2024.01.11

矯正中に起こりやすい歯肉(歯ぐき)のトラブル

今回は、歯列矯正中に起こりやすい歯肉のトラブルである、

  • ・ 歯肉退縮 (しにくたいしゅく))
      (歯肉が下がったり、瘦せたりする現象のこと)
    ・ 歯肉炎(しにくえん)
      (歯肉に痛みを感じたり、出血する現象のこと)

の2つについてご紹介いたします。

矯正をすると歯肉が下がってしまう原因

① お口の中のお手入れ不足

お口の中のお手入れ不足により、歯の汚れが溜まることで歯肉が炎症を起こしてしまいます。歯肉の炎症が続くと、歯肉の細胞やコラーゲンが破壊されて歯肉が下がってしまいます。歯肉が下がることを歯肉退縮と言います。

② 矯正装置のお手入れ不足

矯正治療中は、お口の中に装置を使用します。
装置がお口の中についていると歯磨きが行い辛く、取り外し式の装置の場合でもお手入れ不足だと装置に付着した汚れにより歯肉に炎症を起こして、歯肉が下がってしまいます。(歯肉退縮)

③ 過度な矯正力

矯正治療では歯を動かすために、歯に力をかけています。
矯正の力は、歯を支えている骨に伝わり、骨の吸収や再生という代謝が起こります。
そして、歯にかける矯正の力が強い場合、歯を支えている骨の再生がうまく行われない可能性があります。歯を支えている骨の再生がうまく行えない場合は、歯肉退縮が起きてしまいます。

④ 骨が薄い部分に歯が移動する

歯を支える骨が薄いところに力をかけると、骨の代謝がうまく行われず、歯を支える骨の再生も行えない可能性があります。
歯にかける矯正の力が強い場合と同様で、歯を支えている骨の再生が行えないと歯肉退縮が起こってしまうことがあります。

歯肉が下がると起こるデメリット

① 見た目が気になる

歯肉が下がる(歯肉退縮と言います)と

  • ・ 歯が長く見える
    ・ 歯と歯の間に隙間ができる(ブラックトライアングル)

ため、見た目が気になる方もいらっしゃると思います。

② 知覚過敏の症状を感じることがある

知覚過敏とは、冷たいものや温かいものなどの刺激で歯が痛む状態です。
歯肉退縮をして出てきた歯の根っこの部分は、エナメル質で保護されていないため刺激に敏感なので、冷たいものなどの刺激を受けると歯に痛みを感じます。

③ むし歯になる

歯肉退縮により出てきた歯の根っこの部分(歯根 しこん)は、非常に虫歯になりやすいです。
通常の歯は硬いエナメル質で保護されていますが、歯根は本来であれば歯肉に覆われている部分であるためエナメル質はありません。
歯根が露出すると、露出している部分に細菌が繁殖しやすくなります。
歯根の虫歯は進行が早く、重症化すると歯の根っこの神経(歯髄 しずい)や骨(歯槽骨 しそうこつ)にまで進行する可能性があります。

④ 歯がグラグラする

歯肉退縮をしていると、歯肉を支えている骨が通常より少なくなっている可能性があります。
そのため、歯を支える骨が少なくなっているため歯がグラグラすることがあります。

歯肉が下がったと感じたらすること

① お口の中のお手入れを丁寧に行う

しっかりお口の中のお手入れをすることにより、歯肉の炎症を抑えることが大事になります。歯肉の炎症を無くすことで、歯肉が退縮するのを防ぐことができます。
お口の中に矯正装置が入っている場合、歯ブラシのみでの清掃だけではきれいにすることは難しいかと思います。
そのような場合には、デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助清掃用具の使用をおすすめします。

② 装置のお手入れを丁寧に行う

お口の中のお手入れと同じくらい装置のお手入れも大切になります。
取り外し式の装置を使用している場合、装置をきれいに保つために科学的な洗浄も大切です。
当院では、取り外し式の装置を使用している患者様に洗浄剤のご使用を勧めています。殺菌効果などがあるため、装置を清潔に保つことができるでしょう。

③ 矯正装置の不良をそのままにしない

矯正装置が合わなかったり、歯や歯肉に違和感がある場合は早めに歯科医院に受診するようにしましょう。
装置の調整を行うことで、歯肉の退縮を防ぐことができます。

④ 歯科医師に相談してみましょう

歯肉が退縮していると感じたら、まずは一度歯科医師に相談することをおすすめします。可能な範囲で矯正装置の調整や歯周病の治療を受けることで、症状の悪化を防ぐことができます。

歯肉退縮が起きやすい人の特徴

  • ・ 歯列矯正をしている方
    ・ もともとの歯肉が薄い方
    ・ 歯磨きが充分に行えていない(磨き残しがある)方
    ・ 歯ブラシの(歯に対する)当て方が強い方
    ・ 歯周病の方
    ・ 喫煙習慣などにより口腔内の環境が悪い方
    ・ 歯ぎしりや食いしばりのクセがある方
    ・ 歯の噛み合わせが悪い方

5.矯正中に歯肉炎(しにくえん)になってしまう原因

① 歯列矯正をしている

歯肉炎は歯列矯正中に起こりやすい症状になります。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正のどちらの矯正装置でも歯肉炎は起こりやすいと言えます。
ワイヤー矯正の場合、矯正装置の影響で歯が磨きづらくなってしまうのが原因になります。歯に磨き残しが溜まっていくとプラークといわれる細菌の塊が増え、
歯肉に炎症を起こしてしまいます。
マウスピース矯正の場合、食事と歯磨きの時はマウスピースを外していただいています。そのため、歯磨きも行いやすいです。ですが、歯磨きを行わずにマウスピースを装着してしまうと、歯にぴったりと細菌がくっついているままになるため、虫歯になるリスクが高くなります。

② お口の中のお手入れ不足

歯肉炎はお口の中のお手入れ不足により、歯の汚れが溜まることで歯肉が炎症を起こしてしまいます。
歯に汚れが溜まっていることで、細菌がさらに増殖します。
歯磨きを定期的に行わなかったり、細かい部分まで磨けていない影響で歯肉に炎症が起きます。
また、定期的に歯磨きを行っていても歯ブラシの種類が合っていない場合や歯を磨く時間が短すぎる場合にも歯肉炎が起きてしまう可能性があります。

③ 生活習慣による影響

歯肉炎は、喫煙やストレスなどの生活習慣が原因で歯肉炎を発症することもあります。また、免疫の低下や血行不良などによってお口の中の環境が乱れることで歯肉炎になる可能性もあります。
歯肉炎は誰でも発症のリスクがあるお口のトラブルだといえるでしょう。

矯正中の歯肉炎には要注意

歯肉炎はさまざまな人が起こる可能性のあるお口のトラブルです。
その中でも歯列矯正中に起こる歯肉炎は特に注意が必要になります。

① 放置していると危険

歯肉炎が起きてしまって、そのまま放置しておくのは危険です。
歯肉炎は放置していると、歯周病(ししゅうびょう)や歯槽膿漏(しそうのうろう)になってしまう可能性があります。
歯肉の炎症が段々と進行することで、歯を支えている骨が溶けてしまい、歯がグラグラし、最悪の場合だと歯が抜けてしまいます。
歯肉炎は徐々に進行していくので、気がついたら素早く対処することをおすすめします。

② 完治するのに時間がかかる

歯肉炎を発症してしまったら、なかなかすぐには治りません。
一度治ったとしても、再発する可能性高いため完治するには時間がかかるという認識を持っておくといいと思います。
矯正治療中に、歯肉炎起こしてしまうと歯につけている装置が歯肉に埋まってしまうこともあります。歯肉炎の影響で、装置を付けられなくなると、矯正の治療期間や診療時間が長引いてしまう可能性も考えられます。

歯肉炎に気がついたらすること

① 歯磨き習慣を改善する

歯肉炎になってしまったら、まずは歯磨き習慣を見直してみましょう。
特に矯正中だと、口の中に装置があることで歯磨きが行い辛く、細かいところまで磨くことが難しくなります。普通の歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやワンタフトブラシ(1本ブラシ)などの清掃補助用具を使用することで細かい部分の汚れを落としやすいのでおすすめです。
また、食後に歯を磨く習慣を身に付けましょう。

② 歯医者さんで歯のクリーニングを受ける

歯肉炎が発症してしまったら、かかりつけの歯医者さんでアプローチしてもらうことをおすすめします。
歯肉の状態やプラークや歯石などの歯の汚れを取り除いてもらうことができます。
クリーニングを定期的に受けることでお口の中の環境の改善に繋がります。
普段の歯磨きでは取り切れない部分もあるので、定期的に歯医者さんに通うと良いでしょう。

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