歯を削ってスペースを確保した場合、1本あたりの移動距離が短くなるため、治療期間が短くなる可能性があります。
後戻りを防げる
矯正装置で歯を動かしたあとは、歯全体にもとの位置に戻ろうとする力が働きます。歯がもとの位置に戻ることを後戻りといい、インビザラインに限らずすべての矯正方法で起きる可能性がある現象です。
後戻りを防ぐために、矯正装置で歯を動かしたあとは保定装置を装着し、歯列を固定する期間を設けます。歯を削ると、隣接する歯の接着面積が増えるため、支え合う面積が増えて歯並びが安定しやすいでしょう。
もちろん、後戻りを防ぐためには保定装置の使用は欠かせませんが、歯を削ることで後戻りしにくくなります。
デメリット
インビザライン治療で歯を削るデメリットは、以下のとおりです。
・健康な歯を削る
・歯同士が面で接触する
・確保できるスペースが限られる
それぞれ解説します。
健康な歯を削る
最も大きなデメリットは、健康な歯を削ることです。歯を削る量はごくわずかなので、痛みを感じることはなく、虫歯になりやすくなるなどのトラブルもありません。
しかし、健康な歯を削ることに抵抗がある方も多いです。歯を削る必要があるかどうか、事前に歯科医師に確認しましょう。
歯同士が面で接触する
天然歯は歯の先端が丸みを帯びているので、歯の隣接面は点で接触します。
しかし、歯を削ると削った面が平らになるので、歯と歯が面で触れ合うことになります。接する面積が増えるので、汚れが溜まりやすくなるでしょう。
過度に歯を削らなければ心配する必要はありませんが、歯と歯のすき間をより丁寧に掃除する必要があります。
確保できるスペースが限られる
抜歯に比べると、歯を削るだけでは大きなスペースを確保することができません。そのため、大きなスペースを作って歯全体を大きく動かさなければいけないと判断された症状などは、対応できないことがあります。
どんな方法でスペースを確保するのかは、歯科医師が判断します。希望を伝えるのは問題ありませんが、最終的な判断は歯科医師に任せましょう。
インビザライン治療で歯を削る量
一般的に、歯の一番外側にあるエナメル質とよばれる部分を少し削ります。削る場所は歯の両サイド、隣の歯と隣接する面です。
削る量は0.1mm〜0.25mm程度です。エナメル質は2〜3mm程度あるので、歯を削っても形が大きく変わることはありません。
歯を削るとしみたり痛んだりしない?
エナメル質の一部を少量削るだけなので、歯がしみたり痛みを感じたりすることはほとんどありません。削ったあとに虫歯になりやすくなることや、歯自体が脆くなることもないでしょう。歯を削っても、エナメル質の大部分は残っているためです。
まとめ
インビザライン治療で歯を削る目的は、歯を並べるスペースを作るためです。歯を削ることで、抜歯をせずに歯列矯正できるメリットはありますが、健康な歯を削らなければいけません。
歯を削る量はわずかなので、削ったことによって歯がしみる、虫歯になりやすくなるなどのトラブルは起きないといわれています。
しかし、歯を削ったあとは歯と歯の間にすき間がある状態です。すき間に汚れが溜まりやすいため、それまでと同じ歯磨きの仕方では汚れが残る場合があります。
歯間ブラシやフロスなど、細かい部分まで掃除できるアイテムを使って、丁寧にケアしてください。ケアが不十分だと、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
症状によっては、抜歯をしたほうがよい場合もあるでしょう。どのようにインビザライン治療を進めるのかは、歯科医師と相談して決めてください。
インビザライン治療を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
インビザライン治療で親知らずを抜くケースとメリットを解説!
こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
インビザラインに限らず、矯正治療では治療前に親知らずを抜くケースが多いです。親知らずを放置すると、矯正治療を妨げる原因になり得ます。
今回は、インビザラインで親知らずを抜くケース、抜かなくてもよいケース、抜くことのメリットなどを解説します。インビザライン治療を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
親知らずとは?
親知らずは、第二大臼歯の後ろに生える3番目の大臼歯のことです。正式名称は第三大臼歯で、ほかの歯とは異なり、生える人と生えない人がいます。
親知らずが生える時期は、20歳前後が多いです。第二大臼歯が生えるのは12歳頃なので、非常に遅れて生える歯といえます。
最大上下左右に1本ずつ生えますが、1本も生えない方もいれば、2~3本だけ生える方もいます。
親知らずの生え方
親知らずは、顎の奥のスペースが狭いところに生えるため、真っ直ぐに生えることは少ないです。歯茎の中に完全に埋まっていることもあります。レントゲン写真を撮らないと、親知らずがあることすら気づかない場合も珍しくありません。
ほかの歯と同様に真っ直ぐに生えている場合は、あまり大きな問題はないことが多いです。完全に歯茎の中に埋まっていて痛みなどの症状がない場合も、健康的な問題はありません。
歯茎に半分埋まっている、斜めや横向きに生えている場合などは、磨き残しが生じやすいでしょう。虫歯や歯周病のリスクが高まる場合や、歯並びに悪影響を及ぼす場合などがあるため、注意しなければなりません。
インビザライン治療で親知らずを抜くケース
インビザラインの治療を進めるうえでは、親知らずは抜くケースが多いです。健康的な問題がなくても、親知らずが歯の移動を妨げる可能性がある場合は抜いたほうがよいでしょう。
インビザライン治療で親知らずを抜くケースは、以下のとおりです。
斜めや横向きに生えている
親知らずが斜めや横向きに生えている場合、歯並びに悪影響を与えるため抜く必要があります。曲がって生えた親知らずは隣の歯を押すため、歯並びを崩す原因になるのです。歯茎の中に完全に埋まっていても、曲がって生えている場合は歯茎の中で隣の歯を圧迫します。
レントゲン写真で親知らずの状態を確認し、斜めや横向きに生えている場合は抜くことが多いでしょう。
虫歯や歯周病になっている
親知らずが虫歯や歯周病になっている場合、隣の歯に悪影響を与えるため抜きます。
歯茎に半分覆われている状態や、斜め・横向きに生えた状態では、うまく歯ブラシが当たりません。汚れが溜まりやすいので、虫歯や歯周病になりやすいです。
特に日本人は顎が小さく、親知らずが真っ直ぐ正常に生えてくるケースが少ないため、抜くことが多いでしょう。
親知らずが虫歯や歯周病などのトラブルを抱えていると、隣の第二大臼歯に悪影響を与えます。
矯正治療で歯を後方に移動させる必要がある
インビザラインで奥歯を後方に移動させる場合は、親知らずを抜かなければならないでしょう。歯をきれいに並べるためのスペースが足りないときは、奥歯を後方に移動させてスペースを確保します。
親知らずがあることで歯を後方に動かせない場合、抜く必要があるでしょう。
インビザライン治療で親知らずを抜かなくてもよいケース
親知らずを抜かなくてもよいケースは、以下のとおりです。
IPRで歯を並べるスペースを確保できる
IPRとは、歯と歯の間を少しずつ削ってスペースを作る方法です。IPRで歯を並べるスペースを確保できる場合は、親知らずを抜かなくてもよいでしょう。
ただし、IPRですべての歯を削っても、5mm程度しかスペースを作れません。IPRは歯に影響がない範囲で行うため、大幅に削ることはできないのです。
奥歯の後方移動が必要ない
親知らずが通常の歯のように真っ直ぐ生えていて問題がなく、奥歯を後ろへ移動させる必要がない歯並びでは、抜かなくてもよいでしょう。
ただし、後方移動が必要ない症例は多くありません。歯を並べるスペースが十分に確保されている、すきっ歯などに限られます。
親知らずを第二大臼歯の代わりに使う
重度の虫歯や歯周病によって、第二大臼歯を長期的に使えない場合、親知らずを第二大臼歯の代わりにすることがあります。長くは使えないと予想される第二大臼歯を抜き、親知らずを第二大臼歯の代わりに並べるのです。
ただし、親知らずの形態や状態を見て判断するため、あまり症例数は多くありません。また、インビザライン単体での治療は難しいため、ワイヤー矯正などを併用します。
インビザライン治療で親知らずを抜くメリット・デメリット
矯正治療を行う際に親知らずを抜くことは、メリットのほうが多いです。治療の進行だけでなく、治療後の歯並びにも大きく影響するからです。
親知らずを抜くことに、大きなデメリットはありません。歯並びだけでなく、口内の健康を守るために必要な場合が多いでしょう。
インビザライン治療で親知らずを抜くメリット・デメリットをご紹介します。
親知らずを抜くメリット
インビザライン治療で親知らずを抜くメリットは、以下のとおりです。
よりきれいな歯並びを目指せる
親知らずを抜くことで、歯を並べるスペースを十分に確保できます。よりきれいな歯並びを目指せるでしょう。
本来抜くべき親知らずを抜かないと、うまく歯が動かず、治療が長引く可能性もあります。
矯正後の後戻りを予防できる
歯並びをきれいに整えても、親知らずが手前の歯を押して歯並びがもとに戻る可能性があります。
親知らずを抜くと手前の歯を押すことがなくなるので、後戻りするリスクを下げられるでしょう。
虫歯や歯周病のリスクが下がる
親知らずには歯ブラシが届きにくいため、汚れが溜まって虫歯になることも多いです。重度の虫歯や歯周病になると、隣の歯や歯茎にも影響を及ぼすでしょう。
親知らずを抜くことで、さまざまなリスクを下げられます。
親知らずを抜くデメリット
インビザライン治療で親知らずを抜くデメリットは、以下のとおりです。
抜いたあとに痛みや腫れが生じる
親知らずを抜いたあとは、痛みや腫れを伴います。特に、斜めや横向きに生えていた親知らずや、歯茎の中に埋まっていた親知らずを抜く場合、周りの骨を削らなければなりません。痛みや腫れが生じやすいです。
痛みは痛み止めでコントロールでき、2~3日程度で落ち着きます。
大きな病院で抜かなければならない場合がある
地域にある歯科医院では治療が難しく、大学病院などの大きな病院で抜かなければならないことがあります。特に、親知らずと下顎の神経が近くにある場合には、CT撮影なども併用して慎重に治療を行う必要があるでしょう。
インビザラインで親知らずを抜くタイミング
インビザラインでは、矯正治療を始める前に親知らずを抜きます。親知らずがあると、計画どおりに歯が動かなくなる可能性があるからです。
インビザラインを装着するタイミングは、親知らずを抜いてから1週間以上経ってからが望ましいでしょう。インビザラインを装着したばかりの頃は、違和感や多少の痛みがあります。傷がある程度落ち着いてからのほうがよいでしょう。
インビザラインを装着するタイミングは、傷や口内の状態によって異なるため歯科医師と相談して決定してください。
まとめ
インビザラインでは、治療を始める前に親知らずを抜くことが多いです。
奥歯を後ろに動かして歯を並べるスペースを確保できる、親知らずが手前の歯を押して歯並びが悪化することを防げる、虫歯や歯周病のリスクを下げられるなど、親知らずを抜くメリットは多いです。
親知らずを抜くことに不安がある方は、事前に歯科医師とよく相談しましょう。
インビザライン治療を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
インビザラインで部分矯正するメリットと費用、適応症例を詳しく解説
こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
インビザラインの部分矯正は、全体矯正に比べて治療期間が短くなることや費用が安くおさえられることなど、さまざまなメリットがあります。
しかし、適応症例が限られているため、すべての方が部分矯正を受けられるわけではありません。
今回は、インビザラインで部分矯正するメリットと費用、適応症例を詳しく解説します。
インビザラインで部分矯正は可能?
インビザラインで部分矯正は可能です。
しかし、すべての患者さまに部分矯正が適応できるわけではありません。部分矯正の適応範囲は、軽度の不正咬合、つまり軽い歯並びの問題がある場合や、抜歯を伴わない症例に限られることが多いです。
部分矯正がご自身の希望や状態に適しているかどうかは、実際に歯科医院での診断を通じて判断する必要があります。
インビザラインで部分矯正するメリット・デメリット
インビザラインで部分矯正する場合、治療期間が短くなることや治療費用がおさえられることなどのメリットがあります。それぞれ解説します。
インビザラインで部分矯正するメリット
インビザラインで部分矯正するメリットは、以下のとおりです。
治療期間が短い
部分矯正は、特定の歯のみを対象とした矯正治療です。インビザラインを部分矯正に適応すると、短期間で治療が完了するのが最大のメリットです。
インビザラインは治療開始前にレントゲンや口腔内スキャンを行い、データをもとに3Dの治療計画を作成します。3D映像を用いることで、歯がどのように動き、最終的にどの位置におさまるのかをあらかじめ確認することが可能です。また、治療にかかる期間も明確に把握できます。
部分矯正であれば、対象となる歯の範囲が限られているため、治療期間が短くなることが一般的です。もちろん、矯正治療には予期せぬトラブルが起こる可能性がありますが、インビザラインの場合、高精度の治療計画があるため、計画どおりに進めやすく、結果として患者さまの精神的な負担も少なくなります。
費用がおさえられる
部分矯正は全体の歯を動かす全体矯正と比べて、動かす歯の数が少ない、または動かす距離が短いため、治療期間が短縮されます。そのため、治療に必要なマウスピースの数が減少し、マウスピースの製作や管理コストも低減します。
実際、部分矯正の場合、矯正費用は全体矯正の約半分程度で済むことが多いです。これは、治療を検討している多くの方にとって、非常に魅力的なポイントといえるでしょう。特に、矯正治療の高額な費用に悩んでいる方や予算内での治療を希望している方には、部分矯正がよい選択肢となるわけです。
痛みや不快感が少ない
先述したように、インビザラインは治療が計画的に進むため、精神的な負担が軽減されます。
しかし、メリットは精神的なものだけではありません。インビザラインを使った矯正治療は、身体的な負担や痛みも非常に少ないのです。
インビザラインの大きな特徴は、歯を少しずつ、段階的に動かしていく方法を採用していることです。このアプローチのおかげで、痛みが分散され、強い痛みを一度に感じることがほぼなくなります。インビザラインでは、約1~2週間ごとに新しいマウスピースに交換することで、歯を徐々に理想の位置に動かします。そのため、一度に歯に加わる力が緩やかで、大きな痛みを伴うことが少ないのです。
一方、従来のワイヤー矯正の場合、矯正装置の調整は歯科医師が直接行うため、治療中の力の調節が難しいのが実情です。通院の際、強い力を歯に加えることが必要となるため、歯がこの力に慣れるまでの間、強い痛みを感じる可能性があるでしょう。
インビザラインで部分矯正するデメリット
インビザラインで部分矯正するデメリットは、以下のとおりです。
適応症例が限られている
部分矯正とは名前のとおり、歯の特定の部分のみを矯正する方法です。そのため、気になる部分のみの微調整や軽度の症例に対してのみ適用が可能です。
たとえば、八重歯や大きく重なったガタガタしている歯の場合、歯を大きく動かす必要があります。特に、歯の大きな動きを伴う矯正の場合、抜歯が必要となることがあります。抜歯が必要となる症例は、インビザラインの部分矯正には適していません。
噛み合わせは改善できない
部分矯正は、主に前歯の歯並びを整えるための治療を指します。そのため、部分矯正では、奥歯の間の噛み合わせや歯列全体の問題を解決することは難しいとされています。
噛み合わせの問題は、ただ歯がガタガタしているだけでなく、頭痛や肩こり、顎関節症などの原因ともなり得るため、早めに改善することが非常に重要です。そのため、噛み合わせの改善が必要な方は、前歯だけでなく、全体の歯並びや噛み合わせを調整する全体矯正の治療を選択することが推奨されます。
歯を削ることがある
部分矯正では、前歯の位置を調整するためのスペースが不足している場合があります。全体矯正であれば、小臼歯の抜歯によって必要なスペースを確保することが一般的ですが、部分矯正の場合は抜歯を行いません。その代わり、前歯の間のスペースを少し広げるための方法として、IPR(ディスキング)という処置が採用されることがあります。
IPR(ディスキング)は、前歯の隣同士の接触面をわずかに削ることでスペースを作り出す治療法です。IPRで削るのは歯の表面のエナメル質のみで、削除量は0.25~0.5㎜程度と非常に微量です。そのため、通常は痛みを伴うことはありません。
しかし、エナメル質がもともと薄い、または知覚過敏の傾向がある患者さまは、ディスキングのあとに知覚過敏が増加するリスクがあります。
インビザラインで部分矯正できる歯並び
インビザラインで部分矯正できる歯並びとは、噛み合わせに問題がなく、抜歯が必要ないことです。インビザラインで部分矯正できる具体的な歯並びは、以下のとおりです。
軽度の出っ歯
出っ歯の程度が軽度で、噛み合わせの問題がない場合、インビザラインの部分矯正で効果的な治療が可能です。
一方、出っ歯の状態が重度である場合、部分矯正だけでは十分な治療結果を得るのが難しくなります。重度の出っ歯を治療するには、従来の方法である抜歯や外科手術が必要となるケースが多いです。
軽度のすきっ歯
すきっ歯とは、歯の間に不自然なすき間がある状態のことです。
インビザラインの部分矯正は、すきっ歯の改善にも適していますが、適用条件は、すきっ歯以外の歯並びの問題が存在しないことが求められます。
しかし、歯の問題は単独で存在することは少なく、たとえばすきっ歯がある方は、出っ歯や過蓋咬合など、ほかの歯の位置や噛み合わせの問題も併発していることが多いです。
軽度の叢生
叢生とは、歯と歯が重なるように乱れて生えてきている歯並びのことです。叢生は、歯の大きさに対して顎のサイズが小さく、十分なスペースがないために起こります。
叢生のような歯の重なりは、見た目だけでなく歯磨きが難しくなるため、虫歯や歯周病の原因となることもあります。叢生が重度の場合、単に歯の位置を調整するだけやIPR(歯の間を削る治療)だけでは解決できないことがあり、必要なスペースを作るために抜歯が必要となるでしょう。
しかし、叢生が軽度の場合、インビザラインの部分矯正によりIPRなどの方法を駆使して、歯の位置を効果的に調整することが可能です。
矯正後の後戻り
インビザラインの部分矯正は、矯正治療後の歯並びが再び乱れてしまった方に向いています。
矯正治療後に、保定装置(リテーナー)の装着不足により歯並びがもとの状態に戻ってしまう「後戻り」と呼ばれる症状が起こることがあります。後戻りは、インビザラインの部分矯正で効果的に改善できる可能性があります。矯正後の歯並びは歯が動きやすい状態であり、短期間でもとの美しい状態に戻すことができる可能性が高いといえるでしょう。
インビザラインで部分矯正できない歯並び
インビザラインで部分矯正できない歯並びとは、奥歯に問題があるケースや抜歯が必要なケースです。インビザラインで部分矯正できない歯並びは、以下のとおりです。
噛み合わせに問題がある歯並び
インビザラインの部分矯正は、主に審美面の改善が目的であり、前歯の軽度な歯並びの乱れを修正するのに適しています。
しかし、奥歯の噛み合わせに問題がある場合、単なる審美的な問題ではなく、噛むなどの機能面に影響をおよぼす可能性があります。奥歯の噛み合わせの問題が存在する場合、歯の位置や噛み合わせのバランスを整えるために歯列全体を調整する必要がでてくるのです。そのため、部分矯正のアプローチだけでは十分な治療効果を期待するのは難しく、全体矯正が推奨されます。
抜歯が必要な歯並び
歯が極度に密集している症例や歯のねじれが激しい場合、前歯部分だけの部分矯正では治療の効果は限定的です。なぜなら、十分なスペースがないと歯を動かすことができないためです。
歯が密集している歯並びの場合、まずは抜歯を行って歯の移動スペースを確保する必要があります。抜歯が必要な場合、歯の移動距離が増えるため、インビザラインの部分矯正では対応できないことがほとんどです。
左右非対称な歯並び
上下の前歯の中心部分のことを「正中」とよびます。正中が上下で揃っていないと、顔全体のバランスや噛み合わせに影響がでるため、矯正治療の際の大きなポイントといえます。正中がずれる原因は「歯」と「顎」の2種類です。
歯が原因で正中がずれている状態は、顎そのものは正しい位置にありますが、歯の配置や並びが不適切であるために正中がずれている状況です。正中をきれいに揃えるには、全体矯正が必要となります。
顎が原因で正中がずれている状態は、顎の位置そのものが不正確であるため、歯も上下で揃っていません。顎の形状に問題がある症例は、単なる矯正治療だけでは対応が難しく、顎の位置を正確に調整するための外科手術が必要となることが多いです。上下の正中が4㎜以上ずれている場合は、顎の問題が考えられます。
インビザラインで部分矯正する場合の費用
インビザラインの部分矯正の費用は、約30~60万円です。インビザラインの部分矯正は自由診療となるため、歯科医院やクリニックによって治療費が異なります。さらに、使用するインビザラインの種類によっても費用は変わります。
インビザラインの部分矯正の費用相場は、以下のとおりです。
<インビザラインの部分矯正の費用相場について>
インビザラインの部分矯正 | 費用 |
---|---|
インビザライン・ライト |
約45~60万円 |
インビザライン Go |
約35~50万円 |
インビザライン・エクスプレス |
約20~40万円 |
軽度の症例、つまり歯並びのずれが少ないケースほど、治療費は安くなります。
ただし、見た目で気がつかない部分にも歯並びや噛み合わせの問題がひそんでいることがあるため、正確な診断と適切な治療プランの提案のために、まずは歯科医師としっかり相談することが重要です。
また、ブランドによっては10万円と低価格で治療を提供しているところも存在します。
しかし、初期費用に含まれない追加費用が発生することが多く、最終的な総額ではインビザラインと変わらない、あるいはそれ以上の費用がかかることもあります。
矯正治療を開始する前に、治療費の詳細や料金体系をしっかり確認し、ご自身の予算や希望に合わせた治療を選ぶことが大切です。
まとめ
インビザラインで部分矯正するメリットは、治療期間が短くなり、費用がおさえられることです。前歯のみの歯並びを改善したい場合には、インビザラインの部分矯正が向いているでしょう。
しかし、噛み合わせに問題があるケースや抜歯が必要なケースなどは、インビザラインの部分矯正は適用できません。インビザラインの部分矯正はあくまでも前歯の審美面の改善が主な目的であるため、奥歯の移動が必要となる場合は全体矯正が必要です。
インビザラインの部分矯正には、さまざまな種類があります。どの治療プランがご自身に適しているのか、カウンセリングを受けて実際に歯科医師に相談しましょう。また、料金体系は歯科医院によって異なるため、事前にホームページなどで確認しておくのがよいでしょう。
インビザラインで部分矯正を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。