2023.12.07

むし歯について

Ⅰ. むし歯とは

むし歯とは、お口の中にいる細菌が食べ物や飲み物に含まれている糖をエサ(代謝)にして作られる酸によって歯が溶けるという病気です。
むし歯の原因となる菌として、『ミュータンス菌』がよくしられています。
ミュータンス菌は、私たちが食べた物や飲み物の中に入っている砂糖をエサにして、ネバネバしている『グルカン』という物質を作ります。
グルカンは粘着力が強く、歯の表面に付着すると多くの細菌がくっつき合い大きな細菌の塊になります。この細菌の塊のことを『プラーク(歯垢)』と言います。

Ⅱ.むし歯の原因

むし歯の原因には、『細菌(ミュータンス菌)』 『歯の質』 『糖』 の3つの要素があります。
この3つの要素が重なることで時間が経過するとむし歯が発生します。

Ⅲ.むし歯のでき方

プラークとなって歯に付着したミュータンス菌が糖を分解(この事を代謝と言います)して、『酸』を作ります。
この酸が歯の表面を溶かしてしまうこと(この事を脱灰(だっかい)と言います)によって、むし歯ができます。

Ⅳ.むし歯の症状

むし歯は、進行具合や場所によって症状が異なり5つに分類されます。
むし歯が歯と歯の間や奥歯の噛み合わせのでこぼこの溝などの歯のエナメル質が脱灰し始める初期むし歯のことを『CO(シーオー)』

初期のむし歯をそのままにしていると段々と脱灰が進行して、歯のエナメル質に穴が開くこと『C1』

エナメル質の下の象牙質(ぞうげしつ)までむし歯が進行すると冷たいものがしみるようになると『C2』

さらに進行し、歯髄(しずい)まで到達すると激しい痛みを伴うと『C3』

歯髄がしんでしまうと、痛みを感じなくなることもありますが膿が溜まることで激しい痛みを伴う場合がある『C4』

また、大人になると歯肉の中の歯の根っこ(歯根)に虫歯ができることがあります。加齢や歯周病によって歯肉が下がるとエナメル質で覆われていない象牙質やセメント質が露出します。
象牙質やセメント質はエナメル質とは違ってやわらかく、酸に溶けやすいため、むし歯になってしまいやすいです。
そのため、歯の根っこの部分に磨き残したプラークや食べかすがついたままの状態が続くと虫歯のリスクさらに高くなります。

Ⅴ.むし歯の予防・対処方法

むし歯になるのを防ぐためには、

  1. ①歯磨きで食べかすやプラークをしっかり取り除くこと
    ②歯の質を強くすること
    ③食事や飲み物の取り方に注意すること

が重要なポイントになります。

① 歯磨きで食べかすやプラークをしっかり取り除くこと

むし歯予防の基本は、むし歯の原因となるプラークを残さずしっかりと取り除くことです。
特にプラークが溜まりやすいところは、

  • ・歯と歯の間
    ・歯と歯肉の境目
    ・奥歯の噛む面(でこぼこの部分)
    ・歯がガタガタになっているところ
    ・生えかわり期で背が低い歯
    ・1番奥に歯の後ろ側

お口や歯の状態に合わせて歯ブラシの当て方を工夫することが大切なポイントです。
また、歯ブラシの毛先が届きにくいところは歯間清掃用具の使用をおすすめします。歯間清掃用具とは、デンタルフロスや歯間ブラシ、ワンタフトブラシ(1本ブラシ)のことです。

② 歯の質を強くすること

フッ素を取り入れることをおすすめします。
フッ素には、歯の質を強くして再石灰化(溶けた歯のカルシウムやリンを再び歯に戻す作用のこと)を促進させます。
また、細菌の働きを弱める効果もあります。
丈夫な歯を育てるには、歯の土台を作るために必要なタンパク質や歯の石灰化のために必要なカルシウム・リン、これらがうまく働くためのビタミンなどの栄養素が必要となります。なので、バランスの良い食事を心がけてみましょう。

③ 食事や飲み物の取り方に注意すること

お口の中は、唾液(つば)の働きにより中性に保たれています。
そして、食べたり飲んだりすることでお口の中は酸性に傾き、お口の中が酸性の状態が長くなるとむし歯になりやすくなります。
そのため、だらだらと食べたり飲んだりしていると歯が酸にさらされている時間が続くのでむし歯になるリスクが高くなってしまいます。
また、食べたら歯を磨くようにしましょう。
寝ている間は唾液の出る量が少なくなるので、お口の中の細菌が増えやすく、働きが活発になります。なので、寝る前は特に丁寧に歯を磨くように心がけましょう。

④ 虫歯になりやすい食べ物と歯にいい食べ物

【虫歯になりやすい食べ物の特徴】

1 砂糖を含んでいるもの
2 歯にくっつきやすいもの
3 お口に残りやすいもの
4 ネバネバしたもの

【虫歯になりやすい食べ物の例】

・ チョコレート
・ キャラメル
・ キャンディー
・ スナック菓子
・ 清涼飲料水 (ジュースやスポーツドリンク)  など

【歯にいい食べ物の特徴】

1 砂糖が少ない・含まれていない
2 歯にくっつきにくい
3 お口の中に残らない
4 カルシウムが多く含まれている

【歯にいい食べ物】

・ チーズ
・ ヨーグルト
・ アイスクリーム
・ せんべい
・ 果物 

Ⅵ.むし歯を防ぐ『フッ素』の役割

フッ素によるむし歯予防の効果

① 歯の再石灰化(さいせっかいか)の促進

歯から溶け出してしまったカルシウム・リンの再石灰化(溶けた歯のカルシウムやリンを再び歯に戻す作用のこと)を促進します。

② 歯の質を強くする

歯の質を強くすることで、酸に溶けにくい歯を作ります。

③ 細菌による酸の産生を抑制する

プラーク(歯垢)の中の細菌の働きを弱め、酸が作られるのを抑制させます。

フッ素が含まれている身近な食品

フッ素は自然界にある元素であり、魚介類・海藻類・お茶などの身近な食品に含まれています。
フッ素は、歯や骨を作るのに欠かせない役割があり、むし歯予防においても高い効果があります。

【フッ素が多く含まれている食品】
・ イワシ
・ エビ
・ 海藻類
・ お茶類

フッ素入りの歯磨き粉を使おう

歯磨き粉は、フッ素入りをおすすめします。
年齢に応じたフッ素濃度や量を使用するようにしましょう。
また、歯を磨いた後もお口の中にフッ素を残すためにうがいに水は少量で1回のみがおすすめです。
【歯の生え始め~2歳】
使用量    1~2㎜程度 (米粒程度)
フッ素濃度  900~1000ppm
【3~5歳】
使用量    5㎜程度 (グリンピース程度)
フッ素濃度  900~1000ppm
【6歳~成人・高齢者】
使用量    1.5~2㎝程度
フッ素濃度  1400~1500ppm

Ⅶ.まとめ

虫歯についてお分かりいただけましたか。
虫歯は、普段の歯磨きの仕方や食事の取り方、食べ物の内容等を気を付けることで防ぐことができます。
フッ素が含まれている歯磨き粉や食べ物を取り入れることで虫歯予防にもなります。適切なフッ素濃度を適切な分量で使用しましょう。
また、定期的に歯医者さんに行くことをおすすめします。
歯医者さんに行くことで、むし歯の早期発見にもつながります。

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